増子 美祢
りんくのクラスメートの中学2年生の女の子。
代々、新聞社やテレビ局など、報道の部門において華々しい活躍を上げている『マスコミ界の名家』と呼ばれる一族・増子家のひとり。
探求心と好奇心が旺盛で、プリキュア関連の事件にもいち早く飛びつき、独自に取材を行っている。特に現実にプリキュアやジャークウェブの勢力が出現しだすと、彼女たちの正体や目的などもリサーチを始めたが、それをよく思っていないとある親類に釘を刺されている。
将来は当然マスコミ関係の仕事に就きたいと思っているが、『写真』そのものにも興味を持っており、写真家になるのも悪くないかも、とも考えている。
りんくとは何かとウマが合い、いろいろと情報を提供してくれるが、当のりんくがプリキュアであることは知る由もない。
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今回から新章突入!
いきなりネタ回からスタートすることをお許しくださいッ。
連続スマホ突然発火事件
しんしんと降り積もる、清き心―――――キュアビューティです。
『本物』しか世界を守れないがために、『本物』を目指そうとする、りんくさん―――――
「私―――――"ホンモノ"になるって、決めたから」
「私と一緒に……『ホンモノのプリキュア』に、なろっ!」
『本物』を目指していいのか、葛藤するほくとさん―――――
「いいのかな……男の僕が……プリキュアでも……」
「僕で……釣り合いが取れるのか、わからないけど―――――それでも……いいのかな……?」
でも、おふたりの"道"は、ひとつの目標に向かって重なりました……!
目指す処、そこへつながる一筋の"道"―――――あなた達なら、決してそこから外れることがないと信じます……
かの詩人……高村光太郎はこう詠いました……『僕の前に道はない、僕の後ろに道は出来る』、と……
未来を拓くこの"道"を作り、歩んでいくのは、他でもないあなた達―――――
『インストール@プリキュア!』―――――
信じてお進みください―――――この遠い、道程のため―――――
……あ、美味しいプリンのお店をご存知でしたら、ぜひともご紹介を……♪
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……ENEMY PHASE
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ツイてない……
まったくもってツイてない!
それもこれも、キュアデータに目をつけてからだ……!
アイツと鉢合わせるまで、何もかもが上手く行っていたんだ……!
この間のサーバー王国侵攻作戦の時だって……!
「イライラしているようだなッ、
この声……そしてヒトやモノの名前を間違える言い回し―――――
「……ネンチャックだ。帰ってきてたのかい―――――スパムソン」
確かコイツ、『別任務』で遠征に行っていたはずだ……どうして戻ってきたんだ?
「御大将からの召還命令であるッ。サー
相変わらずのカッコツケ。軍人ゴッコなんて古い考えだ。
まぁ、この間のサーバー王国侵攻作戦を考え付いたのはコイツだし、キュアチップを確保できたのもコイツの功績だから、強くは言えないんだけど。
「君まで駆り出されることになるってコトは……いよいよカイザランチュラ様も本気みたいだね……」
「うムッ。因縁深き
「……その言語機能の不全、どうにかならないのかい?聞いてるこっちがなんかイラつく」
「その事については小官も詫びようッ。それもこれもッ、黄色い小熊の如き
苦々しい表情を、スパムソンは浮かべた。
サーバー王国侵攻作戦の時に、コイツはキュアモフルンから不意打ちを食らった。ボクもその様子を見ていたけれど、後頭部へのミサイルキックがイイ角度で入っていた。
以来スパムソンは、固有名詞を最低一文字は間違えて発音するようになってしまった。どうやら発声機能に支障をきたしたらしい。
もっとも、その相手であるキュアモフルンもキュアチップになったことは確認しているけれど―――――
「
そう―――――あの時、51枚のキュアチップすべてを、ボク達ジャークウェブが手にしたわけではない。
ボク達の本拠地へと帰還する最中、チップを輸送していたバグッチャーが断崖に架けられた橋を渡っていたところ、石に躓いて転んで、相当数―――――わかっているだけでも10枚以上―――――のキュアチップを断崖の底へと落としてしまったのだ。
そのうちの1枚に―――――キュアモフルンのチップもあった。それらのチップは"別働隊"の手によって捜索と回収が進められ、数枚は回収したけど、未だに回収されていないチップもある。
「それにフィッ
正確には―――――"フィッシン"。ジャークウェブ四天将の紅一点。
彼女も哀れだ。ひとり先行したはいいが、発見されたときには瀕死の重傷を負っていた。
カイザランチュラ様によって蘇生処置を受けて一命を取り留め、スパムソンに帯同してリハビリをしていた―――――と、ボクは聞いていた。
「そのフィッシン……君のところでリハビリしてたんだろ?調子は戻っているのかい?」
「……わからぬッ。なにしろ一言も口を利かぬ上ッ、あのような兜と鎧を纏っていては表情も何もわからぬッ。御大将が施した処置だと聞くがッ、声も顔もわからぬのではなッ。しかし、見たところ異常はないッ」
「ならいいけど。それで?プリキュア対策、何かあんの?」
「小官を誰だと思っているッ!?……ちょうど先頃回収されたッ、このチッ
そう言ってスパムソンが取り出したのは、《P-42》のチップだった。
「それって確か、"情報子汚染"がヒドくて、調整する予定だったんじゃなかったのかい?」
「フフッ……だからこそだッ!情報子汚染"コードV・A"……タイプ"R・T"……あえてプ
確かにそのチップは、1枚で複数の能力を発揮することのできる、『あのプリキュア』のチップだ。ある意味、"相応"のモノか……。
ま、止めはしないからやってみるといいサ。
たまには―――――『規格外』や『掟破り』をぶつけてみるのも悪くないだろうし。
さて……修行とか言ってこもってるアラシーザーをおちょくりにでも行ってやるか……。
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「……というわけで、このたびいっしょに戦ってくれることになりました!キュアデーティアこと、八手ほくとくんで~す!みんな、拍手~!」
東堂さんがこう僕を紹介すると、タブレット端末の中から、8人のプリキュアたちがにこやかに笑って拍手を送る。なんか、テレる……
「……頼りないかもしれないけど……よろしく」
―――――ここは大泉中学校のパソコンルーム。いるのは僕と東堂さん、ふたりきり。
東堂さんはパソコン部の部長もしていて、放課後はこのパソコンルームを自由に使わせてもらえるらしい。もっとも、部員は東堂さんただひとり、今年度中に部員を5人以上集めないと来年3月で廃部、という、顧問の高梨先生からの念押しも込みだ。
で、どうして僕が東堂さんとこうしてパソコンルームにいるのかというと……
「それじゃ、ケーブルでコミューンとタブをつないで」
言われたとおりに、僕はおぼつかない手つきで、僕のスマホ―――――"ネットコミューン"と、東堂さんの"キュアットタブ"を、ケーブルでつないだ。
「メモリア、お願い!」
《おっけー!》
タブの画面の中のメモリアが親指を立てると、画面に何やらよくわからない表示がされた。やがて、『OK』と表示が変わった。
「これは……?」
「ほくとくんのコミューンに、キュアットタブをリンクさせたの。これで、ほくとくんのコミューンや、キュアデーティアのキュアットサモナーから、キュアチップを呼び出せるようになるよ!」
つまり……今までキュアメモリアルがしていたように、戦っているときにチップをどこでも呼び出せるようになるのか……確かに、それは便利だ。
……もっとも、まだプリキュアの全容を知らない僕にとっては、まだ持て余す機能だと思うけれど……
それから、僕の持っていたキュアレモネードとキュアビートのチップも、東堂さんに預けることにした。
キュアットタブの中には、プリキュアたちの仮住まい……のようなモノがあって、バグッチャーを倒して取り戻したキュアチップをキュアットタブに入れることで、プリキュアたちは普通の人間と同様に生活ができるらしい。
ホント、今更ながらに現実感がない。でも、今こうして画面から僕に笑いかけている8人の女の子たちは、見た目はアニメのキャラクターだけれど、確かな人格を持つ、現実の女の子たちなんだ―――――
《試してみなよ、ほくと!》
「うん」
呼び出したいキュアチップを思い浮かべながら、データが指定したアイコンをタップする。すると、液晶の上に、思い浮かべた通りの、キュアレモネードのチップが瞬時に現れた。
8枚分ものキュアチップが入っていて、ゆくゆくは51枚も入れられるだろうタブ、そしてそこから瞬間移動でチップを呼び出せるネットコミューン……
現代科学ではどうあがいても説明できない……かもしれないオーバーテクノロジーの産物。それらを手にしている僕たちは、まさに『選ばれし者』―――――
否応無しに、使命感が僕の心を燃やしている。
「さて、今日ほくとくんに来てもらったのは、コミューンとタブのリンクをつなぐことだけじゃないの。これから『プリキュア見習い』として戦って、51人のプリキュア全員を取り戻すためにいちばん重要なコト―――――それは……」
「(ごくり。)そ、それは……ッ!?」
得意げな顔で東堂さんが差し出したのは、英単語の暗記に使う、『単語カード』。でも、そこに書かれていたのは、英単語じゃなくって―――――
アニメの女の子のイラストだった。裏返すと、プリキュアの名前が書かれている。それと、変身前の本名付きで。
「え……えっと、これわ……」
「まずプリキュアビギナーのほくとくんがやるべきことは、プリキュアオールスターズ51人のみんなの顔と名前を、きちんと覚えること!この『プリキュア暗記カード』で、きっちりばっちり勉強してね!」
「は、はぁ……」
「でもって、ほくとくんがヒマな日は、放課後ココで私のプリキュア講座を受けてもらいますっ!みんなの力を使うには、トーゼンみんなのことも知ってもらわないとねぇ~♪」
つまり……これから僕は一人前のプリキュアになるために、『プリキュア漬け』ってこと……?それはちょっと―――――
「……………………う、うん……」
しかし僕は何も言い挟むことはできず、ただうなづくだけしか出来なかった。
なんか東堂さん、目がメラメラ燃えてるし、何かヘンなコトを言って水を差すのも良くないし……
それに―――――
「この機会にひとりでも"キュア友"を増やしておかないと……布教布教っと……うふふ♪♪」
……楽しそうな東堂さんの顔を見るのは、悪い気分じゃないし……
……こ、これはその、東堂さんとふたりきりになれる機会が増えてうれしいとか、放課後デートみたいだとか、そんな下心に由来するモノじゃなくて、その……
―――――ジリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!
そんな僕の煩悩は、火災報知機のけたたましい音に吹っ飛ばされた。
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火事かと思ってパソコンルームをほくとくんといっしょに飛び出して、避難訓練を思い出してグラウンドに出ようかと急いだ時、私の教室―――――2年1組のある本校舎2階の廊下に、人だかりが出来ているのを見た。
部活動中の子が多いから、人だかりにいたウチの生徒たち、そのほとんどはジャージやユニフォーム姿だった。
みんなが避難せずに、こうして人だかりを作っているということは、さっきの火災報知機は火事じゃないということ?
……その人だかりの中に、見知った顔があった。バレー部の助っ人をするために練習に参加しているむぎぽんだ。
「むぎ!何があったの!?」
ほくとくんがむぎぽんに訊ねた。そういえばこのふたり、幼馴染なんだっけ。
「あ、ほくと!りんくも……」
「むぎぽん、これって……?」
私が見たのは、水浸しになった廊下だった。その一角に、真っ黒に焼け焦げた四角いモノが、水溜りのようになった廊下のすみにぽつりと存在していた。
「スマ、ホ……?」
……に、私は見えた。四角いボディに液晶ディスプレイ。どこからどう見てもスマホだ。でも、どうして―――――
「東堂ちゃん……稲上ちゃん……」
すぐそばの教室―――――2年1組の教室の窓から、私とむぎぽんに向けられたか細い声。両の目からぽろぽろと涙を落としている子は……
「宮本さん……?」
「きせき!」
クラスメートで、奇術部の宮本きせきさんだった。
「あたし……あたしのせいじゃない……あたし……!」
「きせき、落ち着いて……大丈夫だから……何があったの?どうしたの?」
宮本さんは、涙をぬぐいながら、何が起きたかを説明してくれた。
―――――部活を終えて帰ろうとしたとき、スマホを教室の机に忘れていたのを思い出した宮本さんは、スマホを確保して教室を出ようとした。
すると、急にスマホが熱くなって、思わず取り落としたところ、スマホが火を吹いた。
天井の煙センサーが反応したのか、火災報知機が鳴ってスプリンクラーが起動して―――――
―――――……今に至っている、らしい。
人だかりの中の何人かが、こんな話をしていた。
「ねぇ、これってアレだよね、スマホが急に発火するっていう……」
「もうこれで町内だけで5件目……マジ怖ぇよ……」
「ってか、どーなってんだよ……4月からやばくね?この町……化け物も出るようになったし……」
「呪われてるレベルだよねぇ……特にここ最近、うちの学校散々すぎない?グラウンドめちゃめちゃになるし、こないだは校舎が氷漬けになるし……」
「うちのクラスの河野さん、親が引っ越し考えてるって言ってた……」
学校のみんなの間には、不安が広がっていた。
わけのわからない超常現象に巻き込まれて、しかもその理由や原因がわからないというのは、恐怖以外の何物にも感じないと思う。
そう―――――これは、アニメでは描かれない部分だ。
アニメで描かれているのは、あくまで『主観』。『アニメ』とは、プリキュア側、悪者側から見た、『主観的物事』にすぎない。事件に巻き込まれた『関係ない人たち』の事情が描かれることは、ほとんどない。もっとも、それが『脚本上の都合』だということはわかる。そういったことに『尺』を割けないことは、同じく脚本家を目指している私にはわかる。書きたいけれど、"ホン"に書けない、書くべきではない『裏設定』なんだ。
でも、現実は違う。私は『プリキュア』で、敵は『ジャークウェブ』だけれど、その戦いに巻き込まれる人たちがいることも事実。
『現実』には、『表』も、『裏』も、『設定』なんて『区切り』もないんだ―――――
「あの……」
私は思い切って、宮本さんに訊ねた。
「スマホのことだけど……最近何か変わったことはあった……?」
――――――――――
宮本さんから話を聞いた私とほくとくんは、パソコンルームに戻っていた。
宮本さんのスマホ発火の件で、30分後に強制下校、ということになったけど、これだけは相談しておきたかった―――――
というか、最初にほくとくんがすごい形相で力強くこう言ってきた。
「ゴルゴムジャークウェブの仕業だッ!!!(`・ω・´)q」
「…………う……うん、そだね……(・∀・;;)」
うん、知ってる。たぶん、そうだと思った。ゴルゴムって何?
……というか何日か前に、この事件に関してちょっとだけネットで調べたことがある。
まとめサイトや掲示板によると、この事件―――――『スマホ突然発火事件』は、この大泉町に集中して起こっている。
2週間ほど前―――――スーパーのパートさんのスマホが突然発火したことがはじまり。それから数日おきに、同様の事件が3件、立て続けに起こった。
原因はまったくの不明―――――
宮本さん以外で事件に遭った4人とも、スマホは別々の機種を使っていて、警察の人もお手上げ状態だった。
―――――というのがこの事件のあらましだけど、私とほくとくんは、早々にこの事件の『犯人』の目星がついていた。
もっとも、私がピンと来たのは、宮本さんから聞いた情報からだけど―――――
「ゆうべ宮本さんがダウンロードしたっていう"電源管理アプリ"……あからさまに怪しいよね……」
スマホの発火と聞いて、まっさきに思い浮かぶのが『バッテリーの異常加熱』。ところが今回の事件では、今しがた発火した宮本さんのものはともかくとして、他の4人のスマホのバッテリーは、すべて別々のメーカーのモノだったらしい。
となると、そのバッテリーに負荷をかける要素と言えば―――――外部からダウンロードしたアプリしかない、というワケ。
宮本さんからそのアプリのことを聞いて、パソコンルームからキュアネットで検索してみた。でも―――――
〈一致する情報は見つかりませんでした。〉
やっぱりだ。宮本さんがダウンロードしたアプリは、非公式の偽アプリだ!
スマホのバッテリー消費がガラケーよりも激しい、という問題は未だに解決されていなくて、みんなの共通の悩みのタネ。かくいう私も、ネットコミューンに"強制機種変"されるまで、どげんかせんといかん!!と思っていたところ。
……え?ネットコミューンのバッテリー?……それがなんと、今まで一度も充電したことないんですよ、これが!もうひと月半くらい使ってるのに!ガラケーでもここまで長持ちしないのに……
というか、電池残量のマークすら画面のどこにも見当たらないんですが……ますますナゾだ、ネットコミューン……スゴすぎます、サーバー王国脅威のメカニズム……
「……やっぱりそのアプリ、ジャークウェブが作ったってこと……?」
さすがの超速理解。私が言わんとすることを、ほくとくんは一瞬で分かってくれた。
「だと思うけど……問題はそのアプリを、事件に遭った人たちがダウンロードしてたかどうか、なんだよね……」
さすがにそこまでは、私達の情報収集では限界がある。フツーの女子中学生の限界……。
「そうだ……!」
今更ながらだけど、思い出した―――――!
私には、『情報収集』がすっごく得意な友達がいたことを……!
――――――――――
次の日、朝礼が始まる前に体育館裏でほくとくんと落ち合った私は、ゆうべの『成果』を報告した。
「さっすが増子さん!バッチリリサーチしてくれてたよ!4人とも、同じ電源管理アプリをダウンロードしてたって!」
「決まりだね……そのアプリを介して、ジャークウェブはスマホのバッテリーを発火させていたんだ……!」
昨日家に帰ってから、私は情報通の増子美祢さんに連絡を取って、宮本さんと同じく事件に遭った4人が、同じ電源管理アプリをダウンロードしてたかどうか、調べてほしいとお願いした。
すると、『もう調べてあるわよ♪』と、すぐさま返事が来た。増子さんもこの事件に興味を持って、いろいろと調べていたという。電源管理アプリの件も、その一環で調べていたらしい。
『もしかして、この件の事何か知ってるの!?』と、興味津々な声がスピーカーの向こうから響いたけど、「ちょっとね……」と言葉を濁して、その場は切り抜けた。
増子さんにはあとで何かフォローしとかないと……この件とプリキュアを結びつけたりしちゃったらマズい。
「でも、どうするの?わかったところで、僕達には何ができるか……」
「ふっふっふっ……それなら、いい手があるよ?」
本来、プリキュアというのは『専守防衛』。『手を出してくるから、反撃する』―――――それが原則だ。
しかしこの事件、放置しておいたら関係のない人がどんどん巻き込まれてしまう。取り返しがつかない事態が起こる前に手を打って、事件を解決するしかない!
こっちから打って出るという、プリキュアからしてみれば"掟破り"だけれど―――――
この街を、この世界を守るために―――――!
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……ENEMY PHASE
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「次の目標はここかッ……」
小官スパムソンはッ、次の目標とされる人間の端末へと潜入成功したッ。
我々ジャークウェブの技術部が開発したこの偽装アプリケーションはッ、如何なるファイヤーウォールも紙の如く突破しッ、人間どもの使用する端末への潜入を容易たらしめるッ。我々ジャークウェブのネットワーク技術力は人間どもの数十年先を行くのだッ!
プリキュアどもを誘き出すためッ、本分ではない潜入・破壊工作を行わねばならぬがッ……
これもまたッ、御大将カイザランチュラが為ッ!小官はたとえ火の中水の中ッ、銃撃砲撃飛び交う戦場を駆け抜けるのであるッ!!
……ムッ?地の文担当になった途端に『固有名詞をキチンと言えている』だとッ?心中で語る分には支障なしッ、口で語るに支障が出るのだッ。
「未だ最終目標ッ……プリキュ
―――――とん、とん
何者かが小官の肩をたたいたッ。
「何者だッ……?小官は任務遂行中であるッ。不明瞭な接触は止めよッ」
―――――とん、とん
「クドいッ!!何者だと言っているッ!!用件があるのなら明瞭簡潔に50文字以内でッッ―――――」
振り返った途端ッ―――――小官の頬に何者かの人差し指がぐにッと突き刺さったッ。
「ぬ゛ッ!?」
横目で小官が目にしたのはッ―――――2人の少女だったッ。
そのうちの一人ッ―――――水色の髪の少女がッ、小官の頬を指で刺していたッ。にぃ、と笑った少女はひとことッ―――――
「よォ」
と、言ったッ。
「な……なんだ貴官らはッ!?少女兵かッ……!?どこの所属だッ!?所属と官姓名を名乗れッ!!」
身分を明かさずに、しかもアポイントメントも無しに接触するとは何たる無礼なッ。早急に身元を質しッ、責任者に再教育の徹底を下命せねばッ。
……しかしこの少女兵、どこかで見たことがあるような……ッ。アラシーザーとネンチャックが提供した映像資料に……ッ。
水色の髪の少女兵が言ってきたッ。
「"インストール@プリキュア"だ。歓迎するぜ。……盛大によォ―――――」
即座に小官は事態を理解したッ。この他でもない小官を待ち伏せッ、策にはめるとはッ―――――!?
しかしッ、小官がかつて戦ったプリキュアはいずれも可憐な少女兵であったッ。我々ジャークウェブの屈強たる兵でなければッ、攻撃を躊躇するであろう外見であったが……ッ。
このッ、目の前の水色のプリキュアを見て、小官は即座にこう思考した―――――ッ。
―――――こんな兇悪な面構えのプリキュアがいてたまるかッ―――――!!
……SAVE POINT
キャラクター紹介
八手 ののか
ほくとの妹。好奇心旺盛、やんちゃ盛りの幼稚園年長組。5歳。家族や友達からは『のん』『のんちゃん』と呼ばれている。
『プリキュア』のメインターゲット層だけあって、プリキュアに夢中。家にはママにねだって買ってもらったプリキュアのおもちゃが多数ある。
お兄ちゃん子であり、兄のほくととはお互いすごく仲がよく、『にぃ』と呼んで慕っている。
『プリキュアごっこ』で兄を悪役に見立てて、パンチやキックを炸裂させるのは八手家の風物詩である。
習い始めであるが、実は空現流拳法の使い手でもある。ほくと曰く『意外と蹴りが重い』。それ故、ほくと以外の友達とプリキュアごっこをする時は、みだりにパンチやキックをしないように両親から釘を刺されている。
『インストール@プリキュア』が現れ、プリキュアが本当にいることを知り、幼稚園のお友達と熱狂的に語り合う毎日。キュアデーティアを初めて目撃し、彼女に助けられた一般人でもあり、すぐさまファンになると、ママがネットからプリントアウトしてくれたキュアデーティアの報道写真を宝物にしている。
……もっとも、その正体が男の子で、それも実の兄であるということを知らないのは言うまでもない。
――――――――――
ついにジャークウェブ四天将の全員の名前が判明しました……!!
しかし今回登場した『将軍』スパムソン、まさかの初戦でプリキュアに待ち伏せフルボッコか!?
次回……爆裂、しちゃいます。