俺、連装砲になりました   作:αスタイル

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大鳳の侵食を止めるべく手がかりを探す俺たちだが……。


第7話 : 《俺、手がかりを見つけました》

 第7話 : 《俺、手がかりを見つけました》

 

 大鳳を助ける、それが今の俺の目的である。

 しかし、確かに全くと言って良い程に情報が無い。そもそも、事例が無い。今回のこと自体が初めてである。

 俺と照さんは歩きながら悩んだ。

 

「どうする少年?」

 

「どうしたものか……」

 

 下を向きながら歩いていると突如、全身が凍りつく感覚に陥った。まるで、蛇に睨まれたかの様な、ターゲットにされた様な感覚……

 俺はすぐさまに手を後ろに向けた。何故向けたのか分からない。だが、その手は真っ直ぐと一人の男を指していた。

 

「どうした少年!?」

 

「……分からない。だが、嫌な気分だ。まるで……嘲笑われてる様な……」

 

 すると、向こうへ歩いていこうとしていた男はピタリと止まるとゆっくりとこちらを向いた。そして、ニヤリと気味悪く笑った。

 その瞬間、再びあの感覚に襲われた。間違いない、コイツはーーー

 

「どうしたちびっ子?俺に何か用か?」

 

『……何者だ?お前?』

 

 光通信でそう聞いた。すると、男は更に気味悪く笑った。そして、俺の元まで歩いてきて何の断りもなく俺を持ち上げた。

 

『な、何を!?』

 

 そして、耳元で囁いた。

 

「気づいたのだろう?俺の『殺気』に」

『!?』

 

 俺は慌てて暴れて男の手を振りほどき、地面に着地してから距離をとった。照さんは何が起きているのか全く理解出来ていなかった。

 

『お前は……何なんだ……何が目的だ!!』

 

 自分でも何を口走っているのか分かっていない。このスーツの男はただの人間である。それでも、この男が出している『殺気』は只者ではない。

 男は笑いながら静かに口を開いた。

 

「じゃあこう呼んでくれたまえ、『ブローカー』と。俺は人間だよ」

 

『ブローカー……?』

 

「そう、そして俺の味方は……深海棲艦だ」

 

「「……!?」」

 

 この男!?

 自ら深海棲艦の味方と言い切った!?冗談にしては笑えない。

 一体……?

 俺と照さんが警戒しているとブローカーは再び口を開く。

 

「知りたいんだろ?あの装甲空母の侵食を止める方法」

 

『……!!』

 

「今日の19時、この鎮守府の崖に来い。そしたら教えてやる」

 

 笑ってそう言うとブローカーはそのまま歩き去ってしまった。

 しばらく俺達はその場で固まっていたが、やがて照さんが口を開いた。

 

「まさか行くとか言わないだろうな?」

 

「……何だ、分かってるじゃねーか」

 

「やめとけ、ロクな事がないことに決まってる」

 

 とは言え、この現状を脱するには藁にもすがる思いで探し出さなければいけなかった答えが、今すぐそこにある。

 罠である可能性も高い。だが……

 

「……だが、これと同時に深海棲艦についてのことも分かるかもしれない。情報は多いに越したことはない」

 

 

 

 

 ________________________________________

 

 

 

 

「……まさか本当に来るとは。少しは疑う事を覚えた方が良いんじゃないか?」

 

 指定された時間と場所、そこに奴はいた。相変わらず昼間に見せた薄気味悪い笑い顔が崖の端からこちらを見ていた。

 

『人の疑い方なら自分(テメー)が一番知ってるよ』

 

「そうかい、じゃあ早速話に……」

 

『いや』

 

 ブローカーは会話を遮られ、少しだけ不服な顔をした。

 

『お前の目的が知りたい。何が理由でこんな事をする?』

 

「そりゃまぁ……言うなら『楽しい』から?」

 

『楽しい?』

 

 ブローカーは「そりゃ勿論!」と言いながら両手を広げた。

 

「お前は自らが何故生きているか考えた事はあるか?国の為?正義の為?違う、この世を楽しむ為だ!それを人間はやれ法律だの規律だのと決まって『制限』をかけて自らの欲を封じ込む……そんなものがあって良い訳が無い。だから、俺は考えたのさ、この世界を一度崩して新たな世界を創るとな」

 

 要するに、今の世界が気に入らないだけなのかコイツは?

 確かに縛るものを作り出すのは時に自身の力を押さえつけ、弱体化させることもある。

 

『法律や規律は人類が何百何千と生きてきた歴史の中で生み出した己を正す為のものだ。それを否定するのはあまり同情出来ない』

 

「そうだろうな、この世界に生まれたからにはそう感じるように教育されたのだから」

 

『…………』

 

 どうも、深海棲艦側の人間と言うのは当たりのようだ。この男……本気で世界を変える気だ。

 

『ならば尚更、何故俺に協力する?敵である俺に協力して借りを作ろうとか考えてるのか?』

 

 ブローカーは満足げに息を吐いた。

 

「言っただろう?俺は人生は楽しむ為にあると……。これは楽しむ為のスパイスみたいなものさ」

 

『スパイスだと?』

 

「楽しみはあればあるだけ良いのさ」

 

 そう言うとブローカーはこちらに黒くて小さい物を投げた。俺はそれを取り、何なのかを確認する。

 

『……USB?』

 

「そこにあの装甲空母の侵食を止める鍵のありかが記録されている。頑張ってくれよ、小さな連装砲さんよ」

 

『……お前は本当に…………!?』

 

 顔を上げると、既に男の姿は無かった。

 




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