Fate/GhostOrder   作:葵・Rain

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竜の魔女とその腹心/オルレアン攻略戦 パート7

 オルレアン城から無数の触手が溢れ出ている。その触手は敵、味方も巻き込むものだった。カルデアのマスターたちは逃れるために離れた。城の方からクリスタルの馬車がカルデアのマスターたちの方へ向かってきた。その中からライカたちと向かっていた一夏、そして消滅したと思われたマリーが出て来た。

 

「マリー生きていたのかい!?」

「ええ、心配かけちゃたわねアマデウス。彼に助けられたの」

 

 マリーが指す方には一夏がいた。一夏は無視するように城の方を見ていた。城を壊しながら現れたのは大小様々な触手がある食虫植物のような怪物。その上に一人の男が狂ったように笑い立っていた。

 

「ジャンヌ、ジャンヌ、どこですか?ジャンヌ、ジャンヌ、ジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌジャンヌゥゥゥゥゥゥ!!」

 

 ジャンヌの名を言うその男はジル・ド・レェ。竜の魔女側にいた男が大きく開かれた右目でこちらを睨みつけてきた。

 

「そこにいるのですね、ジャンヌゥゥゥゥ!!」

 

 触手をこちらに向かわせて襲い掛かってきた。全員を守るようにマシュとジャンヌが出て来た。

 

「マスター、宝具展開します!」

「我が旗よ、我が同胞を守りたまえ!我が神はここにあり(リュミノジテ・エテルネッル)!」

 

 ジャンヌが旗振るいながら地面に刺し、マシュが盾を地面に刺した。

 触手の濁流としかいいようがない攻撃が襲い掛かってきた。時間的には一分。だが、それでも何時間たったと錯覚した。触手は元の場所に戻り、宝具を閉じた。

 

「どうしてこうなったんだ」

 

 誰が言ったのかはわからないが、話は城潜入にまで遡る。

 

 オルレアン城最深部に到達したライカたち。そこで待ち受けていたのは堕ちた聖女、竜の魔女ジャンヌ・ダルク・オルタだった。オルタは炎を放ちながら悠然とこちらに向かってきた。

 

「あら、遅かったわね。外ではお仲間さんたちが奮闘しているけど、それは時間の問題。こちらには強化したファフニールがいるのですよ」

「もう一人の私」

 

 前にジャンヌが出て来た。

 

「私はあなたに聞きたいことがあります。昔の記憶はありますか?」

「どういうことよ?」

「厳密に言えば、家族との記憶。私が駆け回った裏山の記憶、私が遊んだ村の記憶、私を愛し誇れる家族との記憶がありますか?」

 

 オルタは口を閉ざした。何もなかったかのように、八つ当たりのようにジャンヌへ炎を放つ。ジャンヌは手に持つ旗で炎を払いのける。

 

「そんなもの当に捨てたわ!」

「なら言えますよね。私の父を、母を」

「くっ!?」

 

 歯を食いしばり、旗で殴りに来た。それを落ち着いて旗で払いのけ、ジャンヌは抱き寄せた。

 

「やはり、無いのですね。あの温もりを」

「黙れ!そんなのがなくたったて私は私だ!ジャンヌ・ダルクだ!」

「ええ、そうですね。だから、私は憐れみを持ちあなたを倒します」

 

 一歩距離を置き、炎を出しながら戦闘に入ろうとするオルタ。ジャンヌは旗でオルタを迎え撃つ準備をした。それに参戦しようとライカたちが行こうとしたが、黒い触手に邪魔をされた。

 

「あなたたちの相手はこの私ですよ!」

 

 中腰で杖を持った男、ジル・ド・レェが行く手を阻んだ。

 

「クー・フーリンいくよ!」

「ああ」

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

「変身!」

『カイガン!オレ!レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!』

 

 ライカはゴーストドライバーを出してオレ魂をセットし、仮面ライダーゴーストに変身した。ガンガンセイバーとゲイ・ボルグを持ち構えた。

 先に仕掛けたのはクー・フーリン。ランサーの中でも最速と名高いサーヴァント。槍から繰り出される一撃でジル・ド・レェの心臓へ一突きした。傍から見れば決まったはず。だが、刺さる寸前に触手で防いでいた。

 クー・フーリンは一旦下がり、前に出たライカはガンガンセイバーを横一線に振るう。その攻撃を触手で防ぐジル・ド・レェ。ガンガンセイバーの鍔のところとゴーストドライバーの目玉模様のところを合わせた。

 

『ダイカイガン!ガンガンミナー!ガンガンミナー!オメガブレイク!』

 

 青いエネルギーを纏ったガンガンセイバーで触手ごと斬り落とそうとしたが後退されてしまった。ジル・ド・レェは無数の触手と魔力弾で攻撃してきた。ゲイ・ボルグとガンガンセイバーで迎撃した。数を増やしながらさらに攻めてくる。徐々に攻撃が当たりはじめ、対処ができなくなってしまった。とうとう、魔力弾を弾いたと同時に触手による攻撃でライカが飛ばされてしまった。

 クー・フーリンは助けに向かおうとしたが、あまりにも増えた触手により助けに行くことが困難になった。倒れているライカへ止めを刺そうと触手が襲い掛かってきた。

 その時、赤いエネルギーが触手を消し去った。

 

「立てるか仮面ライダー?」

 

 ライカは顔を上げると手を伸ばす一夏がそこにいた。

 

「大丈夫です」

「そうか。なら、俺が対処する。そこにいる兄さんとお前とであそこにいる気持ち悪いのを倒せ」

 

 一夏はこちらに向かっている触手へ剣を振り落とした。先ほどとは違う赤黒いエネルギーが触手を一掃した。ジル・ド・レェは今来た一夏を倒そうと触手を多く召喚した。

 一夏は冷静に危ないものは防ぎ、ほとんどは触手を斬り落としていた。盾に剣を仕舞うと、カチッと音が聞こえた。その状態で居合いのように周りを回転しながら囲んでいる触手を斬りつけた。そこからまた盾に剣を仕舞い、斧の形状に合体した武器になった。向かってくる触手を斧で斬りつけた。長い柄にあまりにも重い武器にも関わらず、軽快な動きで斬り落としていく。時折くる魔力弾を口元のナイフで防いでいく。

 

「決めるぜ!突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ)!」

『ダイカイガン!オレオメガドライブ!』

「はあぁぁぁ」

 

 クー・フーリンが投げたゲイ・ボルグが触手の間を通り抜けていく。それに気づいたジル・ド・レェは迎撃しようとしたが、一足遅かった。惜しくも片腕しか取れなかったが、持っている異本を破壊することができた。それによりあたりにあった触手は消えた。

 

「やあぁぁぁ!」

 

 ライカの必殺キックがジル・ド・レェを捕らえた。放たれた一撃はジル・ド・レェを吹っ飛ばし、壁に当たった。ジル・ド・レェの体から光の粒子が天に向かって溢れていた。

 そして、ジャンヌのほうも終わっていた。

 膝を着くオルタにジャンヌは優しい目で見ていた。そこへ一夏近づいてきた。

 

「おい、お前なんてもの呼び出したんだ?」

「あんたは、あの時の」

「質問に答えろ。一歩間違えればここは死の土地になっていたぞ」

 

 口調を強くして、オルタに問いただしていた。それに対して、オルタはこう答えた。

 

「聞いていなかったかしら?私はこの国、フランスを滅ぼすと」

「そういうことを聞いてんじゃねぇ。なぜ、無責任なことをした。あれはな、決して人間の手で創り、解き放ってはいけない化け物。俺はな、人間とかはどうでもいい。だが、一番許せないのは自然を壊そうとしていることだ」

「なら、いいじゃないかしら。あなただって人はどうでもいいんでしょう?やってもいいじゃない」

「だから、やり方を変えろと言うことだ。お前が滅ぼそうとするのは勝手だ。だが、自然を壊すことは絶対にゆるさない。俺から以上だ」

 

 オルタにそう言うと、一夏はその場を離れて行った。近くにジャンヌがよりオルタに話し始めた。

 

「あなたは自分でも理解しているでしょう。自分が創られたと、ですがあなたはあなたとしてのジャンヌ・ダルクの生き様を許したくない。私はただ祖国フランスのために、信託と多くの仲間たちと共に戦場を駆け巡りました。そして、裏切られ、魔女として殺された。それに対して、怨みや怒りがないとは言えない。ですけど、私は早く戦争が終わり、平和に暮らせるために。私はフランスを愛しています。そして、あなたも」

 

 ジャンヌはオルタに近づき抱き寄せた。

 

「ありがとう。生まれてきてくれて、私のことを思ってくれて、愛しています」

 

 それは感謝の言葉。ジャンヌは生まれはどうであれ、自分(ジャンヌ・ダルク)を、フランスのために、怒ったもう一人の自分に対してお礼をした。

 オルタは、わけもわからなかった。だが、それでも一言だけ言われてうれしかった感謝の言葉。

 そして、体から粒子が溢れ出て来た。

 

「あーあ、馬鹿馬鹿しい。私にお礼とかバッカじゃないの?けど……ありがとう。機会あればまた。まあ、あなたとはこれぽっち会いたくはないわ」

 

 皮肉じみた言葉を言い消滅した。オルタから出て来た聖杯を回収しようと近づいた。その時、地面から触手が現れ聖杯を奪っていった。

 

「渡しません、渡しませんよぉぉぉぉ!」

「ジル……」

 

 まだ、消滅していなかったジル・ド・レェ。彼は聖杯を自分の体に差し込んだ。そして、願いを言った。

 

「聖杯よ、私に力をぉぉぉ!」

 

 ジル・ド・レェの体が黒い光で輝き、そこに立っていたのは片腕を触手に変わり、その細い体とは裏腹の大きな腕に剣を持っている顔半分が黒くただれギョロメのジル・ド・レェが立っていた。

 剣を振り落とし、衝撃波がこちらに向かってきた。それを一夏は相殺するように同じく衝撃波を放った。衝撃波同士がぶつかり、砂煙が舞った。

 

「逃げるぞ!」

 

 クー・フーリンの声と共に部屋を出て、退避した。すると部屋は触手で詰まり、狂った高笑いをしながらこちらに向かってきた。そこへ一台のクリスタルの馬車が行く手を阻んだ。

 

「乗って頂戴!」

「マリー!?どうして!?」

「話は後よ、さあ早く!」

 

 言われるがまま、馬車に乗ったライカたち。馬車のスピードに勝てるはずもないなのに諦めが悪い触手はそれでも追ってきた。そして、冒頭に戻る。

 

「これを止めるには、みんな力を貸して!」

 

 立香はそう言うと、ああ!と全員が答えた。

 戦いはクライマックスを迎えようとしていた。


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