『彩雲国記』雲ハ何ヲカ求ムルヤ   作:緋槻

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まだまだ原作時間軸には遠いですね。頑張ります。受験勉強も頑張ります。


藍に微睡む❶

 

「軍師どの!軍師どのぉぉぉぉ!!」

 

 

ドタドタと回廊を爆走しているのは瑛官吏。国試を第七位で突破した能吏なのだが、どこか抜けていて、それでいて憎めない人。

 

それがヒスイの評価である。あの真っ黒くろすけオジサマに言ったところ、

「お嬢にしちゃ、高評価だな」と珍しいものでも見たように言われてしまった。

 

 

 

「わぁ、お疲れ様です?」

 

「何故に疑問形なのです軍師どのぉ。」

 

「えー面白かったから?」

 

「ううう、州牧が何処にいらっしゃるかご存じですか?」

 

明日までの書類が丸々二山残っているのです!!と縋りつかれた。もはや涙目である。

哀れ、瑛官吏。

 

「えー…さっきふらりと窓から出ていった様なので、あと二刻は戻らないんじゃ無いですかね。」

 

言えば言うほど瑛官吏の顔が白くなっていく。白を通り越して青、から紫色に変わってきた。

 

「今日が私の命日となるのですね…」

 

ふふふふふ、と不気味に笑いながらふらふらと彼は暗がりへと消えていった。

 

哀れ、瑛官吏。(二回目)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(そういや、州府に私がいても何も言われた事、ないな。)

 

国試は女人禁制。故に、私は資蔭制で入った。資蔭は性別を明記していない。その穴をついた。御史台は貴族派の旺季様派だから、黙認してもらっている。

 

彼らは私をきちんと見て測ってくれる。

故に、私は私として、自分の居るべきところに立っていられるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

(それにしても、陵王様はどこに行かれたのか…皆死にそうな顔してるのに。)

 

 

 

 

 

 

「……あ。」

 

何処にいるか、わかった。

 

全く、あの人は自由過ぎて困る。やる時はやるが、逆に言えば、あの人が本気になるのは有事の際のみ。

 

 

 

 

 

 

「まぁ、だからこそ皆、なんだかんだ言いつつ、着いて行くのでしょうねぇ……」

 

 

 

さて、いざ往かん。藍家へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*******************

 

 

「失礼致しますよーっと」

 

 

ガタガタと半蔀をあげてするりと邸へ潜り込む。

 

真っ先に目に入ったのはみっつの鮮やかな藍。どうやら潜り込んで早々に、御当主様に捕まるそうだった。

 

 

 

 

 

 

「全く、君も大人しく門から入って来たらどう?」

 

「君のご主人様なら、ついさっき出ていったよ?」

 

「うちのお酒さんざかかっ食らってね?」

 

 

 

 

じっとりとした三対の目がとても痛い。

 

……………痛い。

 

 

 

 

 

「いや、あの、本当に……申し訳無い………」

 

「ほんとにね。で、何しに来たの?」

 

「あぁ…うちの州牧来てないかな~と、思いまして。もう出ていったんですね?」

 

「そうだよ。今の君みたいに、窓から出てった。」

 

「ああああ……すいませんでした…」

 

 

 

 

この三つ子をからかえるうちの上司凄い。私には荷が思い…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、あの、何か聞いてませんか…何処に行く、とか……」

 

「知るわけないだろ?」

 

「どうせまた花街か、甘味処だよ。」

 

 

 

 

ねぇ。

と、顔を見合わせて言う三つ子達。どうやら本当に知らないらしい。

 

 

 

 

 

 

………そして、陵王様がさんざか迷惑をかけ(本人は遊んでいるつもりだろうが)スタコラサッサと逃げたという事も、わかった。

 

私もはやくお暇(もとい逃亡)しよう。

辛い。

 

 

 

 

 

「それでは、私はこれで……」

 

今度ちゃんと菓子折持ってお詫びに来るんで!!と、さっき開けっ放しにしていた窓からさっさと飛び出す。

 

時間は有限なのだ。うん。無駄にすべきでは無い。逃げたとかじゃ、無い。断じて無い。

 

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