携帯食料よし。
水よし。
着替えよし。
本よし。
エシュロスよし。
行くか。
準備を済ませた俺とエシュロスは千年前の魔物が根城にしている城近くのホテルに来ていた。
ナゾナゾ博士から連絡があり、4組の魔物が先走ってしまったが決行日時が決まった為だ。
その4組の魔物も今帰ってきたようだしな。
ホテルの窓から外を見ると千年前の魔物と思われる複数の魔物と今回の戦いの魔物が襲われているのが見える。
「エシュロス。少し、手助けしてやるか?」
「いいだろう」
「『クレイド』」
エシュロスは腕を組み仁王立ちのままにその呪文を発動させた。
外にいる千年前の魔物が粘土状の土に絡み取られ動けなくなる。
外にいる魔物は全員動きを止める。
そりゃここの誰でも無い攻撃が来たのだから動きは止まるだろう。
ひとりを除いて。
ナゾナゾ博士はその瞬間『ギガノ・ゼガル』を唱え、敵を一掃する。
これぐらいの手助けでいいだろう。
そういえばエシュロスだが地面に手をつかなくても呪文が放てる事が可能になった。
元々手をつく必要性や戦闘のしにくさを考えていらないと思ったのだ。
王が地面に手をつくのはどうかとか、手じゃなくて足から力を放つイメージを洗脳……思い込ませることで出来るようになった。
欠点として威力が弱まったのがあるが些細な事だ。
その分の力を俺が込めればいいだけだからだ。
外では千年前の魔物はいなくなり、和気あいあいとしている。
決行はやはり明日か。
「明日が楽しみだな」
「そうだな。力を溜めとけよ、進一」
「それにしてもさっきの呪文はなんだったんだ」
明らかに敵の攻撃ではなく、自分たち仲間の呪文ではないあの捕縛呪文。
清麿は先程の千年前の魔物達を捕縛し、こちらに加勢したと思われる術を不思議に考えていた。
ここに第三勢力が来ているのであれば不確定要素が増え、更にロードを倒す計画支障をきたす恐れがある。
しかし、ナゾナゾ博士がその不思議を解消してくれた。
「あの呪文はおそらく秋山くんのものだろう」
「秋山というものが先程助けてくれたのか!ウヌぅ、それなら姿を見せてくれればよいのに」
「あの2人はこちらと一緒に行動しない事を条件に協力に応じた者達だからな。今手助けしてくれたのも気まぐれ程度のものじゃろう」
「ナゾナゾ博士。その秋山っていう人の事を教えてくれないか?」
ナゾナゾ博士は一拍おき、話し出した。
「本の持ち主の名は秋山進一。魔物の名はエシュロス。大地を操る術を使う。ワシが見た戦いでは全て一撃で敵を仕留めておる。かなりの強者じゃ」
一撃で敵を倒して来たという事実に驚きを隠せない。
ここで恵さんが質問する。
「秋山進一って……もしかして秋山製薬の?」
「恵!知ってるの?」
恵さんがが何故知っているのか分からないティオは恵に聞いている。
しかし秋山製薬なら日本人なら誰でも、海外だって有名な名だ。
魔物ならそんな事知るよしも無いから仕方ない話だが。
「秋山製薬。秋山進一が高校卒業と共に起業して瞬く間に一大企業となった。その薬で救われた人が世界で2%増えた程だ」
「2%?そんなちょっとだけ?」
0.1%上げるのさえ難しかったのだ。
それを2%も上げたのだ。
その腕は奇跡の薬剤師とまで言われているほどだ。
「そんな人が協力してくれるなんて心強いじゃないか」
「こちらに姿を見せないところを見ると素直に協力してくれるとも思えないがな」
「秋山くんもそれを警戒しての事だろう。とりあえずこちらが敵意を示さない限り一切こちらに攻撃はしないと確約はしてくれたよ」
「みんな、無事でよかった。つもる話はあるだろうがとりあえずホテルで休もう」
不安に蓋をして清麿達はホテルに入っていった。