インストール@プリキュア!   作:稚拙

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 キャラクター紹介

 佐藤 慈愛

 内閣電脳調査室実行部隊・増子班の調査員。26歳。
 増子美津秋の直属の部下。5歳の娘がプリキュアに熱中しているためか、TVアニメのプリキュアもそれなりに知っている。
 自分の名前に引っ掛けて『G.I.サトー』と自称したりする、軽いノリのお調子者であるが、職務に対しては比較的忠実。

 高校時代はライフル射撃の選手として名を馳せ、以前は警察のSATの狙撃支援班に所属しており、そこから電調にスカウトされた。
 故に銃火器の扱いに長け、特に長距離狙撃の腕前は美津秋をして『和製シモ・ヘイヘ』と言わしめるほど。
 高性能サイドカー『黒檀號』を駆って目標を的確に追い詰める実力者である。
 "P"に対しては悪感情を持っておらず、むしろバグッチャーを倒してくれるありがたい存在として見ている。


 井野 菓子々

 内閣電脳調査室実行部隊・増子班のオペレーター。24歳。名前は『かしこ』と読む。
 この春、陸上自衛隊から電調に引き抜かれた新米オペレーター。
 常にそわそわしていてハイテンション気味で、何もない場所で転んだりするなど、なにかとそそっかしく危なっかしい。
 自分を『カシコ』と呼ぶなど、一見電調に似つかわしくない、まだ幼さすら残る顔立ちのメガネっ娘であるが、オペレーティングの腕は抜群。タブレット端末と通信機があればいつでもどこでもオペレートができる実力を持つ。

 身に着けているメガネは、Dr.Gが試作した脳波制御型ドローンの制御を行うためのブレイン・マシン・インタフェース。菓子々は電調の中で唯一この装備を使いこなすことが出来る類稀な空間認識能力を持っており、Dr.Gに本装備を託されている。
 これらの装備はドローン込みで一式1000万円に迫る『黒檀號』以上の『電調』最高額装備であり、3機のドローンを手足のように操り、対象の監視や追跡・分析などを行い、主に後方から美津秋や佐藤をサポートする。
 美津秋たちに先んじて大泉町入りし、情報収集を行っていたが、慣れない調査任務に苦労していた模様。
 重度のオタクであり、プリキュアはもちろん、アニメ・ゲーム・特撮といった様々なサブカルチャーに対し、広く深い知識を持つ。
 決め台詞は『カシコかしこまりました!』

 ――――――――――

 まさかのパラド味方化に驚愕してる稚拙です。

 さて今回は、さらわれたピースを助け出すために、メモリアとデータが電調のメインサーバーへとアタックします!
 しかしDr.Gもただ待っているわけではないようで……?
 それぞれの思惑が交錯し、キュアチップの意外な『材料』が判明します!
 ではでは、送信!


第11話 電脳回廊のワナ!Dr.Gの@挑戦状!
潜入作戦


 ピカピカぴかりん!じゃんけんポン♪

 キュアピースだよ!

 ちなみに今回出したのはチョキでした~♪画面の前のみんなは勝てたかな?

 勝ったら今日もスーパーラッキーディだよ~♪!

 

 ……って、こんなコトしてる場合じゃないよね!?

 りんくちゃんとほくとくんに助けてもらったんだけど、でも……

 

 「返してあげたいんはやまやまなんやけど、ウチのトモダチがど~してもコレ見て調べたいっちゅうんや。いつかは返してあげれるかも知れへんけど、今すぐ、っちゅうんは無理な話やなぁ」

 《目的?……いやですねぇ、今しがた申し上げたじゃありませんか……。ただ、『知りたい』だけですよ》

 《もし取り戻したいのであれば、キュアネット経由でお越しになってください……手厚く、歓迎させていただきますよ♪》

 

 ワタシ、さらわれちゃった~!!

 Dr.Gってヒト、どうしてこんなことをするのぉ……?

 なんかココ、研究室みたいなところ……ワタシこれからどーなっちゃうのぉ~?!

 

 プリキュアのワタシが、こんなコトを言うのは情けないかもしれないけど……

 『インストール@プリキュア!』、たすけて~~~!!

 

 

 ……あ、でも考えてみれば今のワタシ、ちょっと『オイシイ』役かも♪ 

 

 ――――――――――

 

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 ――――――――――

 

 放課後―――――

 私達の"作戦会議室"―――――パソコンルームには、張り詰めた空気が立ち込めていた―――――

 

 「………………………………」

 「………………………………」

 《………………………………》

 《………………………………》

 

 私もそうだけど……誰一人言葉が出なかった。

 みんな、昨日のことが、悔しくてならなかったから―――――

 

 それは、昨日のこと―――――

 変電所のサーバーに現れたスパムソンとバグッチャーと、私達は戦った。

 実体化したバグッチャーに、キュアピース―――――黄瀬やよいちゃんが取り込まれていたのはすぐ気づいたんだけど―――――

 とあるマンションの屋上に戦いの場が移ったその時―――――

 

 一発の銃声が、その場の空気を裂いた。

 

 

 ―――――国家権力、ナメんなよ―――――

 

 

 黒いスーツを着こなして現れたのは、昼間、クラスメイトの増子さんに話を聞きに来た外国人の女の人、その護衛のように後ろに控えてた男の人だった。

 増子美津秋さん―――――増子美祢さんの叔父さんで、内閣…………えっと、なんだっけ?

 と、とにかく、そんな感じのところに所属してる、みたいなことを言ってた……

 プリキュアがまとうイーネルギーでなければ攻撃が通用しないはずの、実体化したスパムソンに、あの人はピストルで傷を負わせた。

 

 ―――――……さて、傍迷惑なヒーローごっこはここまでだ……全員武装を解除して、俺の指示に従ってもらうぜ。

 ―――――……子供がヒーロー夢見んのは勝手だが、それは自分の妄想の中だけにしとくんだな。ここからは大人の仕事だって言ってんだ。

 ―――――『戦う事』は―――――お前達が『しなくてもいい事』なんだよ。

 

 正直、私達を心配して、こう言ってくれてるってことはわかってる。

 でも……でも、私とほくとくんは、メモリアとデータと一緒に、ジャークウェブからこの世界を守って、プリキュアたちを取り戻して、プログラムクイーンを助け出して、サーバー王国を復興させるって―――――

 そう、決めた。

 あの人も、街や人々を守るために戦おうとしていることはわかるけれど―――――

 私達を必要としてくれている人がいて、"それ"が、私達にしかできないことなら―――――

 "それ"を、今更―――――やめるなんてできない……!

 

 あのひとの『想い』も背負って戦って、ようやく"ピースバグッチャー"をやっつけて、キュアピースを助け出すことが出来た―――――

 ―――――……と思ったその時―――――

 

 ―――――おぉ~♪さっすがイヴ、光りモンにはビンカンやなぁ。ごくろさん、ご褒美の煮干しちゃんやで~♪

 

 増子さんを取材していた、ジャーナリストのティモシー・フランシスさん―――――テテさんが、キュアチップを横取りしていった。

 どうして?何のために?わけがわからない―――――

 そして、テテさんのスマホからは、アヤしい声が―――――

 

 ―――――はじめまして……アナタ方のお噂はかねがね聞いています。そうですね……アナタ方の大ファン、とも申し上げておきましょうか。

 ―――――『知りたい』だけですよ。アナタ達がどこから来て、どういう存在なのか……アナタ達が本当に、"あのひと"が存在を予見した―――――"先駆者(Pioneer)"であるかどうか―――――

 

 たぶん、このヒトがテテさんに、ピースのチップを横取りするように依頼した『黒幕』だと思う。

 ただ知りたい、というだけでこんなコトをするなんて……

 それにパイオニアって?

 ともあれ―――――わからないコトだらけの人たちの手に、ピースは落ちてしまった―――――

 

 昨日の夜、いち早くハッピーが言ってきた。

 

 《ピースを……やよいちゃんを放っておけない!りんくちゃん!早く助けに行こうよ!!》

 

 もちろん、私だってそうしたい。でも、テテさんがどこにいるのかはわからないし、テテさんに依頼した『黒幕』にいたっては、まったくの正体不明なのだから―――――

 どうにかしようと思って、翌日―――――つまり今日、ほくとくんも交えてみんなで対策会議を開いたのだけど―――――

 

 ……手がかりはほとんどなかった。

 唯一、テテさんのことだけは、キュアネットを検索したら簡単にヒットした。

 世界的にも有名なジャーナリストで、去年、報道の最高峰ともいえるピューリッツァー賞も受賞している有名人だった。増子さんも憧れるわけだ。

 でも、そんな人がどうして、あんなドロボーみたいなマネを……?

 

 「……ねぇ、東堂さん……昨日、あの人からスマホを向けられたとき……"CPアドレス"って言ってたけれど……それって……?」

 

 ……!

 頭の中で考え事をぐるぐると回していたから、すっかり忘れかけていた。

 あの時、イーネドライブに送られてきたのは、4つに区切られた、9つの数字。

 

 「うん……簡単に言えば、"キュアネット上の住所"、かな……。コンピューターを見分けるための"指紋"……みたいな感じ、とも言えるかも……」

 

 昔のインターネットで言うと、"IPアドレス"って呼ばれてたモノ。それを昨日、私はテテさんから受け取った。

 スマホをイーネドライブに向けられた途端―――――頭の中に数字が浮かんだ。

 ……でも私、どうして"それ"が、"CPアドレス"だって、わかったんだろう?

 私は、コンピューターの『操作』や『使い方』なら、1分くらい触れば大体わかる。でも、こういった『ハード』ならともかく、それを動かしている"ナカミ"―――――『ソフト』のことに関してはからっきしだ。おばあちゃんなら、そういうこともわかると思うけど―――――

 昨日、『黒幕』はこうも言ってたっけ―――――

 

 ―――――やはり、無線での情報通信もその身で受け止めて、解析と演算処理が可能なのですね―――――

 ―――――アナタが"高度情報化生命体"であるならば―――――簡単にご理解いただけると思いますが?

 

 ……コードジョーホーカセーメータイ……全然心当たりのない言葉。

 それを聞くと、なぜか疑問が頭をもたげる。

 私やほくとくんが変身してる『プリキュア』って―――――何なんだろう―――――って。

 アニメで見てきたプリキュアたちの変身と、まったく違う気がする。

 

 「住所がわかれば、行くことが出来るんじゃないかな……?たぶん、あっちもそのつもりで送ってきたんじゃ……」

 

 それは私も思っていた。何しろ―――――

 

 ―――――もし取り戻したいのであれば、キュアネット経由でお越しになってください……手厚く、歓迎させていただきますよ♪

 

 ……とまで言っていたんだから。

 

 「メモリアとデータなら―――――キュアネットの中からなら、現実の世界のコンピューターの場所がどこにあるかわからなくても、アドレスがわかっていれば行くことはできると思う……」

 《それならまかせてよ!》

 《ああ!とっとと行って、ピースを取り戻してきてやるぜ!!》

 

 メモリアとデータがやる気満々の表情を向けてくる、けど―――――

 

 「でも……それって、やっちゃいけないコトかもしれない……」

 《なんでだよ!?キュアネットから、ホームページに行くようなモンだろ!?》

 「ううん、全然違うの……!"CPアドレス"をたどって、そのアドレスのコンピューターに無断で無理やり、『直接』入る事って、それって……ハッキングだよ」

 「……はっきんぐ?」

 

 首をかしげるほくとくん。あぁそうか、ほくとくんって、コンピューターのことほとんどわからないんだっけ……

 

 「簡単に言うと、ネットの空き巣……かな……悪いヒトが、そうやって相手のコンピューターに悪さをするんだけど……」

 《悪さなんてしないよ!》

 

 タブの中のメモリアが、私を見上げて言う。

 

 《あたし達、プリキュアだよ!?……悪いコトなんて絶対しないよ!ピースを取り戻したいだけだよ!》

 《だな。それに、先にドロボー……っていうか、ピースを誘拐したのはアッチだぜ?アタシたちは、さらわれたピースを助け出しに行くだけさ。取られたら、取り返す!トーゼンじゃねーか!》

 「メモリア……データ……」

 

 確かに、実際に行ってもらうふたりは、見習いだけどれっきとしたプリキュア。絶対悪い事なんてしない。

 それにデータの言うとおり、さらわれたピースを助け出しに行くのなら、ハッキングじゃないんじゃ……

 

 「まぁ、先方も―――――」

 

 ほくとくんが、私に笑いかける。それも、自信に満ちた顔で。

 

 「"手厚く歓迎してくれる"みたいだしね。……確実に"待ってる"よ」

 

 そっか―――――『黒幕』も言ってたっけ。

 つまりは―――――メモリアとデータを、『黒幕』は招待してるんだ。

 でなければ、CPアドレスなんて送ってくるはずがないもの。

 これは確実にワナだ。ピースを『エサ』にして、メモリアとデータ、ひいては私とほくとくんを釣り上げる為の―――――

 でも、行かなきゃピースは助けられない―――――

 

 《りんく!あたし、行くよ!"ここでキメなきゃ、女がすたる"!!…………って、キュアメロディならそう言うトコ、だよ!》

 「メモリア……」

 

 普段から私が意識・無意識問わずに口にしてる、プリキュアたちのキメ台詞。心の隅にあったけど、今日はなかなか浮かばなかった、キュアメロディ―――――北条響ちゃんが、自分を奮い立たせるときに言う言葉。

 なんか、今日はお株を奪われちゃった、かな。

 

 「……そうだね……!」

 

 キメなきゃ。

 

 取り戻す―――――

 そう、それは、私達が戦う意味。それがたとえ、相手が同じ『人間』であっても。

 

 「お願いね―――――!」

 《うん!》

 

 悩んだり迷ったりするのは、もうやめだ。

 私達が戦う相手は、ジャークウェブも、人間も、同様に持っているモノ―――――

 

 心の中に巣くってる――――――――――『闇』なんだ。

 

 ――――――――――

 

 NPC  Dr.G

 

 ――――――――――

 

 《なぁGやん―――――》

 「……何です?」

 

 ……いつの間にか、ディスプレイの隅のテテが、ワタシに不機嫌そうな顔を向けていました。

 

 《みっつー、ものごっつぅブチキレとったで……。自分ダシにした挙句、取るモンとって結局スタコラサッサ、やもんな。無理あらへんわ》

 「……まぁ確かに、アウトロー・サンとイノセント・スナイパーに何も言わず、我々だけで事を進めてしまったことは、反省するべき点ですが……」

 

 彼にはあとで、幾分かのフォローをしておく必要があるようですね。彼なりの正義感に反することをしたことは、事実なんですから……。

 もっとも、ワタシは彼ばかり見ているわけにはいかないのです。ディスプレイ越しとはいえ―――――

 

 「お手柄でしたよ、テテ。"P"が回収しているモノを、こうして解析できるんですから♪」

 

 ディスプレイに映るのは、今現在は電調のメインサーバーのスロットに収められている、"P"が回収していたSDカード。

 昨日、テテによって運ばれてきたコレを、ワタシは早速夜通しで、パソコンの遠隔操作で解析しました。

 ―――――予想通りでした。

 内包されているプログラムは、ワタシが持っている3つの"Cプログラム"と、ほぼ同質のモノでした。

 つまりこのSDカードは、"Cプログラム"がこの現実世界に実体化したモノと断定してよいでしょう。

 ……問題は、どのようなリクツで物質化しているか―――――

 その手掛かりを少しでも得るために、カード本体の構造解析を試みたのですが―――――

 

 このカード、構造解析をほとんど受け付けないと来ましたよ。

 つまりはほとんどが、未知の物質で出来ている―――――

 いやはや、"外側"からそもそも取っ付けないとは、どこまでも挑戦的なんですねぇ。

 ただ―――――

 

 《それで、何かわかったん?昨日から、いろいろつっついとるみたいやけど?》

 「……一か所だけ、解析できた箇所があります。……端子部分だけですけど、それでも驚きましたよ」

 

 これは本心からの驚きでした。

 この『物質』を、どのようにして調達したというのか―――――

 

 《確かに……フツーのカードと(ちご)て、何や、いろんな色に光っとったなぁ。キラキラしとってぇ》

 「数年前にとある論文で紹介され、世間一般に認知されずに忘れ去られた、日本の西之島新島の火口からしか産出されない、それまでの常識を覆すほどの性質を持つレアマテリアル……こんなトコロでお目にかかれるとは思いませんでしたよ」

 《西之島……そぉいや5年くらい前から、周辺100kmの海域を封鎖しとるんやったなぁ……飛行も禁止しとる徹底ぶりやけど……もしかしてGやん、何か知っとぉの?》

 

 本来、こういった種類の方に余計な情報を与えるのはどうかと思いますが……まぁ、いいでしょう―――――

 

 「……西之島とその周辺海域は現在、このマテリアルの影響で、ダーウィンが泡を吹いて卒倒しかねないほどに『有り得ない進化』を遂げた、『友人』たちの楽園になってるんですよ」

 《ゆーじん?》

 「言葉のあやですよ。この件、あまり深く詮索や取材をすることはお勧めしませんよ。……『世界を壊したく』、なければ」

 《……なんやワケありみたいやなぁ……触らぬ神サンに祟りないっちゅうし……ここは大人しゅう従っといた方がええかもな……忠告おおきに》

 

 ワタシは、パソコンの横に置いた書類に目をやりました。

 

 ―――――FRIENDS humanly Reappearance and Innovative theory of EvolutioN Deviation mutant Species―――――

 

 『新たに人間的に再現され、進化論から逸脱した友好的な突然変異種』―――――

 

 まったく、ガラパゴスすら比較にならないブッ飛んだ突然変異っぷりですよ、『彼女達』は。……ワタシは実際に会ったことはありませんが。

 『彼女達』の存在が公になれば、生物学界は勿論のこと、宗教学界にまでセンセーショナルな論争を巻き起こし、全世界的なパラダイムシフトが起きる―――――

 そんな中で日本政府が決定した、『西之島、およびその周辺海域の封鎖措置』―――――要らぬ混乱を招かぬ采配、賢明であると判断します。

 もっとも―――――

 

 先ほどの書類の2ページ目には、『厳重秘』と朱印が押され、

 

 ―――――JAPARI PARK PROJECT(仮)―――――

 

 ……と書かれた項目がありました。

 

 『遊園地(パーク)』―――――つまりは『彼女達』を観光資源として活用しようとも企んでるんですよ、お偉方は。まぁ、動植物はおろか、戦艦や銃器、城郭や刀ですら『擬人化』してしまう『クールジャパン』というコンテンツのアピールにはうってつけなんでしょうねぇ、『彼女達』は。

 もっとも、ワタシはこの計画、いずれは頓挫すると見ています。

 考えてもみてください。『このマテリアル』、未だに詳しい性質が解析されておらず、不明のままなんです。

 この先、このマテリアルによって、我々人類も知らない突然変異生物―――――それも、人類や『彼女達』に害を成す存在が発生しないとは限らないのですから。

 未知の生物による生物災害(バイオハザード)によってパークが閉鎖―――――なんていう結末も無きにしも非ず……―――――

 どちらにしても、『彼女達』の存在が公になるのは、ずっと先の―――――ミライの話になりそうですけどね。

 

 「……さて、四方山(よもやま)話はここまでにしましょう。今肝心要なのは―――――」

 

 ワタシは電調メインサーバー内の可視画像へと、ディスプレイを切り替えました。

 

 「……大事な大事なお客様を、お出迎えする準備ですよ♪」

 

 ワタシが"Cプログラム"の解析と並行して、電調メインサーバー内に構築した、"お客様"を()()()()()するための電脳空間―――――

 

 「名付けて"電脳回廊"……ふふふ、イイ感じに仕上がりましたぁ……♪」

 《どれどれ?》

 

 テテはディスプレイを覗き込みましたが、一瞬でしかめっ面に。そして、カメラを向いてこう言いました。

 

 《SASUKEやん》

 「サスケ?それってニッポンの有名な忍者の名前ですよね。それがどーして電脳回廊と関係が?」

 《テレビであんねや。こんな感じのアスレチックを、体力自慢が攻略してくって番組なんやけど、まんまやん》

 「ワタシが参考にしたのは"American Ninja Warrior"なんですが……まぁいいでしょう」

 

 全3エリアから成る、難解かつ高度なトラップをこれでもかと配置した、セキュリティプログラムのショールームとも云うべき趣に劇的改造させていただいたこのサーバー……

 "C-ORG"のおふたりがどう攻略されるのか……楽しみでなりません……♪

 普段ワタシはこういうことはしないのですが、今日はあえて―――――

 

 「手薬煉(てぐすね)引かせてもらいましょぉ…………ふふふふふふふ……♪」

 

 ――――――――――

 

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 ――――――――――

 

 「りんくからもらった"しーぴーあどれす"……って、ここ、だよね?」

 

 さらわれたピースを取り戻すために、りんくが受け取った"あどれす"の場所に、あたしとデータはたどりついた。

 

 「なるほど、りんくが渋ったのもわかる気がするぜ。こりゃ確かに、"裏口"だ」

 「裏口……?」

 「見てみろよ。フツーのキュアネットのホームページなら、カンタンにアクセスできるようになってるけど……コイツは違うだろ?」

 「……ホントだ」

 

 データが指差す先には、たくさんの南京錠と鎖で固められたゲートがあって、『立入禁止』『入っちゃダメ!』とか、とにかく『入られたら困る』と伝える文字がごちゃごちゃと書いてあった。

 しかもこの鎖、ときおりびりびりっていう音がして、光が走る。ウカツに触ったらコゲコゲにされるかも……

 

 《データ、入れそうかい?》

 

 ほくとの言葉に、データは腕組みをしてうなった。

 

 「ん~……、わからんなぁ……ってかよ、あちとらは招待してくれてたくせに、いざ来てみりゃ入れないって、矛盾してねぇか?」

 《まぁ、ホントはこんなトコロにアクセスしてるのも、犯罪スレスレなんだけどね……》

 

 苦笑いするりんくが見える。

 

 「留守なんじゃない?」

 「ンなワケあるか。あんだけ大口叩いてたんだ。それなりの歓迎は期待してたんだがな……こりゃ、出直すか?」

 「そだねぇ……帰ろっか?」

 

 あたしがそう言って、ゲートに背を向けた、その時―――――

 

 《SECURITY SYSTEM UNLOCK》

 

 電子音声が響いた。驚いてあたしとデータが振り返ると、がしゃがしゃと音を立てて、ゲートを固めていた南京錠と鎖が開いて、引っ込んでいくのが見えた。

 

 《お待ちしてましたよ、お客さん。きっと来てくれると信じていました》

 

 このミョ~な声……この声、昨日ピースのチップを持って行った『てて』ってにんげんさんが持ってたスマホから流れてきた声だ。

 

 《自己紹介が遅れまして申し訳ございません……そうですね、『Dr.G』とでも呼んでください》

 「どくたーじー……??」

 「あからさまに怪しいぜ。『仮面ライダーV3』の悪の組織デストロンに似たような名前のヤツがいたけどよ……親戚か何かか?」

 《へぇ!仮面ライダーのことをご存じなんですか。……まぁワタシは全く知りませんし、興味ありませんがね―――――そうです、いい機会ですから、アナタ達の本当のお名前も知りたいものですが》

 「ケッ、悪党に名乗る名前は持っちゃいないんでね」

 「(σ・∀・)σさっすがぁ~♪」

 

 データ、やっぱりカッコイイ!こんな時でも頼りになるなぁ……

 

 《悪党……ですか。まぁ、『あんなコト』をして、現在進行形で『後ろ指差されるコト』をやらかしてる身ですから、甘んじてその言葉を受け容れましょう……》

 

 どくたーさんの言葉と同時に、ゲートの奥の道に光が灯った。

 

 《さて……このゲートの奥のサーバー……その最深部に、アナタたちが欲しがっているモノを安置しています。どうぞ、お持ちになってください。……もっとも―――――》

 

 あたしとデータは、道の先をのぞき込んだ。光が灯っているけれど、ずっと先の方は、闇に隠れて全然見えない……

 

 《すんなりとは―――――行きませんけどね》

 

 背筋がぞくっと震えてきた―――――

 でも―――――行かなきゃ。

 ピースが―――――この奥で待ってるんだから……!

 

 ――――――――――

 

 NPC  Dr.G

 

 ――――――――――

 

 そう―――――

 思いっきりもがいて、足掻いて、抗ってくださいね。

 でなければ、意味がないのですから。

 ワタシの『切り札』である『彼女達』に、少しでも有益なデータを、糧として供するために―――――

 

 「……よく見ていてくださいね。いずれ、彼女達とは直接お会いするのですから……♪」

 

 3枚並んだ内の、右側のディスプレイ―――――紫色の光と翠色の光が、ワタシに答えて輝きます。

 

 《Yes,ma'am》

 《OK,her》

 

 楽しみですねぇ、彼女達と彼女達が対峙するその時が―――――

 

 「良い返事です―――――"ローズ"……そして、"フェリーチェ"―――――」

 

 ……SAVE POINT




 ご存知の方も多いと思われる『SASUKE』、海外でも放送されていて、そのタイトルが『American Ninja Warrior』……
 どっちにしてもDr.Gは『SASUKE』を元ネタに電脳回廊を作っちゃってたんです♪

 次回はメモリアとデータが電脳回廊に突入!!完全制覇なるか!?(違
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