ソードアート・オンライン-Phantom pain 作:轟th
今回よりSAOの投稿を行おうと思っている私です。
FATEの方はどうしたかと聞かれると、再び停滞しております。うん、やっぱり難しいです。やっぱり手元に原文(?)がないと書けないことが分かりました。一応、原作はプレイしたしアニメも見ていますが……難問です。
という建前の元、息抜きに投稿します。
こちらの方は幾つかため書きしているので、何とかなると思います。
更に改善点として、各話の文字数を5千字前後と半分で切り分けることにしました。流石に毎回毎回一万字近くも書いてたら疲れました。ぶっちゃけ。
では、本編をどうぞ。
パキッと焚き火の中の薪が乾いた音を立てる。
それを囲むようにして地面に腰掛けている影は五つ、全員が冒険者のような装備で身を固めているのがわかる。五人はそれぞれアイテムスロットから食べ物や飲み物を取り出して思い思いに食事をしている。
「この辺りも時化てきたな」
「初心者も殆ど残っちゃいないからな。俺たちも上に行くか?」
「今は十五層だから、二十層辺りを狙いめか」
「レベル的には問題ないな」
今後の予定について話し合う。
ふと、そんな中で一人話に加わっていない奴がいるのに気付く。
「おい、どうしたんだ? さっきから黙って」
「………いや、『死神』のことが気になって」
「デスサイズ? ああ、例のPKKの話か」
PKK――プレイヤーキラーキラーの略称。
MMORPGなどのオンラインゲームにおいて、所持金や所持アイテムを奪うことなどを目的として他プレイヤーを意図的に攻撃する存在のことをPK-プレイヤーキラーと呼ばれている。こうしたPKを標的として狩る者をPKKと呼ばれ、行為そのものはPKと何ら変わらないが、PKが一般的に他のプレイヤーから迷惑視されているため、PKKは時に歓迎されている場合がある。最もデスゲームと化した現在では、どちらも人殺しなのだが。
そして『死神』は昨今噂になっているPKKの通り名だ。
容姿もプレイヤー名も定かではなく、遭遇したPKは高確率でライフを
「何だよ、お前……ビビってんのか?」
「ちっ、ちげぇよ! どんな奴かと考えてたんだよ!」
「どうせカウンターPKかフラグPKでもしてんだろ」
PKにも色々と手段がある。
例えば自分が高レベルなのを理由にして低レベルのプレイヤーにサポートを口車としてダンジョンへ誘導し、クリアして喜んでいる所を襲ったり奥地に置き去りにしてモンスターの餌食にする方法がある。他には弱そうな挙動を見せて他人からの攻撃を誘発して得意げに攻撃してきたところを反撃して殺す手法もあれば、何らかのトリックにより相手を犯罪者にしてから攻撃して殺す方法なども存在している。
「静かに! 今何か物音がした」
「モンスターだろうな。低レベルとは云え、気をつけろよ」
注意喚起により、全員がインベントリから武器を取り出す。
それぞれ装備している物は異なっているが、片手に盾を装備した片手剣使いと棍使いの二人が前衛となって音のした方へと近寄っていく。他の両手剣使いと槍使い、それからリーダーの短剣使いは周囲へと警戒しながら様子を伺っている。
徐々に音のした方へと距離を縮めていき、茂みを確認する。
「……何でもない。唯の気のせいだ」
振り返り、彼はそう伝えた。
そこで気を緩めたのが、片手剣使いの命取りとなった。
木の上に潜んでいた敵は飛び降りるのと同時に、手にしていた剣を勢いよく振り下ろす。落下の勢いも加わった斬撃は容易く、バックラーを持っている腕を切り落とした。突然の襲撃に相手は反応が遅れたが、その間に一拍の溜を挟んだ敵は下からの強烈な切り上げを持って片手剣使いを逆袈裟に斬り裂く。
彼の頭上にあったHPのゲージは安全域の緑から黄色を通り越して危険域の赤へと至り、そのまま止まることなく振り切ってしまう。男は声すら上げることすらなく、その全存在を無数の硝子片へと変えて飛散する。
さっきまで話していた仲間が死んだ事実に、残った四人は硬直した。
そして仲間を殺した襲撃者を見つめ、言葉を失っていた。
「―――――」
襲撃者は、道化師のような仮面を身に付けていた。
木の上にいて全く気付かれなかったのは、おそらくは隠蔽のボーナスが高いレザーコートを身に纏っていたからだろう。コートの下から覗く服装は軽装なものであったが、見るからに上等であることは判った。少なくともこんな下位の階層では手に入らない代物だ。だが彼らが何よりも目を惹かれたのは、襲撃者が手にしている片手用の長剣だった。おそらくはボスドロップで手に入る魔剣クラスの武器であろう。
「……『死神』?」
両手剣使いが、そう問うた。
しかし襲撃者は答えることはなく、左手の親指を立てて首に添えると横一文字に切った。
その死刑宣告通り、死神は動き始めた。
「『シャープネイル』」
手始めに未だ硬直状態にある棍使いへと肉薄すると、『ソードスキル』の一つを放った。
『ソードスキル』とは剣技、あるいは必殺技と呼ばれるものである。様々ある武器ごとに出現するスキルが異なり、今まさに『死神』が使った『シャープネイル』は素早く剣を薙ぐ三連撃を放つ片手剣用の技だ。これにより邪魔な棍使いの武器と盾を弾くと、最後の一撃をそのまま無防備な額へと叩き込む。しかし必殺技と云っても最初に解放されるスキルでは仕留めきれないが、続く突進技の『ヴォーパル・ストライク』に貫かれては流石に耐え切れず棍使いもまたポリゴン群となって飛散する。
「くそっ! 『スピン・スラッシュ』」
「『アバラッシュ』」
「『クイック・スロウ』」
三人は同時にスキルを発動させた。
長年、チームを組んでいただけあってタイミングはばっちりで、放たれた三つの技は寸分違わず『死神』の肉体に命中した。いや、命中したと云うには少し語弊があった。何故なら彼は回避する素振りを少しもしなかったのだ。ただ迫り来る攻撃に対し、仁王立ちしたままワザと受け止めてみせたのだ。
普通なら正気の沙汰ではない。
だが、『死神』には受け止められるだけの理由があった。
「なっ……」
技のエフェクトが消えた時、彼らの前には変わらず『死神』の姿があった。
少なくとも三人は現状放てる最高の技を繰り出したと云うのに、目の前に立つ怪物のHPは十分の一すら減ってはいなかった。厳密に測った訳ではないので断言はできないが、軽く千を超えるダメージを与えられた筈だ。しかし大して効いていないのは防具のせいか。それとも最も単純にして明確な理由があるのか。
「私のレベルは、70……HPは12300」
この世界において、レベルとは絶対なる理法である。
どれだけ喚いたところで、このルールが覆ることは決してない。
「う、うわああああああああああっ!」
「なっ!? おいっ!」
その時、一人が絶叫を上げながら逃げ出した。
これまで自分たちが他者に強要してきた『死』という現実に恐怖したからだ。
「逃がさない……」
ぶんっ、と空気が震える音がした。
何の音かと考えるのと、それが『死神』の疾走だと理解するのは同時だった。
逃げ出した男を追って暗闇の中へと飛び込んでいき、その直ぐ後に耳を劈くような悲鳴が響く。
「ぎゃああああああああああっ!」
「―――ッ」
悲鳴から少しの間を置き、『死神』は戻ってきた。
ダメだ、どう足掻いても自分たちは逃げることすら許されない。
「……わ、判った! 降参する!」
そう叫び、武器を手放す。
リーダーの意図を察し、もう一人の方も同じく武器を放棄する。
「持っているアイテムも全部渡すし、大人しく『黒鉄宮』に入る!」
黒鉄宮は『はじまりの街』の主街区の中央広場に面している大きな宮殿だ。内部には『監獄エリア』と呼ばれる各種犯罪、ハラスメント行為を行ったプレイヤーを閉じ込めておく脱出不能の牢屋が設けられている。
一般的に、
だが、しかし――。
「がっ……何、で」
そう言い残し、槍使いは死亡する。
最後の仲間も殺され本当に一人になったリーダーは、困惑していた。
「へっ……こ、降参するって言っただろう!?」
「……私は、
そうして振り上げられる断罪の刃。
リーダーの短剣使いは、くそったれと言い残して消滅した。
「……………」
周囲に誰もいないのを確認し、『死神』はその仮面を外した。
その下にあった素顔は街中を歩けば思わず振り返りたくなる美貌があった。されどその表情は人形のように冷たく、その瞳には哀しいまでに輝きを宿してはいなかった。ドレスなど着せて椅子に座らせていたのなら、等身大人形と間違えてしまうことだろう。
「アルヒ、私は……」
その先は言葉にはならず、『死神』は夜の闇に消えていく。
『ソードアート・オンライン』。
史上初となる『完全なるダイブ』による『仮想現実』を実現させた最新鋭のゲームハード『ナーヴギア』、それに対応した世界初のゲームジャンルを冠した『仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム』なのだ。
ゲームの舞台は百にも及ぶ階層から成る巨大な浮遊城『アインクラッド』。
プレイヤーたちは己の分身とも云うべき
これらの情報に、ゲーマー達の期待は嫌が応にも高まった。
そして僅か千人と限定されて募集されたベーター版テストプレイヤーには、凡そ十万もの応募が殺到した。この幸運に恵まれたプレイヤーは、二ヶ月のテストプレイ期間を堪能した。そうした中で発見されたバグなどの情報を集積し改善した末に、二千二十二年の十一月六日、午後一時より正式リリースが開始された。
だが、それは絶望の始まりでもあった。
ゲーム開始から数時間後、一万ものプレイヤーはログアウト――つまりゲームから抜け出せない状態になった。参加者たちは当初は致命的なバグだと考えていたが、これが
『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』
ゲームのスタート地点、『はじまりの街』の中央広場。
そこへ強制的に転移させられ集められたプレイヤーたちの前に、全長二十メートルほどの巨大な真紅のローブが出現した。それはこのゲームのゲームマスターが纏っていたものだと、ベーター版をプレイしたことのある者たちは気がついていた。ただ普段とは違ってローブの中には人の姿はなく空っぽの状態となっているが。
『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界を動かせる唯一の人間だ』
彼から語られたのは、信じられない現実だった。
プレイヤーはこのゲームをクリアせねばログアウトは決して出来ず、もし外部から無理矢理に解除を行おうとすればプレイヤーの脳はナーヴギアに搭載されたモーターによる高出力マイクロウェーブが脳が破壊するという事実だった。そしてゲームの中で死を迎えると、蘇生アイテムなどにより復活することはできず現実の肉体が生命活動を終了する。
つまり、このゲームはデス・ゲームと化してしまった。
『これはゲームであっても、遊びではない』
そう言い残し、GMのアバターは消えた。
残された一万人ものプレイヤーは自分たちが箱庭に囚われたことを理解し、そして中央広場は瞬く間に困惑に包まれてしまった。その中で冷静に動けたのは状況を正しく理解した、本のひと握りのプレイヤーたちだった。
そしてゲーム開始から一ヶ月で、二千人が命を落とした。
二年が過ぎ、ゲームの大部分が攻略された頃には六千人にまで数を減らしていた。
しかし、上層に上がるほどに難易度は桁違いに上昇していく。
現在までに攻略されたのは七十四フロア、残すは二十六階層のみ。
されど、未だに最上階まで到達する目処はたってはいない。
読んでいただき、ありがとうございます。
この物語は原作主人公――キリトの代わりにオリジナルの主人公に活躍してもらう話となっております。原作における時系列のズレや死亡していたキャラが生存していることがあります。タグに関しても全部乗せるとネタバレになるので、表記していないものも含まれております。
私としてはマザーズ・ロザリオ編まで書こうと考えております。投稿間隔としては、どうしようか悩んでおります。書き溜め分は後五つありますが、ゆっくりにすべきか一気にすべきか。
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