Muv-Luv ユウヤ・ブリッジスの第二な人生   作:nasigorenn

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ついつい思ったんですが、こんなのがあっても良いかと思ってつい……。
笑ってください、こんなことを考えてしまう馬鹿な作者を。


ミッション1 俺はいったいどこにいるんだ

 目の前に浮かぶ表示とビービーとうるさい警告音が癪に障る。

そんなことは一回で分かり切ってるってのによぉ。そう思いながら俺はそれらの警告を黙らせていく。

 

「一々五月蠅いんだよ、たく。そんなもん、戦り合ってる俺が一番わかってるっての!」

 

自分を鼓舞するようにそう言いつつ俺は操縦管とペダルを踏み込み、相棒を動かす。

『XFJ-01a 不知火・弐型』………俺と共に高みへと登る最高の相棒と共に、俺は戦う。

相手は糞ったれな地球外起源種『BETA』。見た目からして気持ち悪い奴等だ。

奴等は殺しても殺しても湧いてくる。それこそ無限と思える程に、キリがない。

だが、それでも………俺は戦い続けるんだ。人類のために、仲間のために。

 

そして………『一番大切なアイツ』のために。

 

「だからよぉ………こんな所でお前等に殺されるにはいかねぇんだよぉぉぉぉぉおおおおおおお!!」

 

半壊した跳躍ユニットを強引に噴かせ、要撃級の集団に突っ込む。

既に突撃砲の残弾はねぇ。120㎜は勿論、36㎜も使いきった。メインに使ってた74式近接戦闘用長刀はへし折れてもう使えない。せっかく『アイツ』から剣術を教えて貰える事になっていたってのによ。

だから残ってるのはこの65式近接戦闘用短刀だけだ。

もうこれ以外武器はない。心もとないのは仕方ないが、それでもやらなきゃならねぇんだ。

だから短刀を俺は要撃級の足に突き刺し強引に切り裂く。

切り飛ばされた足が宙を舞いバランスを崩した要撃級が地面に崩れ落ち、その勢いを殺さずに更に別の級の鋏の付け根に突き刺し無理やり切り飛ばした。

当然周りの要撃級からの鋏による攻撃が向かってくるが、それを跳躍ユニットの噴射や足捌きで避け搔い潜り、尚も短刀で要撃級を殺していく。

もう機体は半壊以上であり限界だが、それでも諦めるつもりは毛頭ない。

俺と相棒なら、もっと戦える。そう確信している。信じている。

だから………。

 

「まだまだ死なねぇぇぇええええええええええ!!」

 

その言葉を真実にするためにもっと多くのBETAを殺していく。

だが、その意思とは裏腹に相棒のダメージは蓄積していき、それはどんどん俺達を締め上げていく。

 

「はは、片方の跳躍ユニットが吹っ飛んだ上に更に片腕がもがれたか。だけどよ………それでもだ。それでも俺は………諦めねぇ!」

 

ただひたすらにそれだけを胸に抱き、BETAの群れに突っ込んでいく。

片手に持った短刀だけを頼りに、ひたすら斬り殺す。殺して殺して殺し尽くす。

あぁ、せっかく綺麗な色をした相棒が汚く赤くなっちまって。これを見たら『アイツ』はどう思うだろうな?

きっと涙ながらに生きていたことを喜ぶんだろうが、それでもその後は怒るだろうさ。

 

『せっかくの機体をこんなに壊した上に汚しおって』

 

とか言いそうだ。

そう言う『アイツ』の姿を思い浮かべたら、何だよ………可愛く見えちまうだろうが。

あぁ、まったくもって自分がおかしいのが良く分かっちまう。だって命が掛かってる絶体絶命の時に………こんなにも愉快で笑っちまうんだから。

それがおかしいんじゃなかったら何だっていうんだ? でもよぉ、おかしくたっていいんだ。

ただ、アイツが悲しむことだけはしたくない。

だから………『アイツ』のためにも、絶対に生き残ってやる。

そう心に決めながら更に短刀でBETAを殺し続けていたが、急に鳴り響いた警告音に顔をしかめる。

 

「なっ!? レーザー警報だと! ぐあっ!?」

 

突然機体に衝撃が走り、身体が揺さぶられる。

そして目の前で表示される情報により、相棒の右足が吹き飛んだことを知った。

どうやらレーザーを咄嗟に回避しようとして失敗したらしい。

 

「クソったれめ!」

 

悪態を付きつつも何とか機体を動かす。

片足がない所為で満足に動かせなくなってしまったが、それでも俺の闘志は衰えない。

 

「相棒の片足をふっ飛ばした奴だけどもぶっ殺す!」

 

もう滅茶苦茶だと思いながら跳躍ユニットをフルスロットで噴射させ飛び上がる。

片方しかないからバランスがとれずに錐揉み回転しながらの飛行だが、それでもひたすらに突進し、相棒の足をふっ飛ばしたであろう光線級を見つけた。

 

「これでも喰らいやがれ!!」

 

その叫びと共に持っていた短刀を投擲。

飛んで行った短刀は見事に光線級をミンチへと変えてくれた。

それを見てざまぁ見ろと思っていると、更に機体に衝撃が走った。

意識が吹っ飛びかける中で確認すると、どうやら要塞級の触手にかすっちまったようだ。

その所為で弾き飛ばされたらしい。

もう相棒は大破状態。

転がった地面の先には糞共がわんさかと群れてやがった。

もう助からないことは分かってる。

それでも…………。

 

「俺は絶対に…………負けねぇ!!」

 

そして最後に残った『自爆装置』のスイッチを押し、俺の意識は…………消えた。

 

 

 

 

 

 真っ暗な中にいることを自覚する。

あれほどの事があって生きているとは思えねぇ。ならつまり、こいつは所謂死後の世界って奴なんだろう。

なんだ、てっきり地獄にでもいくもんだと思ってたんだが、地獄ってのは案外拍子抜けするもんだな。

どこを見ても真っ暗で何もない。

どうすっかなぁ……………そんなことを考えていたわけなんだが、何処からか声がしてきた。

 

『………きて………起き………起きて…さい………遅刻………』

 

その言葉が聞こえる方向へ自然と歩き始める。

そして俺の視界はまばゆい光で一杯になり…………。

 

「お、起きて下さい、ブリッジスさん! 早く起きないと遅刻しちゃいますって!」

「う、う~ん…………」

 

目を開くとそこにあったのは見知らぬ天井。見た限り珍しい木製と思われる天井。

何故そんなものが見えるのか分からなかったが、俺は次の瞬間には目を見開いてしまう。

 

「あ、やっと起きてくれましたね、ブリッジスさん。で、でも、出来ればもう少し寝顔を見ていたかったかも………な、何考えてるの、私ったらはしたない…………」

 

俺に声をかけてきたのは真っ黒い美しい長髪をした女の子。

その子は俺を見ながら頬を染めつつ俺の名を呼ぶ。

 

「どうしたんですか、ブリッジスさん? まだ目が覚めていませんか?」

 

不思議そうに首をかしげる姿が可愛らしいが、今はそれどころじゃない。

俺は彼女の肩を両手で掴み顔を近づけて問いかける。

 

「中尉、何でここに!? それよりここは一体?」

「キャッ!? ブ、ブリッジスさん、いきなりどうしたんですか!? そ、その、こんな急に……いえ、嫌じゃなくて寧ろ嬉しいんですけど、こんな急にされてしまうと心の準備が出来ていないので、その、あの、あぅ~~~~~」

 

目の前で何故か顔を真っ赤にして目を回す彼女に俺は慌てて手を離した。

 

「いや、すまねぇ、驚かせたな」

「いえ、別に。それよりどうしたんですか? 私、中尉なんて名前じゃないですよ。あ、もしかして昨日遅くまでゲームでもしてたんじゃないですか? 駄目ですよ、夜更かしして遊んでちゃ。あ、今の少し奥さんっぽいかも………」

 

何故か顔を赤らめる彼女。

一体なんだっていうんだ? それによくよく見てみるとその服装がおかしい。

いつもの国連軍士官服じゃなく、何やら白と紫の二つの色で構成された何かしらの制服のような物を着ていた。

似合ってはいると思うが、いつもより威厳を感じられない。

それに何より、こんなに感情豊かな奴だっただろうか?

いや、確かにアイツは感情の起伏が激しいが、それでもなんというか、ここまで表に出すような奴ではなかった。帝国軍としての誇りを胸に、常にその責務を果たそうと真面目で自分に厳しい奴だったと思う。

そんな彼女のことを俺は不審に思ってしまい、それを感じ取ったのか彼女は心配そうに俺を見つめてきた。

 

「本当にどうしたんですか? もしかして体調が悪いとか? だったら私、急いで大学にお休みの連絡入れてきますね」

 

真剣に俺を心配する彼女。

そんな彼女に俺はこれからするであろう質問に馬鹿馬鹿しさを感じつつ彼女に問いかけた。

 

「なぁ、馬鹿らしいと思うが聞いてくれないか」

「はい?」

「俺と………ちゅ…アンタの関係について教えてくれないか?」

 

その言葉に彼女は本当に心配しつつ、苦笑を浮かべながら答えてくれた。

 

「もしかして忘れちゃったとかいいませんよね? だったら酷いです。なので忘れちゃったかもしれない薄情なブリッジスさんにもう忘れられないようにきっちりと説明させて貰いますね。ここは日本で私、『篁 唯依』の実家です。そしてあなたは『ユウヤ・ブリッジス』さん。大学の留学生で家に下宿していて私の家庭教師さんです。もう~、忘れないでくださいね」

 

彼女…………篁 唯依は、俺の大切な人は、そう言う共にカーテンを開く。

入り込んでくる陽の光とともに広がる光景に俺は今度こそ言葉を失った。

 

「…………………これは………どういうことだ……………」

 

この日、俺は初めて自分の精神が本当にいかれたのかと思った。

 

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