この話の注意点です。
①浦の星学院は存続している。
②それぞれの進路は作者の想像。
③少しキャラ崩壊あり。
④全員未婚者。彼氏彼女もいない。
⑤勿論、本編とは関係無し。
これが注意点です。
それではどうぞ。
「あれから十年か…」
あの頃の俺達は輝いていた。いや、今も輝いている。
あれから十年、俺達はそれぞれの思い描く未来へと進んでいた。
「おっと、時間だ。急がなくてな」
俺、海藤龍吾は浦の星学院を卒業後、大学に進学。後に高校の教師になった。今は浦の星学院に勤務している。大変だけどとてもやりがいのある仕事だ。俺は教師になって本当に良かったと思っている。
「今日は久しぶりに全員揃うのか…楽しみだな!」
昔はちょくちょく会っていたが、何人かは遠方の大学に進学したので全員が集まるということはめったになかった。そして今日は五年ぶりにAqoursのメンバーの全員が集まることになっていたのだ。
「さてと、行くか!」
俺は同僚の人達に挨拶を済ませ、すぐに待ち合わせの場所へと向かった。
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「たしか、このホテルだったかな?」
俺は鞠莉さんが予約してくれていたパーティー会場に来ていた。このホテルのオーナーは鞠莉さんの会社にいつも世話になっているらしく鞠莉さんの頼みならと、格安で提供してくれたのだ。
「みんな!待たせたな!」
俺はすぐに会場に入った。すでに八人のメンバーがそこにはいた。
「もう!遅いよ龍くん!」
「悪い!さっきまで仕事だったもんで。それにしても久しぶりだな、曜」
「うん!久しぶり!」
曜は幼い頃からの夢であった船長になっていた。つい二日前に長い航海から帰ってきたばかりらしい。
「夢だった船長になった気分はどうだ?」
「最高だヨーソロー!」
船長といってもまだまだ勉強中なので、自分の船は無く今は親父さんの船に一緒に乗っているようだ。
「海藤くん!久しぶり。また会えて嬉しいよ!」
「梨子か…俺もまた会えて嬉しいぞ!」
梨子は東京の音楽学校に進学し、今では売れっ子のピアニストになっていた。来週から日本ツアーが始まるようで忙しいはずなのに俺達のためにわざわざ時間を作って会いにきてくれたのだ。
「梨子、来てくれてありがとうな!」
「ううん、大丈夫だよ!私も…海藤くんやみんなに会いたかったし…」
梨子と会うのは高校卒業以来だが、久しぶりに会って驚いた。本当に素敵な女性になっていた。
「リトルデーモン…地獄時間で言うところの五十年ぶりってとこだわね。」
「いや、普通に五年ぶりでいいだろ…」
善子は至って普通の一般企業に就職していた。美人で仕事が出来るということで男性にかなりモテるらしいが、彼女は興味ないらしい。ちなみに堕天使キャラとシニヨンは今でも健在のようだ。
「善子、お前モテるんだってな。早くいい人を見つけられるといいな!」
「だから私はヨハネ!それに余計なお世話よ!契約者すぐに出来るんだから見ときなさい!」
とりあえず善子が元気そうで何よりだった。
「龍吾先輩、来てくれてありがとうずら!」
「海藤先輩!お久しぶりです!」
今度は花丸ちゃんとルビィちゃんが俺のところに来た。花丸ちゃんは親の後を継いで実家のお寺の住職になっていた。身長は高校時代とあまり変わっていないが、他のところは成長していた。他のところって?色々だよ。
ルビィちゃんは東京でアイドルグループのマネージャーをやっている。マネージャーなので舞台に上がることはないが、彼女の隠れファンが多いらしい。ルビィちゃんは身長がかなり伸びて美人に成長していた。さらに高校の時に短かった髪を伸ばしていた。
「二人とも美人になったね。ルビィちゃんなんかダイヤさんにそっくりだ!」
「いやいや、そんなことはないずら…」
「えへへ、ありがとうございます!」
正直、今ルビィちゃんが髪を黒く染めたら俺はどちらがルビィちゃんなのかわからない気がする。それぐらいお姉さんにそっくりになっていた。
「海藤さん、私達のことを忘れてはいませんか?」
「やっほー!この前も会ったけどね」
「チャオ~!本当に久しぶりね!」
そして、三年生組がやってきた。ダイヤさんは実家で琴と華道の先生をやっている。彼女は教え方が良いと評判のようだ。
果南姉さんは実家のダイビングショップで働いている。今でも俺と家が近いのでしょっちゅう会っている仲だ。
鞠莉さんは高校卒業後にアメリカに行った。そして、アメリカの大学を出て、シリコンバレーで起業した。経営は順調で数年後には日本にも進出する予定らしい。
「忘れてなんかいないさ。姉さんとはしょっちゅう会ってるし、ダイヤさんともたまに仕事で一緒になるからね」
ダイヤさんは浦の星学院の華道部の顧問も兼任している。彼女は高校の教師では無いのだが、外部コーチということで部活にだけ顔を出している。
果南姉さんは今でも俺の相談相手になってくれている。本当に頼りになる姉さんだ。
「リューゴ!私のことは?」
「忘れるわけないじゃないですか。鞠莉さんも俺の大切な仲間なんですから」
鞠莉さんは高校時代のまだ幼さの残っていた顔に比べて大分成長していた。あの頃より更に美しく女性らしくなったと思う。
「それにしてもアイツはまた遅刻するのか。この前、俺とアイツと果南姉さんで食事に行った時も遅刻したんだだよなあ」
「あはは…」
俺達が他愛もない会話をしているうちに、やっとアイツが現れた。
「ごめーん!遅れちゃいました!」
「おせーぞ、千歌!毎回遅刻しやがって!」
「ごめんって言ってんじゃん!」
案の定千歌は今日も遅刻してきた。しかも悪びれるもせずに堂々と入ってきたのだ。
千歌は実家の旅館で働いている。最近、やっと経営が安定してきたらしい。
「まぁまぁ、折角集まったんだからみんなで楽しみましょうよ」
「千歌ちゃんが遅れてくるのはいつものことだしね」
「…そうだな」
梨子と曜に説得されて、俺は自分の席に戻った。俺は本当に千歌には甘いらしいな。
「ほらほら、梨子ちゃんと曜ちゃんもこう言ってるよ!」
「こら!開き直るんじゃない!」
俺は千歌の頭を軽く叩いた。いくら甘いといっても流石に、この態度には腹が立った。
「龍ちゃん!痛いよ!」
「自業自得だ」
「さあ!パーティーを始めましょ!」
鞠莉さんの合図で俺達はそれぞれグラスを持った。
「それじゃ、乾杯!」
「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」
この先、何度あるのかわからない、最高の宴が幕を開けた。
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「うゅ…もうだめ…」
「ちょ、ルビィちゃん?」
最初は積もる話もあるということでみんな酒は控えめにしてそれぞれの思い出話をしていた。しかし二時間が経過する頃、少しずつ酔い潰れる人が出てきた。ルビィちゃんはその一人だ。
「お兄ちゃん…抱っこして…」
「え?いや、俺はお兄ちゃんじゃないよ!」
「うう…お兄ちゃん酷いよ…」
ルビィちゃんは酔い潰れると周りにいる人のことを兄や姉だと思ってしまうらしい。ルビィちゃんは今まで殆どお酒は飲んでいなかったらしいので分量がわからなかったようだ。
「リューゴ!ルビィが可哀想でしょ!抱っこしてあげなさいよ!ほら、抱っこ!抱っこ!」
「わかりましたよ!ほら、ルビィちゃんおいで」
「えへへ、ありがとうお兄ちゃん」
「アタシも入っちゃおー!失礼するわよ!」
「ちょ?鞠莉さん!痛いですよ!」
鞠莉さんは酔っ払うと、とにかくハイテンションになるようだ。正直、一番厄介な存在だ。
「あはは、龍吾も大変だね。」
「龍吾先輩は本当に大変ずら。」
「果南姉さんと花丸ちゃんはもう飲まないのか?」
「うん。明日も店を開けるからね」
「マルも、明日は早いから…」
「そうか、俺も明日勤務だからな。二日酔いは禁物だ」
果南姉さんと花丸ちゃんは悪酔いすることはないようだ。よかった、安心したぞ。
「だけど…私も少し龍吾に甘えたいかな?だめ…?」
「マルも…先輩に甘えたいずら…」
「ダメなわけないよ。果南姉さんと花丸ちゃんだったらいつでも歓迎だよ」
「…うん、ありがとう」
「先輩…ありがとうずら」
果南姉さんは酔っ払っているわけではないのだが、俺に甘えてハグをしてきた上にそのまま眠ってしまった。本当は疲れてたみたいだな。それは花丸ちゃんも同じのようで、彼女は既に俺の膝の上で熟睡していた。
「龍ちゃん!私も抱っこして!」
「龍くん!果南ちゃんばっかりずるいよ!」
千歌と曜は酔ってもあまり変わらない。むしろそっちの方が俺としてはありがたい。
「ほら、二人ともおいで」
「ありがとう、龍ちゃん」
「龍くん…寂しかったよ…本当に会えて嬉しいよ…」
千歌はともかく曜はずっと船旅をしていたのだ。本当は寂しかったに違いない。
「よく頑張ったな。曜、お疲れさん」
「曜ちゃん、私にも甘えていいんだよ」
「うう…千歌ちゃん、龍くん…ありがとう…」
曜は目に涙を浮かべていたが、悲しい表情はしていなかった。寧ろ、少し嬉しそうだった。
「リトルデーモン…ヨハネを無視すると灼熱の焔で焼かれてしまうわよ…」
善子はさらに堕天使キャラに磨きがかかっていた。会社での飲み会は大丈夫なのだろうか。
「無視なんかしないさ、仲間なんだからな」
「ッ…と…当然だわ…しばらくはヨハネのことを構いなさいよ!な…仲間なんだから…」
こいつは昔と変わらない。今でも素直じゃないな…俺も人のことを言えんが。
「…海藤さん、まさか私のことを放っておくつもりなのですか?」
ダイヤさんはあまり酔っているようには見えなかった。しかしその顔は真っ赤に染まって捨てられた子犬のような目で俺の方を見つめていた。
「狡いですわ…海藤さんは…」
「わかってますよ。ダイヤさん、たまには思いっきり甘えてもいいんですよ」
「……はい」
ずっと我慢し続けて来たのだろうか。彼女は俺のスーツの裾を掴んだまま離さなかった。もうしばらくこのままでいるとするか。あくまでも彼女のためにだ。
「ねぇ…海藤くん、私って…やっぱり地味?」
今度は、梨子が俺のところにやってきた。まぁ、他の八人もここにいるのだから必然だろう。
「梨子、俺は一度もお前のことを地味だと思ったことはないよ。梨子は本当に可愛くていい子だからな」
「えへへ…海藤くん、ありがとう。」
「どういたしまして」
ふにゃりと笑った梨子の顔は、本当に魅力的だった。俺は少しドキッとした。
「ねぇ…海藤くん…」
「どうしたんだ?」
「あのね…お願いがあるんだけど…」
梨子は俺に頼みたいことがあるらしい。彼女にしては珍しいな。
「なんだ?出来ることならなんでも聞くぞ」
「それじゃぁ…私に…キスしてくれない…?」
梨子の口から出てきたのは意外な言葉だった。キスをして欲しい…?
「え?いや…ちょっと…それは…」
「…さっき出来ることならなんでもやるって言ったよね?嘘つきの海藤くんは嫌いだよ?」
「いや…しかし…」
「…もういいよ…」
しまった、彼女を怒らせてしまった…取り敢えず謝らなくては…
「ごめん、梨子…」
「海藤くんからしてくれないなら…私からしちゃうもんね♪」
梨子は怒ってはいなかった。そして俺は梨子に床に押し倒されてしまった。まずい…このままでは本当に彼女とキスをすることになってしまう…
「おい!千歌!曜!誰か助けてくれ!」
「わー!梨子ちゃんダイタン!やっちゃえ!」
「面白そう!龍くんにキスしちゃえ!」
この二人は酔ってもあまり変わらないと言ったけど前言撤回だ。コイツらは鞠莉さん以上に悪ノリをしてくることがわかった。
「海藤くん…」
「り、梨子…」
彼女の唇が俺の唇へと降りて来る…あと二十センチで本当に…俺はようやく覚悟を決めた。
「いくよ…海藤くん…」
「ああ…わかったよ…」
再び彼女の唇が下降を始めた。あと十センチ…あと五センチ…あと一センチ…梨子の唇が俺の唇がに触れる…
その時だった。
プルルルルルル!
部屋の電話がなった。どうやらフロントからのようだ。俺はすぐに受話器を手に取った。
「もしもし」
「もしもし、フロントです。そろそろ退室のお時間となりますので準備をお願いします」
時計を見てみると、退室の時間が近づいていた。ついでに梨子の様子を見てみると、彼女はぐっすりと眠っていた。他の九人も同じだった。
「仕方ないな…でも、さっきのはいったい…」
俺はさっきの出来事を思い出して、一人で顔を真っ赤にしていた。めちゃくちゃ恥ずかしかった。
「おっと、早くみんなを起こして、片付けをしなければな」
俺はすぐに千歌達を起こした。起きあがれない人はいないようで即座に全員で部屋の片付けを開始した。
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夜の十時、部屋の片付けを終えた俺達は店の外に出た。近くの海から吹いてきた風が火照った体には心地よかった。因みに梨子にさっきのことを聞いてみたが、覚えていないようだった。
「それじゃあな!みんな、また会おう!」
「元気でね!」
俺はみんなに別れを告げ、千歌と二人で帰り道を歩いていた。
「みんな変わってたね~」
「お前はあんまり変わってないけどな」
「なに!そう言う龍ちゃんも全然変わってないじゃん!」
まあ、千歌も少しは大人っぽくなっている。よく会っているからそこまで気にならないだけだ。
「次はいつみんなで集まれるかね?」
「そうだな…これからはもっと忙しくなるだろうけど、集まれるとしたら隔年おきぐらいじゃないか?」
「私は、あの時のように毎日会いたいけどなぁ…」
「俺もだ。みんなも、こんなに楽しい時間を過ごせるんだったら毎日でも集まると思うけどな…」
「龍ちゃん…絶対にまたみんなで集まろうね!」
「ああ、勿論だ!」
どんなに時が流れてもあの一年間は絶対に色褪せることはない。俺達十人の中で最も大切な記憶であり続けるからだ。そしてこれからも永遠に輝き続けることだろう。きっと。
To be continued…
いかがだったでいょうか?前書きにもあるように、この話は本編との関係はありません。これからの物語の展開によっては全く違う話になるかもしれないからです。
これからも頑張らねばな…
それではまた。