俺、連装砲になりました 作:αスタイル
俺はある日突然、気づいたら知らない世界にいて、体がちっちゃいロボットの様なものになっていた!
巨大な女、俺と同じ姿の奴……この先……一体どうなるんだぁ!?
俺がいた世界では、人型の装備と粒子圧縮技術の発達により生まれたビーム砲が存在した。
艦娘がいるこの世界も艤装と呼ばれる武器が意思を持ち、会話が出来るほどの技術力を持っていた。
……きっと、俺がいた世界よりも技術力が上なのだろう……。
第2話 : 《俺、海に出ました》
俺が連装砲と呼ばれる艦娘の艤装になってから早一週間、様々な事が分かった。
まず、艦娘は海の上で戦う戦士であること。そして、その敵の深海棲艦がいる事。深海棲艦の行動パターンは読みにくく、また、一体何の目的があって人類を敵と認識するのか……全くと言っていいほど分かっていない。
「まぁ、考えた所で俺達が今やるべき事は一つ……奴らを倒すことだけだ」
そんなことを言いながら照さんは相も変わらず葉巻を吸っていた(煙やっぱり出てないけど……)。
何がともあれ、俺がやるべき事は二つある。元の姿に戻る事、そして元の世界に戻ること。この二つを成し遂げなければならない。この不便な体のまま余生を過ごすのも癪だ。
それはそれとして……
「キュウ!キキュウ、キュウ〜!!」
「誰だお前?」
先程から俺の横でずっとくっつきながら楽しそうに鳴き声を上げている連装砲がいるのだが……。
「島ちゃんだ、俺達と同じ連装砲だよ。ただ、コイツは喋れない」
「キュウ!」
「あ〜そうかい」
島風と呼ばれる艦娘の連装砲らしい。照さん曰く、「コイツは早い」だそうだ。同じ連装砲の俺が言うのもなんだが……そのモグラが地面から頭出した様な足で速いのか?
しかし……こうもずっと工場の中で座ってただ雑談と言うのも困ったものである。深海棲艦との戦争をしていると言うのに、一向に出動する気配は無い。
「そう言えば、照さんは深海棲艦との戦闘歴はどれぐらいなんだ?」
「……無いな……」
……はい?
「俺は戦闘をした事が無い」
「そのハードボイルド感で!?」
照さんは「誤解だ」と首を横に振った。
「演習なら数回出た事がある。悪いが、俺も照月も動きは良い方だ、だがな……足りないんだ」
「足りない?」
「秋月型の駆逐艦は艤装の左右に俺達連装砲を乗せることが可能なんだ、それは秋月型が生まれた時からセットでな……しかし、照月だけは違った」
「まさか……」
「そう、相方が居ないのさ」
つまり、本来なら整っているはずの艤装が欠けている状態なのだ。照さんともう一人、連装砲がいなければならなかったのだが、それが今はいない。
「そこでだ、俺からの提案がある」
「提案?」
「そうだ、お前を照月に装備させる」
つまり、欠けた連装砲の部分を俺で補おうという事らしい。しかし、上手くいくのか?
「仮にそれをしたとして、俺は順応するのか?」
そう、艦娘の艤装にも様々な事があるのだ。
艦娘は大きく分けると駆逐、軽巡、重巡、空母、陸陽、水母、潜水艦、戦艦の八つに別れている。
また、その艦種に合わせた艤装という物がある。勿論、駆逐が戦艦の艤装は付けられないし、空母が駆逐の艤装をつけることが出来ない。それぞれの艦種に合った艤装が必要となる。
それは同種でも同じパターンがある。大まかな八つの分類から、更に分けることが出来る。
それは主に『〜型〜番艦』と総称される。照さんの相方の照月も秋月型二番艦である。
この『〜型』が同一で無ければ、同じ駆逐でも付けることは出来ないのだ。
「さあな、物事はやってみなければ分からないというものだ」
「やってみなきゃ……ねぇ……」
ここでお世話になってるし、何かしらの協力も必要だろう。俺は照さんの提案に乗る事にした。
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「無理聞いてくれてありがとねヴァジムくん、提督には私から報告しておくから」
『ありがと』
鎮守府の出撃場に来た照月、照さん、そして俺が来ていた。出撃場は艦娘が海に出る際に使用する射出口の様なものである。
新海域攻略などの外洋に出る際には輸送船を使い、出撃する時もあるそうだ。
「まぁ、お前は海に出るのが初めてだからな、俺達に任せておけ」
「すまない、頼りにさせてもらう」
艤装が上手く同調すれば、この先照月は出撃する事が出来る。上手く同調してくれれば良いのだが……。
すると、一人の女が話しかけてきた。
「照月さん、艤装の同調テストそろそろ始めますよ」
「お願いします
明石はこの鎮守府の艤装の整備、開発を担当している。
今回は艤装の同調テストなので彼女の力も借りることになっている。
「この子が例のヴァジム?今まで見てきた連装砲とは全く異なってますね」
『明石、俺みたいな変わったやつを見た事はない?』
「無いなぁ……色々な子がいるけど君みたいな子は初めて」
俺と同じ何かしらの変化のある奴がいれば何か俺が元に戻る方法が分かるかもしれない、艤装を良く弄っている明石なら見たことがあるかと思ったが……どうやら勘は外れたようだ。
「じゃあ乗せるよ?」
『オーケー』
明石に持ち上げられ、照月が付けている艤装の照さんが乗っていない方の空きに装備させられる。
「どうですか?何か痛むとか、頭痛がするとか無いですか?」
「大丈夫です!行けそうです!!」
照月は嬉しそうにそう言った。そこまでして出たかったのか……あの海に。
俺が照月の艤装に同調した所で、実際に海に出てみることになった。俺達は出撃場の射出口ラインに立つ。すると、ラインに照月の足が固定された。
「秋月型二番艦照月、出撃します!!」
その掛け声と共にラインに固定された足が前に強制的に前に出される。その反動を使い海へ出る。
「大丈夫か少年!落ちるなよ!」
「了解!!」
人間の時には味わった事ない感覚だった。視界も一際変わったもので、違和感ばかりであった。
『これより的を出現させます!』
明石の無線通信と同時に海面に複数の的が現れる。
「砲門、二時の方向!」
「少年!二時の方だ!」
照月と照さんの指示通りに二時の方を向く。海面の揺れの修正など初めてである。
俺の武器は両手から出た砲塔の様だ。
「目標、前方の的!撃てぇ!!」
照月の合図で的に向けて構えていた両手に力を入れた。
照月の両方から弾が放たれる。しかし、片方は砲丸だが、もう片方はビームであった。
「うえぇ!?」
「何!?」
照月と照さんが驚く中、砲丸は的を破壊し、ビームは的を溶かして貫き、海面に当たると巨大な水しぶきを上げた。
このビーム砲……紛れもなく俺である。
(……あ、あれ?)
おかしいな、二人共唖然としたまま俺を見ている。無線通信も無言のままである。どうやら、この世界の技術は複雑らしい。機械に知識があるのに、ビーム砲は開発されてなかったようだ。
しばらく無言が続いたが、やがて二人の声がその静寂を破った。
「ヴァジムくん!!本当に連装砲なの!?」
「どういう事だ少年!!」
「いや、何でって言われても……」
元から装備してましたと軽く言える訳では無い。どうしたものか……。
そう考えていた時、無線に連絡が入った。
『照月さん!緊急事態です!!深海棲艦が現れました!』
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