『彩雲国記』雲ハ何ヲカ求ムルヤ   作:緋槻

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またまたこんな時間に投稿です。これと前のが序章となります。(多分ですが…)

それと先に言っておきますが、落ちは孫陵王ではありません。それっぽいのが最後にあるのであらかじめ………


誤字脱字があればぜひとも一報くださるととても嬉しいです。むろん普通に感想くださるのもめっちゃ嬉しいです泣いて喜びます!


始まりの色は ❷

「さて、ときにおじさま。」

 

闇色の人は、なんだ?とこちらを向いた。しかしなぜこのような人が雲家に……

 

「ひとつ、きかせてください。あなたは“剣聖”ですね?」

 

一応疑問系ではあるがほぼ断定だ。その証拠に………

 

 

 

「お嬢ちゃん。名前を聞いてなかったな。なんて云う。」

 

 

 

とてつもない威圧。無理矢理に話題を変えられたが、まぁ、肯定されているのだろう。

 

 

「なはございません。“剣聖”さん。」

 

「次、その呼び名を口にすればお嬢ちゃんでも容赦はしねぇぜ。」

 

怒られてしまった。まぁ言いたくないことの一つや二つや三つくらいあるだろう。なんなら百八くらいあるかも……………いや…うん、ありそう。

 

「しかしそうか…無いのか。だがそれだと不便だろ、なんて呼ばれてたんだ?」

 

「ヒスイ、とよばれていました。めのいろがみどりだったからときいています。」

 

 

一族の皆は瑪瑙のようでとても綺麗だと言ってくれたが、白家の人たちにはガラス玉のように感情を映さないこの目がお気に召さなかったらしい。おかげでめったに白家に近寄ることなぞ無かったけれど。

 

「まぁ、すきによんでください。わたしたちはなをそれぞれがえらび、またえらばれたただひとりのあるじにたまわります。」

 

 

 

これこそが私達雲家の誇り。そして紅門姫家や藍門司馬家と違うところ。それは私達が主を必ずしも主家の白家に見つけるとは限らないという事。

 

「われらはくもをせいにかんするいちぞくです。くもはかたちをもたず、すきにながれてゆく。わたしたちもまたそのようにいきながらおのれだけのおうをみつけるのです。」

 

「そうか。ヒスイか……うん、似合ってんじゃねぇか。俺もそう呼ばせてもらおう。それから、俺のことは陵王でいい……苗字はまあ…追々だ。」

 

 

 

 

 

 

陵王……様はついと目を街へやる。

夜も更けてきたが街はまだまだ眠らない。

白州は意外と治安がいい。それ故、大業年間の爪痕はまだ大きく残ってはいるが既に復興は始まっていた。

 

 

 

 

 

「なぁ、ヒスイ。俺はお前のことは深くは問わん。」

 

だからなぁ、と陵王様は言葉を紡ぐ。

 

「俺を見極めろ。」

 

「みきわめる、ですか。」

 

「そうだ。お前の目で、耳で、感覚で、お前の全てで俺を見極めろ。そして、俺がお前の目に適うと判断したのならばその時。」

 

少し、私は彼の人を見くびっていたかも知れない。

 

「その時、お前の全てを教えてくれ。」

 

 

 

とぷりとした夜の闇に溶け込んだような、しかし、どこか温かい目がこちらを見据える。

 

こんな人に会うのは初めてだった。初めて、人を面白いと思った。

 

 

「そのていあん、しかと、うけとりました。」

 

 

 

 

そして、もし自分が主を見つけるならばこんな人が良いとも、思った。

 

だから、この人を己のままに、みつめよう。そう、決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうと決まればとりあえず飯だな!腹、減ったろ。お前ひょいひょい山道歩いてたけど、まだちっちぇえし……年は?」

 

「ちびはよけいです~まぁおなかはすきました。それからとしですね、ええとたしか……」

 

自分の年を指折り数える。考えたことも無かった。

 

「ご…か、いや、ろく?」

 

「六!?ガキだな餓鬼!」

 

 

なんだと。ものすごくイラッとした。

 

 

「うるさいですね、そのひげむしりますよ。」

 

 

ジロリと陵王様を睨む。すると慌てたように

 

「悪かった、俺が悪かったから、髭はやめてくれ。」

 

お前は餓鬼だけどちゃんと自分を持っているもんな、と拝み倒してきた。しょうがない。

 

「ふふん、おいしいものいっぱいおごってくださいね!」

 

「おうおう、任せろー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------後の史実に残ることはなく、また表舞台にあがることもほとんど無かった一人の軍師雲ヒスイと、彼の者がただ一人王と仰いだ孫陵王の邂逅だった。

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