※修正中。鬼の瞳に映るは人の業   作:奈々歌

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どうも、こちらではお久しぶりです<(_ _)>

気づいたら、二カ月も経ってしまっていて驚きました(笑

今回は短いですが、読んで頂けると嬉しいです。


それではどうぞ!


分からない感情。

 

「ほら、起きろ。もう朝だぞ?」

 

「ん、んん………。もう朝?」

 

少女は兄に揺すられ、寝惚け眼を擦りながら布団から上体を起こす。

 

昨晩の疲れがあるのか凄く眠たい。でも、普段通りにしていないといけない。あまり眠そうにしていると夜に起きていたことに気づかれてしまうかもしれないから。

 

昨晩『鬼』の少年に助けて貰い、無事に山から下りた少女は家族の皆が起きる前に家に辿り着くと、静かに、音を立てず、床に潜り込み、あたかも何もなかったかのように薄明を迎えていた。

 

少女は布団から出ると綺麗に畳み片づける。そして庭にある井戸水をくみ上げ、溜めてあった『つるべ』から両手で水をすくい上げると顔を洗う。

 

顔についた水がつうっと頬を伝い、ぽたぽたと地面に落ちてい中、少女は近くに掛けてある布で顔を拭いた。

 

こうして普段と変わらない朝を過ごしていると、昨夜の短い時間の中で『鬼』の少年と出会い、『鬼』の少年と空を飛んだ、などと不思議なことを体験したのがまるで夢の出来事だったかのように感じる。

 

少女は冷たい水で顔を洗ったことで眠けが幾らか覚めたのを感じると、家の中に戻り、父、母、兄と共に朝食をとる。

 

その後、暫くすると父は仕事に出掛け、母は家の家事をこなし始めていた。

 

「さて、今日は何をしようか?」

 

兄に尋ねられ、少女もどうしようかと考え始める。

 

(お母さんの手伝いをしてもいいし、村の子の皆と遊ぶのもいいかな………)

 

ふと、そんなことを考えていると、一つ、『鬼』の少年の言葉を思い出した。

 

―――、その髪飾りとやらは俺が取って来てやる。山の入り口に置いておいてやるから明日にでも持ってゆけ。

 

確かにあの『鬼』の少年はそう言っていた。明日とは今日のことのはず―――。もう置いてあるのだろうか?

 

「ごめんお兄ちゃん。今日は用事があるの」

 

兄にそう伝えると、少女は軽く身支度を済ませる。

 

そして少女は村により入ることを禁じられている山、『鬼』の棲む山へと再び向かって行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『鬼』の棲む山の入り口には小さな『祠』がある。

 

もう何十年も手入れがされておらず、『祠』にかかっている木で出来た雨覆いは所々穴が開いている。この山には人が立ち入らない。手入れがなされないのも仕方がないことだ。

 

『鬼』の少年は『祠』前に立っていた。その手には数本の髪飾りが握られている。

 

昨日の夜。鴉達の巣を周り、少年は髪飾りを探していた。

 

少女の髪飾りの特徴を知らないままだったため、髪飾り、またはそれに近い物を代わりとなりそうな光り物と交換する形で鴉達の巣から集めたのだが―――。

 

(この中にあるといいけどな………)

 

そんなことを思いつつ、少年は『祠』の前にある石の供物台に一つずつ並べ置いた。髪飾りを一通り並べ終えると、少年はその場を後にして行く。

 

(なんでだろうな………)

 

未だに昨晩の自分の行動が分からなかった。

 

相手は『人の子』だ。嫌い、避けてきた人間だ。でも、どうして放って置けなかったのだろうか?

 

―――、どうしてあなたはそこまでしてくれるの?

 

「『償い』………。か」

 

なんであの時そう答えたのか?

 

分からない。

 

―――、ありがとう、『鬼』さん。

 

別れ際に聞いた少女の言葉。

 

どうしてかその言葉を聞いた時、自然と笑みがこぼれていた自分がいた。

 

分からない。

 

「どうしてだったんだろうな………。お前なら分かるか?………、『あい』」

 

少年は一人、小さく『大切な人』の名を呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして、『鬼』の棲む山の麓まで来た少女は『祠』の前に髪飾りとそれに近い物が並べられているのに気が付いていた。

 

「あ、あった!」

 

少女は並べられたそれらを見ていくと、その中から一つ手に取る。昨日鴉に持っていかれてしまった大切な髪飾りだ。

 

「『鬼』さん、こんなにも探してくれたんだ………」

 

髪飾りをしまいながら他に置かれている物を眺めると、とても人の力では一晩で集めることの出来る数ではなかった。

 

お礼が言いたい。でも―――。

 

―――、どうして山に入ったんだ?

 

『鬼』の少年の言葉を思い出す。昨日は彼にたくさん迷惑をかけてしまった。

 

「また入ったら怒られちゃうかな………」

 

また迷ってしまい、出口が分からなくなってしまうかもしれない。

 

今度は助けて貰えないかもしれない。

 

微笑んだ後、まるで幻だったかのように姿を消してしまった彼。

 

もう一度でいいから、会いたい。

 

不安と願望が心の中で交錯し、少女は山の入り口の手前で一度踏み留まってしまう。

 

だが、少女は『鬼』の少年が見つけてきてくれた髪飾りを握り締めると、決心したのか、『鬼』の棲む山に足を踏み入れて行った。

 

 

(大丈夫、きっと会えるはず………)

 

 

そう願いながら―――。

 

 





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