インストール@プリキュア!   作:稚拙

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 キャラクター紹介

 キュアメモリアル

 『プリキュア・マトリクスインストール!』の音声コード入力によって、『ネットコミューン』のマトリクスインストールプログラムが解放、キュアメモリア“そのもの”がインストールされることによって、りんくが変身した姿。
 『∞』型に結ばれた長大なリボンと、頭のてっぺんから、何かを象徴するように後方に12本に枝分かれしている、ヤシの葉か花火を思わせる髪型が印象深い。
 このリボンは、キメ技を放つ際にイーネルギーの粒子加速器として機能し、イーネルギーの安定集束に一役買っている。

 まさしく『正統派主人公プリキュア』といった出で立ちであり、これは変身後の姿が『ユーザーが持つ“理想の女の子”のイメージ』を具現化しているからで、りんくの『理想の女の子』とは、まさしく『プリキュア』に他ならないためである。

 プリキュアらしく、身体能力は常識のタガが外れたかのように高いのだが、運動オンチのりんくが変身しているため、常識外れの超パワーをあらぬ方向に全力で向けてしまうこともしばしば。
 しかして、メモリアルの最大の武器は、りんくが持つ『プリキュアの知識』そのものである。
 レジェンドインストールの際、インストールしたプリキュアの能力のすべてを把握し、100%の実力を発揮させることが出来る。
 また、相対するバグッチャーが『プリキュアの能力を使用する』以上、その攻略法までをもりんくは知っている。
 即ち『敵を知り己を知れば百戦殆うからず』を、究極の形で体現した、対ジャークウェブ最大のカウンターパワー的存在なのである。
 もっとも、りんくとメモリアがバグッチャーに対して『プリキュアだと思って、敬意を以って挑む』というスタンスをとるため、プリキュアの弱点を突いた戦法は最小限にとどめ、正々堂々と正面から戦う。

 その名は、『記憶』の累積である『今』を守るために、『心』のままに戦うという覚悟から、融合後のりんくが無意識に名乗ったもの。

 ―――――――――

 プリアラも始まり、まさにプリキュア新時代到来!
 手作りスイーツが流行るんでしょーかねぇ……

 今回は、キュアデーティアの正体を探るため、りんくが一計を案じます。
 はてさてこの先どうなることやら……では、送信です!


第6話 あなたはだあれ?キュアデーティアの@正体!
夢の対決!


 キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピーだよ!

 

 りんくちゃんの前にあらわれた、もうひとりのプリキュア、キュアデーティア―――

 

貫槍術(カンソウジュツ)壱式徹甲機動(イチシキテッコウキドウ)―――“流星(ナガセ)”ッ!!!』

『なんか、カッコいいなって……』

『……大丈夫?無理、してない?』

『よろしくね、メモリアル』

 

 落ち着いた感じの、いい子みたい!なんだけど……

 

『あなたの本当の名前、教えてくれないかな……?』

『……それは、できない……本当のことを知ったら……きっと、キライになるから―――』

 

 何か、事情があるのかな……?デーティアが隠してる本当のことって?

 

 ……りんくちゃん……きっとこの子は、自分のことを話すことを怖がってる……

 でも、きっと大丈夫だよ?きちんとお話して、わかり合うことができるハズ―――

 ふたりが、“ふたりのまま”で出会える日は、きっと遠くはないから……!

 わたしも、めいっぱい応援するよ!

 

 まだ行方がわからない、あかねちゃん、やよいちゃん、れいかちゃん―――

 それから、他の世界から来た、プリキュアの友達―――

 みんながもう一度そろって、サーバー王国に帰れるように―――

 信じてるよ、りんくちゃん!

 

 『インストール@プリキュア!』―――

 がんばる“ふたり”と“ふたり”に、きっと来るよ!最高の、ウルトラハッピー!!

 

 ―――――――――

 

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 ―――――――――

 

 献花台の後の、帰り道―――ちょっとだけ、うれしい出来事があった。

 キュアットタブから、すすり泣くような声が聞こえて、そっとのぞいてみると―――

 

《……よかった……マーチが無事で、本当によかった……!》

《ハッピー……あたしも…………うぅ……》

 

 理不尽に離れ離れにされて、悪いヤツに力を利用されて―――

 みんな、辛い目に遭った。そんな中で、同じチームの仲間と再会することができたキュアハッピーとキュアマーチ―――

 涙をぽろぽろと流しながら、ふたりはぎゅっと抱き合っていた。見守るキュアロゼッタとキュアトゥインクルも、どこかうれしそう。

 それから……ふたりも友達と再会する光景を想像してたのかな……ふたりの目にも光るものが見えた。

 

 ―――おめでとう……みゆきちゃん……なおちゃん……

 

 私はそっと、タブをバッグの中にしまった。

 

 ―――――――――

 

 寝る前に、私は机の上でキュアットタブを開いた。

 現在までの、『プリキュア救出状況』がわかるリストを、アプリで開く。

 

【挿絵表示】

 

 まだほとんどが真っ白―――『現在消息不明』だ。色がついている―――救出したのは、わずか4つ。

 でも、今日分かったことがある。キュアデータと、そのユーザーのキュアデーティアが、キュアレモネードのチップを持ってること、だ。

 つまり、事実上救出したプリキュアは、これで5人ということになる。

 

 「ようやく5人、かぁ……」

 

 なんだか、気が遠くなりそう。51人中の、5人。約10分の1……まだまだ道は遠い。

 それに―――

 私はリストの一番左側に記されている名前をずらずらと見ていく。

 

 12人の主人公―――その中で、色がついているのは24番目、キュアハッピーだけ。

 まだ、11人のリーダープリキュアが、消息不明のままになっている。

 せめて、リーダープリキュアたちを早く助け出すことができれば、これからの戦いも楽になるんだろうけど……

 

 そんな考えが頭をよぎる。いかんいかん、何考えてるの東堂りんく!?

 私は誇りあるプリキュアオタク……!すべてのプリキュアを分け隔てなく愛でると誓った身、特定のプリキュアだけヒイキ目で見るなんて絶対にあっちゃならない!バグッチャーが出てきたら、そこにどんなプリキュアが囚われていようとも、必ず助ける!

 これは、誇りあるプリキュアオタクである私に、天から与えられた、『私にしかできない使命』なんだ!

 

「よぉし!やるぞぉーーっ!!プリキュアオールスターズ、このタブに全員キュアっと、勢揃いさせちゃうんだから!!」

 

 夜にもかかわらず、大声で叫んでしまった。「おい、うるさいぞー!」と、階段の下からパパの声がした。ごめんなさい……

 

《うふふ……やる気まんまんですわね、りんくさん♪》

「ひゃっ!?」

 

 突然タブの画面が“プリキュアルーム”に切り替わり、ニッコリ笑顔のキュアロゼッタさんが現れた。ぎょっとして私はイスから転げ落ちそうになった。

 

《あらあら、大丈夫ですか?》

「もう……急にびっくりさせないでよっ」

《……ごめんなさいね♪……でも、お元気になって何よりですわ♪》

 

 元気になった、というのとはちょっと違うかな。なんというか、折り合いをつけたというか、自己解決したというか。

 こうしていつも通りに話してるけど、昨日とは明らかに心境が違うんだよね。

 私の中でモヤってた何かが消えて、すっきりと、ありのままの私自身を前面に押し出せる、そんな感じ。

 プリキュアになったこと、そんな私に何ができるか―――という考えが、しっかりと私の心の中にある。

 

「……いろいろ心配かけちゃったみたい……頼りない見習いで、ごめんね」

《いえ……ワタシたちの方こそ、メモリアがいつもお世話になっていて、ワタシたち自身も、こうして“おうち”をご提供していただいているんです。いずれは、ご恩を返させていただきたいですわ♪》

「そ、そんなのいいよ!……“おうち”作ったの、メモリアだし……ありすちゃんやみんなが本当にこの世界にいて……こうやって、『アニメの中のキャラクター』じゃない、『ホンモノ』のありすちゃんたちとお話できてるんだから……プリキュア好きで、本当によかったって思ってる……今この瞬間が、私にとっては最高のごほうびだよ♪」

《りんくさん……♪》

 

 ホント、世の中のプリキュアファンのみんなには申し訳ないくらいの毎日だ。なにしろ、『ホンモノ』のプリキュアとお話して、毎日を過ごせるんだもん……

 

「このよろこび……あの子にも伝えたいな……」

 

 あの子―――キュアデーティアも、プリキュアのことが好きだから、データのことを信じてあげたからこそ、データとマトリクスインストールができたんだと思う。 あの子にレモネード以外のレジェンドプリキュアのみんなを紹介したいし、それに―――

 

「あの子のこと……もっと知りたい……」

 

 あの子は、『本当のことを知ったらキライになる』って言うけど、私は絶対、キライになんてならない。

 だって、あの子も私と同じ『プリキュアユーザー』で、この現実世界でたったふたりの『プリキュア』なんだから―――

 きっと仲間に―――友達になれるはず!

 

《その、キュアデーティアのことなのですが……ひとつ、気づいたことがありますわ》

 

 ロゼッタは、小さなウィンドゥを呼び出した。夕方の、“ハッピーバグッチャー”との戦いの映像が流れはじめた。

 

《メモリアが記録していた映像を見せていただいたのですが……彼女の構えや体捌き……一挙手一投足……それらすべてに、特徴的な点が見受けられました》

「特徴……?」

《はい……これらの動きはすべて、古式武術の動きによく似ているのです。以前一度、このような武術をお使いになる方と、お手合わせしたことがあるので、よく覚えているのですわ。……もう、かれこれ20n「だからトシのことはダメ~!!」》

 

 よ、四葉ありすちゃんは永遠の14歳なんです!!なので20年前なんてないんです!!ないんですよ、皆さんっ!?

 

「……はぁ……と、ともかく、デーティアは武術使いってことね……となると……柔道部か空手部……でも技が柔道っぽくなかったし、空手部の子かなぁ……」

 

 武術部なんてウチの学校には無い。格闘技を扱ってるのは、相撲部と柔道部と空手部だけだ。

 とりわけ大泉中の空手部は地域でも名門で、わりと強豪校。個人戦や団体戦でも、大会ではよく上位に食い込む常連だ。

 

 まてよ―――

 

 私はネットコミューンを取り出して、スケジュール管理アプリを起動した。

 1週間後のスケジュールに、あった。“それ”を確認して、私は決めた。

 

「ロゼッタ……私、デーティアが誰か、探ってみるよ」

《まぁ……でも、よろしいのですの?あの方は『本当のことを言えない』とおっしゃられていますのに……》

「それなら……正体を知っても、デーティアに伝えずに、あの子が自分から言ってくるのを待つよ。あくまでも、あの子が決心して、自分のことを話してくれるまで、私からネタバレはしないつもり。ちょっと、ズルい気もするけどね……」

《それならよろしいのですが……何か、良い方法が?》

「ふっふ~ん……♪」

 

 今日の私は頭が冴えてる。寝る前なのに冴えちゃってる。私はドヤ顔をロゼッタに向けた。

 

「私にいい考えがある」

 

 ……こ、こら、画面の前のヒト!!失敗フラグって言わない!!

 崖から転がり落ちたりもしないんだからねっ!?

 『スマプリ』のピエーロの声で脳内再生しちゃだめ~!?

 

 ……タブの中で先に寝ていたハッピーとマーチが、ガバッと起き上がってた―――

 

 ―――――――――

 

 それはともかく、1週間後―――

 

 私が来ていたのは、大泉武道館。

 中学総体の地区大会―――空手の部の会場。

 今日は私のクラスの有志何名かで、空手部の子の応援、というわけ。

 で、なんで私がこの、『空手部』の応援に参加したのかというと……

 

 ―――キュアデータのユーザー=キュアデーティアの正体を、ダイレクトに突き止めるため!!!

 

 あれだけの実力があるんだったら、空手部のエースの子に違いない!

 でもって、プリキュアユーザーの証―――私と同じネットコミューンを持ってるに、絶対違いない!!

 

 そこで私が立てた作戦はこう!

 

 休憩時間に、空手部の女子に片っ端から声をかけて、スマホを見せてもらえば万事解決!見るだけ見たら即撤収!!

 なんてカンペキなケ・イ・カ・ク!!スマホを見せてもらうだけなら、怪しまれないし、何の問題もないよね☆同じ女の子同士なんだし!

 

「どしたのりんく?何ニヤついてんの?」

 

 観客席の隣の席に座っていたむぎぽんが、私の顔をのぞき込む。

 

「ふぇ?あ、いや、なんでもないよ」

「ならいいけど……でも、ちょっと意外って思ったよ。りんくが空手部の応援に来るなんてね」

「そうかな?空手、カッコいいじゃん?ほら、プリキュアってパンチとかキックとかで戦ってるわけだしさ」

 

 これは建前に聞こえるだろうけど、実は事実だったりする。

 私自身がプリキュアとして戦うことになった以上、心だけじゃなく、肉体的にも強くならなきゃいけないと思ってる。参考にテレビやネットで格闘技の中継を見たり、プリキュアシリーズの中でも、バトルシーンに定評のあった回のブルーレイを見直してみたり、色々と勉強中。

 トレーニングもやってる。寝る前に筋トレとかしてみたり。もっとも、元々運動オンチの私だけに、ちょっと運動しただけでヘタっちゃうんだけどね……

 

「そらりんも、つき合わせちゃってごめんね?」

「ううん、ええよ♪わぁもちょっと興味あったしぃ。それにぃ~……」

 

 そらりんは、いつも細めている目をかすかに開いて、むぎぽんに向けた。

 

「……“どうなるんか”、見届けんともいかんしぃ~❤」

「あのね……カン違いしてるよ……アタシとほくとはそーゆーカンケイじゃないの。単なる付き合いの長いご近所さんだよ」

「ホントかなぁ?ならどーして、野球部の応援に行かなかったの?あっちの方が人気あったじゃん」

「ま……まぁ、そりゃ、ほくとは赤の他人ってわけでもないし、義理もあるからね。応援のひとつでも飛ばしてやれば、ハッスルするでしょ」

「で、むぎぽんの応援で“ヤル時ぁマジ”になっちゃうわけね♪」

「そんでもって、“妙に強い”んやねぇ♪♪」

「そーそー、そういう“ギャップが魅力”……って、何言わせんのよ♪♪♪」

 

 なんだかんだで最後はプリキュアネタへと走ってしまうのが、私達3人だ。

 笑いあいながら、私は2人に心の中で感謝した。私のことを心配してくれて、本当にありがとう―――

 私が、“いつもどおりの私”として帰ってこれるのが、この2人のいる場所だ。

 私、絶対守るね―――むぎぽんと、そらりんと、みんなが暮らすこの街、この世界を―――

 

「あ、八手くん出てきたえ」

 

 そらりんが視線を促す先に、空手着姿の八手くんや香川くんたち、空手部の団体戦メンバーが姿を見せた。

 

「ほくと~!がんばんなさいよ~!」

 

 声を上げるむぎぽんに気づいたのか、八手くんが2階の観客席の私達を見上げてきた。

 私と目があったように見えたその時、八手くんは何故か私から視線を逸らした。

 まただ。遠足の時も、この間の教室の時も、私と視線が合うと、八手くんはなぜか視線を逸らしてしまう。

 ……私、もしかして嫌われてる?それとも、特撮ファンの八手くん、プリキュアファンの私を目のカタキにしてるとか……?そんなまさか。

 でも、なんかヘコむなぁ……私、個人的に嫌われるようなこと、した覚えはないんだけど……

 

「ギャ~~リ~~~ソ~~~ン!!!!!」

 

 あれ?この声って……?

 声をした方向を見ると、相手校の生徒たちがいる、向かい側の観客席があって、その最前列に―――

 

「川村さん!?」

「どーしてあっちの学校にいんのよ!?」

「うふふ……♪その理由は、アレやなぁ」

 

 目くばせするそらりん。相手校のチームの中に、見覚えのある男の子がいた。あれってギャリソンくん? 

 団体戦の1試合目・先鋒戦。大泉中の先鋒は八手くん。相手校の先鋒はギャリソンくんだ。

 

「先鋒戦、勝負、始め!」

 

 ―――――――――

 

 すごい試合だった。

 事前にネットで予習してたけど、空手の試合は、基本的に『攻撃を対戦相手に当ててはいけない』コトになっている。

 つまり、攻撃は全部『寸止め』しなきゃいけない。

 それでも、見てるこっちにも、戦ってる2人の気迫が伝わってくる“いい試合”だった。

 

 プリキュアのみんなにも見せてあげたくて、私はむぎぽんとそらりんに「ちょっとごめん」とひとこと告げて、みんなからちょっと離れたところでキュアットタブをバッグから出した。

 

《わぁ……》

 

 こんなにもたくさんの人がいる中で、タブを出したのは初めてかもしれない。メモリアが、目をかがやかせていた。

 最初は、このにぎわいに戸惑っていたようだけど、すぐに他の4人のプリキュアたちといっしょに、声を上げて楽しんでくれるようになった。

 そんな中、メモリアが言ったひとこと。

 

《なんか、“プリキュアーツ”みたい!》

 

 ん?ソレって確か、『S.H.Figuarts』のプリキュアフィギュアの通称じゃなかったっけ?どうしてメモリアが知ってるの?

 

《確かにフンイキは似てますわね》

《思い出すなぁ……》

 

 ロゼッタとハッピーが懐かしそうに語るところを見て、たぶん、私が知ってる『プリキュアーツ』とは違うみたい。気になって、私は訊いてみた。

 

「ねぇメモリア、プリキュアーツって?」

《51人のプリキュアオールスターズ全員参加の、トーナメント形式の武闘大会だよ!年に一度の、サーバー王国のお祭りなんだ!》

 

 !?……な、なんですとッッ!?!?

 い、今、『プリキュアオールスターズ全員参加の、トーナメント形式の武闘大会』って言いました!?

 そんな、プリキュアファンにとっての夢の祭典が、歴史の裏、ネットの奥深くで催されていたってことですか!?

 

《元々、いつまたサーバー王国を襲ってくるかわからないジャークウェブに備えて、腕を鈍らせないようにってみんなで始めたことなんだけど、いつの間にかサーバー王国のみんなが盛り上がっちゃって、お祭りみたいになっちゃったんだよね……》

 

 笑いながらマーチが言う。

 なるほど、プリキュアたちの自己鍛錬の一環、というわけですか。女の子たちの憧れとして、いつまでも強く可愛くカッコよくあるべきというその精神、勉強になります……!

 しかし気になるのはその内容!これって、映画『雪空のともだち』でキュアブラックとキュアホワイトがガチバトルするのを見た子供たちが映画館で大泣きしたことで、公式ではタブー視されるようになった『プリキュア同士の本気の戦い』じゃなくって、きちんとルールを決めたうえでの試合、プリキュア版天下一武道会、プリキュア版最大トーナメントってことだよね!?それなら見たい!超見たい!!

 

「ねぇ!ねぇ!!どんな感じ!?どんな感じだったの、そのプリキュアーツ!?教えて教えて!!」

 

 コーフンして、とてもアバウトな質問しか出来なかった。まず初めに答えてくれたのはトゥインクル。

 

《前の大会の時は初戦は突破したんだけど、2回戦でキュアホイップにね……クリームでぐにゅ~んって動けなくされちゃって、最後はケーキにされちゃった☆》

 

 トゥインクルは笑って言うけど、割とエゲつないなぁ……ソレ。

 キュアホイップがリーダーをつとめる『プリアラ』の5人は、パンチやキックを使わずに、クリームエネルギーとアニマルアクションで戦う、数あるプリキュアチームの中でも異色のチームだ。

 遠くから一方的に攻撃される上に、近づいても予測不可能な動きでかわされる……テレビで見てたぶんにはカワイイって思ったけれど、実際戦うとなると戦いにくそう……

 

《あたしは初戦でキュアビートに完敗……バリアで攻撃効かないし、最後は音符でドカーンと……》

 

 苦笑いするマーチの表情が暗い。悔しかったのか、それともフルボッコにされちゃったのか……

 

《ゴメンナサイ……わたしも初戦負け組でーす……》

 

 えええ!?リーダープリキュアのキュアハッピーが初戦で負けてるの!?一体誰、ハッピーに勝ったプリキュアって!?

 

《おしりパンチは反則だよ、はっぷっぷ~↓……ヘッd……もとい、ブロッサムはああいう時だけは本気なんだもん……》

 

 キュアブロッサムが相手だったんですか……リーダープリキュア同士の戦い、さぞ盛り上がったんだろうなぁ……

 

《ブロッサムとハッピーはいつも仲良し、なのですわ♪》

《でもハッピー、割とあの時のブロッサム、目が本気だったよ?いつもの無茶ブリ、根に持ってたんじゃないの?》

《トーナメント表が発表されてから、ブロッサム、サンシャインの道場で特訓してたし、フォーチュンの道場に出稽古に来たって話も聞いたよ?……あれって相当本気だったんじゃないかな……》

《そんなぁ~……》

《それと、こないだみんなでカラオケ行った時のプロテイn―――》

《そ、それも言わないでぇ~!!》(半泣)

 

 な、なんか、ブロッサムとハッピーの間には友情と同じくらいの『別のナニカ』がありそうな気がするんですけど……

 ってか、サーバー王国にもカラオケあったのね……プロテ……なに?

 

《そ、それはそうと、ね、ロゼッタが一番すごかったんじゃないの?》

 

 話題をそらすためか、ハッピーがロゼッタに話を振った。ごまかしたな、みゆきちゃん……

 

《いえいえ……準決勝まで行けたのは、運があったからですわ♪》

 

 スゴい!!51人のプリキュアたちの激闘を勝ち残って、ベスト4まで行ったんだ!さすがは『武神』とまで崇められるロゼッタ様……!!

 

《3回戦のフォーチュンとの試合、スゴかったよね》

《うん!大会の最優秀試合に選ばれるのも納得だったよ》

 

 キュアトゥインクルVSキュアホイップ、キュアマーチVSキュアビート、キュアハッピーVSキュアブロッサムと、夢の対決がズラリと語られる中、ついに来ましたよ大本命!!

 キュアロゼッタVSキュアフォーチュン!!プリキュア屈指の実力者同士のバトル、しかも大会最優秀試合!!映像があったらゼヒとも見たいです!!

 

《あのお手合わせでワタシが勝てたのは、それこそ運ですわ。どちらも、あと一撃で勝負が決するまでに、実力が拮抗しておりましたもの……紙一重の、良い“仕合”でした……ぜひもう一度、お手合わせをお願いしたいですわ♪》

 

 そ……そんなに壮絶な試合だったの!?ますます見たくなりました……

 でも、3回戦の試合で勝ったってことは、次の準決勝で負けちゃったってコトだよね……

 

「ロゼッタが準決勝で戦ったのって、誰だったの……?」

 

 つまりはそんなロゼッタに土をつけた別のプリキュアがいることになる。思わず私は訊ねていた。

 

《それは―――》

 

 ロゼッタはメモリアを見やりながら言った。

 

《メモリアの“せんせい”―――キュアブラックですわ》

 

 今まで、話が出てこなかったのが不思議だったけど……そういうことだったのね……

 はじまりのプリキュア―――キュアブラック―――

 

《圧倒的な実力差でしたわ……私の攻撃は一撃も届かず、ロゼッタウォールもロゼッタリフレクションも紙のように叩き割られて、1分足らずで勝負を決められてしまいましたもの……》

「…………(;゚Д゚)」

 

 思わず、私は戦慄していた。

 鉄壁のロゼッタの防御技が、紙……!?しかもノーダメージで1分KO…………!?!?

 とんでもない強さだ……―――

 

《結局、キュアブラックの優勝……また誰も、ブラックに勝てなかったんだよねぇ》 《驚異の15連覇……絶対女王って言うにふさわしい勝ちっぷりだったな……》

 

 ハッピーとマーチが半ばあきらめたような笑みを浮かべている……

 15連覇の絶対女王……はじまりのプリキュアは、とんでもなく強かったんですね…………

 で、その最強のプリキュアのお弟子さんって言うのが―――

 

《んふふ~……やっぱ“せんせい”ってすごい!ふんす!》

 

 この、キュアメモリアっていうワケか……そういえば最初に会った時、『51人のプリキュアで最強のキュアブラック』って言ってたっけ……このコトだったのか。

 そりゃメモリアも強くなるワケだ。そんなヒトに2年間、みっちり修行をつけてもらったんだから……

 でも、ちょっと待って……これから先、プリキュアを取り戻す戦いを続けていけば、いやおう無しにキュアブラックを取り込んだバグッチャーも出てくる可能性があるワケで……

 

「メモリア……私たち、ブラックと戦って生きて帰れるのかな……」(死んだ魚のような目)

《………………!!》(びくっ)

 

 メモリアにとっての“せんせい”なら、メモリアといっしょに『真のプリキュア』を目指す私にとっても、“せんせい”だ。

 その“せんせい”を超えていかなければ、『真のプリキュア』には、絶対になれない……!!

 

 見えない大きな壁を、私達は見たような気がしたのでした……

 

 ……SAVE POINT




 用語解説

 プリキュアーツ

 サーバー王国で年に1度開かれる武闘大会。
 プリキュアたちが、日頃鍛えた腕前をプログラムクイーンの御前で競い合う。
 試合は1対1のトーナメント制。プリキュアたちは原則全員参加して行われ、国民たちにとっては年に1度のお祭りのような認識となっている。
 16年前のジャークウェブの侵略をきっかけに、プリキュアたちがその戦闘技術を鈍らせないように始めたとされる。
 これまでの大会はキュアブラックが15連覇を達成しており、絶対女王として君臨している。
 2週間後に第16回大会が開催される予定だったが、ジャークウェブの第2次侵攻により、大会が開かれることは無かった。

 ―――――――――

 ちなみに、現実の中学総体には空手の部はなく、高校総体からとなりますので、勘違いをなさらぬよう……

 プリキュアファンなら一度は見たい、『プリキュア版天下一武道会』!!小説内の『プリキュアーツ』は、そんな稚拙の願望を設定として取り入れたものです。公式様、映像特典とかでもいいから一度はやってくれないかなぁ……

 次回は遂に……キュアデーティアの正体が……!!
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