魔法少女リリカルなのは~魔法使いな蒼い死神~   作:ヤトガミ・レイナ・マリー・エクセリア

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束の間の休み 前編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『これを見ているってことは、イリヤ似の女の子……クロエがサファイアを壊さなかったことになると思う』

 

 美遊とヴィヴィオが連れ去らた数日後、六課の隊舎の片付けやユイちゃんのメンタルケアなど、多忙な数日間を過ごしていた

特にユイちゃんのメンタルケアが困った

 

 

 

 

 

 

襲撃の翌日

 

 

「ユイちゃん」

「……にぃにぃ」

 

 聖王教会が運営している病院の一室の扉を開くと、黒ドレスで所々に包帯を巻いているユイちゃんがベッドに座っていた

 

「起き上がっても大丈夫なのか?」

「はい……私には自動治癒にヒーリングスキルもあります…身体には何も問題はないです」

 

 身体には……精神面は問題あるんだな…と、なると原因は恐らく…

 

「ねぇねぇを……止められませんでした」

 

 やっぱり、ゆうちゃんのことなんだな

 

「にぃにぃのためには……ねぇねぇを止めることが絶対条件でした…なのに、私は……私は、ねぇねぇを止めることが出来ませんでした…止めるどころかヴィヴィオも連れて行かれて……私は何も……」

「ユイちゃん……」

 

 いつも冷静で必要なときには必ず役になって、甘えん坊で心優しいユイちゃんが、悔しそうに……自分の責任を強く重たく感じている…… 

 

「ユイちゃん……ユイの所為じゃ無い。ユイは頑張ったじゃないか…俺のためにってずっと……ユイの所為じゃ無い。確かにゆうちゃんを止められなくてヴィヴィオが連れて行かれてしまったけど、それは相手がボク達よりも凄かっただけのことなんだよ。ユイは自分で出来ることをしっかり出来たじゃないか。ユイのおかげで怪我人は少なかったんだ。皆を護りながら戦うことはボクには到底出来ないことでユイだから出来たことなんだよ」

「…にぃにぃ」

 

 ボクはそっと、ユイちゃんを抱きしめる

 

「だからさ、ユイはそんな暗い顔してないで笑ってて欲しい。ユイが暗いままだと、彼奴らに顔向けできないから……」

 

 ボク……いや、俺の言う〝彼奴ら〟…ユイちゃんにとっての親の2人で、俺に取ってはかけがえのない仲間の2人……キリトにアスナ。

2人に俺はユイちゃんを託された……だからこそ、ユイちゃんを管理局……もっと言えば戦闘に出て欲しくなかった…勿論、ユイちゃんにはそのことを話してあるが、ユイちゃんはそれでもと言って管理局の嘱託魔導師として活動している

 

「…心配をお掛けしました、にぃにぃ」

 

 ユイちゃんは静にそう言い、普段の白ワンピースの姿に戻る

 

「メンタルヘルスカウンセリングプログラムとして生み出された私がメンタルカウンセリングを受けることになることになりましたね……ごめんなさい、にぃにぃ」

「その、ごめんはなに?」

「えっと、その……にぃにぃの方が精神ダメージがあるのに……」

「心配ありがとう、ユイちゃん。でも、ボクは大丈夫だよ。これでも、長く生きてきたからね。そうだ、ユイちゃんに……うんん、元SAO(ソードアート・オンライン)MH(メンタルヘルス)CP(カウンセリングプログラム)001(試作1号)ユイにお願いしたいことがあるんだ……機動六課メンバーのメンタルケアをお願いしたい」

「みなさんの……ですか?」

 

 ユイちゃんは不思議そうな顔をしていた

 

「ああ、シャーリーやヴァイス達は六課を護れなかったことに酷く落ち込んでいる。なのちゃんはヴィヴィオが連れて行かれて落ち込んでるしはやてとフェイトも含めてボクの預言が当たることになったことで気を使っている……預言のことはボクがどうにかしないとだけど、メンタルケアはユイちゃんが適任だろ?」

「そうですが……うまく出来るでしょうか?」

「大丈夫さ、ユイちゃんは茅場晶彦が生み、キリトとアスナが育てた最強の人の心が理解できる子だ。それに、長年女王として頑張ってきたんだろ?ユイちゃんなら大丈夫だよ」

 

 メンタルケアはボクなんかよりもユイちゃんの方が適任だ……あの茅場晶彦が元SAO(ソードアート・オンライン)MH(メンタルヘルス)CP(カウンセリングプログラム)001(試作1号)として生み、〝黒の剣士〟キリトと〝閃光〟アスナが育て、何百年も女王として生きてきたユイちゃんだからこそ頼める

 

「分かりました、頑張ります!」

 

 ボクはユイちゃんの頭を軽く撫でた

 

「ありがとうユイちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、冒頭に戻り、六課の皆のメンタルケアはユイちゃんに任せて本局のデバイスルームに居た

 

 

『これを見てくれているってことは、イリヤ似の女の子……クロエがサファイアを壊さなかったことになると思う』

 

 そう、美遊を連れ去ったイリヤ似の女の子……ギンガと映像の美遊の話ではクロエは何故かサファイアをその場に置いてあったのだ

 

『ごめん、お兄ちゃん、イリヤ。勝手な行動をして。でも、クロエの目を見て……クロエを助けてあげたかった。お兄ちゃんが優しくしてくれて、居場所をくれたようにクロエにも居場所をあげたかった…』

『だから、私はイリヤとお兄ちゃんと戦うことになってもクロエと一緒に行くことにした……イリヤ、戦うことになったら全力で私とクロエを倒して……』

 

 美遊がそう言うと映像が途切れてしまった

 

「美遊の気持ちは分かった……だからこそ、ボクはこれを直さないといけないな」

《姉さんは治るのでしょうか?》

 

 映像を見終えたボクは装置の中に入っているひび割れた〝ルビー〟を直すことを決意すると今まで喋ってこなかった〝ルビー〟の姉妹デバイスの〝サファイア〟が聞いてきた

 

「美遊やイリヤのためにも必ず直すさ」

 

 ボクは〝サファイア〟にそう言ってから作業に乗り出した

 

 

 

続く


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