意見の食い違いから仲違いした、ぐだ子とダヴィンチちゃん

「こうなったら、正々堂々勝負だ!」
「望むところだ!」

二人は3対3のサーヴァント同士の決闘をはじめ、勝負を決めることとなった

果たして、勝利の女神はどちらに微笑むのか……!

そして、喧嘩の理由とは……!

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年末年始だし、何かしたいなー

なんて軽い考えから書き始めたら、予想外に楽しかったのでこんなことに

ぐだ子のキャラはもう跡形もありませんよね

少しでも笑えれば、作者はそれで幸せです

ごゆっくりどうぞ

※この小説は作者が連載している『もしもセイバーのマスターがソードアートオンラインに異世界転移したら?』のアフターストーリーです。そちらを読んでいなくても充分理解は可能だと思います


年末年始特別企画 ぐだ子とダヴィンチちゃんの聖杯戦争

「いーや!絶対に、ダヴィンチちゃんが間違ってる!」

「いーや、古い概念を捨て去ってこそ、新しい変化があるものさ」

「魔術師のセリフじゃないでしょぉ!?」

 

ある二人の言い争いが、そろそろ一時間にもなるほどの間、カルデアに木霊していた。

 

一人はカルデア唯一のマスターこと『詩島 ライカ』。

 

もう一人はカルデアの頭脳こと『レオナルド・ダ・ヴィンチ』。

 

二人はあることについて、先程から議論もとい口喧嘩を続けていた。

 

マシュとアルトリアもいつも通りライカのそばにいるが、彼女達はどうせライカの言う通りにするので、傍観に徹していた。

 

「もー!怒った!こうなったら、正々堂々勝負だ!」

「望むところだよ、ライカ!」

 

しびれを切らしたライカが、ダヴィンチを指差して叫ぶと、ダヴィンチは即座に承諾。

 

かくして、二人の聖杯戦争が始まるのだった……。

 

──── カルデア訓練室 ────

 

カルデア訓練室。

 

そこはサーヴァントの訓練にすら耐えうる、カルデア最強の施設の一つ。

 

日頃様々なサーヴァント達が、思い思いに訓練するその場は、今だけは訓練ではない本物の戦場と化していた。

 

「ルールは簡単、先に相手のサーヴァント三騎を倒した方が勝ち!」

「うん、単純でいいじゃないか。さーて、盛大に行こうか!」

「泣いて謝っても遅いんだからね!」

 

ルールを確認し、ライカは右手を突き出してサーヴァントを呼び出す。

 

「頼むよ、みんな!サーヴァント『アルトリア・ペンドラゴン』!『マシュ・キリエライト』!」

「「はい!」」

 

ギャラリーの想像通り、ライカの最も信頼するサーヴァントである二人が呼び出され、ライカの前に躍り出る。

 

だが次の瞬間、ギャラリーどころか、対戦相手のダヴィンチも、モニターで観戦していたロマンさえも凍りつく、驚くべきことが起こった。

 

「任せたよ!『ギルガメッシュ』!!」

 

直後、眩いばかりの黄金の閃光が、訓練室を染め上げる。

 

思わず全員が目を細める中、渦中に立つのは最強のサーヴァントの一人。

 

逆立った光り輝く金髪に、爛々と輝く真紅の瞳。

 

髪と同じく、黄金に染められた甲冑を纏い、悠々と歩みを進めるのは……。

 

「……ふん、仕方ない。他ならぬライカの頼みだ。力を貸してやろう」

 

最古にして最強の英雄王『ギルガメッシュ』その人だった。

 

「「「「マスター(ライカ)が、男のサーヴァントを呼んだ!!!?」」」」

 

瞬間、その場全ての人物の感想が一つに揃った。

 

ライカは美少女にしか興味がない。

 

話し相手はもちろん、自分とともに戦うサーヴァントも、全て美少女で固める徹底ぶりだ。

 

男性サーヴァントや職員の中で、ライカの部屋を見たことがあるものなど、それこそ片手で数えるくらいしかいないだろう。

 

そんなライカが、今初めて、自分の意思で男性サーヴァントを呼び出した。

 

この事実に驚愕しない者は、この場には一人もいなかった。

 

それを目の前で叩きつけられたダヴィンチの衝撃は、いくら万能の天才であろうとも、計り知れないものだった。

 

「そんな……!どうして、ギルガメッシュが……!?」

「ふっふっふ。聞いて驚け、ダヴィンチちゃん!」

 

得意気な笑顔でそう言い、片手で自分の顔を覆いながら、ライカは語る。

 

「たしかに、私は男に興味はない。そう、全くもって!!!」

 

((((うん、知ってる……))))

 

全員の心の声が揃うが、そんなことはつゆ知らず、高らかに続ける。

 

「けどね……私は、わかりあえる人に出会ったんだ……。そう、同じ『アルトリア教』のギルガメッシュと!!」

 

((((ああ、なるほど……))))

 

ようは、アルトリアが好き同士だからこそ、二人はわかりあったのである。

 

「今では『ライカ』『ギル』と呼び合うマブダチなんだよ!」

「そういうことだ!」

「「はーはっはっはっは!!」」

 

世の中、何が友情のきっかけになるかわからないものだ。

 

「くっ、まさかアーサー王に加えて、英雄王まで出てくるなんて……!マシュの耐久力も一級品だし。でも、譲れないものがある!」

 

そう言い、ダヴィンチは右手に特別に現れた令呪をかざし、サーヴァントを呼び出す。

 

「サーヴァント『スカサハ』!『クーフーリン』!『エミヤ』!」

 

ダヴィンチが選んだのは、ケルトの師弟コンビに、究極の複製士。

 

「うーわ……えげつない選択」

「勝ちに来てるからね」

「だろうねぇ……」

 

納得したように呟き、そして少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべる。

 

「……ダヴィンチちゃんとは、もう少し女の子の魅力について語り明かしたかったな」

「私もだよ」

 

だが、もう後戻りはできない。

 

「マスター、お任せ下さい。必ず勝利を掴んでみせます」

「私は常に先輩の味方です。だからこそ、私はここにいます!」

「ライカよ。この我がいるのだ、敗北などありえん。ライカはただ眺めているだけで構わん!」

 

頼もしいことを言ってくれる、ライカ陣営。

 

「マスター、さっさと始めるとしよう。うちの馬鹿弟子は血気盛なんでな」

「おい、バ……師匠。まるで俺が戦闘狂みたいな言い方すんなよ。まあ、楽しみだけどよ」

「こういった催しは、極力裏方に徹しているのだがな……。指名されたからには最善を尽くそう」

 

やる気満々な三人を従える、ダヴィンチ陣営。

 

かくして、役者は揃った。

 

「「さあ、勝負だっ!」」

 

二人の宣言が、ゴング代わりだった。

 

「アルトリア!マシュ!突撃ぃ!!」

 

ライカの指示により、二人が勢い駆け出す。

 

「スカサハ、クーフーリン、迎え撃つよ!」

 

それに対し、スカサハがアルトリアに、クーフーリンがマシュに躍りかかる。

 

「貴様とは一度、本気で戦ってみたかったのだが……まさかこんな形で叶うとはな!」

「ええ。実は、私もですっ!」

 

槍の柄の中程で剣を防ぎ、二人は至近距離で言葉を交わす。

 

一度飛び下がり、鋭い突きを放つ。

 

アルトリアはそれを流すように受け、その場で回転。

 

時計回りの回転で繰り出した斬撃に、スカサハは素早く槍を戻して受ける。

 

だが、それは想定内。

 

アルトリアは魔力放出であえて前進し、背後に回り込む。

 

「ふっ!」

 

さらに魔力放出で無理やり後退し、強引に剣を振る。

 

魔力放出を活用した、スカサハも予想外の攻撃だ。

 

「ちっ────!」

 

舌打ちしながらスキルを発動、紙一重での回避を実行する。

 

「はあっ!」

 

即座に攻撃に転じ、槍をもう一つ呼び出して猛攻を仕掛ける。

 

「くっ────!」

 

槍二本による攻撃は慣れないのか、アルトリアの顔に焦りの表情が浮かぶ。

 

しかし、

 

「図に乗るなっ!」

 

怒号と共に、スカサハの頭上に無数の刀剣類が顕現する。

 

ギルガメッシュの得意技だ。

 

「っ……!」

 

強引に槍を振り、アルトリアを弾いてから、スカサハは槍で武具を弾きながらその場から脱出。

 

「甘いわっ!」

 

しかし、さらに横からも刀剣が射出される。

 

これは、回避のしようがない。

 

(せめて、何発かは弾く!)

 

相手が宝具の原点であるため、全てを弾くことは恐らく叶わない。

 

ならば、少しでもダメージを減らすまでだ。

 

そう考えたスカサハが槍を握り直した時、横から何かが飛来してきた。

 

さらに、

 

「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!」

 

その場で爆発した。

 

それによってスカサハは弾かれ、多少のダメージは負ったが、ギルガメッシュの武具に串刺しにされるよりは随分マシだった。

 

「ふう、間に合ったか」

 

もちろん、普通なら禁じ手である『壊れた幻想』を使用する者など、一人しかいない。

 

黒い弓を握る、エミヤだ。

 

「やってくれるではないか」

「まあ、これぐらいはな」

「面白い。貴様とは、いつか決着をつけねばならんと思っていたところだ」

 

二人は口元を歪めて笑い、向き合った。

 

「さあ、受けるがいい!『王の財宝(ゲートオブ・バビロン)』!!」

 

ギルガメッシュの周りを、膨大な数の刀剣が囲い込む。

 

全てが光り輝くそれは、まっすぐにエミヤの方向に剣先を向けると、次々に射出される。

 

「『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』!!」

 

対するエミヤは、自身の持てる最強の防御幻想を呼び出した。

 

数に任せたギルガメッシュの猛攻をどうにかしのぎ、エミヤは攻撃に転じる。

 

「I am the bone of sword

(体は剣で出来ている)

 

Steel is my body,and fine is my blood

(血潮は鉄で 心は硝子)

 

I have created over a thousand blades

(幾たびの戦場を超えて不敗)

 

Unknown to Death

(ただの一度も敗走はなく)

 

Nor known to Life

(ただの一度も理解されない)

 

Have withstood pain to create many weapons

(彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う)

 

Yet,those hands will never hold anythig

(故に生涯に意味はなく)

 

So as I play,unlimited blade works

(その体はきっと剣で出来ていた)」

 

瞬間、訓練室から場所が移される。

 

そこは、エミヤの持つ心象風景。

 

エミヤの代表格である固有結界。

 

宝具『無限の剣製(アンリミテッド・ブレイドワークス)』。

 

エミヤにより、彼のための戦場に、ステージは移されたのだ。

 

さらに、エミヤは多数の刀剣類を投影。

 

さながら『王の財宝』のごとく、ギルガメッシュに叩きつける。

 

「舐めるなっ!」

 

ギルガメッシュはそれを予想して、あらかじめ呼び出しておいた刀剣で相殺する。

 

二人らしい戦いを繰り広げ、辺りにはその爪痕が次々と穿たれていった。

 

一方、マシュも善戦を続けていた。

 

「せいやっ!」

 

クーフーリンが気合いとともに、槍を横凪に振る。

 

「っ────!」

 

手に持った盾で危なげなくガードし、続く連続突きも器用に盾を動かしてガードしていく。

 

「やあぁぁぁぁ!!」

 

気合いとともに全力で体当たり。

 

「ふん!」

 

クーフーリンは槍を横向きに構え、正面からそれを受け、はじき返す。

 

マシュはその衝撃をジャンプすることで流し、着地した。

 

「……嬢ちゃん、真名解放前から筋はいいと思っていたが、真名解放した途端に化けやがったな」

「ありがとうございます。ですが、まだまだ未熟者です」

「はっ、いいね!だったら、とことん付き合ってもらうぜ!」

「はいっ!」

 

金属同士が衝突する音が、あちこちから重なり合って響く。

 

戦況は互角。

 

その様を、ライカは歯噛みしながら眺めていた。

 

(マズイな……。一見互角だけど、ここはエミヤの固有結界の中。タイムラグのあるギルガメッシュじゃ、押されるかもしれない。マシュも強いけど、経験不足は否めないし……)

 

そう考え、ライカは一つの決断を下す。

 

右手を突き出し、令呪を一画消費し、叫ぶ。

 

「真名解放!『ギルガメッシュ』!!」

「……!いいだろう、宝物庫の戸を開けてやろう!」

「!? マズイ!全員ギルガメッシュに攻撃!」

 

焦ったダヴィンチが指示を出すが、もう遅い。

 

ギルガメッシュは既に、準備を終えている。

 

「裁きの時だ。天地を裂くは我が乖離剣!受けよ、『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!』」

 

王の財宝から引き出された、ギルガメッシュ最強の宝具が、今力を解き放つ。

 

乖離剣の三つの円環が別々に回転し、暴風と次元断層を発生させる。

 

竜巻にも見えるその力は、螺旋を描きながら天に登る。

 

その必殺の一撃を、彼は躊躇なく振り下ろす。

 

耳障りな壊音が轟き、エミヤの固有結界が音を立てて崩壊する。

 

「よしっ……!」

 

目論み通り。

 

だが、代わりに令呪を一つ失った。

 

仕方ないことだが、少し惜しい。

 

(この先、上手く進めばいいけど……)

 

───── 一時間後 ─────

 

戦いは苛烈を極めた。

 

令呪はお互いに一つのみ。

 

無傷のサーヴァントは互いにいない。

 

「はっ…はっ……!」

「……うぅ……!」

「ふっ……!」

 

全員が肩で息をし、それでも全力で戦っている。

 

「くっそ……!しぶといな、嬢ちゃん!」

「当然です……!諦めるわけには……いきません!」

「……仕方ない、そろそろ決めよう」

 

消耗戦となっている状況を破るべく、ダヴィンチは最後の令呪を行使する。

 

「真名解放!『エミヤ』!」

「承知した!」

 

エミヤが二回目の宝具『無限の剣製』を放つ。

 

さらに、

 

「行くぞ!馬鹿弟子!」

「オーライ、師匠!」

 

マシュとアルトリアの攻撃を振り切り、ケルトの師弟コンビまで宝具を使う。

 

「しまった!」

 

ライカの顔に焦りが浮かぶ。

 

だが、

 

「スキル『奮い立つ決意の壁』!!」

 

マシュの声が、響き渡る。

 

「マシュ!?」

 

瞬間、全ての宝具がマシュに集中する。

 

「いい根性だ!嬢ちゃん!『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)』!!」

 

クーフーリンの必殺の槍が、マシュに直撃する。

 

必ず心臓を穿つその一撃を、マシュは強引に盾を当てて逸らす。

 

「かっ……はっ……!」

 

しかし、それでも腹部に直撃を受ける。

 

さらに、背後にはスカサハが迫る。

 

「問題ない。これで決める!『貫き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ・オルタナティブ)』!!」

 

二本もの魔槍が、マシュに襲いかかる。

 

「っ……!」

 

どうにか、本当にギリギリ、盾を真横にすることで軌道を逸らす。

 

「いっ……ぁ……!」

 

肩と脚に直撃する二つの槍。

 

だが、それでも彼女は倒れない。

 

まだ、一つだけ残っているから。

 

「……この状況で使うのは、罪悪感しかないがな。容赦はしない!『無限の剣製』!!」

 

固有結界の発動とともに、無数の刀剣がマシュに迫る。

 

「マシュ!もういい!やめて!」

「ぐっ……ああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ライカの静止すら振り切り、マシュは盾を叩きつけるように置き、詠唱する。

 

「それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷。顕現せよ!『いまは遥か理想郷(ロード・キャメロット)』!!!」

 

背中にいる全てを守るため、彼女は全力で自身の宝具を放つ。

 

マシュの意思を汲み、顕現した宝具は全ての刀剣を防ぎ、そして、

 

「マシューーー!!」

 

力尽きた。

 

「マシュ!マシュ!」

「せん……ぱい……。すみ……ません……」

「ううん、謝ることなんかないよ!痛かったでしょ……!ごめんね……!」

「へいきです……これくらい……。お二人とも、先輩を……お願いします……!」

 

残ったアルトリアとギルガメッシュを見据え、最後にそう言って、マシュはゆっくりと目を閉じた。

 

「マシューーーーーー!!!」

 

動かなくなったマシュを抱き、ライカは叫ぶ。

 

「……マスター、指示を」

「こやつの努力に報いねばならん。立て、ライカ」

 

両肩にそれぞれ手を置き、二人がそう言う。

 

「……うん」

 

ライカは涙を乱暴に拭い、自身の魔術礼装を切り替える。

 

カルデア戦闘服。

 

彼女が本気で戦う時の勝負服だ。

 

「一つ手がある。力を貸して」

「もちろんです!」

「ふっ、述べてみよ!」

 

ライカは作戦を伝え、二人の動きを指示する。

 

「頼んだよ……!」

 

直後、アルトリアは弾かれたように敵の渦中に飛び込む。

 

「来いっ!アーサー王!」

「ケリをつけてやるぜ!」

「浅からぬ因縁がある中だ。いざ勝負!」

 

空気を読んで動きを止めていた三人も、同時に動き出した。

 

「「はあ!!」」

 

両サイドから迫り来る魔槍。

 

「甘いっ!」

 

アルトリアは自身の鎧を解除。

 

激増した魔力放出で、槍を強引に防ぐ。

 

さらに、タイミングを合わせてきたエミヤの双剣を、自身の剣で受ける。

 

「まだまだ!」

 

クーフーリンは一度かがみ、低い位置から槍を突き込む。

 

アルトリアは身体を横にして紙一重でそれを躱し、魔力放出で上に飛ぶことで続くスカサハの攻撃を回避。

 

エミヤに向かって剣を振り下ろし、彼はやむを得ず後退。

 

だが、着地と同時にアルトリアはエミヤに距離を詰める。

 

「なにっ……!?」

「ふっ……!」

 

驚愕するエミヤに、容赦なくアルトリアは斬りかかる。

 

エミヤは片手の干将でどうにか防ぎ、直後に偽・螺旋剣(カラドボルグ)を投影し、大上段に振り下ろす。

 

しかし、それをも魔力放出ではじき返す。

 

「そんな……まさか、一人で三人のサーヴァントと戦うなんて……!でも、そう長くは持たない!」

 

たしかに、いかにアーサーのといえど、自身と同等クラスの三騎を相手にし続けるのは無理がある。

 

もちろん、ライカの目的は、そこではない。

 

「もう充分だ!いけるぞ、セイバー!」

 

真の目的は、ダヴィンチ側のサーヴァント三騎をアルトリアの元に集めること。

 

先ほどのような令呪ではなく、今度は自身の魔力で、ギルガメッシュは乖離剣を呼び出した。

 

「『天地乖離す開闢の星』!!」

 

無数の螺旋を持つ次元断層が、四人向かって振り下ろされる。

 

「かいっ……!」

「『ガンド』!!」

 

ダヴィンチの回避命令に重ねるように、ライカのガンドが炸裂。

 

集まっていた四人に直撃し、スタンさせる。

 

再び壊音を響かせ、包み込まれた四騎を蹂躙する。

 

まるで世界が滅んだかのような衝撃。

 

その破壊の後には……、

 

「無茶……やってくれるぜ……!」

「どうにか……生きてるか……」

 

戦闘続行でどうにか生き残ったケルトの二人。

 

それと、マシュによるダメージカットで生き延びたアルトリアが立っていた。

 

「なるほど……見事だよ、ライカ」

 

これが、ライカのデザインした状況。

 

3対2から、自分たちに有利な2対2へ。

 

こうすれば、自分の仲間は負けはしないと考えたのだ。

 

しかし、ライカ達は一つ忘れている。

 

「けどね、忘れてはいけない。この私自身も、サーヴァントであるということを!」

 

高らかに言い、ダヴィンチはズカズカと歩みを進める。

 

「ま、まさか……!」

 

嫌な予感とは、よく当たるものだ。

 

「東方の三博士、北欧の大神、知恵の果実。我が叡智、我が万能は、あらゆる叡智を凌駕する!『万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)!!』」

 

左手に備えた巨大な腕から、紫に輝く球が放出される。

 

そして、甲高い音を上げて爆発。

 

部屋は閃光に包まれ、途方もない衝撃が身体を揺さぶる。

 

しばらくして、ようやく消えた閃光の中……。

 

「えっ……」

 

アルトリアが見たのは、自身に覆い被さるように立ったギルガメッシュだった。

 

「ギルガメッシュ……なぜ……」

「……美しいものを守るのは、王の義務というものよ……」

 

ニヒルに笑い、ギルガメッシュは倒れ込む。

 

元より、彼は武具を絨毯爆撃のごとく放つのが得意戦法のため、耐久力はそう高くない。

 

にも関わらず、彼はアルトリアをかばったのだ。

 

「ギル!」

 

親友の痛ましい姿に、ライカは思わず駆け寄ろうとするが……。

 

「来るなっ!ライカ!敵を倒せ!」

 

ギルガメッシュが最後の力でそう叱咤激励する。

 

「……! わかった!」

 

ライカは決意を固め、駆け寄ることをやめて思案する。

 

戦況は厳しい。

 

ボロボロとはいえ相手にはクーフーリンとスカサハ。

 

さらにダヴィンチまで反則レベルで参戦してきている。

 

それでも、ライカには策がある。

 

「行くよ、アルトリア」

「はい!」

 

自身に残った最後の令呪で、アルトリアの体力を回復。

 

全快したアルトリアは、決戦へと臨む。

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

クーフーリンとスカサハを振り切り、狙うはダヴィンチ。

 

「いいね!手合わせ願おうか!」

 

アルトリアの振るう剣を、巨大な杖で次々と防いでいくダヴィンチ。

 

しかし、彼女(彼?)のクラスはキャスター。

 

多少はダメージを受けてしまう。

 

それでも、時間を稼ぐだけで充分だ。

 

「背中がお留守だぞ!」

「アーサー王!」

 

抜群のコンビネーションで、背後に迫る師弟コンビ。

 

「ぐあっ……!」

 

回避が間に合わず、背中に一撃を受ける。

 

しかし、すぐに立て直して、魔力放出を乗せた大回転。

 

「うっ……!」

「ちっ……!」

「いったぁ!」

 

(チャンスはここしかない!)

 

「アルトリアぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ライカの叫びを受け、自身の魔力を全て流し込むような全力魔力放出。

 

先ほどとは比べ物にならないほどに跳躍し、眼下に三人を捉える。

 

「今です!マスター!」

「令呪!」

「「「「なっ……!」」」」

 

二人を除く、その場全ての者が息を飲む。

 

これで、四回目の令呪行使だからだ。

 

「ギルがね……宝物庫から出してくれたんだよ!真名解放!『アルトリア・ペンドラゴン』!!!」

 

そう、宝物庫には令呪さえもある。

 

どさくさに紛れて、ギルガメッシュはそれをライカに譲渡していたのだ。

 

アルトリアの聖剣が、『風王結界(インビジブル・エア)』を破って姿を表す。

 

「遍く星の息吹よ、輝ける命の奔流よ。受けるがいい!『約束された───(エクス─────)」

 

振り上げた剣が眩い閃光を放ち、解放される────!

 

「勝利の剣(カリバー)』!!!」

 

レーザーの如き斬撃が、空気を切り裂いて光り輝く。

 

三人は、なす術なくその光に飲み込まれ……。

 

「令呪四つは卑怯でしょ────!」

 

盛大なブーメランを投げるダヴィンチともども、全員を戦闘不能にした。

 

静寂の降りる訓練室。

 

そんな中、ライカはアルトリアの元に走った。

 

「アルトリア!」

「マスター!」

 

二人は抱きしめ合い、勝利を確認する。

 

「勝った!勝ったよ!アルトリア!」

「はい、勝ちました!」

 

かくして、ライカVSダヴィンチの聖杯戦争は、ライカの勝利で終わった。

 

───── 数時間後 ─────

 

「というわけで!年越しは蕎麦で決定!!」

 

マシュ達サーヴァントも回復し、改めて勝利宣言をしたライカの第一声はそれだった。

 

これが、二人の戦っていた理由。

 

『年越し蕎麦にするか、はたまた年越しうどんにするか』

 

聖杯(丼麺)をめぐる戦争の発端は、まさかのこれだった。

 

「絶対うどんの方がいいと思うんだけどなぁ……」

「はっ!敗者の戯言など聴きたくありませんわー!」

「先輩がブラックモードに……」

 

結果はライカは勝利。

 

というわけで、エミヤや清姫をはじめとした家庭的サーヴァント達の作った蕎麦を、今みんなで食べているところだった。

 

「ねえ、アルトリア。それ何杯目?」

「? 12ですが?」

「ねえ、アルトリア。これ、わんこそばじゃないよ?普通の蕎麦だからね?」

 

アルトリアは次々に丼を空にし。

 

「うむ、これは酒に合うな」

「師匠、俺にも日本酒くれよ」

 

スカサハとクーフーリンは日本酒を片手に箸を進め。

 

「この七味とやらは面白いな。宝物庫に加えようか……」

 

ギルガメッシュは七味唐辛子の小瓶を片手に思考し。

 

「マシュ、あーん」

「あ、あーん」

 

ライカとマシュは『あーん』などをして、思い思いに年越し蕎麦を楽しむ。

 

そんなのどかな空気の中、ダヴィンチは今更話を蒸し返す気にもならず、

 

「ま、仕方ないか」

 

と言って、自分も箸を手に取った。

 

パーティーのように盛り上がる中、唐突に鐘の音が響いた。

 

「あ、除夜の鐘だ」

「なんですか?それは」

「人間の百八の煩悩を祓うために、百八回鐘を鳴らす……まあ、願掛けみたいなものかな?ってか、鳴ってるってことは、もう年越したんだ……」

 

どうやら、騒いでいるうちに年を越してしまったらしい。

 

ちなみに、どこで鳴っているのかというツッコミは誰もしない。

 

「先輩」

「マスター」

 

呼ばれたライカが振り返ると、

 

「「「「明けましておめでとうございます」」」」

 

と、サーヴァント全員で声を揃えていた。

 

いつの間に集まったのか、最初より数は膨れ上がっていた。

 

「うわっ!……もう、びっくりしたなー」

 

苦笑いして一拍置き、改めて、

 

「明けましておめでとう!今年もよろしくね!」

 

と、満面の笑顔で言うのだった。




なんか楽しかったです……

できれば、来年もやりたいなぁ……

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