「はい、じゃあまずはこの参加承諾書にサインして」
アンコさんが第二試験の説明をした後に渡されたのは、第二試験の参加承諾書だった。この試験は、「天」と「地」の両方の巻物を持って、5日以内にゴールするというものらしい。各班に「天」か「地」のどちらかの巻物が分けられるため、それを奪い合う方式だそうだ。
渡された参加承諾書の概要欄を見てみる。どうやら死の危険性があるらしい。周りの受験生の中には顔が青ざめている人たちもいる。
「どうしたの、シュン?早く提出しに行きましょ」
「私たちはもうサインしちゃったわよ」
「ん?ごめんごめん。周りの人たちも様子を見てたんだ」
僕が周囲の様子を確認してるとナツナとシイナが話しかけてきた。この2人は全然恐れている様子がない。心強いな。僕はすぐに参加承諾書に自分の名前を書いて、ナツナとシイナと共に提出した。
僕たちが参加承諾書を提出して戻ってくると、ナルトが何か叫んでいてアンコさんがクナイを投げていた。・・・ナルト、もう少し落ち着こう。
「あの試験官の人おっかないわね」
「でもあの人の動き凄いよ。試験官を任されてるぐらいだしね」
「!?」≪ゾクッ≫
その時、僕は背筋が凍るような視線を感じた。ナツナとシイナの2人は話に夢中になっている。僕はすぐさまあたりを見渡したが、特に怪しい人はいなかった。・・・いや、舌でクナイを拾っている変わっている人がいた。
「あの人の舌長くない!?」
「そんな術あるの?」
「い、いや体質かなんかだと思うけど・・・」
呼吸を落ち着けつつ2人に返答する。さっきの視線は気のせいか・・・?
「皆参加承諾書にサインしたようね。では今から各班に巻物とこの森の地図を渡すわ」
受け取った地図と巻物を確認する。僕たちは「天」の巻物か。ということは他の班から「地」の巻物を奪わなければならない。
「各班、巻物と地図を受け取ったわね?じゃあ、10分後に試験を開始するからそれまで作戦をたてるもよし、談笑するのもよし、好きなように過ごしなさい」
その言葉を皮切りに各班が色々な場所に移動する。僕たちはフェンスから離れた大きな木のところに集まった。
「どうする?」
「先に行って罠を張るっていう手もあるけど、待っている時間がもったいないよね」
「5日間分の飲食も考えなきゃならないからね」
「大掛かりなものを仕掛けても、相手が罠にかからなかったら無駄になる」
「ばれないような罠を仕掛けて、誰かが相手を罠の所まで誘うっていう手もあるよ」
「シュンの作戦良いわね」
「罠まで誘って各個撃破ってことね」
「じゃあ、取り合えず今言った作戦にしようか。成果が出なかったらまた別の作戦を考えよう」
「そうだね」
「ええ」
簡単に作戦のことについて話し合った後、ナツナとシイナに断りを入れ談笑しているナルトのもとへと向かった。
「ナルト」
「お!シュン!」
「調子はどう?」
「絶好調だってばよ!!オレさ、オレさ早くシュンと戦いたくてうずうずしてるんだってばよ」
「ん!僕もナルトと戦うの楽しみだよ。でも第二試験はチーム戦だから、勝手な行動はとっちゃだめだよ」
「わかってるってばよ」
ナルトは今から試験という緊張感を感じさせないような話し方をしていて、こっちも笑顔になる。
「ん?そこにいるのは・・・?」
「ああ、ヒナタだってばよ。さっきまで話してたんだ。ヒナタ!」
ナルトのいた木から顔を出してこちらの様子をうかがっているヒナタが見えた。ナルトがヒナタを呼び、彼女が僕たちの方に来た。
「こ、こんにちは。シュン君」
「こんにちは、ヒナタ。ヒナタも大丈夫そうだね」
「うん。さっきナルト君に励ましてもらったから・・・」
「そっか。お互い頑張ろうね」
「うん!」
「シュンもヒナタも一緒に合格できるように頑張ろうぜ!!」
ナルトの激励に返事をして、ナルトとヒナタと別れ、ナツナとシイナのもとへと戻る。
「お待たせ」
「ナルト君たち緊張してなかった?」
「うん、大丈夫そうだったよ」
「シュンはナルトのこと大切に思ってるからね~」
「あはは、もちろんナツナとシイナのことも大切に思ってるよ」
僕がそう言うと、2人は顔を見合わせて笑った。
「ありがと」
「頑張ろうね」
受験者たちがあらかじめ決められていたゲートの前に立つ。僕たちの班はゲート25だ。
時間になり、アンコさんがフェンスにかかっていた南京錠を鍵をさす。
「これより第二試験を開始する!!君たちの健闘を祈る」
アンコさんが鍵を回して南京錠が外れるのと同時に、第二試験が開始された。
「このあたりでどう?」
「うん、じゃあさっそく罠を仕掛けないとね」
「私葉っぱとか集めてくる」
試験開始と同時に、僕たち3人は最高速度で移動し、他の班が通りそうな場所に息をひそめた。
簡単に罠を張って、その後の話し合いで僕が囮役として他の班をこの場所に誘うことになった。
「じゃあ、シュン。頼んだわよ」
「気を付けてね」
「ん!任せといて。2人とも気配を殺して隠れておいて」
2人にそう言い残し、僕は周囲を探索しに行った。
「いたぞ!今1人で行動してるやつがいる」
「いや、もしかしたら罠かもしれないぞ」
「だが、俺たち3人で襲い掛かれば、あいつを捕まえて人質として巻物を手に入れられるかもしれん」
「見た目もひょろそうだしな」
「合流される前に仕留めるぞ!!」
俺たちの前には、木の葉隠れの額当てをした受験生が1人で辺りを散策している。寝床か食料を探しているのだろう。木の葉の忍がこちらに気が付く前に3人で仕留めることになった。
「あいつが後ろを向いた瞬間に行くぞ」
「おう」
「簡単にクリアできそうだな」
そして、木の葉の忍が後ろを向いた瞬間・・・
「今だ!」
俺たちは襲い掛かった。木の葉の忍は俺たちがたどり着く寸前に気が付いたようで、焦ったような顔をしながら逃げて行く。逃走速度は恐怖のためか遅く、すぐに追いつくことができそうだ。
「ははは!もう追いつくぜ!!」
獲物を簡単に仕留めることができるという確信が持てた俺たちの顔は皆残虐な笑顔を浮かべている。木の葉の忍が持っている巻物が「天」だとしたら、最初に二次試験を突破できるのは俺たちだろう。俺たち3人が木の葉の忍に追いつき、意識を奪おうとした瞬間・・・目の前が真っ暗になった。
「まさか、こんなに簡単にいくとは・・・」
「あはは・・・罠を使うまでもなかったね」
「まあとりあえずこの受験生たちを縄で縛って、巻物を貰おう」
当初は僕がこの場所に誘い込んで罠を発動して気絶させる予定だったけど、完全に油断して意識が僕にしか向いていなかったため、背後から2人に強襲してもらった。それが上手くいって、無事に滝隠れの忍3人を気絶させることができた。僕が今気絶している滝隠れの忍たちを縄で縛り、巻物を確認する。
「あ、『地』の書だ」
「・・・早すぎない?」
「・・・もう終わっちゃたね」
「でもこれをゴール地点まで持っていくまでが試験だからね。最後まで気を抜かないようにしよう」
「うん」
「了解」
第十一班、第二試験開始1時間で「天」「地」両方の巻物を入手。
「ああ、良い良いわ・・・。どっちにしようかしら・・・」
木の葉の里に魔の手が伸びていることを彼らはまだ知らない。
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