大晦日。

青年とエルエルの話です。

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初めての短編です。
少し雑ですが、暖かい目で見てください。

少し遅れました。


INNOCENCE・NOVICEANGEL

青蘭島。

そこは、不思議な力、【エクシード】を持つ少女たちと、【αドライバー】と呼ばれる少年たちが住まう島。

彼女たちは青蘭学園に通いながらエクシードの練習、勉学に励み、世界の敵である【ウロボロス】を倒すために日々頑張りながらも日常を楽しんでいる。

そして、ここに一人、青蘭島の街を歩く少女がいた。

 

「ハァ……、ハァ……、ハァ……」

 

薄い桃色の髪をツインテールに纏め、さらに左右から羽のように髪が出ている。オレンジ色の瞳。金のラインが入った赤の服を着用しており、ちょうどお尻の位置から羽が生えている。

彼女の名前はエルエル。

空に浮かぶ赤、黒、白、緑の四つの光、【(ハイロゥ)】の一つ、赤い門から繋がっている世界、【テラ・ルビリ・アウロラ】に存在する天使の一人だ。

エルエルの手には様々な物が入っている袋が持たれている。

それは当然なのかもしれない。何せ今日は12月31日。大晦日だ。

彼女はその買い出しだろう。

今は冬休みで普通の学園は閉まっているが、青蘭学園はプログレスが特訓したり補修などで登校したりと、様々な理由がある為冬休みでも開いている。今回は生徒会が忘年会を開くと言うことで、その準備をしている。

エルエルは飾り付けをしていたのだが、終わると暇になったから他に仕事は無いかと聞いた矢先に、色んな物が足りないと来て、彼女が買い出しをすることになった。

 

「はぁ〜、疲れたー。まさかこんなに無い物があるなんて……」

 

足を止めてため息をつく。確かに、袋の中身はテープやら紙やらと入っているが、数が多くて二つの袋が風船のように膨らんでいる。

見るからに重そうだ。

 

「はぁ、こんな時誰か来てくれないかな〜。なんてあるわけ」

 

「エルエル?」

 

「嘘ぉ!?」

 

冗談で言った言葉がまさか本当になるとは思っていなかった為、エルエルは驚きの声を上げる。顔を上げると、そこには一人の青年が立っていた。

 

「イツキくん?どうしてここに?」

 

「いや、飾り付けが終わって暇だったからどうしようかと思っていたら、エルエルの姿が見えなくて。それで、話を聞いたら一人で買い出しに行ってるって聞いて、来たわけ」

 

もちろん、生徒会長には許可を得ている。

イツキと呼ばれた青年はそう言うとエルエルの手に握られている荷物を一つ持つ。

 

「一つは俺が持つから。これで少しは楽だろ?」

 

「そんな、いいよ!私がやりたくてやってることだし、イツキくんが無理して持たなくても」

 

「女の子に荷物持たせて何もしない自分が嫌なだけだ」

 

ただの偽善だ。そう言ってイツキは背中を向けて歩き出す。

その背中をエルエルは「待ってよー!」と言いながら追いかける。

 

「イツキくんさ、最初に出会った時も、そう言ってたよね?」

 

「本当のことだろ」

 

イツキがそう言うと、エルエルは顔をムッとしかめる。

 

「そんなこと無いよ!イツキくんは優しいよ!」

 

「そんな事……っと」

 

否定しようとした瞬間、イツキのポケットから音楽が流れてくる。ポケットに手を入れて取り出したのは、一つのスマホだった。

 

「もしもし」

 

どうやら、誰かからの電話のようだ。

そのまましばらく電話の声と話し合い––––と言っても、彼は「はい」や「いえ、大丈夫です」などの返事しか言ってないが––––会話が終わると通話を切って再びスマホをポケットに入れる。

 

「誰から?」

 

エルエルが聞いた。

 

「生徒会長から。食材の買い出しだ」

 

直後、ピロリンと音が鳴り、再びスマホを取り出す。すると、イツキは顔をしかめる。

 

「どうしたの?」

 

「買うものが多すぎるんだよ。荷物増えるから、頑張れよ」

 

「えっ!?私も持つの!?」

 

「当然だろ。最初に言ったけど、物が多いんだよ。他の奴に頼もうにも、どいつもこいつも手が開いてないらしい」

 

「………マジで?」

 

「マジで」

 

結果、彼女に拒否権は無かった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

夜、学園の体育館に大勢の生徒が集まっていた。

ステージには学園の制服を着たツインテールの少女、生徒会長の日向美海がマイクを持って喋っている。

誰もが盛り上がる中、イツキは一人、外にいた。

 

「……………雪、降るんだな」

 

青蘭島に降る雪を、彼は珍しそうに眺めている。

そんな時、

 

「イツキくん」

 

後ろから声を掛けられた。

振り返って見てみると、そこにはエルエルが両手を後ろで組みながら立っていた。

 

「お前か、何の用だ?」

 

「別に。ただ、お礼を言おうと思って」

 

「お礼?いらないって言ってるだろ。しつこいな」

 

「良いじゃん。私は言いたいの」

 

「はあ……、勝手にしろ」

 

そう呟き、指をパチンと鳴らす。

 

「––––––––––––––––––––やっぱり、優しいね」

 

「あ?」

 

訳が分からない。

彼はそう思い、つい反応してしまった。

 

「やっぱり君は優しいよ。君は偽善だって言ってるけど、私は違うと思う」

 

「………なんでそう思う?」

 

「だってさ、偽善だって言うなら、どうして私に“嘘をついたの”?」

 

「っ!」

 

エルエルの言葉に、イツキは目を見開いた。

 

「………どうして、それを?」

 

「あの後、美海ちゃんから聞いたんだ。イツキくんを手伝ってくれてありがとうって。気になって聞いたら、イツキくん、私が一人で買い出しに行ってることを知った時、かなり慌ててたって」

 

「……あの生徒会長………」

 

イツキは頭をガシガシと掻く。

 

「それでも、イツキくんは自分を偽善者って言うの?」

 

「………………………………」

 

「………………………………」

 

二人の間に、長い沈黙が流れる。

時間からして、およそ数分だろう。しかし、その数分は二人には数時間という、とても長く感じられた。

 

「……………俺は」

 

そして、イツキは口を開いた。

 

「俺は、何があっても、己を偽善者だと言い続ける。例え、他の皆がお前みたいに違うと言っても」

 

イツキは、はっきりと、キッパリと断言した。

 

「…………………………………」

 

「…………………………………」

 

再び沈黙が訪れる。

エルエルは、「そうか」と言って目を閉じた。

 

「やっぱり君は、“優しいけど、優しくないね”」

 

「…………昔っからだ」

 

「…………………………戻ろっか」

 

「そうだな……」

 

その言葉を最後に、二人はそれ以降会話をせず体育館に戻った。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「…………なんでこんな事に………」

 

イツキはそう呟きながら、腕にしがみついて“寝ているエルエル”を見た。

あの後、誰かが持ち込んだ酒を飲んだ生徒会長たちが暴走。その一部が他の生徒に酒を飲ませ、戻ったエルエルにも襲いかかって酒を飲ませ、撃沈した。

他の生徒も寝ている者もいれば片付けをしている生徒もいる。

 

「………はあ」

 

離そうにも中々離れないエルエルにイツキはため息をついた。

 

「…………いつ、き……くん」

 

突然名前を呼ばれ、イツキは驚いたエルエルを見る。しかし、彼女は寝ている。どうやら寝言のようだ。

 

「………来年も………一緒、に……いようね………」

 

 

 

 

あけましておめでとう。

 

 

 

 

 

その言葉にイツキは時間を確認するが、時刻はまだ23時59分だった。

 

「………残念、少し早かったな」

 

そう呟き、イツキは寝っ転がって目を瞑る。

すると、すぐに眠気が彼に襲いかかる。

 

 

 

 

 

これからも、よろしくな。

 

 

 

 

 

その言葉を最後に、イツキは意識を闇に落とした。




この短編のタイトルの「INNOCENCE」は日本語で「天真爛漫」。「NOVICE」は「新米」という意味です。
天真爛漫はエルエルの性格から、新米はゲームアプリでのエルエルで、HNのエルエルが「新米天使」とあったから、このタイトルにしました。

……もっと文章力上げないとなぁ。
少し遅れました。訳があっておめでとうは言えませんが、今年もヴァイオリンボンバーをよろしくお願いします。

今年の抱負は「書き続ける」です。

絶対途中で消しませんよ。

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