俺、連装砲になりました   作:αスタイル

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ブローカーと自称する男から海域の情報が入ったUSBを手渡される……。


第8話 :《俺、秘密の計画を始めました》

第8話 :《俺、秘密の計画を始めました》

 

 

 ブローカーとの接触の件についてはしばらく秘密にしておくことにした。そもそも、不確定要素が多すぎる。今、下手に動かれるのは危険である。

 俺は照さんに先程の状況を軽く説明した。

 

「つまり……俺達が知りたい情報はその中に入っていると……」

 

「恐らくな」

 

「ならば、解析してみよう」

 

 照さんはブローカーについて一切の事は聞かなかった。

 単に気にしていないだけなのか、それとも他に感じることがあるのか……?

 

「待ってくれ照さん、このUSBにウィルスが入っている可能性もある」

 

「ならば、犠牲になっても良い物を使えば良い」

 

「あるのか?」

 

 そう聞くと、照さんは顔をポリポリと掻きながら言いにくそうに言った。

 

「…………秘書艦(ひしょかん)のパソコン」

 

 

 

 

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「む?パソコンか?使って良いぞ、私はどうもそのチマチマしたのが嫌いでな。ほとんど使っていない」

 

『ワー、アリガトウゴザイマスー』

 

 秘書艦の長門(ながと)は書類に目を通しながらそう言った。何でこの人提督のそばで仕事をする秘書艦してるんだろう……と言う疑問はとりあえず心の中に閉まっておく。

 照さんはパソコンを開き、例のUSBの情報を画面に表示した。

 そこには海域の情報、敵の戦力と、侵食を止めるために必要な物の詳細が書かれていた。

 

「これは……」

 

「ブローカーとか言う男、本気で我々にこの海域を攻略させようとしてるらしいな」

 

 侵食を止めるために必要な物は……軽巡ト級が持っている。物の存在のと使用方法は書いてあるが成分等は書いていない。あくまでも秘密主義か。

 それ以外にもイ、ロ、ハ、ニ級が数隻、そして、詳細不明のフラッグシップ……。

 フラッグシップとは、個体の本来持っている力が上げられている艦の事である。そして、大体はそれが敵の旗艦となっている事が多い。

 

「かなりの戦力だな」

 

「少なくとも、後数人援護が要りそうだ」

 

 この場合は、駆逐三隻に軽巡一隻は欲しい。だが、秘密裏にやる必要があるから応援は頼めない。この事が知れれば止められてしまうからである。

 見つかれば任務は失敗、そんな状況の中、既に俺達は失敗をしていた。

 

「……ん?何だお前達、何処でその海域のデータを手に入れた?」

 

((し、しまったァァ!?))

 

 そうだ、長門のことを忘れてた!すっかり書類にしか目を向けてないから行けるかと思ったのが間違いだった!!

 長門はまじまじと画面を見る。

 

「……まさか、この海域に行こうだ等とくだらない事を考えてないだろうな?」

 

『いや、えっと……んー?』

 

「…………」

 

 長門はじっっと見てきた。やめろ、そんな目で俺達を見るんじゃねぇ……心が折れそうになる。

 長門はしばらく無言でいたが、やがてため息をつくと「ここで待っていろ」とだけ言い部屋から出て行ってしまった。

 

「どうするんだ照さん!このままじゃ何もかもおしまいだ!」

 

「落ち着け少年!!確かに秘書艦にバレたのは痛手だ、だがまだ焦る時ではない!」

 

 照さんはそう言うとパソコンに差していたUSBを乱暴に引き抜き、こちらに見せた。

 

「幸い、秘書艦はこれがなければ見れない事を恐らく知らん!これを抜いておけば大丈夫だ!」

 

「力技だなおい!?」

 

「この際だ!このままここから抜け出すぞ!」

 

 そう言うと照さんは何の躊躇いもなく走り出した。俺も「クソっ!」と悪態をつきながら後に続く。

 

「で?抜け出したはいいがどうするつもりだ!」

 

 廊下を短い足で走りながら俺は照さんに聞いた。

 

「どの道にせよ鎮守府の援護は受けられん!ならば協力者を探すしかないだろう!」

 

「協力者って言ったって、そんな奴いるのかよ!?」

 

「……これは賭けだが、ないことはない!」

 

 

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 秘書艦から逃げ出した俺たちが向かった先は艦娘達の宿舎だった。

 まさか照さんは艦娘に協力を頼もうとしているのか?それは愚策だと俺は思っている。何せ艦娘は例外なく海軍に所属している。俺たちが今からしようとしていることに乗ってくれるとは到底思えない。

 

「ここだ、この時間なら部屋の中にいるだろう」

 

 照さんは重巡艦の部屋の前に俺を連れてきた。軽巡なら分かるが一体何故重巡なのだろうか?俺の疑問を残したまま、照さんはそびえ立つ木製のドアをノックした。

 

「む……少し待て、今開ける」

 

 すると中から女性の声が聞こえた。声が聞こえてからすぐにドアは開かれ、中からサイドテールの髪形に紫色が目立つ服を着た厳格な性格であろう女性が姿を現した。

 

「なんだ連装砲か、羽黒なら今外に出ているが……」

 

『いや、大丈夫だ。今日はあなたに話があって来た』

 

 照さんがそう伝えると女性は「私に?」といった顔をした。

 

「……分かった、話は中で聞こう」

 

 そう言うと彼女は俺たちを部屋に案内してくれた。

 部屋の中は木製の二段ベットが二つ対面する壁に各一個ずつあり、その他にも畳のスペースや机、洗面所等、生活に必要なものが揃っていた。恐らくこの宿舎のスタンダードな形なのだろう。

 俺は照さんの肩を叩いた。

 

「なぁ照さん。あの女性は誰だ?」

 

「おっと、お前は知らなかったな。紹介しよう、彼女は≪那智(なち)≫。妙高型二番艦の重巡だ」

 

「ふぅん……。それで?どうして彼女の所に来たんだ?」

 

 照さんは俺の質問に「少し待っていてくれ」とだけ言い、那智に先程のUSBを渡した。

 

「これは……?」

 

『それにはある海域の情報が入っている』

 

「海域の……?」

 

 那智は「少し借りるぞ」と言うと備え付けてあったパソコンにUSBを差し込み、中の内容を表示する。

 

「これは…………」

 

『海域とそこにいるであろう敵勢力の予想、そして……≪浸食を防ぐ為の方法≫だ』

 

「!!」

 

 那智の顔が曇る。照さんは構わず会話を続ける。

 

『入手先は言えないが、その情報はほぼ正しいと言えるだろう。海域の場所としても気軽に行ける場所ではない……。危険は伴うがそれに見合う報酬は得られる』

 

「……これを私に見せて何が言いたい?」

 

 照さんは葉巻を口から外す。

 

『簡単だ。我々をその海域に連れて行ってもらいたい』




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