インストール@プリキュア!   作:稚拙

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 はじめましての方ははじめまして!
 ごぶさたの方はごぶさたです!
 稚拙と申します!

 今回書かせてもらうのはプリキュア、それもオリキュアに挑戦です!

 『ライダー・戦隊・ウルトラマンはもうやったのに、プリキュアだけ公式のテレビシリーズでディケイド的展開をやってないなぁ~』と思ったのが全ての始まり、
 『だったら書いてみようかな~』と思って設定とか考えたら、あれよあれよという間にいい感じに設定が固まりました。

 お楽しみいただければ幸いです。それでは、送信!


プロローグ

 その日も、当たり前に来ると思ってた。

 

 朝起きて、ご飯を食べて、身支度をして、外に出て。

 友達と笑い合って、いっぱい遊んで、陽が暮れて―――

 

 そんな、当たり前が、ずっと続くと思っていたその日の朝―――

 

 あたしの世界は―――壊れた。

 

 

 ―――メモリア!……起きて、キュアメモリア!!

 

 

 誰かが、あたしを呼ぶ声がする―――

 

「―――――――――っ!?」

 

 あたしを起こしたのは、いつもの目覚ましじゃなくって、響く声と真っ赤な光だった。

 時計を見やると、朝の4時。それなのに、こんなに明るいなんて……?

 ベッドから跳ね起きて家を飛び出すと、そこは――

 

 ―――地獄だった。

 

 見知った風景が、炎に包まれ、燃え上がっていた。

 あいさつを交わして、気さくに声をかけてくれる人たちが、悲鳴を上げて逃げまどう。

 何があったのか―――それをたずねる余裕もないのは明白。

 あたしは駆け出す。

 逃げる人々の間をかき分けて、その流れに逆らうように。

 

「……!」

 

 息をのんで、足を止めたあたしの前に立ちふさがる、黒光りするずんぐりとしたその姿。

 

「“バグッチャー”……!?」

 

 確か、“せんせい”の授業の中で教わったことがある。

 あたしが生まれる前―――あたし達の国―――“サーバー王国”を襲った闇の軍勢“ジャークウェブ”―――そいつらが使っている、意思を持ったコンピューターウイルスだ。

 そんなヤツらが、どうして……!?

 

「……っ、どいて!!」

 

 考えてる時間はない。あたしは両の拳に力を込めた。電子の輝きがひらめいて、あたしの視界をピンク色に染める。

 そしてそのまま、あたしは2体のバグッチャーの土手っ腹に、立て続けにパンチを連続で打ち込んだ。

 

『『デリィィィトォォォォォ…………!!』』

 

 断末魔を上げて吹き飛ぶバグッチャーを尻目に、あたしはまた走りだす。こんなところで、足止めを食ってはいられない。

 

「みんなを、助けなきゃ……!」

 

 目を覆いたくなるような惨状の中、あたしは目を背けずに駆ける。

 “せんせい”は言ってた。『どんなに辛いことがあっても、絶対に目を背けちゃいけない』って。

 逃げずに、立ち向かって、苦しいことも全部乗り越える―――

 それが、あたしが、『この名前』をもらった意味―――

 

「あたしは……!プリキュア……“キュアメモリア”なんだ……!!」

 

 ―――――――――

 

 あたし達プリキュアが、何かあった時に集まる場所がある。

 王国の真ん中に立つお城―――“メインサーバーキャッスル”。

 あたし以外のプリキュアたちも、きっとあそこに―――

 

「……メモ、リア…………」

 

 か細くあたしを呼ぶ声に、思わず足を止めた。

 

「リカバー!サーチ!!」

 

 傷だらけで倒れていたのは、あたしの友達。

 一緒にプリキュアになった、キュアリカバーとキュアサーチ。

 思わず駆け寄って、リカバーの手をにぎると、力無くにぎり返してくる。

 

「……ごめんね……守れなかった……みんなを……」

「リカバー!しゃべっちゃダメだよ!」

「わたし達の、ことは、心配、しないで……お城に、いそいで……」

「サーチ……!」

 

 いつもおっとりしてて、ちょっと頼りなげなリカバー。

 人と目を合わせたくないから前髪を長くしてる、はずかしがり屋のサーチ。

 プリキュアになった今でも、戦いなんて似合わなそうなふたりが、こんなにボロボロになるまで戦って……

 

「ありがとう……ごめん……ふたりとも、無事でいて」

 

 あたしはふたりが無事に生き延びてくれることを信じて、走り出した。

 振り返りはしなかった。振り返ると、また後ろ髪を引かれるし、ふたりの想いをムダにする。

 

 ごめん―――ほんとうに、ごめんね―――

 

 涙が止まらなかった。

 

 ―――――――――

 

 あたしがお城に着いた、ちょうどその時だった。

 ふたつの光が、玉座の間のある最上階のテラスに突っ込むのを見た。

 体の芯まで震わすような音がひびいて、お城全体がきしんだ。

 一瞬怯んだあたしの心に、真っ先に『あの方』の心配が浮かぶ。

 

「クイーン……!!」

 

 あたしが、あたしたちプリキュアが守るべき、この国のすべてを司る存在―――“プログラムクイーン”。

 あの方に何かあれば、サーバー王国は無事じゃすまない。あの方がいるからこそ、あたしを含めて、『この国のみんながこの国にいられる』のだから。

 あたしは心の不安に急かされるようにお城の階段を駆け上がって、玉座の間の前までにたどり着いた。

 あと少し―――そう思ったと、ほとんど同時だった。

 

「ぅぁあああああああッッ!!」

 

 悲鳴とともに、あたしの目の前を水色のシルエットが吹っ飛んでいき、壁へと叩きつけられるのを見た。

 

「っ!データ!!キュアデータっ!!」

 

 あたしといっしょにプリキュアになってくれた最後のひとり―――キュアデータだった。

 水色と白の服はボロボロになり、ところどころが赤くにじんでいる。

 

「……メモリア……!遅ェよ……!」

「ごめん……!ねぇ、何があったの!?他のみんなは……!?」

「く……それは……!」

 

 データは、玉座の間の中をにらんだ。その視線たどっていったその先には―――

 

 「…………え」

 

 信じられない光景があった。

 昨日まで、一緒に笑い合っていた。

 昨日まで、やんちゃをした時に叱ってくれた。

 昨日まで、わからないコトは何でも教えてくれた―――

 あたしの大切な先輩たち―――

 

 11人のプリキュアたちが、玉座の間のあちこちに、力無く倒れ伏していたのだった。

 

 「……ブルーム……ハート……ハッピー……ミラクル……ラブリー……?」

 

 そんなことは、絶対にありえない。

 みんなが、負けるはずがない。

 ここにいる11人は、11あるプリキュアチームの中でも最強の、リーダープリキュアたちなんだから……!!

 それが、どうして……なんで―――

 それに、ひとり足りない。

 そう、51人のプリキュアの中で、最強のあのひとが―――

 あたしがいちばん尊敬する、“せんせい”がいない―――

 

「51人いる伝説の戦士が……あっけねェモンだなァ……」

 

 知らない声がした。あたしはその声のした方を見た。玉座の前だった。

 

「……なぁ?キュアメモリア……?」

 

 知らない声の主は、知らない女の子だった。暗い緑色の衣装(コスチューム)に身を包んだ、闇色の輝きをまとう存在―――

 誰―――と思うその前に、あたしの視界に『ある人』が入った。

 

「…………!!“せんせい”……!!」

 

 苦しげな表情を浮かべながら、その女の子の右手に首を掴まれていたのは、あたしの“せんせい”だった。

 瞬間、全てがつながって、あたしの中の怒りと哀しみが沸騰して、全身に力がみなぎっていく感覚―――

 

 ―――コイツだ。

 

 コイツがこの国を。

 

 コイツがみんなを。

 

 コイツがリカバーを、サーチを、データを。

 

 

 コイツが、“せんせい”を―――――――――ッッ!!

 

「…………うぅぅぅぅおおおおああああァァァァ!!!!!!!!!!!」

 

 無意識に叫んでた。そしてあたしは右脚に力を込めて、石畳が削れるほどの踏み込みで間合いを詰めて、右の拳に全力を集中した。

 

「“せんせい”をはなせぇぇぇぇぇえぇ!!!!!!!!!」

 

 渾身の右ストレート。あたしは怒りのままに解き放った。

 

「メモリア!上だぁっ!!」

 

 その時のあたしには、データの声が聞こえなかった。

 気がつくと目の前には、“せんせい”をつかんでるヤツではなく、別の暗い黄色の衣装の女の子がいた。

 

「暗愚」

 

 何をされたのかわからなかった。パンチを放とうとしたその時、背中に強烈な痛みが走った。それをきっかけに全身の力が抜き取られて、次いでおなかに重い一撃をくらった。さっき間合いを詰めた道をそのまま戻されるように吹っ飛ばされて、あたしは壁にたたきつけられた。

 

「メモリアッ!!」

 

 一瞬、意識が飛んでいた。データの声で無理矢理に意識をつなぎ止めて、あたしは“相手”をにらみ上げた。

 “相手”は、ふたりいた。長い髪の暗い緑色と、前髪ぱっつん、腰からプラグみたいな触手を生やした暗い黄色。まるでプリキュアのような姿なのに、底知れない“闇”しか感じられないこの子たちは誰なの……?

 

「単純だなァ。怒りに身を任せて突っ込むなんざ、なっちゃいないなァ。どー思いますか“せんせい”?出来の悪い弟子に講評を……ま、出来ないだろうがなァ!!ヒャッハハハ!!」

 

 暗緑色の挑発じみた言葉が刺さってくる。でも、あたしは聞いてなんかいない。なんとかして“せんせい”を助け出すのが先だ。

 “せんせい”さえ助け出せれば、反撃のチャンスが―――

 

「無駄。救出。不能。投降。勧告。」

 

 暗黄色が、機械じみた口調で言ってくる。要するに『あきらめろ』とでも言いたいの?

 冗談じゃない。

 

 ―――『絶対にあきらめない』

 

 それがプリキュア、あきらめたらそこで負けだ。相手にも、そしてあたしの心にも……!!

 

「最期に教えといてやるよ―――――(オレ)はキュアウイルス!」

「キュアハック」

「ジャークウェブ……“カイザランチュラ”様が手駒……“バグキュア”さ」

「……バグ……キュア……!?」

 

 聞いたことがない。バグキュアって、いったい……!?

 でも、このふたりがジャークウェブの一味で、こんなひどい事もこのふたりの仕業だということもすぐに想像がついた。

このふたりが、全部やったんだ……!!

 

「最高の気分だぜ……!こんなにも簡単に、この国に復讐を果たせたんだからなァ!!腹の皮が(よじ)れるぜ!!」

「高揚。悲願。成就。」

 

 どういうことなの……?サーバー王国に、復讐って……?

 前にこの国を侵略して、その時にやられた事への逆恨み?

 何もかも、わからないことだらけ……。

 

「そんなの…………ホントの力じゃ、ない……!!」

 

 その時、首元をつかまれていた“せんせい”の口から、小さく言葉が漏れた。

 

「ズルして、強さを……もらっても……それは、ニセモノの……強さ、だよ……!!」

「あ゛ぁ!?」

 

 キュアウイルスは凄惨な表情で“せんせい”をにらんだ。

 

「アンタが何を言ったってなァ!!薄っぺらいんだよ!!最初に……最初に己達を裏切ったのは……アンタの方だったんじゃないか!クイーンだったんじゃないか!!この国だったんじゃないかァッ!!!」

 

 それまで余裕のあったウイルスの表情が一変した。キュアハックも、口元をゆがめてる。

 “せんせい”やクイーンが、裏切ったって……そんなこと……?

 この子は……何を言ってるの?

 

「クソッ!!息の根止められねェのがホンットムカつく!!」

「ウイルス。鎮静。命令。絶対。遵守。」

「…………チッ」

 

 ハックの言葉に、視線を逸らしながらウイルスが舌打ちする。

 

「耳障りももう厭きた……命令通り、終わりにしてやるぜ。お前らプリキュアも、この国もな」

 

 そう言うと、ウイルスは“せんせい”をつかんでいる方とは逆の手の指を弾いた。その瞬間、まわりに倒れていた他のプリキュアたちが、闇色の光に包まれ始めた。

 

「なん、なの……!?」

 

 あたしの目の前で、目を疑うコトが起きた。

 それまで倒れていたラブリーやドリーム、ピーチたちの体が光とともに消え失せて、小さなメモリーカードのカタチへと変わっていった。それだけじゃなく、テラスの外から、たくさんのメモリーカードが飛んできた。

 そしてそれらはすべて、キュアウイルスの手元へと集まっていった。

 

「“ワルイネルギー”に侵されたプリキュアは……意思なき“キュアチップ”に姿を変える……これでこの国は終わりだな」

 

 色々なことが起きすぎて、ワケがわからなくなっているあたしのとなりに、キュアデータが立った。

 

「どうなってんだよ……コレ」

「…………………………」

 

 あたしは無言で首を横に振った。わからないのは、あたしも同じ。

 

「―――――――――まだ、終わりじゃないよ……!!」

「「「「!?」」」」

 

 あたしとデータ、ウイルスとハックは、同時にその声を聞いた。

 

「“せんせい”っっ!!」

 

 “せんせい”は、”闇色の光”に身体を侵されながらも、その両の拳に、力をスパークさせていた。

 

「メモリア……データ……よく聞いて!あなたたちなら……きっと王国を元に戻すことができる……!あたし達には無い、“無限の可能性”を持つあなた達なら……!!」

「ダメだよ“せんせい”っ!!今助けるから……」

「来ちゃダメッ!!」

「ッ……!!」

 

 その時のあたしは、“せんせい”の言ったことの意味を、よくわかってなかった。“せんせい”の言う、『無限の可能性』っていうモノも。

 早く“せんせい”を助けなきゃ。それだけで頭がいっぱいだった。

 

「いい……?“リアルワールド”の人間たちの中から、あなた達に力と心を貸してくれる、“ユーザー”を探して、契約して……!ユーザーとなら、あなた達は最高の力を出せる……!」

「にんげんさん……?ユーザー……?」

 

 これも、授業で教わったことがある。

 王国の外―――――ずっと遠いところに、“リアルワールド”っていう知らない世界があって、そこには『にんげんさん』っていう、あたしたち『アプリアン』とは違ういきものが暮らしているという。

 そのにんげんさんと、けーやくって……?

 

「何言ってるのかぜんぜんわかんないよ!!」

「そうだぜ!それにアタシたちは、リアルワールドにはどう足掻いても入れないって、クイーンが……!!」

 

 データの言う通り。アプリアンは、この『キュアネット』だけでしか生きられない。リアルワールドにアプリアンが行く方法は無いはずなのに……。

 

「入れなくても、言葉は伝わる!!あなた達がリアルワールドに伝えるの!!この国の……ううん、キュアネット全体の危機を!!」

「ぎゃぁぎゃぁ五月蝿(うるさ)いんだよロートルが!!」

 

 キュアウイルスが力を強めたのか、“せんせい”を覆う闇色の光が強烈になっていく。

 

「“せんせい”っっ!!」

「行ってッ!!……あなた達が、あたし達の希望だよ……大丈夫……あたしが信じたあなた達は……あなた達、ふたりは……!」

 

 “せんせい”の、何かを託すような瞳が、あたしの心に突き刺さるように―――

 

「“ふたりはプリキュア”、なんだから……!!」

 

「っ……!」

 

 その瞬間、“せんせい”の両拳から、『黒色』の光がほとばしって、あたしの視界のすべてを、轟音とともに覆っていった。

 あたしは―――最後の力を、命を振り絞る”せんせい”の名前を―――

 意識の外で、叫んでいた―――

 

 

「キュアブラックーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 これが―――――

 

 守るべきモノを、愛する人を失った―――――

 

 あたしの、消してしまいたい記憶だった―――――




 騙して悪いが(ry
 という展開で申し訳ありませんが……

 プロローグにしてプリキュアオールスターズ全滅……!!

 まさしく、最悪の状況からこの物語は始まります。

 果たして、キュアメモリアとキュアデータは、ここからどう逆転を果たすのか……?

 次回から本編開始です。また、次回からは前書き・後書きスペースを使って、キャラ紹介や用語解説なんかもやっていこうと思いますので、よろしくお願いします!
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