織斑さん家の一夏君   作:解読

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今回は短くなるかもしれない予定
予定はあくまで予定

まえがきの時点で内容が決まってないのが私くおりてー


静かなる憤怒

「きゃあ」

 

シャワールームから出て来たシャルル似の女の子は小さな悲鳴を上げて胸を手で隠しながらシャワールームへと逃げ帰っていく。

 

「すまない・・・扉の前にボディソープを置いて向こうに行っているよ。」

 

「うん」

 

・・・どうしたものか?

女の子だと確信してからはこういう事が起きないように気を付けていたんだけど、神様って僕の事が嫌いなのかな?

神なんて信じてないのだけどね。

こういうのが起きたらそう思っちゃうんだよね。

帰ってきたら何もできずに横の扉が開いて出て来るなんてどういう対処をすれば正解なんだい?

・・・・・・Time alterで向こうまで行けばどうにかなったのかな?

今更考えても起きてしまった事だからどうにもできないけど。

取り合えずシャルルが出て来たら土下座かな。

 

ガチャ

「あ、上がったよ。」

 

「申し訳ない。」

 

僕はただ土下座をする。

女性の裸を許可なく見たんだ、これですめば良いんだけどね。

 

「あ、頭をあげてよ!一夏!」

 

「どうであれ女の子の裸を見てしまったんだ。土下座ですむとは思ってないけど謝るのは当然だしね。」

 

「一夏は悪くないよ!隠してた僕が悪いんだし、お願いだから顔をあげて。」

 

「本当にすまない。」

 

そう言って頭をあげてからかれこれ一時間が過ぎようとするが僕自身あんな事になってどう話を切り出して良いのかわからず戸惑っている。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

本当にどうしたらいいのか?

シャルル――もしかしたら本名は違うかもしれないが――も顔をうつむかせている。

 

「・・・」

 

「・・・・・・一夏は何も聞かないの?」

 

「ん?」

 

「どうして僕が男装してるのか?」

 

「少しだけ推測で考えたんだけど簡単に話せることじゃないと思ったからね。それに聞いて答えられるほど簡単な事なら男装なんてしなくていいと思うしね。」

 

「ふふっ優しいね、一夏は。」

 

「そんなことはないと思うよ。」

 

「ううん、優しいよ、一夏は。」

 

そういうとまた沈黙が二人を支配する。

たださっきの沈黙の時間と違い少しだけ雰囲気は幾分かましだ。

 

「聞いてくれるかな?」

 

「・・・男装で入ってきた理由かい?」

 

「うん。」

 

「訊いても大丈夫なら。」

 

「ううん、一夏に聞いてほしいんだ。」

 

「わかったよ。」

 

僕はシャルルを見据えて聞く準備をすぐに整える。

シャルルは少ししてからその口を開く。

 

「実家からの、デュノア社の社長からの命令でね。」

 

「・・・」

 

僕は何も言わずにただシャルルの話を訊き続ける。

―――――ただ、自分の拳を強く握りしめているのはわかった。

 

「僕はね、愛人の子なんだ。・・・引き取られたのは二年前。ちょうどお母さんが亡くなったときにね、父の部下がやってきたの。それで色々検査していくうちにISの適性が高い事がわかったんだ。わかってからは非公式だけどデュノア社のテストパイロットをすることになったんだ。」

 

こんな時まで笑みを浮かべなくてもいいというのに。

ただその笑みはとても悲しいものだ。

 

(―――――何故弱者は、力のないものは救われないのか?)

 

「父にあったのは二回くらい。会話は数回くらいかな。普段は別荘で暮らしていたんだけど、ある時本部に呼ばれてね。あの時はひどかったな。本妻の人にいきなり殴られて『泥棒猫の娘が!』ってね。参っちゃうよ。母さんもちょっとは教えてくれていたらあんなに戸惑うことはなかったのにね。」

 

シャルルは昔話の恥ずかしい話をした時みたいに頬を人差し指でかきながら愛想笑いを浮かべている。

その姿は泣いているように見えて、怒りが僕の中で大きくなっていくのがわかる。

 

プチッ

 

今爪が皮膚を破った音が聞こえたけど気にしない―――いや、気にできない。

 

「それから少したってデュノア社は経営不振になったんだ。」

 

良かった。

手のひらが切れた音は聞かれてないみたいだ。

・・・経営不振か、なんとなく話は見えて来たけど。

 

「何故って思ってる?ISのシェアが世界第三位でも結局リヴァイブは第二世代型なんだよ。ISの開発にはものすごくお金のかかる事だから、ほとんどの企業は国からの支援があってやっと成り立っているところばかりなんだよ。それで、フランスは欧州連合の統合防衛計画『イグニッション・プラン』からは除名されているしね。第三世代型の開発は急務なんだ、もちろん国防の為もあるけど資本力で負けている国が最初のアドバンテージを取れないと悲惨なことになるんだよ。」

 

「・・・」

 

『イグニッション・プラン』

これはセシリアが言っていたのを聞いた事がある。

イギリスはティアーズ型

ドイツはレーゲン型

イタリアのテンペスタⅡ型

の三つのうちのどれかを次期主力機に選定するための計画だったかな。

 

「話を戻すね。それでデュノア社も第三世代型を開発したんだけど元々遅れに遅れての第二世代型最後発だからね。圧倒的にデータも時間も不足していてなかなか形にはならなかったんだ。そうして手間取っているうちに政府から通達があって次のトライアルに選ばれなかったら予算を全面カットの上でIS開発許可を剥奪するって形になったの。」

 

「―――――なるほど、それで男装になったわけなんだ。」

 

「今の説明でわかったんだね。」

 

「男装は周囲の注目を浴びるための広告塔であり、僕に近づきデータを盗るためだね。」

 

「うん、そういうこと。」

 

僕が言えた義理じゃないけどどうして大人はこうも自分の利益の事しか考えられないんだろうか?

たしかに社長なら部下の事も考えなければいけないけど、その部下の為にたった一人の人生をどうこうしても良いなんてこともないはずだ。

たぶん、たぶんだけどこうしてシャルルが僕に話してくれた事実を世間一般に公表したとしても当のデュノア社は白を切るのだろうね。

”シャルル・デュノア”の存在など知らないと、ね

―――――虫唾が走るよ。

 

「とまあ、こんなところかな。一夏には話す前から何となくばれちゃってたみたいだし、本国に呼び戻されるだろうね。デュノア社は潰れるか他社の傘下に入るかして、僕はよくて牢屋かな?こんなことをしたらフランス政府も黙ってないだろうしね。」

 

「呼び戻される?」

 

「そうだよ。それと今までだましててゴメン。」

 

シャルルは頭を深々と下げて謝罪の言葉を口に出した。

僕は一度額に手を当てて、少し考えをまとめて今一度拳を握りなおしてから口を開く。

 

「頭をあげてくれるかい?だましててって言ったけど初めて見た時から女の子だと思っていたから、僕からしてみたらそうなんだぐらいしかないよ。」

 

顔をあげたシャルルは僕の顔を見て驚いていた。

 

「一夏、血が!?」

 

「そんな事どうでもいいんだ!今するべきことはどうすれば君が幸せな未来を掴めるかだ。」

 

「僕の事より傷の手当てをしないと!」

 

僕は彼女に話をきかせる為に肩に手を置いてベッドに押し倒しそのまま話を続ける。

押し倒したときに小さな悲鳴をあげられたがこの際無視を決め込んだ。

 

「僕の傷なんて後でどうにでも出来るまずは君の事だ。いいかい?IS学園にいる間は国家・組織・団体に帰順しない。つまりはだ、君がIS学園にいる間は君の承認なく連れ戻すのは不可能だという事だ。それに君は自らを加害者だと思っているが、君は加害者ではなく被害者だ。―――――愛人の子?この世には自らの子でさえまともに愛することの出来ない親がいるのに、ただただ会社が経営不振に陥ったから愛人の子を道具として再起を図る?ふざけた事を言うのはほどほどにしてほしいものだ。」

 

「いち・・か?」

 

「わかってる!わかってはいるさ!君に加害者側の君の父親の文句を言っても仕方のないことぐらい理解はしてるさ。ただ君自身が、その父親の片棒を背負っているのが気にくわないんだ!」

 

「実際に僕は周りの人を騙してるんだよ!」

 

「そうするしか生きていけなかっただけだろう!それは共犯じゃなんかじゃない!君は無言で脅されてるんだよ!君を助け出す手段ならあるんだ。だから僕を頼ってはくれないかい?」

 

「なんでそこまでしてくれるの?」

 

「・・・信じなくてもいいよ。僕には前世の記憶があってね、その時は色々あって自分の娘をまともに愛せていなかったダメな親なんだ。それに今の僕と姉さんは両親がいなくてね。怒りがこみ上げるてくるんだよ。こんな”平和”な世界でなんで自らの子に愛を注ぐことが出来ないのか?貧乏だって子供に愛を与えるくらい出来る筈なんだ。こんな事なんて関係なく”友達”は助けたいものだからね。」

 

「ありがとう・・・一夏!」

 

シャルルの顔に涙が流れているのが見えたけどこれは安堵からくる涙だと僕は思いたい。

 

「そ、それとなんだけどね、一夏。上からどいてくれたら、う、うれしいかなぁって思うんだ。」

 

さっきまで頭に血が上って居て忘れてしまっていたけど僕は今女の子を押し倒してしまっているんだよね?

 

「す、すまない!」

 

「だ、大丈夫だよ、一夏。」

 

シャルルの上からどいて自らのベッドに座る。

押し倒してしまったことに後悔して額に手を当てる。

その手に柔らかい感触がふれる。

 

「一夏、手のひらを見せて。」

 

「・・・」

 

あまり見せたくはなかったが、しぶしぶ見せる。

 

「こんなになるまで手を握って・・・手当をするね。(ああ、これからこの手が僕を守ってくれるんだ。)」

 

「ああ、ありがとう。」

 

救急箱を出してきて、素早く手当てをするシャルル。

無言で手当てを終わらせてその包帯のまかれた僕の手をシャルルは自らの頬に当てて

 

「もう自分の体を自分で傷つけたりしないでね。」

 

「わかったよ。」

 

「それとこれからは二人きりの時はシャルロットって呼んでほしいな。」

 

「本名なんだね?」

 

「お母さんがつけてくれたものなんだ。」

 

「良い名前だね。”シャルロット”」

 

「っありがとう、一夏。」

 

問題も解決して一件落着と落ち着いたところで

 

コンコン

「一夏さん、いらっしゃいますか?」

 

新たな問題が降りかかってきた。

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございます。

短い予定と言っておきながら過去最長の長さになりました。
ここの一夏は沸点は高いけど沸点を超えると後先構わず行動して後悔する隠れ激情家?です。

それより前世基切嗣(ZERO時代って言ってもうちの切嗣なので憑依になるのですが)の時のイリヤを愛せてあげれなかった事をさらっとですが入れてみました。

本当は愛してあげたかったけど目的の為に嫌われる選択をして愛せなかった切嗣
愛すこともせず道具にするデュノア氏

デュノア氏は愛人は愛したがその娘はどうでもよく、部下の為にシャルロットを道具にしたひどい人と言う設定で行きます。

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