魔法少女リリカルなのは~魔法使いな蒼い死神~   作:ヤトガミ・レイナ・マリー・エクセリア

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命の理由

 

 

 

 

 

 

「臨時査察?」

「うん、地上部隊でそう言う話があるらしいんよ」

 

 翌日、なのちゃんはシグナムと一緒に聖王教会の病院に昨日保護した少女のお見舞いに出かけている中、ボクとフェイトははやてと話していた

 

「今、シフトとかの変更命令が出れば致命的だよね?」

「そうなんよ……」

「う~ん、いざって時はボクが査察員を魔眼の魅了に駆けて見た物を誤認と記憶の忘却か封印をすれば問題は解決できるだろうけど……ん?どうした?」

 

 ボク自身ができそうな対策を考えているとフェイトとはやてが口を開けていた

 

「ソウ君?魔眼ってなんや?初めて聞いたんよ?」

「眼に魔力を通して発動する魔法の一種だよ。軽くできるのは師匠(マスター)から教わっていてね。記憶の封印と忘却くらいはできるよ……勿論、みんなには使用してないからな?」

「当たり前や!?そんなもん、使われてたら大問題やで!?なんで、黙ってたんや!?」

「あ~なんて言うか、今まで使う機会なんて無かったから言うの忘れてた」

 

 覚えてからもう、5年以上も使ってなかったから忘れてた……

 

「はやて、査察の対策にもなるかもしれないから教えて欲しい、六課設立の本当の理由」

「うん、いい機会やな。これから聖王教会でカリムとあうことになっとる。クロノくんもくる……なのはちゃんが帰ってきたら付いてきてくれへんか?」

「ボクならいつでも」

「うん。私も……なのは帰ってるかな?」

 

 フェイトがそう言いながらパネルを捜査し、モニターを開く。その瞬間、

 

『ウエェェェェェェェェン!!』

「な、何?!?」

『ああ!ほら、泣かないで!泣かないで!』

 

 モニターを開くと泣き声が聞こえ、モニターを覗くとなのちゃんに抱きつきながら大声で泣く金髪の少女と、なんとかその少女を慰めようとしているなのちゃん

その周りで、如何したらいいか分からずオロオロするフォワード陣とユイちゃん

 

「あの……何の騒ぎ?」

『あ、フェイト隊長。実は……』

 

 フェイトがなのちゃんにそう尋ねると、なのちゃんが言いかけた所で、その少女が泣き喚いた

 

『やだぁ!いっちゃやだぁ!!』

 

 とても話せる状況では無いため。とりあえず、3人で現場に向かうことにした

 

 

『(はやてちゃん、フェイトちゃん、ソウ君、えと……助けてぇ)』

 

 ボクたち3人がその場に行くとなのちゃんが念話で少々情けない声で助けを求めてくきた

 

『(ボクは子供の扱いには慣れてないからフェイト、頼んだ)』

『(うん、任せて)』

「エースオブエースでも勝てない相手が居るんやなぁ~、取り敢えずスバル、キャロ。離れて休め」

「「は、はい…」」

 

 なのちゃんの周りで何とかしようとしてオロオロしていたスバルとキャロをはやてが一度下がらせる

その間にフェイトが落ちていたぬいぐるみを拾って少女の目の前にしゃがんだ

 

「こんにちは。この子は、あなたのお友達?」

 

 フェイトは、ニッコリと笑って少女に尋ねる

 

「ヴィヴィオ。こちら、フェイトさん。フェイトさんは、なのはさんの大事なお友達。」

「ヴィヴィオ、如何したの?」

 

 優しくヴィヴィオに問いかける

 

『(とりあえず、病院から連れて帰ってきたんだけど、なんか離れてくれないの)』

『(フフッ、懐かれちゃったのかな?)』

 

 なのちゃんが念話でそう言うと、フェイトが笑顔でそう返す

 

『(それで、フォワード陣に相手してもらおうと思ったんだけど……)』

 

 なのちゃんが念話でそう言いながらフォワード陣のほうに視線を向けると…

 

『((((((すみません……))))))』

 

 全員が申し訳無さそうに謝ってきた

 

『(クスッ、いいよ。 任せて)』

「ねえ、ヴィヴィオは、なのはさんと一緒にいたいの?」

 

 フェイトがそう、応えるとヴィヴィオに尋ねる

 

「……うん」

 

 ヴィヴィオは頷いた

 

「でもなのはさん、大事なご用でお出かけしなきゃいけないのに、ヴィヴィオがわがまま言うから困っちゃってるよ……こんな風に、ほら」

「……ううっ」

 

 フェイトとがそう言うと、フェイトがウサギの人形を操って困った仕草をさせる、その言葉に反応を示すヴィヴィオ

 

「ヴィヴィオは、なのはさんを困らせたいわけじゃないんだよね」

「うん……」

 

 そんな風にヴィヴィオをあやすフェイトを見ていたフォワード陣……

 

『(な、なんかフェイトさん……達人的なオーラが……)』

『(フェイトさんは……年下の家族がいますし……)』

『(使い魔さんも育ててますし……)』

『(ああ!それにあんたらのちっちゃい頃も知ってるわけだしね)』

 

 スバルが念話で呟くと、エリオが呟き、キャロが続き、ティアナが納得する

 

『((ううっ……))』

 

 エリオとキャロは、顔を赤くして俯く、そんな事をしている内に……

 

「だからねヴィヴィオ、いい子で待ってよ?」

「……うん」

 

 フェイトがそう言いながらウサギの人形をヴィヴィオに差し出すとヴィヴィオはその人形を受け取り、頷いた

 

「ありがとね、ヴィヴィオ。ちょっとお出かけしてくるだけだから」

「……うん」

 

 なのちゃんがそう言うと、ヴィヴィオは、涙を浮かべながらも頷いた

 

 

 

 

 

 4人はヘリで聖王教会に向かった

そして、聖王教会の一室に通されると、そこには、金髪の女性と今は提督になっているクロノがいた

 

「失礼いたします。高町 なのは一等空尉であります」

「フェイト・テスタロッサ執務官です」

「ソウ・S・スプリングフィールド一等空尉です」

「いらっしゃい。初めまして。聖王教会、教会騎士団騎士、カリム・グラシアと申します」

 

 ボクたちが敬礼と挨拶すると金髪の女性、カリムさんが自己紹介してくれた

 

「どうぞ、こちらへ」

 

 ボクたちは、クロノが座っている奥のテーブルに通された

 

「「「失礼します」」」

 

 ボクたち三人は一礼して席に座った

 

「クスッ、そんなに硬くならずに、私達は個人的にも友人だから、いつも通りで大丈夫ですよ」

「と、騎士カリムが仰せだ。普段と同じで」

「平気や」

 

 カリムさんはボクたちにそう言うとクロノとはやてがそう続いた

 

「じゃあ、クロノ君久しぶり」

「クロノ、元気だった?」

「久しぶりだ」

 

 ボクたち三人は普段通りに話すことになった 

 

「ああ。3人も元気そうで何よりだ」

「さて、昨日の動きについてのまとめと、改めて、機動六課設立の裏表について。それから、今後の話や」

 

 クロノがそう返すとはやてが話を切り出した

 

 

 

 

 部屋のカーテンが閉められた

そして、クロノが話し出した

 

「六課設立の表向きの理由は、ロストロギア〝レリック〟の対策と、独立性の高い、少数部隊の実験例。知っての通り、六課の後見人は、僕と騎士カリム。それから僕とフェイトの母親で上官、リンディ・ハラオウンだ」

 

 クロノの言葉と共に、モニターが表示されていく

 

「それに加えて、非公式ではあるが、かの三提督も設立を認め、協力の約束をしてくれている」

 

「「えっ?」」

「やっぱりか……」

 

 クロノの言葉に、なのちゃんとフェイトが声を漏らしボクは〝やっぱり〟と思った

 

「ソウは気がついていたみたいだな」

「そうでもないぞ、ただ。はやてやなのちゃん、フェイトやボクのオーバーS、ヴォルケンリッターと、ユイちゃん達ヴァイスリッターのニアSが揃ってるんだ、それなりの権力が動いてないと承認されることはかなり厳しいだろう。それに、騎士カリムの能力も関係しているんだろ?」

「凄いですね……その通りです。私の能力と関係があります」

 

 カリムさんが席を立ち、手のひらに纏められている紙の束を取り出す

 カリムさんは、その紙の束を纏めている紐を解くと、その紙の束がバラバラになり、カリムの周りに浮遊する。

 

「私の能力、〝預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)〟。これは最短で半年、最長で数年先の未来。預言書の作成を行う事ができます。2つの月の魔力が上手く揃わないと発動出来ませんから、ページの作成は、年に一度、数枚程度しか出来ません」

 

 カリムさんが説明してくれていると、その内の2枚がボクたち三人の前に飛んできた

 

「預言の中身も古代ベルカ語で、解釈によって意味が変わることもある難解な文章」

 

 なのちゃんとフェイト、そしてボクもその紙を覗き込むが、全く読めなかった

 

「世界に起こる事件をランダムに書き出すだけで、解釈ミスも含めれば、的中率や実用性は、割とよく当たる占い程度。つまりは、あまり便利な能力ではないんですが……」

 

 カリムさんは苦笑しつつそう言った

 

「聖王教会は勿論、次元航行部隊のトップもこの預言には目を通す。信用するかどうかは別にして、有識者による予想情報の一つとしてな」

「因みに、地上部隊はこの預言がお嫌いや。実質のトップが、この手のレアスキルとかが嫌いやからな」

 

 クロノとはやてがそう言った

 

「レジアス・ゲイズ中将……だね」

 

 なのちゃんが確認するように呟いた

 

「そんな騎士カリムの預言能力に、数年前から少しずつある事件が書き出されている」

 

 クロノがそう言って、カリムさんに目配せすると、カリムさんは2枚の預言書を取りだした

 

「旧い結晶と無限の欲望が交わる地

死せる王の下、聖地より彼の翼が蘇る

死者達は踊り、中つ大地の法の塔は虚しく焼け落ち

それを先駆けに数多の海を守る法の船は砕け落ちる」

 

「「「ッ!?」」」

 

 カリムさんの言葉を聞いて、ボクとなのちゃん、フェイトは驚愕してしまう

 

「それって……」

「まさか……」

「ロストロギアを切っ掛けに始まる、管理局地上本部の壊滅と、そして、管理局システムの崩壊」

 

 その言葉に驚愕するなのちゃんとフェイト、ボクは冷静を装うが大分驚いていた

 

「ショックを受けている所悪いが、預言はもう一つあってな」

 

 

 クロノとはやてがそう言って、カリムさんに目配せするとカリムさんは、もう1枚の預言書を読み出した

 

「青と紫の妖精は彼の翼に導かれ

妖精達は踊り続け、光と共に眠りに落ち

青の妖精、世界を渡り不協和音が交じり合い

聖剣と歩み寄る」

 

「ツ!?」

 

 ボクは二つ目の預言に驚愕した

 

「ソウ君、どないしたん?」

「もしかして、二つ目の預言に思い当たる節が?」

 

 はやてとカリムさんがそう聞いてきた……隠しても仕方ないよな……

 

「無いと言えば嘘になるな。〝彼の翼〟、〝不協和音〟、〝聖剣と歩み寄る〟はわからないが、〝妖精達は踊り続け〟は妖精の踊り(フェアリー・ダンス)、〝世界を渡り〟は輪廻に帰らずに世界を渡り歩く、そして〝青と紫の妖精〟の〝青の妖精〟はボク、〝紫の妖精〟は……ゆうちゃん……俺の前世の思い人、紺野木綿季。そして、〝光と共に眠りに落ち〟これは……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってことだ…」

 

 ボクがそう言うとなのちゃんとはやて、フェイトとクロノはボクが〝死ぬ〟と言うことに驚愕しカリムさんはまた、別の所に困惑していた

 

「前世?輪廻を……?」

「そうだった、カリムにはソウの過去を話していなかった」

「ソウ君個人の話やったから忘れてた……ソウ君、カリムも居ることやし()()以外のことを話してもらってもええか?」

「まあ、仕方ないな」

 

 はやての〝アレ〟は暗殺者の話だろうなと思いつつ、ボクの一通りの過去を話した

 

「ソウさんが……そんなこと…」

 

 カリムさんはボクの話しに大分困惑していたが、仕方が無いことだった

 

 

続く


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