「オォオオオ!ジャンヌよ見ていてください!貴方を裏切ったこの国の最後を!」
再び無数の触手がライカたちに向かってきた。マシュとジャンヌはすぐに宝具を展開しようとした時、ジークフリートが前に出た。両手に持つバルムンクに青い光が溜まりだしていた。
「ここは俺が食い止める。それ宝具発動までなら稼げるはすだ」
「……ジークフリート」
一人で触手を受け止めようとしているジークフリート。無茶なことだとわかっているが、ジークフリート本人はここで食い止めれば撤退にもつながると考えていた。
「なら、私も行おう」
その隣にエミヤが現れた。
「あなたほどの英雄の隣に立つのは役不足かもしれないが、加勢をしてもよろしいか?」
「いいのか?」
「問題はない。I am the bone my sword」
手には一本のロングソードが握られていた。装飾はなく金と青のシンプルな色のごく普通の剣。しかし、バルムンクには及ばないがそれでも神秘的なオーラを感じてしまうほど。
「邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る!」
「
詠唱するごとに青い光が炎のようにバルムンクを変化させる。。
神々しい光がロングソードに収束する。
無数の触手が襲いかかる寸前、両者が袈裟がけで解放した。
「バルムンクゥゥゥゥゥ!」
「
蒼炎と黄金の光が無数の触手を拮抗するまでもなく飲み込んでいった。バルムンクだけでは防げなかった攻撃はエミヤが加わっただけで一変した。
宝具の放出が終わるとそこだけ一帯が焼けただれていた。しかし、その中心にジル・ド・レェはいた。本体は無傷だが、先程までの触手はなく攻撃のチャンスがあった。
「キィイィィィイ!?忌ま忌ましい!その炎が、その光が、忌マ忌ましいィィィ!?」
金切声で叫ぶジル・ド・レェは何も唱えずにサーヴァントのなり損ないのシャドウサーヴァントを十体召喚した。命令を待たずにシャドウサーヴァントたちは襲いかかってきた。
当然、ライカたちのサーヴァントもうって掛かった。
「私はジルの方へ行きます!」
「自分も行こう」
「俺もだ」
ジル・ド・レェの方へジャンヌとライカ、一夏たち三人が向かった。
一夏が斧剣一体の武器でこちらに向かっているジル・ド・レェへ横凪ぎに振るう寸前、盾の状態にした。ガキィンっと金属同士がぶつかり合う音と火花が見えた。
『速い!?』
ジル・ド・レェの体が先程より早くなったことを一夏は理解した。それがわかったことで一変するのかといえばそうではないとは言いきれない。だが、こちらには二人いることを、三対一で戦っているのだと。
「ハッ!」
ジャンヌが旗で突きを繰り出した。それを触手に変わった左手で防ぐと、反対から二刀流モードのガンガンセイバーで振るうゴーストがいた。
「ヤッ!」
「ふん!」
その攻撃さえも召喚した新たな触手で防いだ。三対一で防ぎきるとは、騎士としての腕は一流。だが、ここは戦場。そんなことは百も承知。なら、どうするのかはわからない三人ではなかった。
コロコロっと、ジル・ド・レェの足元に玉が転がってきた。そんなものは気にしないとばかり蹴ったのだ。それが一瞬の隙を作るチャンス。
蹴った玉は辺り一面を眩しく光らせた。それは閃光玉と呼ばれるアイテムでモンスターから一時的に視界失わせることができる。
当然、いきなりのことだったので対応することができずにいるジル・ド・レェ。
『カイガン!クー・フーリン!朱き名槍!穿つ魔槍!』
青紫色のパーカーゴーストを来たゴーストクー・フーリン魂はガンガンセイバーをナギナタモードに変えてがら空きの胴へ一突き。さらにもう一突きと、的確に心臓と頭を狙った。だが、それでも倒れていない。ゴーストはガンガンセイバーでジル・ド・レェを持ち上げて空へ投げ飛ばした。
「うりゃああああ!」
「ぐおぉぉぉ!?」
投げ飛ばされたジル・ド・レェは視界が回復すると共に己が空にいるということを理解した。
その上に誰かがいることを感じた。振り向くとそこにいるのは斧剣モードにした一夏。赤いスパークが迸っている斧剣は赤いエネルギー状の大剣へと姿を変えた。
「これで!」
「お仕舞いにする!」
地上ではゴーストがゴーストドライバーのハンドルを押し込んだ。
『ダイカイガン!クー・フーリンオメガドライブ!』
ナギナタモードに変えたガンガンセイバーを槍投げのように構えていた。紅のオーラがガンガンセイバーに集まっていく。
斧剣を振り下ろすと同時にガンガンセイバーを投げた。
回避不可能とわかったジル・ド・レェは先程のように全身を触手で覆い防ぐことにした。攻撃をされる前に覆い防ぐことができた。勝った!!とその場では思っていた。しかし、一夏は振り落としていた。防がれるのを承知で。ガンっ!!と大きな音が響いた。そのまま防げばと思っていたところ、小さいながら響く音が聞こえてきた。段々とその音はジル・ド・レェの方へ近づいてきていた。
次の瞬間、ジル・ド・レェの覆っていた触手がすべて無惨にも破られた。それと同時に落下速度がさっきよりも早く落ちていることに気付いた。そして、忘れていた。こちらに来る攻撃がもうひとつあるということを。
ゴーストのオメガドライブで投げたガンガンセイバーがジル・ド・レェの体を貫いた。
「ギィエエエエエエ!?」
「ほーら、おまけだ!」
貫いたガンガンセイバーを素手でキャッチし、回転して勢いよく投げ返した。二度目の貫通がジル・ド・レェを貫いた。
地面に縫われたジル・ド・レェは姿を戻しながら、金色の粒子が溢れていた。
そこへ近づくジャンヌ。
「……ジル」
「ジャンヌよ、私は間違っていたのですか?私は恨んではいけなかったのですか?あなたを見捨てたこの国を」
「違いますよ。あなたは私を思っていたのは間違いありません。ですが、やり方がダメでした。それに私は……恨んではいませんよ」
「おお、あなたは優しい。ジャンヌ、私は先にいきます。もう会えないと思いますが、また会いましょう」
「あなたに神の導きがあらんことを」
満足そうな顔でジル・ド・レェは消えていった。黒く濁った聖杯を落として。