ゼロとレベル0(無能能力者) 作:ゼロからの帰路
注意 ギーシュがやたらと強くなってしまいました。本来ここまで強くないのですが...どうしてこうなった......。
「ここがベストリア広場か」
俺がベストリア広場まで来ると結構な人数の貴族達が集まっていてその中心に先程の男子生徒がいた。
「やあ。よく逃げずに来たね」
「誰が逃げるって?貴族だかなんだか知らねーが。俺の友達に酷いことしたんだ謝ってもらうぜ」
「ふん。良いだろう。だがそれは君が僕に勝てたらの話だけどね」
男子生徒は、手に持っていた薔薇を一振りすると剣と盾を持った鎧のゴーレムが目の前に現れた。
「僕の二つ名は青銅のギーシュ。君の相手はこのワルキューレが勤めさせてもらうよ」
「何だよ自分自身は高見の見物ってか?」
「なんとでも言うがいい。魔法が使えるものが魔法を使って何が悪い」
「はっそりゃそうだ」
「どうだい諦めるかい?諦めるっていうのならここで皆の前で土下座するんだ。そうすれば許してやる」
「はぁ土下座ねぇ。おいそれよりもさっさと始めようぜ」
ワルキューレが持っている武器は確かに厄介だ。右手で触れて消せるかどうかなんて分からないから無闇に突っ込むことが出来ない。
「くっ、良いだろう。後悔するがいいさ。ワルキューレ!」
ゴーレムは俺に向かって剣を降り下ろしてくる。速度もそれなりに速く避けるのが精一杯だった。でも避け続けることは出来ていた。そう1体だけなら。
「ふーん。中々やるじゃないか、思ってたよりは動けるようだね」
「こんなガラクタが相手じゃ俺は倒せないぜ」
「(このゴーレムがどんな原理で動いているのかは分からない。でも魔法で動いているんだろう。なら俺の右手で触れば倒せるはずだけど剣の攻撃を避けても盾でガードしてくるから懐に入ることが出来ない。もし盾や剣が魔法ではなく本物、あるいは魔法で作った物なら俺の右手じゃ打ち消すことが出来ない。どうにか隙が出来れば)」
「ガラクタ、か。ならこれならどうだい?」
男子生徒、確かギーシュと言ったか。ギーシュは手に持っていた薔薇を何回か降ると6体のゴーレムが現れて、合計7体のゴーレムになった。
1体だったから避けれていたがこれだけの数を一気に相手にしたら避け続けられる気がしない。額からは汗が流れ落ちてこの状況の打破を考えるが良い案は全く思い付かなかった。
「どうした?先程までと違って元気がないじゃないか?」
ギーシュは負ける気など皆無と思っているのかゴーレムで攻撃を中々してこない。恐らく周りにいる貴族達に余裕で勝つ姿を見せるためだろう。
「(くそっ!何か...何かないのか!この状況をまるごとひっくり返す裏技みたいなのは)」
「あんた!こんなところで何してるのよ!」
「っ!ルイズ!?」
「やあ。ルイズじゃないか」
「騒ぎを聞き付けて来てみればこれはどういうことなの?ギーシュ」
「いやなに、そこにいる平民があまりに教育がなっていなかったのでね。君の代わりに僕が躾をしてあげようと思っただけさ」
「そんなこと頼んでないわよ!」
「そこにいる平民が無礼な態度を取ったことは確かなんだ。まあでも、ルイズの使い魔に怪我をさせるのも忍びないな。上条とやら最後のチャンスだ」
ギーシュはもう一度薔薇を降ると俺の目の前に剣が急に現れて刺さった。
「今すぐここで謝罪したまえ。それで許してやる。だがまだ続けると言うならその剣を取るんだ」
「謝りなさい!絶対に抜いちゃ駄目よ。貴族に対して剣を抜くと言うことは殺されても文句は言えないんだから!」
成る程な。用は決闘から死闘になるってことか。
「上条さん!やめてください!もう...もう充分ですから!」
シエスタは涙を浮かべて叫んでいる。でも俺は尚更ここで退くわけにはいかなかった。
そして俺はシエスタの方を見ながら笑顔で剣を右手で掴んだ。
キュィィィンと甲高い音を立てて剣は土となって消えてしまった。
「やっぱりな」
「っ!?な、何をした?」
「さあ?なんだろうな」
「ちょ、ちょっと!あんた今何したのよ!?」
「ルイズには後で教えてやるよ。その前に貴族だかなんだか知らねーがそんなもんが偉いって言うならそんなもんを使えるから強いなんて勘違いしてるバカ野郎の幻想を俺がこの手でぶち壊してやる!覚悟しろよ!貴族!俺の右手はちょっとばかし響くぞ!」
「くっ!ワルキューレ!!あいつを倒せ!」
7体にまで増えたゴーレムだけどしっかり攻撃を交わして1っ対ずつ剣と盾、を右手で触れて消していく。
「く、くそっ!ワルキューレ!」
「へ、どうしたよ?貴族様。焦ってきてるのが見え見えだぜ?」
「・・・舐めるなよ...イル・アース・ハンド!」
突如地面から土の手が出てきて足を捕まれてしまった。ゴーレムは見計らったように俺に剣を降り下ろしてくるがそれをギリギリでなんとか交わし右手で盾ごとゴーレムを打ち消して地面から出てきた手も消したが後ろから3体のゴーレムが剣を降り下ろそうとしていた。間に合わない。そう感じた俺は左手で残った剣のみを掴んだ。
その瞬間、まるで走馬灯のようにゆっくりと時間が進んでいるような感覚に襲われた。周りでは、ルイズとシエスタが叫んでいるのも今ようやく聞こえた。ゴーレムは止まっているわけではなくまるでスローで動いているみたいだった。俺はその場から後ろに飛びゴーレム3体の攻撃を交わした。攻撃を交わした後足に力をいれると一瞬でゴーレム3体の前まで移動して剣で3体とも薙ぎ払った。剣なんて今まで使った事もないのに永年使っていたみたいに違和感なく扱え体が軽くなっていく。
「ば、馬鹿な....僕のワルキューレ3体を一瞬で......」
最後の1体のゴーレムの剣を弾き右手でゴーレムを打ち消して一瞬でギーシュの目の前まで移動した。
「ひっ、ひぃ....」
「(殺すつもりはないしな.....シエスタに謝ってもらえれば良いわけだしハッタリでもしとくか)」
俺は右手をギーシュの頭に乗せて一言。
「お前のゴーレムを粉々にした右手だ。シエスタに謝罪するなら許して「わ、悪かった!ぼ、僕の負けだ!だから....殺さないでくれ!」」
「「「「わぁあああああ!!!」」」」
貴族達からは歓声めいた声が響いてくるが俺が思ったのは1つだった。プライドはないんですかね...プライドは。
「あんた、大丈夫なの?」
「ん?ああ。大丈夫だ、ほらどこも怪我なんて....」
左手から剣を離した瞬間に体から力が抜けていき急な眠気に襲われて俺は意識を手離した。
★⭐★⭐★⭐★⭐
「ん....ここは.......」
「あ!目が覚めたのですね!良かったぁ。ここはミス・ヴァリエールの部屋ですよ」
目が覚めるとそこには、シエスタがいてベットの上で俺は寝ていた。
「そうか....俺どうして倒れたんだっけ?」
「覚えてないんですか?」
「い、いや....何となくなんだが一応俺ってギーシュに勝てたんだよな?」
「はい....あの....ほんとにすいませんでした」
「ん?何が?」
「その私のせいでこんなことになってしまって....」
「何言ってんだよ。今回の事は俺が許せなかったからやっただけだろ?」
「ですけど...元はと言えば私が....」
「んー。なんかさお前等間違ってると思うぜ?あーお前等って言うのは貴族もな」
「貴族様、も?」
「俺にはこの世界の事なんてよく分かんねえよ。でもさ悪いことをしたら謝るし悲しいことがあったら泣く。嬉しいことがあったら笑う。それが人間だと思うんだよ」
「・・・」
「それにさ。シエスタは、もっと他人を頼っても良いと思うぜ?」
「他人を頼るですか?」
「ああ。他人に頼りずらいって言うならさ俺に頼れよ、俺に出来ることならなんだってしてやるからさ」
「本当に....どうして私なんかの為に....」
「どうしてなんて言ってんじゃねーよ」
「・・・」
「友達だからに決まってるだろ?」
「っ!友達」
「ああ。友達!んで友達ならごめんなさいやすいませんじゃなくて他に言い方があるだろ?」
「・・・そ、その....ありがとうございました!」
「おう!」
シエスタが部屋から出ていくと入れ代わるようにルイズが入ってきた。
「ようやく目が覚めたようね」
「ああ。色々と悪かったな」
「もう良いわよ。それに....」
「それに?」
「何でもないわ。・・・あなたは一体何者なの?」
「何者か。それならさ自己紹介しないか?」
「は?」
ーーーーーー閑話休題。
俺の名前、そして科学の事魔術の事、俺が知り得ることをルイズに話した。
「今の話だとあなたは異世界から来た人間でその世界では科学が進んでおりチョウノウリョクシャ?がいて魔術なんてのもあるってことで魔法は存在しないってこと?」
「ああ、そうなる」
「ありえない。と言いたいことだけど今日のあなたの戦いを見て全く嘘だとは言えないくなったわね....それでその右手はどんな魔法でも消せちゃうの?」
「ああ、多分な。でもこの右手のせいで俺は神様の御加護なんかも全て打ち消しているせいで不幸になってるとかも聞いたことあるな」
「神様の御加護もとか本当に罰当たりね....」
「しょうがないだろ!?俺だって好きで不幸になってるんじゃないんだよ!」
「まぁ分かったわ....それで、その1つ聞いても良い?」
「ん?」
「あなたの世界には、科学の方でなんだけど.....レベル5からレベル0までで分けられていたのよね?」
「ああ」
「あなたは....ううん。当麻はレベル0で辛くなかったの?」
「辛く、か」
「ごめんなさい。嫌な質問だったわね」
「いや、別にいいさ。それにそこまで嫌なもんでもなかったしな」
「え?どうして?」
「確かに補習とか、補習とか、補習とかあったしレベル0ってだけでレベルが上の奴にはデカイ態度をとられたりもしたけどさ。言いたい奴には言わせとけば良いじゃん。その代わり友達を作るんだよ」
「友達を?」
「ああ。辛い時、悲しい時、嬉しい時。友達が一緒にいてくれれば悲しみは半分に嬉しさは倍になる。人間は1人じゃ生きていけないんだからさ」
「でも...私は貴族。平民と違って魔法が全て...」
「お前だって魔法使えんじゃん」
「使えないわよ....」
「あれあれー?上条さんに早々爆発くらわしたのは何処の誰でしたっけ?」
「そ、それは!....その、どんな魔法を使おうとしても全部爆発しちゃうの....」
「ふーん。それってさ魔法発動してるんじゃねーの?」
「え?」
「だってさ、魔法が発動してないってことは何も起こらないって事だろ?」
「で、でもこの世界には五系統の魔法の種類があって。『火系統』『水系統』『土系統』『風系統』そしてエルフにしか扱うことは出来ない『先住魔法』というのがあるわ。そして私の爆発は何処にも属さない....だから“ゼロのルイズ”と呼ばれてるわ」
「ふーん。じゃあさ、この世界には、実は6系統の魔法の種類があったんじゃないか?」
「え?」
「だってそうだろ?現在ある物の中にはないけど実際に魔法は発動している。それならルイズは他の奴にはない何か特別な力を持ってるって事だろ?」
「特別な、力?」
「ああ。考えても見ろよ、世界は広いんだ。教科書に載ってることが全てなんてそれこそ幻想だろ?」
「ふふふ。あんたってほんとに変な奴ね」
「そうか?」
「ええ。今までそんな風に言ってくれる人はいなかったわ。皆私の事を“ゼロ”と言ってきたもの」
「なら見せてやろうぜ」
「え?」
「俺は“ゼロの使い魔”のレベル0だ。0が二人揃えば、えーと....」
「ゼロは二つ足しても掛けてもゼロのままよ?」
「それは0に0をだろ?でも俺達は“ゼロ”に0が合わさるんだぜ?何でも出来そうな気がするだろ?」
「正直意味分からないけど?」
「うぐっ....」
「でも....そうね。少し悲観的になっていたのかも」
「ああ。今回の事で平民でも貴族に勝てるって事が分かったしな」
「そう言えば、最後動きがいきなり変わったけどあれはどうやったの?」
「それなんだけどさ、俺にも良く分からないんだ」
「分からないって....あそこまでやっておいて?」
「い、いやその....はい.........」
「はぁ.....まっ、良いわ」
「ふぅ.....」
「その件については取り合えず明日ね」
「明日?」
「ええ。明日学院は休みだから少し買い物に行くわよ」
「買い物に行くのは構わないが何を買いにいくんだ?」
「それは内緒よ」