Muv-Luv ユウヤ・ブリッジスの第二な人生   作:nasigorenn

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結構難しいですね、これ。


ミッション3 俺はもしかして別の世界に………

 今まで経験したことのない朝食だった。

まさに家族の団欒って奴なんだろう。俺の家族は母親しかいなかった上に祖父母がアレだったからな。こんな『和やか』な時間を過ごしたのは初めてだったかもしれない。

それに更に驚かされたのが、唯依が持ってきた朝食だ。

 

滅茶苦茶美味かった。

 

別にメニューに特殊なものがあったわけじゃないんだが、それまで合成食材ばかり食ってきてそっちに舌が慣れちまった俺には喰ってすぐに分かった。

 

これ、 天然物だ。

 

今のご時世、天然の食材なんてものを扱えるのはアメリカくらいなもので、それ以外の国ではもっぱら合成食材が出回っている。それは俺がいたユーコン基地でも一緒だ。

確か記憶が正しければ日本は今、すべての食事が合成食材でしかも配給制。その上量が満足になくて常に不足しているという危機的状況のはずだ。

だというのに唯依はさも当たり前のようにこいつを出してきた。

どういうことだ?確かに唯依は譜代武家という身分の出身だが、それでもこうも簡単にだせるものなのか? 国ですらそうそう簡単には出せない代物だと言うのに。

 と、そんなことを考えつつ食後のコーヒーを啜る俺。

さりげなく周りに目を向けて情報を集めるが、中々に進まない………と言うわけではないのだが、それでも俺には信じられないような事ばかりだった。

唯依の父親……名前を確認した時には不思議がられたが、祐唯というらしい。その人が見てるテレビから流れていたのはニュースや天気予報。

それを何気なく見ている父親だが、俺からしたらそれは衝撃以外の何物でもなかった。

まず天気予報だが、何でも人工衛星で気象を観測し、それから予測を立てて予報するというものだ。

ちょっとまて。BETAの所為でその手の物はすべて破壊されているんじゃなかったか?

俺自身が関わったわけじゃないが、その手の人工物は軌道衛星上にはないのが通説のはずだ。

それだけでも驚きなのに、更に流れたニュースは正気を疑うものだった。

日本各種の事件事故の報道から始まり世界各国の情報報道、株価やら何やらと情報は多岐に渡る。

おかしい。日本の首都は京都から東京に移ったというが、それ以外の都市がこうも普通にあるはずがない。この国はBETAの侵入であちこちが潰され京都も陥落したなのに。それに世界の情報に関し、BETAの所為で既に滅亡したはずの国のものもあった。

あの国が立ち直ったなんて話は聞いたことがないし、そもそもBETAの領域のはずだ。その中で人間が生存出来るはずがない。

 

もう、なんだってんだ………………。

 

調べれば調べるほど分からなくなる。

俺が知っている情報の殆んどが外れていて、逆に知らない事ばかりが溢れ出る。

ここが日本だというが、本当にそうなのか? そんな気になって仕方ない。

だから正直に聞いてみたい。だが、それをして自分がおかしいと思われるのはそれはそれで嫌な気がする。

だからどうしたものかと考えていると、何やら唯依が騒々しくしていた。

そんなアイツを見ていると、父親が俺に笑いかけてきた。

 

「そろそろ君も準備した方がいいんじゃないか?」

 

準備と言われても俺は何が何やらわからないんだが?

そう思ってると今度は唯依の母親………栴納というらしいが、彼女が父親に仕方ないと言った感じに話しかけた。

 

「そういう貴方もそろそろ会社に行く時間ですよ。ユウヤ君に構いたいのは分かりますけど、あまりそうしていると唯依に睨まれてしまいますよ……ほら」

 

そう言って示した先には、片手持ちの焦げ茶色をした鞄を持った唯依が俺に向かって走ってきた。

 

「ブリッジスさん、急いで下さい! このままじゃお互い学校に遅刻しちゃいます!」

 

学校? ここに来て色々と驚かされてばっかしだが、これは極めつけにアレだな。

驚き過ぎて何だか色々と判断が鈍ってくる。

だから俺は唯依に素直に聞くことにした。

 

「な、なぁ……学校ってどこに?」

 

その言葉に唯依は不審に思ったのか、俺をジト目で見てきた。

この感じ……確かジャイアントケルプに関節技を決められて身動きが取れなかった時の後にも同じような目で見られていたっけ。

 

「本当に大丈夫ですか、ブリッジスさん? 学校って言ったら学校です。私は白陵大付属柊学園に、ブリッジスさんは白陵大学ですよ」

「はぁ? 俺が大学に行く?」

「そうですよ、留学生なんですから」

 

もうあれだな。

まったくわからん。俺が何で大学にいかなきゃならないのか? 何故俺が留学生なのか? 俺の知っている情報からかけ離れ過ぎて、何が何やらわからないことだらけだ。

そこで考え付くのは頭の狂った夢物語。普通に考えたら絶対にあり得ないこと。

だが、そうでもしなきゃ話がつかない。

もし、それが本当だとしたら俺は………………。

 

 

 

 そう考えていたが、気が付けば唯依に急かされてその大学に行く準備とやらを整えていた。

ラフな私服に教材の入ったリュックサックを片方の肩にひっさげ、スニーカーを穿く。

それらのものはすべて俺の部屋に揃っていたことから俺が大学に通っているというのは本当のことらしい。

もう仮説が真実になってきたとしか言いようがない。

『ここの俺』はそうらしい。だからこれが正しいのだ。

なら『俺』はどうしてここにいるんだ? 本来あるはずの『ここの俺』はどうなったんだ? そして俺がどうしてその枠におさまっているんだ?

考え込んでも仕方ないと思っても考えてしまう。

そんな俺に唯依は笑顔で話しかけてきた。

 

「それじゃブリッジスさん………行きましょうか!」

 

それは確かに俺が知っている唯依の笑顔で、いつも見ていた彼女よりも更に明るく可愛らしい彼女に胸がドキっとした。

顔が熱くなるのを感じる。何でこんな風になってるのか自分が分からなくなる。

ただ、それでも…………その差し出された手を取って一緒に行きたいと、俺は思った。

 

「あぁ、そうだな」

 

確かにこんがらがることが多くて厄介だが、とりあえずはまず楽しんでみようと、そう思うことにした。

 

この『並行世界』ってやつを。

 

 

 

「ひゃっ!? そんな、ブリッジスさん、急に大胆です! で、でもブリッジスさんの手、大きくて暖かくて…………これが男の人の手なんですね………こういうものイイかもです………はふ~」

 

何故か知らないが、唯依が顔を真っ赤にしつつも嬉しそうだった。

もしこれが並行世界だとしても、案外こいつだけは変わらないのかもしれないな。

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