→ンなの書けるか!と実力の壁にぶち当たッて投げる
→じゃあいっそ転生者系主人公にして、最後にどんでん返しを……
→ンなの書けるかい!と実力の壁にぶち当たって砕ける
→放棄しようと思ったが、長い間こねくり回してたおかげで愛着が沸いてしまう(new)
と言う訳で、オーバースペックキャラを投入する系最低SSです。
魔改造アマニな主人公が、盗んだ四凶で走りだしたり、VRMMOで口説かれたり、スクールの脱落者をハイエースしたりします。
cap.5billion 伝承の終焉
宇宙戦艦“カミオの箱舟号”――銀河屈指の戦闘力を備えるその巨艦の艦橋で、一眼三足を備えた巨大なメロンが一人気勢を上げていた。
彼のみならず、艦内の多くを占めるメロンに良く似たそのシルエット、二枚貝の様な構造を持つ珪素系知的生命体“カミオ星人”。その中で、一人檄を飛ばし続ける男は、銀河に名立たる“死の商人”ガッハ・カラカラ。
この宇宙における珪素系知的生命体種は、彼等の敵たる伝承族の“銀河砲計画”に不適合である事から、その情報操作を受け、長く“下賤な石っころ”と蔑まれていた。
その偏見が生んた、捕獲・改造され、安価な兵器として使い捨てられると言う珪素生命体たちの地獄を、その逆境を駆け抜け、今や銀河豪商と呼ばれるまでになった希代の豪傑。血と硝煙の中を這いずり、金を集めて、同胞を、文字通りに砂粒を一粒一粒拾い上げる様にして救い続けていたカミオ人の英雄。銀河統一の旗印、勇者“
そんな彼をして、現状は、まさに最低。敵の奇襲に王手を取られてその解法も見つからず、艦隊全てが葬儀の様に沈み込んでいた……が、しかし、そんな最悪にあってなお、ガッハはその程度ピンチとも言えぬと、一人嘯き、檄を飛ばし続ける。
状況は、控えめに言って最悪。勇者の故郷である伝説の地、今や銀河融和の象徴となった青の円卓“地球”と、敗北に備え、僅かな確率でも生存者を残せればと作られた箱舟宇宙船――その二つ共が、伝承族の長である巨大生体コンピュータ“神帝ブゥアー”の手に落ちた。
本来は立ち向かうべき統一軍も、旗印である勇者と多くの仲間達が、同一性を保ちつつ分子間距離を極限まで開き、その存在を希釈すると言う超技術による奇手で、地球諸共、文字通り手の届かない状況へと隔離されて混乱状態。そこに、ブゥアーを我が物にせんとする伝承族の反逆者達の思惑が重なり、状況は想定された最悪の底を突き抜け、口を開けた奈落へと転がり落ちていく。
だが、伝承族を打たんと集まった各文明圏の勇士が、敗北の確信に打ちひしがれうなだれる中でも、彼が膝を折る事はない。
「ブゥアーの原子を探知するでも、奴らと同じサイズに拡大するでも、どっちでも構わねぇッ!
探せっ! 銀河中の頭脳が集まってるんだ、必ずその方法は見つけ出せる」
叱咤し、激励、座り込む尻を蹴り飛ばす。お前たちが石ころと蔑んだカミオ星人ですら、その程度の逆転はしてのけたぞと、英雄の一角足る彼は叫び続けて、しかし……。
《……では》
気炎を上げるガッハの耳に、終に届いたその返答は、彼の望んだ物ではなかった。
《その手段、この私が提供するとしましょうか》
それは、こえ。それは、地球が消え空白となったその宙域そのものを震わせる、巨大な、強大な、
文字通りに脳を震わす、その響きにまず聞いた全てが息を呑み、一拍遅れて艦隊のオペレータ達が、異句同音に恐れを含む言葉を吐き出す。
「ぜ、前方に惑星規模か……い、いえ、これは伝承族です!」
――伝承族。
彼らの敵。才能の有る生命を自らの遺伝子で侵食同化する事で増える、宇宙を喰らう怪物。
想像しうる最強の超能力者の脳組織を極限まで強化した細胞を、惑星サイズまで培養したら同じような存在に仕上がるだろうか?
永遠にも等しい寿命、真空中でも問題なく生存可能な細胞、強大な再生力。その知覚力は全てを捉え、少なくとも宙域一つを素粒子の運動からエミュレートする演算力、念動で空を歪め星を砕き、ただ近付いただけで惑星が崩壊する。それは、この宇宙でも最強の生命体と目されるもの。
目の前のスクリーンに映し出されるその姿に、ガッハは思わずと言った風に驚きを漏らした。
「なっ、アイツはっ!」
分断された彼らの前に伝承族が現れる、それ自体は想定外ではない。
しかし、その個体は……スクリーンに映し出されたものに、ガッハが咥えていた煙管めいた形のデバイスがポロリと落ちる。
一般的に巨大な生首と言った形状をした伝承族の中では、間違いなく異端であるその姿。
彼等の目の前に聳え立つ物は巨大な鋼。その上端を残して二つに分かれたその形を擬えるなら、原始宗教のシャーマン達が被る巨大な仮面。
その実際の機能はと言えば、攻撃型双胴空母、或は、移動型宇宙要塞と言った所か?
「アマニ、アマニ・オーダック、だと?」
伝承族反乱軍、自称、伝承族一の機械工学者、アマニ・オーダック。
嘗て彼等と戦い敗退、完全破壊された筈の敵が、その身から夥しい艦船を吐き出しながら、彼等の艦隊に相対止していた。
《ほほほほほほほほほほほほほほほほ………》
そんな彼らの驚きに気付いたかのように、目の前の巨大な仮面から放たれたけたたましい狂笑が、宙域全体を埋め尽くす。
強大な力を持つが即応性に欠ける伝承族の、隙を埋める戦力を備えたかつての強敵。
その精神に狂気と驕りさえ無ければ、或は、彼等を打倒していたかもしれない存在。
《お久しぶりですね、ガッハ・カラカラ。
まずはカミオ人解放条約締結おめでとう、と言っておきましょうか》
その機械への狂愛を除けば、同族以外の知的生命体を侮蔑する典型的な伝承族であった敵の、投げかけた意外な言葉にガッハが一筋の汗を垂らす。いや、実際には珪素生命体である彼が汗を垂らす事は無いのではあるが、ともあれ、人に擬えればその様な反応を彼は示した。
宇宙一つのエミュレートすら可能とする演算力を持つ伝承族、あの脳髄の怪物達にとって、人間一人などシャーレの上の細菌一匹程度の存在にすぎない。それが銀河統一軍の将帥とは言え、ガッハ・カラカラと言う一個体に、それも統一軍の戦力分析とは殆ど関わりない内容について話しかけたのだ。
それがある種の示威行動なのか、或は、本当に何の気なしに放った社交辞令なのかはわからない。けれど、どちらにしても、目の前のアマニは、以前正対した時の程彼らを侮ってはいない。かつて、手加減しその虎の子の戦力を温存しながらも彼らを半壊せしめた敵が、だ。
しかし、果たして目の前のそれは、本当にあのアマニなのか?――その様子からガッハの疑問に気付いたか、先のオペレータが再びその口を開く。
「ESP波のパターン解析終了。間違いなくアマニ・オーダックです。
……周囲の艦船のエネルギー反応増大。計測値、少なくともA級コレクション以上」
そして続く報告に、流石のガッハも思わずその息を飲み込んでいた。
自称機械工学者、実態は宇宙船コレクターであったアマニは、その蒐集品を持てる攻撃力で区分けしていたが、A級とはその区分けの最上位カテゴリ。恒星破壊級……そう、最低でも単艦で、星系規模を破壊し尽くせる艦の集まりだ。自軍以上の数の、しかも、以前の収集物を適当に出しただけと言った風な有様とは異なり、明らかな同一規格艦で構成されたそれが、今ガッハの目の前で見事な艦隊行動を見せていた。
対し、ガッハ等率いる艦艇は、その大半がアマニ基準ではBクラス、単艦で惑星破壊が可能なレベルにとどまっている。それが数でも劣り、先の奇襲で士気すら下がっていると来れば、まるで勝ち目が――いや、それ以前に向うに敵対意志があれば、既に先制の一撃で終わっていただろう。
「テメェ、どうやって生き延びた!」
それにそもそも、目の前で笑うこの男は遠の昔に死んでいる筈なのだ。それも、ガッハの目の前でだ。
かつて矛を交えたこの伝承族は、仲間であった筈の伝承族反乱軍の策動でその最強戦闘艦“リプラドウ”に捕えられ、彼等諸共生贄にされかけた所を、一計を案じた統一軍に完膚なきまでに破壊されており、その残骸もまた、資材或は研究材料として利用され尽くしている。
その後処理を担った軍需企業の社長こそが、銀河豪商ガッハ・カラカラ。だから彼は、最後の爆発に紛れて逃げ出したにしては、アマニの残した残骸の量が多すぎる事を知っていた。
あり得ない事が起きている――だからその思いは、遺体から根こそぎ剥ぎ取った彼が一番強く感じていたのだろう。今の意図より先に、どうやってと、過去の手段を問うた彼に、しかしアマニは笑声を答えとした。
《……ほほほほほほ、驚くほどの事でもないでしょう。あのリングロドにもできたことです。
尤も、私は彼のような考えなしではありませんから、あらかじめその用意を整えていましたが》
伝承族、惑星リングロド、いまや十人衆の一人、惑星規模艦“メタルビーチ”となった伝承族の反乱者。
銀河砲計画のピースとして殺されそうになった彼は、惑星崩壊の衝撃に紛れてテレポートする事で、自らの死を偽装し逃げ去ったことがある。だが残留物の問題に加え、そもそもあの時のアマニは、伝承族の念動を超える力を持つラドウに捕えられ、動けなかったはずだ。
『……ッ、どうやってあのラドウから逃げた?』
《それこそ愚問。私が、どれだけ長い間“伝承族唯一の機械工学者”を続けていたと思っているのですか?
この機械混じりの体が見えぬとでも?当然、オプタの一族とも当然親交がありましたし、反乱軍などよほど多くを知っていますとも。
そして、近い条件であれば、“脳”の質量が多い方が勝つのは必然です。
なにしろ、ブゥアーになりたがっていたガタリオンやオプタの者達とは違い、私は自らを改造する事に躊躇などありませんからねぇ》
ガッハが思い浮かべたそんな疑問を見越したか、或は、超能力で文字通り読み取ったのか? 嘯くアマニに、ガッハと、そして、脈絡もないその答えを理解できた極少数の顔が更なる驚愕に歪んだ。その台詞を言葉通りに理解するなら、目の前に在るものは、200mクラスの宇宙船のサイズで惑星大の伝承族を超える能力を発揮したラドウを、より優れた技術で改修し惑星大まで拡大した存在に等しい。
それがこう呑気に話をしている以上、敵意があると言う可能性はほぼなくなったわけだが、しかし……。
《……まぁ、積もる話は幾らでもありますが、生憎互いに忙しい身の上です》
そんな思考を巡らせるガッハの前で、アマニがぽつりと、こう続けた。
その内容に、統一軍を戦慄が走る――そして、
《ここはまず、互いの要件を済ませてからと言う事に致しましょうか》
その宣告が終わるや否や、両軍は瞬をも置かずに動き始めた。全力回避、統一軍が敵手を窺いながら、しかし一様の焦燥をもって逃げるその目の前で、ゆっくりとした前進を始めた巨大仮面のその表面に、幾重かの光のラインが走る。続いて悠然、進み始めるアマニ艦隊。そんな対手とは裏腹、軽減しきれぬ反動に揺れる艦橋の真ん中で、ガッハは確かに見た。ラインが集まる仮面の瞳、その位置に納まる二基の機動要塞の中心から、ほとばしった数条の光が、統一軍と仮面との挟間、その中間辺りに孤を
そう、
「一体、テメェ一体、どういう心算だ」
……目を見開いたガッハの口から、思わず、と言った風な震える呻きが漏れた。
開けた口のその先は、戦場。その輝きが円弧を繋ぐと同時、統一軍データリンクの途絶していた輪が復旧。先のブゥアーに巻き込まれた艦を示すその信号に、無数の艦橋が驚愕、歓喜、畏怖……様々な情を湛えたどよめきに飲み込まれていく。
しかし、そんな波にかき消され意味を失ったその言葉を、虚空を隔てたその者は確と聞き取っていた。
《ほほほ、先に言っておいたはずですよ。その手段、私が提供しましょう、と……。
その先が、貴方が行きたがっていた戦場――今現在、隔離されたあなた方のお仲間は、そこでラドウ量産機達と戦っています》
勿論、信用しろとは言いませんが……紡がれるその言葉と同時、アマニ艦隊全軍加速。それらは一つの生き物の如くに整然と、しかし、統一軍のそれとは一線を隔する速度と勢いとで奔り始めた。狭間へと、目の前の空隙へと、その巨大な仮面は無数の艦船を率いて、殺到する。
《そして、今こそ我らの動く時! 我ら、第九軍……敗残者達の群れ。今この時より参戦し、暴走するブゥアーを停止する》
そして続く、アマニの、こえ。高らかに、空間を響かせる、
その後に幾多の雄たけびが轟く。真空の壁を経て、耳には聞こえない、けれどガッハには、そんな気がした。
統一軍を、世界を守る、勇者を旗頭にそれが為に集まった戦士たちを、倍する熱意と勢いを以て、第九軍が、自称・敗残者たちの群れが、その巨大な奔流が、目の前の穴へと流れ込んでいく。
《そう、私は、我々は、五十億年この時を待ったのだ!》
○伝承族
惑星大の生首の様な宇宙人……と、思われているが、実際には、条件を満たした炭素系生命体を生体改造する事で生まれる巨大な強化生体。
永遠に等しい寿命と不死身を思わせる再生力、膨大な演算力に、それが齎す強力な超能力を備えるが、その本質は、不可避の滅びに瀕していた宇宙が、後世にその足跡を残す為に作られたモニュメント“神帝ブゥアー”の増設メモリである。
宇宙最強の進化者の名を恣にする怪物だが、その規模の巨大さ、寿命の長大さに比例した時間感覚の鈍さが欠点。
○アマニ・オーダック
伝承族反乱軍の一員として登場したサイボーグ?で、自称・伝承族最高の機械工学者。
もっとも、物語内の描写は完成品をコレクションするばかりで自己改造以外には蒐集した技術を生かしている様子は見当たらない為、機械工学者の肩書はただの自称か、或は、伝承族になる前は機械工学者だっただけだと思われる。
惑星リングロドの言葉によると、自身やアマニを含む一般市民は、伝承族の敵の存在を信じており、その打倒手段としての銀河砲計画、それからの救済手段である宇宙のデータ収集に従事しているが、その異端者であったアマニは、銀河砲計画に対して宇宙船を用いた通常戦力の増強による敵対勢力の打倒を訴え続けた為に冷遇されていた。
その為にやさぐれてしまった彼は、唯一自分の主張を認めてくれた伝承族反乱軍の煽てに乗り、その捨て石として生を終える事になる。
神帝ブゥアーの手足兼増設メモリでもある彼等伝承族の成体には、何らかの枷がかけられていると思しき描写が散見されますが、彼は、“おそらくは、何らかの不良によるその狂気故に”、それを無視した行動をとっている希少な個体です。