真・仮面ライダー 〜CASE・8〜   作:リアクト

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解説回かな。会話劇みたいになってしまいました。
ここまで書いてて思ったのが「おれの文章って地味だなぁ」です。

炭回は次回になりました。ガハマちゃんの扱いに未だ悩んでおります。

あと、アンチ・ヘイトタグは外しました。またつけることになるかもしれないけども。


第6話「閑話」

sideA

 

「で、あれはなんだったんだ材木座」

 

 闘いが終わり、アミーゴに戻った八幡達は、沙希の淹れたコーヒーを飲みながら一息ついていた。

 

「む、あれとは?」

「さっきのライダーキックってやつだよ。名前つけるにしてもライダーとか、何も乗ってないじゃねえかよ」

「分かってないな。お主のお父上、CIAに付けられたコードネームはなんだった」

「Masked・・・そこからかよ・・・」

「マスクドライダーかぁ。あ、そういえば比企谷くん知ってる?この辺りに伝わってる都市伝説みたいなものなんだけど・・・」

「あー、ひたすら正体を隠してとんでもねぇ性能のバイクに乗って戦う怪人。仮面ライダーでしたっけ?」

「おぉ、そのままではないか!まさかお主のお父上達ではあるまいな」

「んなわけあるかよ。そもそも親父がバイクに乗ってたなんて聞いたこともねえ」

「あれ、八幡知らなかったのか?」

 

 立花はうまそうにコーヒーを啜りながら言った。

 

「お前の親父、俺のツーリング仲間だったんだぞ」

「・・・え?」

「中でも一番速くてなぁ。大きな声じゃ言えないが、ここから仙台まで、一般道だけで5時間切って走れたのはあいつくらいじゃねえかなあ」

「仙台!?400kmはあるでしょうよ!?」

「一般道で平均80km/hとか、正気の沙汰じゃねえな・・・」

「単純なスピードもだけど、道の選び方が上手かったなぁ。まぁ、今考えたら出鱈目にも程があることやってたんだけどな。事故がなかったのが幸いだが・・・」

「・・・親父はキャノンボーラーだったのか・・・」

「あ、あとな」

 

 立花は、とんでもないことを言ってのけた。

 

「さっきの仮面ライダーな、八幡の親父だぞ」

「・・・は?」

「お前のみたいな超ハイテクなやつじゃなくてな。シンプソンてメーカーのバンディットってメット被って、バトルスーツって上下セットのスーツ着てよ、例の財団からの追っ手と戦ってたんだよ。レベル1とか2とかばっかりだったから、体内変身の能力だけで良かったんだろうなぁ。変化自体もお前ほど大きくなくてな、顔だけはどうしようもねぇからメットに穴開けてどうにかしたんだけどよ」

「ちょちょちょ、ちょっと待っておやっさん」

 

 衝撃の事実に付いていけない八幡が慌てて止める。その後を陽乃が引き継いだ。

 

「・・・立花さん、もしかして最初から知ってたんですか?財団のこととか、改造兵士計画とか。その上で比企谷くんのお父さんを匿ってたとか・・・」

「ん、ああ、だってほら」

 

 今夜はどれだけ驚けばいいのだろうか。

 

「俺が脱走手引したんだもの。財団にいたんだよ、俺」

「立花殿、言ってしまってよろしいのか」

「え、お前知ってたの?」

「知ったのはつい最近のことだがな。陽乃嬢にも伏せておけと念入りに口止めされた。しかしここでこうもあっさりとばらしてしまうとは・・・」

「だってお前、自分の口から言いたいじゃねえか。あとサプライズ?」

 

 立花はいたずらっぽく笑ってみせた。

 

「まぁ、今日のところはこれくらいにしておこうか。明日はお前ら学校があるだろ?・・・こうなっちまったら俺も、知ってることとやることを全部伝えないといけねえ。ちょいと整理する時間をくれよ」

「そうですね、もう遅いですし。・・・あ、比企谷くん、これだけ確認」

「なんすか?」

「さっき蜘蛛男が来る前、レベル2だってわかってたじゃない?あれも直感?」

「それもありますけど、過去1回だけ戦ったことがあるんですよ。そんときは体内変身の状態で、変身自体も初めてだったんで、暴走しちゃってほとんど覚えちゃいないんですけど。おやっさんとこでバイトするようになったのも、一人暮らしを始めたのもそれがきっかけです。あと、川崎との付き合いが始まったのも」

「つ、付き合いって・・・」

「あ、すまん。そういうんじゃなくて、その、会話したりするようになったのも、ってことだ」

「や、いいんだけど、その・・・」

「沙希ちゃんは可愛いねー」

 

 言われて照れる沙希を指でつつく陽乃。こういう日常を、八幡は何よりも大切に感じていた。

 

「我は体内変身についてはよく知らなかったが、八幡が人間離れした運動能力を持っているのは知っていた。お互い相手のいない体育の授業などでな。組んだときは死ぬかと思った」

「ぼっちだったからな。対人での加減がよくわからなくてよ。でもお前と雪ノ下さんとの繋がりが俺には全然分からないんだが」

「雪ノ下技研には元々出入りしていたのでな、そこで我が提案していた、携帯型の運動サポートギプスが陽乃嬢の目に留まり、その技術を転用して八幡の装甲を作ったのだ。陽乃嬢と八幡がどうして知り合ったのかはよくわからんが、八幡には財団が敵に回っていること、陽乃嬢が八幡の支援に回っていることは理解した。本来なら戦闘やら軍用やらの研究は絶対にしたくなかったのだが、それで守れる生命があるならばと協力することにしたのだ。我の作品を読んでくれる唯一の読者だったしな」

「あれを作品って言うのかよお前・・・いいからちゃんと終わりまで書けよ」

「ぐふぅっ」

 

 八幡にいじられた材木座がオーバーリアクションをとったところで、沙希は苦笑しながらも解散を宣言する。

 

「そろそろ本当にお開きにしようよ。あたしも帰らないとだし」

「そうね、じゃあ行きましょう義輝。比企谷くん、今日はお疲れ様。あ、ベルトは一応持ち帰るわね、次回までに調整して渡すわ」

「わかりました、お疲れ様でした」

「よし、じゃあ俺も戻るか、ちょっとやることが出来た」

「じゃあオーナー、これ持ってってください」

「おお、ありがたいな、いただくよ」

 

 いつも遅くまで仕事場にいる立花のために、沙希はあらかじめ水筒に詰めておいたコーヒーを渡した。

 

「沙希ちゃんはいい嫁になるなぁ・・・。おれが20若ければなぁ」

「立花さん、沙希ちゃんはほら、比企谷くんの嫁だから、ね」

「なっ!ちょ」

「あーもう、川崎がフリーズしてるじゃないすか。顔真っ赤になるほど怒らせちゃだめですって」

「八幡は八幡だのう」

「比企谷くんだねぇ・・・」

 

 

 

sideB(八幡視点)

 

「こっち終わったよ、待たせちゃって悪いね」

「構わねえよ、ほらメット」

「ありがと」

 

 店の片付けを終え、バックヤードから出てきた川崎は、赤い革のライダースジャケットを着込み、鞄を背負っていた。こいつ背は高いしスタイルは抜群にいいし、やたら格好いいんだよなぁ。川崎もバイク通学で、俺と同じくおやっさんから借りている。最近大型二輪免許を取ったとのことで、それまで家計の足しにするためにしていたバイトを増やした。欲しいバイクがあるらしい。

 店の鍵を閉め、おれも二階の自室に戻ろうとした時、ふいに川崎が言った。

 

「そういえばさ、材木座と陽乃さんって、付き合ってんだよね?」

「ああ、そうらしいな。はっきり聞いたことはねえけど」

「・・・陽乃さんが先に惚れたって本当?」

「ああ、それは本当だ。理由も聞いたぜ。っていうか、自分から勝手に話してたぜ」

「マジで?・・・まぁ、材木座も自分から言うタイプじゃないもんね。でも言っちゃ申し訳ないけど・・・」

「理由がわかんねえって?」

「うん」

「実際材木座の才能はすげえ。一介の高校生が、それがアイデアだけだったとしても、病人の介護のシステムをひっくり返すような発想なんかそうそう出来るもんじゃねえ。あげくに本人はそれを、ある程度まで自分で理論構築してたんだ。まぁ、それを真剣に受け入れる雪ノ下技研の懐もいいかげん深いけどな。・・・けど、雪ノ下さんを動かしたのはそれだけじゃない」

「うん。才能と努力、それだけじゃあの人があんなにベタ惚れしないよね。あの人自身もとんでもない人だし・・・」

「だよな。正直、有能すぎて結婚どころか彼氏も出来ないんじゃねえかと俺も思ってたんだが」

 

 雪ノ下さんの能力は高すぎる。まだ大学生にして既に経営者だ。トップに母親が立つ一大企業グループの傘下とはいえ、高校に入ってすぐに雪ノ下技研を改革、基本は建設資材などの研究をしつつ、実は軍事産業にも手を染め、財団とも繋がりを持っていた会社を方向転換させた。軍事産業から手を引くため、財団の穏健派、人体強化の研究を行っているレベル1グループと交渉し、事実上のトレードを成功させたのだ。これにより財団は軍事産業を発展させる結果にはなったものの、20年前の事件でトップを失い力を弱めていたために現状維持程度の補強となり、雪ノ下技研は人道的研究を信条とし、人事に寛容な研究施設に生まれ変わった。

 俺が聞く限りではこんなところだが、それがとんでもないことであるのは、一介の高校生である俺でもわかる。・・・だが、そんな彼女のツボは思わぬところにあった。

 

「あの人な。声フェチなんだよ」

 

 川崎がポカーンとした顔をしている。ま、そうなるよな。俺も聞いたときはそうだったわ。

 

 

 

 部屋に戻って明かりとテレビをつける。知らない芸人だ。

 

「・・・ねみぃ」

 

 すぐにテレビを消し、そのまま布団に倒れ込む。急に身体が重く感じ、逆に意識がふわふわと軽くなっていく。

 

 そんな中、ふと考えた。

 あの改造兵士。この辺りに潜んでいたのは偶然だろうか。そもそも俺を狙ってきたのか。または別の意図があったのか。

 去年、初めてレベル2に襲われた時は、もう少し離れた場所ではあった。ここから川崎の家までの途中の河川敷だったが、それでもこの界隈と言っていい範囲に出現している。他の場所にも出没している可能性はあるが、これまで一度も報道されていない以上、それは考えにくい。あんな化け物、同じ化け物である俺のようなやつじゃないと対処など出来ない。そんなやつがそうそういるとも思えない。

 

 それから、雪ノ下雪乃。

 あいつは何をあんなに怯えているのか。聞けば雪ノ下さんの妹だという。多分、あの態度と無関係ではないのだろう。どう関係するのかはわからないが、あれほどの人物が、妹の人格形成に関わっていないわけがない。雪ノ下雪乃の態度は、怯え、拒絶、そして攻撃だ。俺の知ってる雪ノ下さんは、強力な外面を持ってはいるが、内面は強く穏やかで、その性質は優しい。人それぞれの好みも、家族ならではの関係性もあるだろうが、拒絶というのは穏やかではない。

 

 明日は奉仕部に出る日だ。

 少し観察してみるか。

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