エセ料理人の革命的生活   作:岸若まみず

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今回は完全にオリキャラの話なんで飛ばしても問題なしです。
時々出てくるきらりインスパイアのラーメン屋の店長の話です。

あとやってみたかったから掲示板回書いたんですけど、めっちゃ難しいですね。


ドチャ盛りトロピカルの話

俺はMC劉備玄米、ヒップホップグループ『トロピカル』のラッパーだ。

 

だが最近はクルーのMC曹操妄想とDJ孫権厨房と一緒に、ずっと家でラーメンを作ってる。

 

トラック作らずにラーメン作ってるのにはわけがある。

 

 

 

あれは今年の夏のこと。

 

たまたま通りがかったラーメン屋にすげぇ数の客が並んでた。

 

こりゃ相当美味いんだなと期待して入ってみたんだけど、すぐに後悔したね。

 

出てきたのは控えめに言って残飯、悪く言えば生ゴミ、いや豚の餌だな。

 

とにかく汚い盛り付けの野菜の上ににんにくと油がかかってる変なラーメンだった。

 

みんな喜んで食べてるとこに水差しちゃいけないと思って、嫌々ながらもとりあえず口にしたんだ。

 

そしたらもう、口の中に広がったのは濃厚な豚の味。

 

このスープのかかったもやしとキャベツだけで永遠にいけると思ってたら、シャキシャキのにんにくがツーンと鼻を抜けてもう大変だ。

 

極太の麺が凄まじいリフト力で口にスープを運んできて、今までのラーメンに感じたことがない力強い小麦の匂いと交わって口の中で爆発を起こした。

 

そっからはもう無我夢中にかきこんだ。

 

気がつけば丼の中身はなくなっていて、俺はすぐに列に並び直した。

 

もちろんクルーにもファミリーにも「今すぐ来い!」と連絡した、これは事件だからな!!

 

結局来たのは働いてないクルーの2人だけだったが、集まった全員でこの後2周した。

 

合計3杯も食った俺は腹痛で病院送りになったけどな。

 

でもその待合ロビーでブロ達と誓ったんだ。

 

「俺らあのラーメンにはガチで行こうぜ!」ってな。

 

それがいわゆる『桃園の誓い』ならぬ『ラーメンの誓い』となったわけだ。

 

 

 

次の日、ラーメン屋について愕然とした。

 

きれいさっぱりなくなって、カレー屋になってた。

 

愕然と立ち尽くす俺達に常連らしき人達が教えてくれたよ。

 

昨日はこの飯屋きらりっていうカレー屋のイベントの日で、あのラーメンは二度と食べられないかもねってさ。

 

絶望したぜ、喪った物の大きさに。

 

ただ、カレーは美味かった。

 

 

 

そっからの俺はぬけ殻みたいだった。

 

気がつけば毎日毎日飯屋きらりの前にいて、自販機の金麦を飲んでいた。

 

毎日一番前に並んでる眼鏡のおっさんとも自然に仲良くなった、カレーも美味いからついでに食べた。

 

嫁さんも休みの日には心配してついて来てくれた、二人でカレーを食った。

 

そうして一月ほど経った頃だ、曹操妄想が俺に言った。

 

「俺らがあのラーメンを作ってみればいいんじゃね?」と。

 

俺は翌日、なんとかしてレシピを教えてもらおうと開店前のきらりの門を叩いた。

 

結果は撃沈「企業秘密ですので」と蒼い髪の女に笑顔で言われてしまった。

 

だが俺は諦めない。

 

俺は毎日毎日開店前のきらりの前で土下座しつづけた。

 

俺だけじゃない、毎日じゃないが曹操妄想も孫権厨房も一緒に来てくれた。

 

音楽活動は完全にストップだ。

 

それどころじゃない!

 

今はラーメンで忙しいんだ!!

 

 

 

どれぐらい経っただろうか。

 

毎日の土下座による日焼けで首や手の甲が真っ黒になった頃、たまたま俺らの前をきらりのオーナーが通りかかった。

 

兄ちゃんどうしたんだと金麦を奢ってくれて、話も聞いてくれて、大まかにだけどレシピまで教えてくれた。

 

3人で必死にメモを取った。

 

オーナーはまだ若いのに本当にでっかい人だった、天才料理人と言われるのもわかる。

 

まさに男の中の男、あのラーメンを作っただけのことはあるぜ。

 

そしてその日から、俺達のきらり式ラーメンとの死闘が始まったのだった。

 

 

 

まさに悪戦苦闘の日々だ。

 

なんせ3人ともバカすぎて、まず取ったメモの内容が全部バラバラだった。

 

だてに中卒なわけじゃない。

 

 

 

「このポーションって粉で麺を……」

 

「いやモーションだべ?」

 

「マンションって書いてあるがや」

 

 

 

一事が万事こんな調子で、メモの解読は困難を極めた。

 

そのため次の週には3人の嫁さん連中どころか、地元で小料理屋をやってる孫権厨房の義母まで巻き込んでの一大プロジェクトとなっていた。

 

そしてあれよあれよという間に話は大きくなり、うまいラーメンを再現するという話は俺たち3人がラーメン屋をやるという話にすり替わってしまった。

 

 

 

「婿さんらが音楽なんかやってるよか、食べ物のお店やっててくれる方がなんぼか外聞がええわな」

 

 

 

という俺の義母の鶴の一声によって店は即座に用意され、俺達は就職という罠にまんまと追い込まれてしまったのだった。

 

 

 

 

 

「みてみて、看板作っちゃった♪」

 

 

 

そう言ってある日嫁さんが持ってきた看板には、立派な書体で『ドチャ盛りトロピカル』と書かれていた。

 

トロピカルは俺達のヒップホップグループの名前だが、ドチャ盛りって何だ?

 

 

 

「なんだよこの『ドチャ盛り』って」

 

「あんた達よく『ドチャクソ』って言ってるじゃない?ドチャクソ盛るからドチャ盛り〜」

 

 

 

俺の嫁さんは大卒だけどちょっとふわふわしている。

 

下手に否定したりするとすぐ怒って泣きだすから、この看板も嫁さんが忘れた頃にこっそりと書き直してもらおう。

 

 

 

「時々行くから頑張ってね〜」

 

「時々かよ」

 

「だって匂いも量もすごいんだも〜ん」

 

 

 

たしかに匂いも量も凄い。

 

もしまかり間違って繁盛したとしても、あんまり女性客の見込めないニッチなラーメン屋になるに違いない。

 

 

 

「有名になったら純ちゃんの好きなKTRも来てくれるかもね〜」

 

「俺を本名で呼ぶな!しかしKTR……?そうか、そういう可能性もあるよな」

 

 

 

俺らの神、ヒップポップの始祖であるKTRは日本人の男と言われているからな。

 

東京でラーメン屋をしていて有名になれば、来てくれる可能性は大いにあるよな!

 

絶対サイン貰うぞ!

 

いや、もし音楽も聴いてもらえたらプロデュースって線もありえるか?

 

よーし、俄然やる気が出てきたぞ!!

 

結局その後看板を書き直すタイミングはなく、俺達のラーメン屋はそのまま『ドチャ盛りトロピカル』としてスタートする事になる。

 

そして店のレジに置いた我らトロピカルのCDは、どれだけ店が繁盛しようともいつまでも1枚も売れないままなのであった。

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

きらりで家系が出される前の8月の話です。

 

【漢】関東きらりインスパ総合56【ラーメン】

 

 

0338 名無しの豚 Ku4s0BTa 2015/08/28

 

>>334

 

きらりの話はきらりスレでしろ

 

 

 

0339 名無しの豚

 

ここは何スレなんですかねぇ……

 

 

 

0340 名無しの豚

 

>>339

 

ここにおるやつで本家食ったことあるやつなんかおらんやろ

 

 

 

0341 名無しの豚

 

この話題飽きた

 

 

 

0342 名無しの豚

 

誰かマッドコイン買って本家食べてこいよ

 

 

 

0343 名無しの豚

 

>>342

 

もう個人で手出せる値段じゃない

 

 

 

0344 名無しの豚

 

>>343

 

うちらでも初回ぐらいは買えたのにな

 

 

 

0345 名無しの豚

 

>>344

 

7月のマッドコインでも800万だぞおうあくしろよ

 

 

 

0346 名無しの豚

 

勘太郎はアニメやめてラーメン屋作れよ

 

 

 

0347 名無しの豚

 

>>337

 

あのレベルの人間が今更ラーメン屋なんかするかよ

 

うちらの生涯賃金が月収みたいな人だぞ

 

 

 

0348 名無しの豚

 

今日トロピカル本店でまた劉備が業者にラップしてたぞ

 

「店長劉備 いつでも本気

食材なければ 一切休業

それでも努力は認める度量

遅れる納期に大徳発揮」

 

う〜ん、これは5点w

 

 

 

0349 名無しの豚

 

誰か木下純平のCD買ってやれよ

 

 

 

0350 名無しの豚

 

>>349

 

お前が買え

 

 

 

0351 名無しの豚

 

レポしろ更新あったぞ

 

今回は高円寺の焼豚雷光軒

 

 

 

0352 名無しの豚

 

シロはそのうち死ぬわ

 

食いすぎ

 

 

 

0353 名無しの豚

 

>>352

 

あいつきらりからの古参だけどめちゃくちゃ痩せてんだよな、結構美人だし

 

 

 

0354 名無しの豚

 

ラーメン大好きおばさんの話はmi○iでやってどうぞ

 

 

 




若おかみは小学生見てきました。

僕含めた周りの大人が泣きすぎて、隣に座ってた小学生がドン引きしてました。

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