※修正中。鬼の瞳に映るは人の業   作:奈々歌

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お久しぶりです。

地獄少女四期来ましたね! まさか続編をやって貰えるとは………。

楽しみですな(^^)


それではどうぞ!


髪結い。

「で、どうしてまた入って来た?」

 

「あなたに直接お礼を言いたかったから、です。………、ごめんなさい」

 

『鬼』の少年は呆れた顔をしている。理由は簡単。少女が、また迷っていたのを見つけたからだ。もう入ってくるなと言ったはずだったのだが………。

 

少年が『祠』から戻り、住処としている岩で横になっていると、暫くし、山が騒がしくなった。少年はため息をつきながらも、麓へと続く山道に沿って下って行く。

 

すると、案の定、おろおろとしている少女を見つけた。

 

「この山はもう『人間』に優しくない。道も獣道だらけ。だからお前みたいに迷いやすい奴は入ってくるなと言ったのだぞ」

 

「でも、この髪飾りのこと………、本当に嬉しくて。『鬼』さんに会うには、山に入るしかないって思って………。それで………」

 

少女は髪に飾らず、手に持っていた髪飾りを少年に見せる。最初はとても嬉しそうな表情をしていたが、声が次第に小さくなるにつれ、その表情も沈んでいく。

 

少年が一切、呆れ顔を変えずにいたのが、無言の圧力となっていたのだろう。

 

「はぁ、まぁいい。これで最後だ。掴まれ、麓まで連れて行く」

 

少年は一つ息をつくと、少女へ手を差し伸べる。

 

だが、少女はその手を見ているだけで、掴もうとはしてこない。少年はその行動を不思議に思い、小首を傾げていると、少女が顔を逸らしながら、口を開く。

 

「―――、せっかく会えたから、少しだけでもお話したいなぁ………、なんて………」

 

「帰るぞ」

 

「ううっ………」

 

少年に即答され、不満気に唸る少女。無言の圧力に対し、勇気を出して言葉にしたのにと、俯いてしまう。

 

だけど、俯いている少女を見ると、時折、少年を瞥見し、こちらの様子を窺っているようだった。こう訴えかける事で、少年が折れてくれるのを期待しているのだろう。

 

「帰るぞ」

 

またしても、即答。

 

でも、少女は諦めたくないようで、少年をじっと見つめる。

 

「………」

 

「………」

 

長い沈黙が二人の間に流れる。それに伴って、次第に少女の目元に涙が溜まっていく。

 

「………、はぁ、少しだけだぞ」

 

「―――、ッ!? やった!」

 

ため息をつき、遂に少年が折れる。それには少女も、僅かに涙を浮かべたままで、満面の笑みで喜びを表す。そんなに嬉しいのかと、少年は呆れ顔から苦笑いになった。

 

 

取り敢えず、近場の大岩へ乗り、平らになっていた表面に腰を下ろす二人。

 

「………」

 

「………、えっと―――」

 

話せる事になったのはいいが、こういう時に限って話題を出すのは難しいもの。少年は胡坐を組み、彼から話し出すようには見えない。

 

困っているのか、焦っているのか、視線が彷徨って落ち着かない少女。

 

「………、もういいか?」

 

流石に少年が沈黙を破り、話出すと、少女はかぶりを大きく振るい否定してくる。少年は此日、何度目になるのか忘れてしまったが、再びため息をついた。

 

その息をついた事で、視線が下を向いた少年は、少女の手に握られている物が目に入る。

 

「おい、『人の子』。それは使わないのか?」

 

少年は少女の手を指差す。その手に握られているのは、鴉の巣から少年が取り戻して来てくれた大切な髪飾り。

 

「えっ? あ、これの事?」

 

「それは髪に飾る物だろう? 手に持っていては意味がない」

 

少女がもう一度、髪飾りを少年に見せてくる。本来は結って束ねた髪に挿し、まとめる役割を持つ物。今の少女は髪を下ろしており、肩に黒髪がかかっていた。

 

「実は自分で髪、結えないの。普段は母さんに着けて貰っていて………」

 

少し恥ずかしそうに話す少女。頬も微かに染まっている。少女を見た少年は、何か思う所があったのか、手を差し出し、口を開く。

 

「………。貸せ、俺が着けてやる。また落とされても面倒だ」

 

「えっ、出来るの?」

 

「ああ、あまり上手くはないけどな。ほら、後ろ向け」

 

本当だろうか? と、少しの疑心を抱きながらも、少女は少年に髪飾りを渡す。そして素直に背を向けた。視線だけは少年のままだが―――。

 

少女の頭を少年は両手で挟み、前を向かせる。そして、少年は少女の髪を右手、左手と交互に手繰り寄せるよう流していく。絡み、引っかかる事の無い、素直に流れる艶のある黒髪を。

 

「『鬼さん』、上手だね」

 

「昔、妹がいたからな。血は繋がっていなかったが、そんな事は気にならなかった。よくこうして妹の髪を結ってやったものだ。俺がまだ『人の子』だった頃の話だがな………」

 

「『鬼』さん、妹がいたんだね。私も兄が一人いるよ。とても優しいの」

 

楽しそうに話す少女。だけど、少年の表情は違った。

 

「………、俺は兄として何もしてやれなかった。俺はあいつに―――」

 

「『鬼』さん?」

 

少女から少年の表情は見えない。でも、今はあの時みたいに―――。

 

「ああ、悪い。何でもない。―――、よし、出来たぞ」

 

普段の調子に戻った声で、少年は少女の頭の後ろで綺麗に結われた髪へ仕上げにと髪飾りを挿した。

 

「わぁ、ありがとう、『鬼』さん!」

 

その場で立ち上がり、軽く触れて、出来栄えを確認すると、嬉しそうに少女は一回りする。少女の頭では髪飾りが光に当たり、小さく輝く。

 

喜んでいる少女を見て、満足気に微笑を浮かべる少年。

 

そんな少年に少女がある事を尋ねる。

 

「ねぇ、『鬼』さん。名前、教えて貰えないかな?」

 

「何故だ?」

 

「知りたいから、かな?」

 

この『人の子』は断っても話すまでまた諦めないのだろう。少年は声には出さずに思う。

 

なら、答えてしまった方が早い。そろそろ村に戻らせたいしな。

 

「―――、人の名はもう捨てたつもりだったがな………。真琴だ。『柊 真琴』。別に『鬼』でも『あなた』でも構わない。好きに呼べばいいさ」

 

「真琴、ね? 分かった。私は『神代 あい』。村の皆は『あい』って呼ぶの。だから、真琴もそう呼んでね。よろしく、真琴!」

 

少女が名前を名乗った時、真琴は驚きを隠せなかった。

 

『大切な人』と同じ名。数十年ぶりに話すようになった『人の子』が? これは偶然か? それとも、この子はもしかして―――。

 

あいは真琴の手を取り、両の手で優しく握ると、微笑み掛けてくる。

 

だが、それに対して真琴は、とてもぎこちなく、不自然な笑みで返す事しか出来なかった。

 

 




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