「おお、ここが・・・温泉宿か」
外からでもわかる湯気の量。今まで嗅いだことのないような独特なにおい。僕は今木の葉隠れの里の外れのほうにある温泉宿に来ている。一度も経験したことのない温泉への期待に胸を弾ませながら僕は昨日の出来事を思い返していた・・・
ナルトと一緒に里の商店街に買い物に来ていた僕は、2000両の買い物で1回回すことのできるガラガラ抽選に挑戦していた。1等が赤色でカップラーメン1年分、2等が青色で温泉宿の宿泊券、3等が緑色で商店街の商品券・・・というように色によって商品が分かれているものである。ナルトは「先にカップラーメンをいただいてくるってばよ!!」と宣言して僕の前に挑戦して末等のティッシュペーパーでものすごく落ち込んでいた。横でナルトが「カップラーメン・・・」と呟いて謎のプレッシャーを与えてくる中僕が挑戦してみると、青色の球がコロリと出てきた。
「大当たり~!!2等の1泊2日温泉宿の宿泊券です!!」
「おおー!!凄いってばよ、シュン!2等だってばよ」
「うん、僕も驚いてるよ」
僕もナルトと同じでティッシュペーパーだと思っていたのだが、なんと2等が当たった。
「これはペアチケットで明日から使えるから、友達や家族と一緒にいってきてね」
「はい!ありがとうございます」
どうやらこれはペアチケットだったらしい。ナルトと一緒に行こう。
「ナルト、良かったら一緒に行かない?」
「え、いいの?」
「うん。ナルトと一緒に行きたいんだ」
「嬉しいってばよ!じゃあさ、じゃあさ明日行こうぜ」
「そうだね。アカデミーが始まったら行けなくなっちゃうからこの連休中に行こう」
「じゃあ、明日8時に起こしに来てくれってばよ」
「ナルト、少しは自分で起きるようにしようよ・・・。まあ、いいけど」
僕もおじいちゃんと一緒でナルトに甘いなと思ってナルトと帰宅した。
そして今日、ナルトが風邪を引いて熱を出した。・・・うん、やっぱ1人は寂しい。1人で行くのは悪いと思って今回の旅行はやめようと思ってたんだけど、「オレのことは気にせずに行ってきてくれってばよ」とナルトに言われた。だけどナルトが心配で僕が看病しようと思ってたんだけど、ナルトと何故かナルトの部屋に看病しに来ていたアスマおじちゃんに説得されて行くことにした。・・・なんでアスマおじちゃんがいたのかは本当にわからないけど。理由を聞いたら「ナルトが風邪を引いた気がしたから」と返されてしまった。アスマおじちゃんは多分親バカになるだろう。
「あの2人とおじいちゃんにお土産を買って帰ろ・・・何してるんだろうあの人」
なんか望遠鏡を使って露天風呂の方を覗いている人がいるんだけど・・・。あれって犯罪だよね?
「ええのう、ええのう。ぐふふ・・・」
「あのー、犯罪ですよ」
「うわっ、なんだお前は・・・!?」
「いや、こっちが聞きたいんですけど・・・」
さっき見つけた白髪のおじいさんに声をかけたらなんか訝しむような視線を向けられた。僕は正しいことを言ってるはずなんだけど。まさかここら辺では覗きが犯罪ではないのかもしれない・・・・・ってそんなわけないか。1人で考えていたらおじいさんが驚いた様子で呟いた。
「・・・ミナト」
「えっ?」
後に知ることになるがこれが伝説の3忍である自来也さんとの出会いだった。
「ミナト・・・」
「えっ?」
「ミナトなのか?」
「えっとよく言ってる意味がわからないんですけど・・・」
僕が望遠鏡で覗きをしていた白髪のおじいさんに話しかけたら、驚かれて逆に質問されている。いきなり問いただされて少し困ってしまった。
「あ、いや・・・すまんのォ。少しお前の容姿がワシの知り合いに似ていたんでいきなり問いただしてしまった」
「いや、大丈夫です。少し驚いただけですから」
「そうか、それならよかったわい」
「はい・・・ってそうじゃなくてお風呂を覗くのは犯罪だと思うんですけど!?」
「失敬な!!これはワシが書いてる本の取材だぞ!!」
「そうだとしても駄目なものは駄目です!!」
「むう・・・しかし「きゃーーーーー!覗き魔よ!!」・・・まずい!小僧いったんここから離れるぞ」
「え?ちょっと待ってくださ・・・うわーーーー」
白髪のおじいさんは、有無を言わさずに僕の襟をもって高速で移動し始めた。やっぱ悪いことをしてる自覚はあったのか・・・。ていうか僕何も関係ないんだけど!?ただ温泉に入りに来ただけなのに・・・。
里の外れの方の森に到着してやっとおじいさんは僕のことを離してくれた。少し首が痛い。
「いやーさっきはすまんかったのォ。ばれると困ったことになるんでな」
「やっぱ悪いことをしてる自覚はあったんですね」
「まあまあ、細かいことは気にするでない。そういえば自己紹介をしておらんかったのォ。ワシの名前は自来也だ。お前の名前は何というんだ?」
「猿飛シュンです」
「猿飛・・・?お前は三代目と何か関係があるのか?」
「九尾事件の時に火影様に引き取ってもらったんです」
いくら家族のような関係であるとはいえ流石に他人におじいちゃんとは言えない。・・・そういえば自来也って名前どこかで聞いたことがあるような気がする。
「そうだったのか・・・。すまんの、つらいことを思い出させてしまって」
「あ、いえ大丈夫です・・・!?自来也ってあの伝説の三忍の!?」
「おお、よく知っておるのォ」
「はい!とてもすごい忍だと聞き尊敬しています。・・・まあ、覗きをしていたことは驚きましたけど」
「そうかそうか、なんか面と言って言われるのは嬉しいのォ。・・・そしてあれは本の取材だと言っておるだろうが!」
「・・・そういえば自来也様はどんな本をお書きになっているんですか?」
「あーー、ワシはそういう堅苦しいの嫌いなんで普通に自来也でいいぞ。・・・ちょっとお前には早いかもしれんのォ」
自来也様・・・自来也さんはそう言いながら執筆しているという本を見せてくれた。少し内容を読んでみたけど、確かにこれは僕が読んでいい内容ではないようだ。顔を真っ赤にしながら本を返した。
「がはははは、やっぱお前にはまだ早かったか。そういえば売れなかったやつだが1冊お前でも読めるやつがあるぞ・・・ほれ」
今度は僕でも読めそうなタイトルだ。『ド根性忍伝』というらしい。しばらく読んでいたらすっかりこの本にはまってしまった。とても面白い。
「とても面白いですこの本!買わせてもらってもいいですか?」
「おお、気に入ってくれたか。金は要らん、お前にやろう」
「いいんですか?ありがとうございます!・・・そういえばこの主人公の名前ってナルトっていうんですね。僕の親友の名前と同じです」
僕がそう言うと自来也さんはとても驚いたような顔をした。
「そうか・・・そいつはその主人公のように真っ直ぐ育っているか?」
「はい!」
僕がそう返すと自来也先生はとても嬉しそうな顔をした。
「そろそろワシは行かなきゃならないところがあるんでのォ。シュンよ、また機会があったらどこかで会おう」
そういって自来也さんは背中を向けて立ち去ろうとした。僕はもう一度本のお礼を思ったら自然と口が動いていた。
「ではまた。自来也先生!」
何故か自来也先生と呼ばなければならない気がした。また会った時には何か術を教えてもらおう。
「自来也先生・・・か」
あそこから立ち去る瞬間背中から聞こえた呼び方につい数年前のことを思い出してしまう。あの猿飛シュンという少年はどこかかつての弟子である波風ミナトに似ている・・・自来也はついそう思ってしまった。
「そんなことあるはずがないのだがのォ」
そんな自来也の呟きは町の喧騒の中に消えていった。
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