大泉こども園
大泉中学校の近くにある認定こども園。
鉄筋コンクリート2階建て、園児数およそ50人。職員数6人。
クラスはきりん組(年長組)、うさぎ組(年中組)、りす組(年少組)の3つ。
園長先生の人柄もあって、東栄市内のこども園の中でも非常に人気が高い。
大泉こども園の先生たち
おっちょこちょいだけど、一生懸命な千葉先生(年長組担任)、
ボーイッシュで元気いっぱい、関西弁とオーバーオールがトレードマークの松岡先生(年中組担任)、
クールに見えるけどとっても優しい宍戸先生(年少組担任)、
陽気で音楽好きなお料理の達人、英語ペラペラの宮原先生(給食・清掃担当)、
メガネがトレードマーク、おっとりとした秋谷先生(事務・庶務担当)―――――の5人。
全員が幼馴染らしく、プライベートでも仲がいいらしい。
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どうにかマシェリ&アムール登場に間に合いました……!!
女子力全開キュアデーティアの本気と顛末を超大ボリュームで描く12話完結編、ここに送信!!
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『"女子力全開モード"だーーーーーーーー!!!』
こう、表現せざるを得なかった。
前に一度、私の前でデーティアが『こうなった』とき―――――
―――――メモリアル―――――わたし、わかった気がするの……わたしがプリキュアになった意味……わたしが……どんな『存在』になりたいのかが―――――
―――――わたしだけにしかなれない―――――プリキュアに、なりたい!女の子だけじゃない……男の子も夢中にさせられるような―――――そんな、『ヒーローみたいなプリキュア』に、わたし、なりたい!
こう言って、私の手を躊躇することなくぎゅっと握ってきたのを覚えてる。あと、すごく輝いてた瞳も。
データが言ってたっけ……『変身してる時にテンションが上がると時々こうなる』って。
でも、今回はちょっと違う気がする。"自分から"、デーティアが"切り替えた"ようにも見えた。前の時は、マフラーに刺繍がされるなんてことも無かったし……
おそるおそる、私はデーティアに話しかけてみた。
『ね、ねぇ……いったい……どーゆーことなの??』
『あれからね……メモリアルに"このこと"話した時から、考えてたの。メモリアルがわたしに言ってくれたことも含めてね。"プリキュアやってる時くらいは―――――"なりきっちゃっても"、いいんじゃないの?"って』
『……あ!』
思い出した。『せっかくプリキュアやってるんだし、変身してる時くらいは女の子になりきってもいいんじゃない?』……って感じのことを話したっけ。
《んで、色々考えた末が"コレ"さ。心の底から『プリキュア』に寄せて、『演じ切る』……役者志望のほくとがたどり着いた、究極の自己催眠だな。ま、フォームチェンジみたいなモンだ。ともかく、今のコイツは"八手ほくと"じゃねぇ―――――正真正銘の"キュアデーティア"だぜ♪》
『今、ちょっとだけ、ね❤』
『マジっすか……』
まさかホントーに心の中まで女の子にしちゃうなんて……さすがほくとくん、プリキュア道を極めるために妥協ナシってことね……
あ、でも……
『どうして、それが『プリキュアとしての一番カッコいい姿』……なの?』
『少なくとも、自分のことを『僕』って言って、男言葉で喋ってるプリキュアより、こうして自然体で『女の子してる』プリキュアの方が、"プリキュアとして"カッコいいって思わない?』
『た、確かに……』
もっとも、今の状態を『自然体』って言っちゃっていいのかどーか……その……デーティア元々男の子だし……
でも、今まではちょっとだけ『男の子らしさ』が残ってたデーティアの仕草や立ち居振る舞い、笑顔のそれから、完全に『男の子らしさ』が抜けている。
これってやっぱり……のんちゃんのため、なのかな。プリキュアが大好きなのんちゃんのために、『のんちゃんの理想のプリキュアでいる』ことに徹してる。
のんちゃんにカッコいい所を見せるために、頑張ろうとしてるんだ―――――
『毛色は変わったようだがッ、貴官等が手も足も出せぬことに変わりなしッ!!往けィッ!!』
『バ~ブル~~~~!!』
スパムソンがバグッチャーをあおると、上空のバグッチャーが巨大な水風船を投下した。
『『!!』』』
私とデーティアは反射的に飛び退いた。直後に、水風船はこども園の園庭に着弾した。でもその水風船は破裂することなく、まるで粘液のように園庭に平べったく広がっていった。そしてその水面から、たくさんの人影がぬ~っとせり出してきた。
『バグッ!バグバグッ!!』
『バグ~!!』
『……ザコッチャーが出てきたぁ!?』
『あの水がそのまま、実体化のゲートになってるみたいね……』
しかも今回のザコッチャーは、三叉の槍を構えた、まるで人魚か半魚人のような出で立ちだ。キュアマーメイドの影響を受けて、ザコッチャーも姿形を変えてる……!?
『見ててね、メモリアル』
『え……?』
『わたしの、カッコいいところ』
そう言い残して、デーティアは一瞬でザコッチャー軍団との間合いを詰めた。
―――――あれ?デーティアがカッコいいところを見せたいのって、のんちゃんだったはずじゃ??
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この小説読んでる画面の前のアンタ……うん、そのリアクションは正しい。
正直なところ、どーしてこーなったのか、ほくと本人に語らせるのは酷な話だ。だからここからはアタシ、キュアデータが地の文で説明をする。
きっかけはさっきほくとも言ってたように、りんくの言葉だ。『せっかくプリキュアやるんだから、変身してる時くらいは女になりきってもいーじゃんか』って、アレだ。
あの言葉は相当ほくとに効いたらしい。惚れてる相手からのアドバイスだし、効かねえワケねぇもんな。
『東堂さんと肩を並べるに相応しい、カッコいいって思ってもらえるプリキュアになる』って張り切っちまったほくとは、徹底した『女らしさの研究』を始めた。
アタシは『それってどうなんだ?』って思ったけど、ほくとは気合入ってて本気みたいだったし、ここで余計なコト言ってせっかくのやる気を削ぐのも良くねぇと判断して、何か言うのはやめといた。
ほくとの特技―――――これまたスゴいんだが、『初めて見た他人の動作をその場で完コピできる』コトだ。
最初に参考にしたのは、やっぱりというかなんというか、キュアメモリアルの戦いだった。アタシやメモリアが記録しておいたメモリアルの戦闘記録や動作ログを見て、即座にそれを真似して見せたのには、流石のアタシも感心したもんだ。
で、それからは仮面ライダーやスーパー戦隊のDVDで、『女形』のアクターの演技を見て、その場で真似する特訓に入った。アタシはその手伝いで、作品ごとのアクターが誰か―――――それも、『各話』ごとに詳しく調べてほしいってほくとに頼まれた。まだコイツ、ネット検索もロクに出来ねぇんだよなぁ……そーいや、女形が出てるのはほとんどがスーパー戦隊だったな。ピンクや女のイエローなんか、割と多かった。
ほくとは一切妥協しなかった。立ち姿から構え、パンチやキック、回避や防御のモーションはもちろん、やられた時の姿勢や受け身まで徹底的に再現して、自分の体に染み込ませていったんだ―――――
そしてほくとはさらに『女らしさ』を追求するため、『あるモノ』に手を出すんだが―――――
……と、アタシが説明してる間に、ほくとは先頭のザコッチャーの間合いに素早く入った。ザコッチャーの槍の突きをひらりとかわすと、姿勢を落とした鋭い廻し蹴りでザコッチャーの足元を引っさらった。
『バグッッ!?!?』
キックの勢いで、ぐるん!とザコッチャーが回転してふわりと浮いた。そこへ―――――
イーネルギーが込められた掌底を、ザコッチャーのみぞおちに叩き込む。ザコッチャーはまっすぐ一直線に吹っ飛んで、粉みじんに消滅した。
―――――ほくとが手を出した『あるモノ』―――――それが、コレだ。
ほくとがウチの蔵の中で見つけた、空現流拳法の古い書物の中に記されていた『もう一つの空現流』―――――
―――――空現流拳法"凛武"―――――
普段、ほくとのじーさんがほくととのんに教えてるのは、『空現流拳法"
対してこの『凛武』は、歴代の『女性の空現流継承者』が培ってきた技の数々、いわば『
『燦武』と比べて力押しの技は少なく、体幹を巧みに使ったキレのある技、身体の柔らかさを活かした技がほとんどで、相手の攻撃を読んで受け流したり、反撃したりする『返し技』も数多い。パワーよりも、スピードやテクニックを重視した、『合気道』や中国拳法の『柔拳』によく似たスタイルだ。なんつーか、"お師さん"の戦い方にも重なる。
ほくとは度々蔵の中に入っては『凛武』の書かれた書物を漁り読んで、その動作を自分に叩き込んでいった。無論、じーさんとの普段通りの修行もこなしながら、だ。
この辺はほくとの才能、3週間ちょっとで、この『凛武』のほとんどもモノにした。ちょうどそのころ、ほくとはのんから"あの言葉"を聞かされた。
―――――のん、キュアデーティアがいっちばん、だいすきなの!!
のんが、キュアデーティアにゾッコンだったことを聞いたコトで、ほくとの"スイッチ"が本格的に入っちまったんだと思う。
りんくだけじゃなくって、のんにも『カッコいいプリキュアの姿を見せたい』と張り切った結果、『前々からの副作用』が思わぬ形で『力』になった。
戦っている最中にハイになると、心が『女の身体』に引っ張られる現象―――――ほくとは"それ"すらも利用して、自分の理想とするプリキュアの姿を『心底から演じる』という境地に至った。
今まで、『心・技・体』が、『男の"心"と"技"』と『女の"体"』でちぐはぐになっていたほくとが、その全てを『女』に統一することで、『一本筋の通った強さ』を実現したのが、今の『キュアデーティア』だ。
マフラーに花の刺繍が入ったのは……流石のアタシも予想外だったけどな……
―――――データ……僕はもっと……強くなりたい―――――
……まったく、お前は大したヤツだよ。
有言実行、恐れ入った。意外っちゃぁ意外だけどよ、こんなカタチで『強く』なっちまうんだもんなぁ……
……だから言ったろ?ほくと本人からコレを語らせるのは酷だって。
特に惚れてるりんくにゃ、死んでも言えねえな―――――
『見てて、みしんちゃん、みとんちゃん……カッコいいのは、特撮ヒーローだけじゃないってところ―――――!』
そうそう、このふたりへのアプローチが、今回最大のポイントだ。このふたりがプリキュアにヘイトを集めないよう、ヒーローばりにカッコよく戦ってみせようぜ……!
と、今度は5体ほどのザコッチャーに取り囲まれた。まぁここは敵陣だし、こうなるのも頷ける。さぁ、ここはどう攻略する?
『大丈夫よ!こんな時は―――――コレで!』
全方位から躍りかかる連中に、"キュアデーティア"が放つのは―――――
倒立から両脚を180度開脚して、腕の力だけで高速回転して、周りの連中を吹っ飛ばす技。これを変身前からこなすんだから、ほくとの身体能力は元々からとんでもねぇレベルだ。
ザコッチャーが同時に蹴ッ飛ばされて、粒子状に霧散する。しかしその途端、足元の水のフィールドから、ポコポコと新たなザコッチャーが"補充"されてくる―――――
《
『キリがないよ~~!』
向こうではメモリアルも湧いて出てくるザコッチャー相手に"無双"してるが、いずれは数の暴力に圧されちまうかもしれねえ。
《ほ……もとい、デーティア!》
『……そうね!"彼女"の力を借りるわ!』
アブねぇアブねぇ……『ほくと』って呼んじまったら、"スイッチ"が切れちまうかもしれねぇ……
さて……画面の前のアンタもある程度予想はついてるよな?『水』を相手に、『電気』が通じねえ……そんな時、『水』に効くモノっていったら―――――
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CURE-DATEAR
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……戦いながら、私、デーティアに見とれてた。
『変身してる私』でさえ見えない、流れるような素早い動き。
一発でザコッチャーを仕留めた掌底。
取り囲まれても動じることなく、ただ鋭い視線を相手に突き刺して―――――
逆立ちしたと思うと、コマのように超回転!!
―――――ヤバい。スッゴくキュアっキュア!!
今が戦いの最中じゃなかったら、絶対スマホのカメラで撮ってる!
……なのにこのザコッチャー!倒しても倒してもポンポン出てくるし、デーティア撮らせてくれるヒマもない!!
『じゃぁまぁ……しないでぇぇぇッッ!!!』
両肘からイーネルギーを大噴射!デーティアが脚なら、私は腕だぁっ!!
格闘ゲームでおなじみのダブルラリアット!取り囲まれたら、コレで一掃だぁ!!
《でもりんくぅ~~~、これってぇ~~~~……(@@)》
『う……うん……私もちょっとチョーシに乗りすぎたかも~……(@@)』
……否応なしに目が回る。この技、使いまくるのはよそう……
《ほ……もとい、デーティア!》
『……そうね!"彼女"の力を借りるわ!』
デーティアがキュアットサモナーから、青色のチップを取り出し、そして―――――
《しんしんと降り積もる……清き心……!キュアビューティ……!》
《CURE-BEAUTY! INSTALL TO DATEAR!! INSTALL COMPLETE!!》
氷の色を身に纏ったデーティアが、園庭の真ん中で
一歩、二歩と歩くたび、その足元が凍っていくのが見える。それを見て取ったバグッチャーが、一歩、二歩と後ずさる。
『メモリアル、みんなをお願い』
『う……うん!』
私を肩越しに見たデーティアの言葉に、私は大ジャンプしてこども園のみんなや先生たちの前に立った。
守ってというからには、前にマーチスタイルで使ったような、モノスゴい技を使うかもしれない。それなら……
《ひだまりポカポカ!キュアロゼッタ!♪》
《CURE-ROSETTA! INSTALL TO MEMORIAL!! INSTALL COMPLETE!!》
「ロゼッタおねーさまですのーーーーーーー!!!!!(+ +)」
『ほふぇっ!?』
《まぁっ❤》
ロゼッタ大好きさっちゃんが大喜びで後ろから私にHUGっと抱きついてきた!?
ちょっと、今はバトルの真っ最中!!ロゼッタさんもよろこんでる場合じゃ……
「おじょーたま、おちついてくだちゃいなので!あぶないなので~~!!」
あわててクインシィちゃんがさっちゃんを引きはがす。
でも、せっかくロゼッタが好きなさっちゃんのために、ここは……
『……特等席だよ♪見てて!』
「!……はいですの!」
もう目がキラキラ……まさしく憧れの人に向けられる視線だ。
そんな風に見てくれるのなら、ここは張り切るしかないっしょ!
みんなを守るように、超ビッグなリフレクションを地面に突き刺した。これなら大丈夫!
「こっ……これが『なまリフレクション』ですの!?なんてつるつる!すばらしいしつかんですの~!!」
『ちょ?!Σ(゚Д ゚;)』
《あらあら❤》
お、お嬢様ぁっ!?!?、『見てて』って言いましたけど、『触っていいよ』とは言っておりませんよ!?それにありすちゃんもまたよろこんでる……
さっちゃんは私がつくったロゼッタリフレクションをぺたぺた触って、ついには頬擦りまで……お気持ちはわかるんですが、今はバトル中なんで……
「おじょーたまぁ~!!はなれてくだちゃいなので~!!」
「あぁっ!ロゼッタおねーさまが!リフレクションがぁ~……(泣)」
『あ、あはは……(^^;)』
またしても引き離されるさちお嬢様。おいたわしや…………あ、リフレクションにヨダレが……。
と、とにかく、これでみんなを守る準備はOK!
『い、いーよ!デーティア!』
『……!みんな、目をつぶってて』
肩越しに私を見て、にこりと笑ってうなづいたデーティアはこうみんなに促すと、一瞬鋭い表情に変わって、ザコッチャーの群れを見据えた。
『データ、ビューティ―――――往きましょう』
《ああ!》
《存分にどうぞ……!》
そして右手に、水色に輝く冷気を凝縮していく―――――
『……邪悪を取り巻く全ての"刻"を―――――今此処に
ゆっくりと、その冷気の光を空へと掲げて―――――
強烈な閃光が放たれて、私の視界を塞いだ。
何が起きたのか全く分からなかった。私はリフレクションを維持するためにラブハートアローを構えたまま目をぎゅっと閉じていた。
……すると、私の後ろから、子供たちの歓声が
その声に促されるように、おそるおそる目を開けると、そこには―――――
『…………え……!?』
目を疑う光景が広がっていた。
こども園の園庭全体が―――――冬景色に変わっていた。
地面がスケートリンクのようにツルツルに、木は全部樹氷になって、10体ほどいたザコッチャーも例外なくカチンコチンに……!
しかも、園庭の隅にあるウサギ小屋だけは凍っておらず、ウサギの"リュック"が元気に走り回っていた。
デーティアはあの一瞬で、ザコッチャーのいる場所だけを凍らせちゃったんだ……!!
《前に一度だけ見たコトがありますわ……》
心の中の"部屋"にいるキュアロゼッタが、絞り出すように口を開く。
《4年前の"プリキュアーツ"で、超高速でかく乱するキュアムーンライトの動きを封じるためにキュアビューティが放った、前方広範囲への瞬間凍結術……ほくとさんはこんな一瞬でビューティの技をモノにしたと……!?》
つまりこの技はデーティアのオリジナルじゃなくって、元々キュアビューティが使ってた技なんだ。でもアニメでこんな技使ったことないし、これっていったい……?
《……ワタシたちプリキュアは、16年の時を、ただ無為に過ごしてきたわけではありません。51人51色、それぞれのやり方で、『守るための強さ』を磨いてきたのです。お部屋のブルーレイディスクに記録されているワタシたちは、文字通り過去の姿なのですよ♪》
ロゼッタが私の心を見透かすように―――――ううん、違う。明確に『見透かしてから』言ったんだ。
そして、そのロゼッタの不敵にも見える笑顔を見て、忘れかけていたコトも思い出した。
……思い出してしまった。
―――――私達はいずれ、『51枚の壁』をすべて突破しなければ、一人前のプリキュアとして認めてもらえないコトを。
レジェンドプリキュアのみんなは、『1年間』で加速度的に強くなっていった。それこそ、一つの世界を守ることができるほどに。
そんなみんなが『16年分』強くなってるって、想像ができない…………
ロゼッタの言うとおりだ。もはや私の部屋に揃えられた"
私が知っているプリキュアたちは―――――その全部の、たった『16分の1』に過ぎない……―――――
《りんく!デーティアが……》
メモリアに促されたその先には、完全凍結した園庭を、悠然と歩くデーティア。かつ、かつ、と、靴音が静かに響いている。
『…………あなたの
そして、一番手前にいた、凍りついたザコッチャーの目前に立った。
『でも…………"魂"は―――――
右の人差し指で、ザコッチャーを包んでいる氷柱に―――――とん、……と軽く触れて、くるりと振り返った。
―――――瞬間。
―――――バキィィィィィィン!!!!
氷柱が、中に閉じ込めているザコッチャーごと、ガラスが割れるような音を立てて粉微塵になった。
そして次々と、他の氷柱が触れてもいないのに破裂するように粉砕され、やがてすべてのザコッチャーが、跡形もなく消滅した……!
『……スゴい……!』
私は思わず息を呑んだ。文字通り―――――『美』の一字に尽きる光景。
粉砕された氷のかけらが舞って、太陽の光を反射してキラキラと輝き、キュアデーティアの姿を逆光の中に際立たせる―――――
―――――!
心が、鳴った。
鳴るのを、感じた。
声に出してない。そう、これは声にならない。
コトバに、できない。できようが、ない。
この感覚は―――――そうだ。
テレビの画面よりもとても大きなスクリーンで、私たちの"ミラクルライト"の光を受けて、奇跡を起こした、戦うことを運命づけられた女の子たちに、心奪われたあの日―――――
私が、『プリキュアのことが好きだ』って、初めて明確に自覚できた、物心がついていたかそうでないかの、思い出すことができなくなりかけてる、あのころのときめき―――――
《あたしも、わかるよ……これって……はじめてプリキュアのみんなを見た時の気持ち……でも、でも……何って言ったらいいかわかんない……!》
そう、それでいいんだよ、メモリア。この気持ちをコトバや文字になんて、出来るはずがないもの。
わかったよ―――――デーティアが私に伝えたいコトが。
"それ"を、こども達にわかってほしいってこと、なんだよね。
振り返ると、目を輝かせて歓声を上げる子供たちの姿。その中の、みしんちゃんとみとんちゃんを見てみると―――――
「な……なんかカッコいいんだね……」
「だ、だまされてはだめなんだな、いもうとみとん!あれはプリキュアなんだな!……ま、まぁたしかにちょっとは……カッコ……ごにょごにょ……」
〈EMOTION GAIN〉
〈MISHIN MASUKO:-20%〉
〈MITTEN MASUKO:-16%〉
さっきよりも、数字が『+』寄りに近づいてきてる気がする。
イイ感じ!このままカッコよく戦えれば、あのふたりもきっとプリキュアのことを好きになって、応援してくれる!
『尖兵と転送ゲートを同時に封じるとはッ……!!だがしかァしッ!!
スパムソンが息巻くと、上空に浮かぶ巨大な水のボールから、また巨大水風船が投下されようとしていた。
あのバグッチャーを何とかしないとまたやり直しだ。でも、レジェンドインストールしていると空は飛べなくなるし……
『どうすれば……!』
『大丈夫よ♪』
私の隣に立ったデーティアが、にっこりと笑った。ホント、元々の男の子らしさが完全に消えた、純粋無垢な『女の子』の笑顔だ。
『ここから―――――
『……そっか!ビューティのブリザードアローなら!』
『それもあるけど……今回は使わせてほしい武器があるから』
『……えっ?』
デーティアが両手を目の前にかざすと、そこに冷気が集結していって、ブリザードアローのような氷の弓を形作っていく。
そしてそこから、またしても形が変わる。シンプルなブリザードアローと比べて、機械的な意匠が込められたカタチに完成した。
「そっ……それは……!!」
「『
「どーしてプリキュアが、かめんライダーのぶきをしってるんだね!?」
みしんちゃんとみとんちゃんが、驚きの声を上げた。もしかしてコレって、仮面ライダーの武器!?
デーティアはみしんちゃんとみとんちゃんに笑ってうなづくと、氷で形作られた"ソニックアロー"を番えて、はるか上空のバグッチャーへと向けた。
〈KAMEN RIDER ZANGETSU〉
⇒ 〈KAMEN RIDER ZANGETSU-SHIN〉
〈KAMEN RIDER DUKE〉
《GENESIS POWER! THAT'S GREAT CHIEF!!》
デーティアのネットコミューンから電子音声が流れて、アローの射線軸上に、たくさんの巨大な雪の結晶が並んだ。
『データ、ビューティ……今一度』
《おっしゃぁ!》
《この一矢に、私の心も重ねます!》
『……キュアマーメイド……貴女の曇らされた"心の真珠"……晴らして見せる!』
デーティアの決意の言葉とともに、チャージされた冷気が空へと一直線に放たれた。雪の結晶を通過するたびに増幅されて、巨大な冷気の一矢と化した。
同時に、バグッチャーが巨大水風船を投下した。その水風船と冷気の輝きが、空中で交錯した―――――のは一瞬だった。
巨大水風船は瞬時に凍結―――――を通り越して、粉塵となって消え失せた。なおも冷気の矢は驀進していって、バグッチャーが纏う水のボール、そのド真ん中に命中した。
『フンッ!その"純水の盾"は超高圧・超高温の"超臨界流体"ッ!!氷の矢如きで凍結できるハズが―――――ッ』
水のボールが丸ごと凍った。ついでにスパムソンの表情も凍った。
「「さすがくれしましゅにんだな(ね)!」」
〈MISHIN MASUKO:-10%〉
〈MITTEN MASUKO:-7%〉
増子姉妹が同時に快哉の声を上げる。……"くれしましゅにん"って誰……??
『……どんな液体でも、"水"なら凍るわ。
注釈を加えるように、デーティアが呟いた。
そして程なく、凍りついた水のボールが園庭に落下して、粉々になるとともに、青い古代魚のようなバグッチャーの『本体』が、初めて私達の眼前にその姿をあらわにした。
『ドコニイルカ~~!!?ココニイルカ~~!!??クツクツ~!!!ゲタゲタ~~~!!!!』
そう叫びながら、バグッチャーは園庭をのたうち回っている。全長5mくらいの巨大な魚が奇声を上げながらぴちぴち跳ね回るという珍奇極まりない光景に、子供たちは悲鳴交じりの叫びをあげながら、私の後ろに回った。
「―――――どんびき」
そんなつぶやきが聞こえた。私のすぐ後ろに隠れたこころちゃんだった。
そういえば―――――こころちゃんの好きなプリキュアに、キュアマーメイドもいたっけ。
もちろん、このバグッチャーにキュアマーメイドが囚われてることをこころちゃんが知る由もないだろうけど―――――
『ぬぅぅッ……!だがまだだッ!まだ終わらんよッ!!再度"純水の盾"を生成すればッ……!!』
『させない!』
デーティアがサモナーから別のチップを呼び出した。あの青いチップは―――――
《爪弾くは魂の調べ!キュアビート!》
《CURE-BEAT! INSTALL TO DATEAR!! INSTALL COMPLETE!!》
今度はキュアビート!滑らかなポージングとともに、音の力が『♪』のカタチになって、周囲に放散するのが見えた。
『動きを止める!』
デーティアは持っていたラブギターロッドを豪快に地面に突き刺したと思うと、頭のくせっ毛―――――いわゆる『アホ毛』に右手を添えた。そして―――――
―――――ギュゥゥィィィィイイン!!!!
鋭くかき鳴らした。エレキギターの音色が響き渡るとともに、紫色の光が『♪』に圧縮される。
をを!!これはまさしくキュアビートの『ヘアギター』!!いいなぁ……私も変身した時やっとけばよかったぁ~……
……と、デーティアは光る『♪』マークを、まるでナイフのように投げ放った。放たれた『♪』マークが4つに増殖して、バグッチャーの四方の地面に突き刺さると、そこから楽譜を思わせる光の五線を展開して、バグッチャーを完全包囲した。
それを確認したデーティアは、地面に突き刺していたラブギターロッドを引っ張り出した。ここからやることと言えばただ一つ―――――ハートフルビートロックだっ!
……しかしデーティアは私の予想外の行動を取った。ラブギターロッドを手にしたまま、バグッチャーに向かって猛然と突進していって―――――
『せぃッ!!』
ラブギターロッドの一番後ろ側―――――『❤』型の装飾部分を、無理やりバグッチャーの胴体に叩き込んで、グリッ!とねじ込んだ!?
こ、これってどーゆーこと!?ってか、ラブギターロッドで直接相手を叩いたり突いたりしちゃいけません!?おもちゃを持ってるよい子のみんな、絶対にマネしちゃだめだよ~~!?!?ホンモノのギター使ってマネするのも禁止の方向で―――――
『データ!ビート!……ロックに行くわよっ!!』
《ちょ、ちょっとほくとぉ!?ラブギターロッドってそんな使い方じゃ―――――》
《いぃから見てろってビート!》
「あっ!あのわざはっ!!」
「
バグッチャーに背を向けたまま、こちらに向かって右の親指を立てて、ウインクしたデーティアが放つその技は―――――
たぶん、私には―――――
〈MASKED RIDER IBUKI〉
⇒ 〈MASKED RIDER TODOROKI〉
〈MASKED RIDER ZANKI〉
《INHERITANCE SOUL! ROCK OF OGRE!!》
魂を揺さぶるエレキの激音が、ラブギターロッドからかき鳴らされる。
込められた音の力が、バグッチャーの中へと直接轟く―――――
この音―――――どうしてだろう―――――
私の心に、吸い込まれるように入っていって、身体の奥底から全身に清々しく響き渡っていく。
それでもって、私の心―――――魂を、これでもかと、これでもかと揺さぶっていく……!!
これは仮面ライダーの技、仮面ライダーの技なのに、どうして―――――
こんなにも
さっき見た光景を見た時の気持ちと、重なる。
言葉に出来ない、この気持ちは―――――
「キュアデーティア……カッコいい~~!!」
「すっげ~~!!」
「―――――うん!うん!!」
「すてき……」
応援してくれているみんなも、この光景に見とれて、激しいギターの音色に聞き惚れている。
「……………………だね……」(ぽか~ん)
「……………………だな……」(ほげ~)
みしんちゃんとみとんちゃんもまた、何かを感じたようだ。
そう!"それ"なんだよ……!私と、そしてデーティアが言いたかったコトは、"それ"なんだ!
『カッコいいコト』に、プリキュアも、ライダーも、何であろうと関係ない!
私がキュアキュアになるこの気持ち、ハートの奥底まで揺さぶられて、引っ張られて、かき混ぜられて、整えられて―――――
ええっと、とにかくこういうことをわかりやすく言ってくれた子がいた!『はぐプリ』の愛崎えみるちゃんのあの言葉―――――!!
ビートと同じでギターが得意だったあの子の言葉の意味、今ようやく、『本当の意味で』わかった気がする!
『ギュイーン』とハートをつかまれて、『ソウル』がビビビと打ち震え、歓喜の声を『シャウト』する!
―――――『カッコいい』って―――――こういうコト、だったんだよ!!
『デルルルィィィィィィトォォォォォォ!!!!!!』
爆散するバグッチャーと同時にこども達から巻き起こったのは、歓喜の声の大嵐。
『やったぁ~!!』
笑顔でそれに応えるデーティア―――――彼女に歓声を送りながら手を振る私はもはや、プリキュアでもプリキュア見習いでもなく―――――
―――――こども達と一緒に声援を送る、ただの一ファンになっちゃってた―――――
『ぬぅぅッ……!!まぁいいッ、稼働ログの採取は出来たッ……!』
スパムソンがこう言い捨てて、こども園の屋根から消え去るのが見えた。
稼働ログって……いったいなんなんだろう……??
――――――――――
ほどなく、残されたキュアチップから、青いイーネルギーとともにキュアマーメイドの姿が幻影のように浮かび上がった。
『マーメイド、大丈夫ですか?』
『ええ……心配をかけたみたいね。でも、平気よ。……心配なのは、あの子たちの方……』
マーメイドが視線を向けるのは、私達をきょとんとして見ているこども園のみんな。
……ってか、どうしてそんな顔してるの?特にこころちゃん、大好きなキュアマーメイドが目の前にいるんだよ?
『心配いりません!』
デーティアが笑って、マーメイドに答える。
『あの子たちはみんな……強い子たちですから』
みんなが、プリキュアが好きで、プリキュアに憧れて、『プリキュアみたいになりたい』と、強く思ってる。だからこそ、どんな困難を前にしても、絶対にめげない、逃げない子たちだ。
その証拠に、この戦いの場から逃げ出した子は、誰一人としていなかった。みんな、私達に声援を送りながら、私達の戦いの様子をその目に焼き付けてくれた。
『みんなの憧れの存在になれるように……わたしはもっと、強くなるつもりです』
『わ……私もっ!』
少し、驚いたような表情をマーメイドは見せて、そして安心したようにこう言った。
『……データ。素晴らしいユーザーと契約したみたいね』
《だろ?コイツはどんどん強くなる。じきにアンタも追い抜かれちまうぜぇ~?》
『その時を楽しみに待ってるわ♪……りんく、メモリア……残りの『プリンセスプリキュア』を救い出して、サーバー王国の扉を一刻も早く開くのよ』
《もっちろん!あとはフローラとスカーレットのふたり!》
『必ず、はるかちゃんとトワちゃんも助け出します!』
『……お願いね』
私達に願いを託して、マーメイドのヴィジョンがチップから霧散した。『P-39』のチップを掴んだデーティアは、天にチップを掲げて、ささやくように宣言する。
『キュアマーメイド、キュアっと救出……完了!』
デーティア初の救出宣言を、私はそばで見守った。
マーメイド―――――みなみさんの表情から、私の決意は強くなった。
ジャークウェブからこの世界を守ることも大事なんだけど、それと同じくらい大事なことがある。
『離れ離れにされてしまった51人の親友たち』を、もう一度『取り戻す』ことだ。
みなみさんが物憂げな表情に見えたのも、はるかちゃんとトワちゃんが、まだどこにいるのかわからない不安があるから、だと思う。
『あの日』、何があったのかは知ってるけど、詳しい事を助け出したプリキュアたちから聞く、ということはしていない。みんなにとってつらい思い出を蒸し返してまで、聞くべきことじゃないと思ってるから。
そんなみんなを、もう一度、『あるべきカタチ』に戻すこと。かけがえのない友達と、当たり前のように笑い合える日常を取り戻すこと。
そのためにも―――――
それまでの間、みんなの―――――『プリキュアの力』を―――――ちょっとだけ、お借りします。
「プリキュア~~~!!」
と、ののかちゃんを先頭に、こども園のみんなが一斉に駆けてきた。ののかちゃんは思いっきり、デーティアの胸に飛び込んだ。
『ののかちゃん!無事でよかった……!』
「またたすけてくれてありがとう!キュアデーティアがぜったいきてくれるって、しんじてたもん!」
『ののかちゃん……』
「ほんものの"ぷいきゅあ"のたたかいをこんなまぢかでけんがくできるなんて、こうえいですの!」
「おーいに
「めっさコーフンしたぞ~!りんくのねーちゃんにもみせてやりたかったぞ~!!」
「―――――こんな
『あ、あはは……』
ごめんね、目の前の『ピンクいろの』がりんくのねーちゃんで、はかせです……
声はともかく、顔立ちもちょっと変わっちゃってるからカンタンにはバレないか……髪の毛も目も真っピンクだし……
「……でも……こどもえん、こわれちゃった……」
らんかちゃんがぽつりとつぶやいた。すると、テンションMAXだったみんなが、急にしゅんとしてしまった。
「!……あした、おゆうぎかいなのに……」
「―――――セットも
こども園の園舎は、見るも無残な姿になってしまっていた。
遊戯室の外壁には大穴が開いて、その他の部屋も水没してしまって、目を覆いたくなる惨状だ。
「なぁ、さっちゃん!さっちゃんちでなんとかできねーのかよ~!?あした!あしたなんだぞ~!?」
「もちろんしゅうりのえんじょはおしまないですの……でも、さすがにあしたまでにこどもえんをなおすのは……」
ぷらむちゃんがさっちゃんに懇願するけど、さっちゃんも唇をかんでいた。
お遊戯会が開かれるのは明日。でも、こんな状態のこども園を、明日までにどうにかするのはどうあがいても不可能だ。
「
「そーだ!えんちょうせんせい、まほうがつかえるんでしょ!?なんとかしてよ~!!」
「「「「「「えんちょうせんせい~!!」」」」」」
「あ、あらあら……」
のんちゃんに続いて、他のみんなも園長先生に迫り始めて、先生はちょっと困惑気味だ。先生、普段から『魔法が使える魔女だ』って言ってたけど、流石にそれは無いよね―――――
―――――……!"魔法"…………?
『……………………できるかも』
『……え?』
ふいに、キラっとひらめいた……!
今の私なら―――――ううん、『私たち』なら、不可能を可能にすることができるかもしれない!
私たちは、もう既に"それ"を手にしていた。
『P-42』―――――『輝石』のチカラを。
――――――――――
みんなが固唾を飲んで見守る中、私は呼び出したチップを、ネットコミューンに挿し込んだ。
《ふたりの奇跡!キュアミラクル!》
《CURE-MIRACLE! INSTALL TO MEMORIAL!! INSTALL COMPLETE!!》
魔法の輝きの力を身に纏い、ひとりだけど『二人の奇跡』、ここに降~~臨!
え~っと、『我が名は~』とか名乗った方がいい?
《さ……さすがにソコまでは……(^^;)》
ミラクル、ちょっとヒイてる……ゴメン、じょーだんです。
「「「「「「わぁ……!」」」」」」
目の前でミラクルスタイルへの変身を見て、みんな目をキラキラさせてる。
こうした変身だけでも、みんなにとっては『魔法』をこの目で見たのと同じなんだ。
この感動、一生モノだろうなぁ……私だって初めて変身した時、心底感動したもん……
……さて、おふざけはココまでにして、ここからは本気出さなきゃ……!
『"リンクルステッキ"―――――!』
言葉とともに思いを込める。すると光が集まって、アニメで見覚えのある、先端がハート形の杖のカタチに実体化した。
『わぁ……』
思わず息をのみながら、私はステッキを手にした。これからやろうとしてること、そしてその規模を思えば、余計に緊張してくる。
『メモリアル……アナタを疑うわけじゃないけど、本当にできるの……?『魔法でこども園を元通りにする』なんて……』
『言ったからには責任もってやらなきゃね。戦いはほとんどデーティアに任せっきりだったから……こんな時こそ、プリオタの本領発揮だよ!』
さっき私は、こども園のみんなや先生方に、こう宣言したんだ。
―――――魔法です!魔法、使えます!こども園を、魔法で元通りにして見せます!
キュアミラクル―――――『魔法つかいプリキュア』の魔法なら、壊れたこども園も直せるって思ったから。
でも、アニメの中では、そんな大規模修復魔法を使ってなかったハズ。だから、言ったはいいけどちょっぴり自信が……ない。
《……魔法のコツは、『イメージすること』だよ》
私の不安を感じてか、ミラクルが優しく声を掛けてくる。
『……イメージ……?』
《思い出して。このこども園はりんくが思い出をいっぱい作った場所だよね?それに、みんなの思い出もいっぱい詰まってる……こども園だって、そんなみんなの悲しい顔なんて、きっと見たくないはずだよ!》
『……!……みらいちゃん……』
《わたしも、いっぱい力を貸すよ!だから―――――がんばって!》
《あ、あたしもがんばる!!》
なんとなく―――――ううん、ハッキリわかった。『魔法』って、どういうことなのか。
『私が魔法でこども園を直す』というのは、『表面的』なコト、『体面的』なコトなんだ。
私がやることは、『みんなの想いを現実にする』コト。ここにいるみんなが、『今すぐに、こども園を元通りにしたい』『明日、お遊戯会をやりたい』という想いを、『こども園』に『届ける』コトなんだ。
それなら―――――
『みんな、『魔法つかいプリキュア』の魔法の呪文、知ってるよね?』
「もっちろん!」
「"キュアップ・ラパパ"!なので!」
『そのとーり!私といっしょに、みんなで呪文を唱えて!みんなの想いも、いっしょに魔法で届けるの。みんなの思い出が詰まった、このこども園に……。先生方もお願いします!』
「や、やってみます!」
「うふふ……"あの頃"を思い出すわね♪」
園長先生が何か意味深に笑ってるのが視界に入って、ちょっと首をかしげる私。
そして私は、こども園の建物に、園庭側から向き合った。
園長先生が『半身』とも呼んだ『こども園』がずっとため込んできた、こども達や先生たちの『想い』とシンクロさせて―――――
『メモリア、ミラクル、みんな……いくよ!せーのっ!』
ミラクルとメモリアも―――――そして、こども達と一緒に、呪文を唱える。
私に願いを託してくれる『こども達』の想いを、こども達が楽しい思い出をいっぱい詰め込んだ『こども園』に、伝えるために―――――
お願い―――――
"あなた"も、こども達のことを愛してくれているのなら―――――
みんなのために、壊れる前の姿に―――――
―――――カタ……。
足元に転がっていた瓦礫のかけらが、わずかに動いたのが見えた。
すると次の瞬間、こども園全体が虹色の光に包まれたと思うと、辺りに散乱したモノや瓦礫が、まるで映像の早戻しのようにこども園へと吸い込まれていく。
30秒も経たないうちに、こども園は元通りに―――――いや、『元』以上に綺麗になってその姿を取り戻したのだった。
―――――想いが、通じた。
私たちの『想い』に、『こども園』が、応えてくれたんだ―――――
『………………やった……!やったよ~!!』
思わずそう叫んで、どっとへたり込んだ瞬間、後ろに控えていたこども達の大歓声が私を包んだ。らんかちゃんが、真っ先に私に抱きついてきた。
「プリキュアさんっ!……ありがとうっ!すごい!すごいよ!」
「しんじられませんけど……まさにきせき……まほうですのっ!」
『私こそ、ありがとう……みんなのおかげだよ!みんなが想いと力を貸してくれたから……!私だけじゃ、絶対無理だったよ~……』
お礼を言ったその瞬間、レジェンドインストールが解除されてしまった。カシャ!と、ネットコミューンのスロットから、ミラクルのチップが強制排出されてきた。
どうやらこうやって魔法を使うことは、かなりの負担になるみたい。一回だけで解除されちゃうってことは……私、『魔法つかい』としてはまだまだってこと、なのかな……
『ありがとう……みらいちゃん』
チップをぎゅっと抱きしめて、文字通り、『奇跡』をくれた魔法つかいに、心の底からの感謝を―――――
――――――――――
みんなといっしょに、こども園の中を確認してみると、元通りを通り越して、まるで新築同然にピッカピカになっていた。
でも、かつてこども園にいたこども達『だった』ヒトたちが刻んだ思い出―――――柱への落書きや、今ここで思い出を作っているみんなのかばんや歯みがきセットとかは、そっくりそのまま残っていた。
そして―――――遊戯室。みんながつくった手作りのセットや衣装も、水没する前のキレイな状態で、何事も無かったかのように元通りになってた……!
「―――――!……これなら、
「あした、げきができるぞ~!!」
「みんなぁ~!おゆうぎかい、できるよ~!」
のんちゃんが心から嬉しさをバクハツさせていた。
のんちゃんの―――――ううん、みんなのこの笑顔を見られただけでも、プリキュアになって良かったって、そう思える。
『わたしだけだったら……こうしてみんなの笑顔が見れなかったかもしれない……貴女がいてくれて、本当に良かった』
そう言って、私の横に立ったデーティアの笑顔は、なんだかとても大人びて見えた。
なんというか……『お姉さんオーラ』が出てる。……実際はのんちゃんの『お兄さん』なんだけど……あ、今は『お姉さん』と呼んだ方がいいのか……どっちだろ。
『それは……私も……デーティアが来てくれてなかったら、どうなってたかわかんないし……』
このみんなの笑顔は、どちらかが欠けていても取り戻せなかった。私達が"ふたり"だったから、今こうしてここにいられる。
『―――――ありがとう、デーティア』
お礼を言ったその瞬間、私の左手を、デーティアの右手が優しく握ってきた。
思わずデーティアの顔を見ると―――――
いつもよりも―――――まっすぐに、私を見てて―――――
『―――――………………え』
ヤバい。
顔、近っ……!
ここまでアップでデーティアの顔を見たのってはじめてな気が……。
なんてーか、自然なナチュラルメイク……唇にはうっすらリップが。
それに……なんかイイにおいがする……お砂糖か、メープルシロップのような、ふわっとした―――――…………
キュアキュアを通り越して―――――
"キュン"としそうな、なにやらはじめての気配―――――…………
「―――――ほぅ。お
『どぅえっ!?』
『きゃっ!?』
び、ビックリしたぁ……こころちゃん、気配を殺して近づいてくるんだから……
「それってどんなかんけー?」
「―――――らんかちゃんには、まだ
「どのくらい?」
「―――――10
え、え~っと、これってちゃんとこころちゃんに説明した方がいい……のかな……?
でも、とにかく……なんか……助かった。
さっきのドキドキ…………アレって……なんだったんだろう…………。
あのまま視線が合ったままだったら……
私……どーなっちゃってたの…………??
――――――――――
それからはなんというか……『プリキュアショーの後の握手会』のような状態になった。
質問攻めにされるのはまだ序の口、コスチュームをつんつんされたり、引っ張られたり……
レジェンドインストールを見せてあげると、ひときわみんなの目が輝いた。
そして今度は――――ファッションショーがはじまった。
『どんなプリキュアにも変身できる』とカン違いされちゃったのか、色んなプリキュアをリクエストされて、変身するたびに歓声が上がる。
さっき取り戻したキュアマーメイドにも、こころちゃんのリクエストで早速変身!う~ん、まだ私、みなみさんみたいな清楚な感じが出ないなぁ……特におヘソまわりの色気が無い……
「―――――
『がーーーーーん!!』
も~ちょっと身長伸ばして、強く優しく美しくなって出直しますです、ハイ……
クインシィちゃんの『推しキュア』をまだ取り戻せてないから、リクエストに応えられなくてごめんねと謝ると―――――
「おきになちゃらずなので。それよりも、もっといろんな
ま、まさかさっきからず~っとクインシィちゃんがスマホを構えてるのはこのためで……??
つまるところ、キュアメモリアルとキュアデーティアのの"S.H.Figuarts"、近日発売決定ですか……!?
ヤバい。
おこづかい貯めとかなきゃ。(真剣)
ともかく……ホント、こども達は元気のカタマリだ。体力の配分を考えずに朝から大暴れするから、お昼寝タイムですやすやしちゃうんだろーねぇ……
そんな、みんなとのひと時を楽しんでる中―――――
「やっぱり、なんかなっとくいかないんだな…………」
「なっとくいかないんだね……」
さっきから遊戯室の隅っこで、ばつが悪そうな顔でじっとしているふたりがいた。
"アンチプリキュア"筆頭格であるみしんちゃんとみとんちゃんにとっては、やっぱりこの状況は居心地が悪いのかな……
『……どうしたの?』
そんなふたりに、デーティアは少し腰を落として、ふたりと同じ目線で声を掛けた。
「お、おかしいんだね!あなたはプリキュアなんだね!」
「なのに、なのに……」
「「プリキュアがかめんライダーのわざをつかうなんて、おかしいんだな(ね)!!」」
……それはもっともだと思う。
私はいつもいっしょに戦ってるから、今まで何の違和感も無かったけれど、キッチリしてるヒトにはやっぱりヘンに見えるのかな……
『ちょっと、何よソレ!?デーティアはね―――――』
『メモリアル……いいの』
言い返そうとした私を制して、デーティアはなおも笑ったままふたりに語る。
『……わたし、仮面ライダーが好きで……仮面ライダーにあこがれて、いつかはなりたいって思ってたの。でも、実際なっちゃったのがプリキュアだった……それだけのお話。今でもライダー、大好きだから。プリキュアが仮面ライダーみたいに戦うのって、そんなにヘン?』
「いわれてみれば……そ、そこまでヘンってわけじゃ……ないんだな」
「ちょっとは……かっこよかったんだね」
『ならOKじゃない?少しでも『カッコいい』って思ってくれたのなら、わたしもうれしいわ♪』
その笑顔がふたりの心になにかをもたらしたのか、ふたりの背筋がぴしっ!と正された。
『『カッコいい』って思うコトって、それって、リクツじゃないって思うの。もちろん、『カワイイ』って思うことも。男の子が『カッコいい』って思って、女の子が『カワイイ』って思うコトもそうだけど、男の子が『カワイイ』って思って、女の子が『カッコいい』って思うコト……世の中の『カッコいい』や『カワイイ』に、好きとか嫌いとか、区切りや区別なんて必要ないんじゃないかなって。もちろん、みんなが好きなモノや嫌いなモノがそれぞれ違うこと、『カッコいい』や『カワイイ』の基準が違うことも知ってるけど……『カッコいい』って思っちゃったら……もう、それが『カッコいい』としか思えなくなる……ふたりだって、仮面ライダーや特撮ヒーローのこと、"『カッコいい』から好き"なんでしょ?どうしてそれが好きなのって、答えられたりとか、できる?』
「「た、たしかに…………」」
『そのとおりよ♪心に感じた『カッコいい』に、理由なんてつけられない―――――』
……な、なんか、この宇宙の真理を聞いたような気がする……
『カッコいい』を感じるその『瞬間』を、言葉に置き換えるのは無理な話だ。
そして、『カッコいい』をそのまま『カワイイ』に置き換えても成立する。
『どうしてプリキュアが好きかをきちんと説明してほしい』って問われても、多分私は答えられない。もし無理やり答えようにも、取り留めのない、漠然とした答えになるはずだ。
何かを好きになることに、理由なんていらない。心奪われたら、もう―――――
「「…………す……すばらしいんだな(ね)~~!!」」
突如、みしんちゃんとみとんちゃんはそう叫んで、デーティアの手をがっちりと掴んだ。
「あなたのゆーとーりなんだね……!」
「カッコいいコトにりゆーなんてつけられないんだな……!あなたもまた……『カッコいい』んだな……!!」
なんと!?こんなに早く手のひらくるりんぱ!?
びっくりした私は、思わずこのふたりのイーネルギーの数値を見てみた。すると……
〈MISHIN MASUKO:30%〉
〈MITTEN MASUKO:27%〉
あっとゆー間にプラスになってる!
あんなにもプリキュアを毛嫌いしていたみしんちゃんとみとんちゃんが、プリキュアを応援してくれるようになるなんて……
文字通り身をもって、そして信念をもって、デーティアが『プリキュアのカッコよさ』を証明してくれた結果だよ……!
『あのふたりも味方にする』―――――有言実行……すごいよ、ほくとくんは―――――
「…………でも」
みしんちゃんとみとんちゃんが、今度は私に振り返る。……まさしく、『敵』を見るような視線も添えて。
「みとめたのは"みずいろ"さんだけなんだね……!」
「そっちの"ピンク"はまだまだなんだな!」
「「ぜんぜんいーとこなかったんだな(ね)!!」」
『ちょ!?なんで~!?ほ、ほら、リフレクションでみんなを守ったり、魔法でこども園元通りにしたじゃん?!』
「それとこれとははなしがべつなんだな」
「きょうの
『ぐはッ……!!』
しょ、しょんなぁ……あ、ふたりから私にワルイネルギーが……シビれて余計にめちょっくがぁ……
つまりは、このふたりが好きになってくれたのはデーティアだけで、私は未だに目のカタキですか、そーですか……
『まぁまぁ♪ヒーローたる者、みんなで仲良く出来なきゃね。―――――『ライダーは』?』
「「『たすけあい』!」」
『OK♪上出来っ♪』
「「えへへっ♪」」
デーティアがふたりの頭をなでなですると、ふたりはにっこり。もうすっかり、みしんちゃんとみとんちゃんはデーティアの虜のようだ。
この様子を見ていたのんちゃんが、こうつぶやくのを聞いた。
「キュアデーティアって……なんだかにぃみたい!」
『!?!?!?』
……ちょ、ちょっといくらなんでも核心突きすぎじゃないですかっ!?ヒーロー特有の超速理解!?
神経がすり減る感覚って、こういうのを言うんですね……
でも、のんちゃんといっしょにいるさっちゃんたちは口々にこう言う。
「ののかさん、それはさすがにありえないですの」
「キュアデーティアはおんなのこだよ?」
「そーだぞ?プリキュアって、おんなのこしかなれないんだぞ?」
「だいいち、
「―――――おっぱい、
「うん……わかってる。なんとなくそっくりなところがおおいっておもっただけなの。かめんライダーがすきなところとか、やさしいところとか!」
のんちゃんも、『キュアデーティア=ほくとくん』とは、さすがに直接は関連付けなかったみたい。
でもやっぱり、必然、なのかな。私以上にほくとくんといっしょにいるのんちゃんだからこそ、デーティアにほくとくんを重ねられるのかもね。
「……そこのピンクの貴女?」
と、みんなの様子をほほえましく見守っていたところで、私に声を掛けてきたのは、園長先生だった。
「ちょっと、いいかしら?」
――――――――――
誰もいない、西陽が差し込む夕暮れの職員室。
そこへ私を連れ出した園長先生は、出し抜けにこう言った。
「貴女――――――――――りんくちゃんでしょ」
―――――…………え?
さっきから驚きの連続で、もはや胃薬ちょーだい状態の私に、本日最大級のストレスが叩き込まれましたよ、ハイ。
どして?なして?なじょして??園長先生の目の前で変身したわけじゃないのに……
も、もしかしてさっきみんなに隠れて変身したのを見られてた!?
そ、そうだ、まずはなんとかしてごまかさなきゃ……!!
『そ―――――そんなわけないじゃないですかぁそのりんくちゃんって子全然知りませんしそれに顔も似てないですし―――――』
「ウソをつく時、左上を見るクセ。……やっぱり、変わってないわね♪」
……私は無意識に、視線を左上に向けていた。
今まで言われるまで、私自身まったく気づかなかった。
「それに、貴女がりんくちゃんじゃないなら、どうして私がここの園長って知ってたの?もしかしたら、通りすがりのおばあさんかもしれないのに。みんなのことも、どうして知ってたのかしら?」
『……………………(滝汗)』
とんでもないレベルで口を滑らせてる。そして―――――
「何より……『プリキュアのことが大好きで仕方がない』っていう女の子で、貴女と同じ年頃の子って言ったら……りんくちゃんしかいないじゃない♪」
―――――……トドメを刺された。
ダメだ……何を言い訳しようとしても、このヒトにはかなわない。
私のパパやママと同じくらいに、私のことを知り尽くしてる―――――
《りんくぅ……》
いいの、メモリア。
このヒトなら―――――大丈夫。
本当に……この人には―――――
『かないませんよ…………先生』
笑うしかなかった。
「やっぱりそうだったのね♪もうひとりがほくとくんなら、お似合いだこと♪」
『どうしてそこまで……!?…………フツー、絶対わからないと思うんですけど……特にほくとくんは……』
「あらあら♪ある意味、りんくちゃんよりもわかりやすいわ♪のんちゃんやこども達のために、あれだけ一生懸命になれる子は、あの子くらいだもの。仮面ライダーが好きなコトもね。見た目が変わっても、『みんなのお兄さん』ね♪」
いや……ホント、ここまでわかってしまう先生には恐れいりました。
今までは冗談めいて聞こえていた『私は魔女よ』という言葉も、ここまでくると
そんな先生は、"あのころ"と同じ優しい視線を私に向けながら、感慨深げに言う。
「『プリキュアになりたい』って夢―――――叶えたのね」
『はい……って胸を張りたいところなんですけど……こう見えてまだ、『見習い』なんです。『一人前のプリキュア』には、まだまだですよ』
「つまり、『プリキュア見習い』ね。……うふふ♪」
『もぉ、笑わないでくださいよっ。一人前目指して、日々努力を重ねてるんですっ』
「違うの、昔を思い出しただけ……私もちょっとした『見習い』だった時期があったから、ね。―――――りんくちゃん、今日は本当にありがとう……こども達を助けてくれて、それに、こども園も元通りにしてくれて……私にとっては……ううん、こども達にとっても、りんくちゃんもほくとくんも、もう『見習い』なんかじゃないわ」
先生は私の手を取って、そっと頭を下げた。
「貴女たちふたりは―――――立派な『プリキュア』よ」
先生の目に光るものが見えたその時―――――今まで私の中で張り詰めていたモノが、そっと緩んだ気がした。
そして、私が助けた人から直接聞いた、『感謝の言葉』だったことも重なったのかな―――――
私の中の緊張が、涙になってあふれ出してきた。
『……!先生ぃ……………………』
戦うことは、つらかった。
私達がしくじれば、世界が終わるというプレッシャーもあった。
これを誰にも相談できないもどかしさがあった。
でも、このこども園や、そこで過ごす子供たちの笑顔を守ることができたコト―――――
先生から、こうして
今までずっと、直接言ってもらえなかった、
私達は―――――間違ってなかったんだ。
私―――――プリキュアになって、本当によかった―――――……
――――――――――
翌日、予定通りにお遊戯会が開かれた。
みしんちゃんとみとんちゃんの仮面ライダーショーの次は、ついにのんちゃんたちの出番!
私、東堂りんくプロデュースの初舞台、遂に開演です!
「ほしのプリキュア!『キュアスターライト』!」
うんうん、さすがのんちゃん!おうちのプリキュアごっこで鍛えた演技力、サイコーに活かせてる!
「ひかりのプリキュア!『キュアシャイニング』ですの!」
おじょーさま、輝いてます!今までいそうでいなかった黄キュアですなぁ。
「だいちのプリキュア!『キュアグラン』なので!」
やっぱりクインシィちゃんには緑キュアが似合うって思った!落ち着いた感じがよく似合ってる!
「うたのプリキュア……きゅ、『キュアディーヴァ』!」
ちょっとセリフ噛んじゃった……だいじょーぶだよ、らんかちゃん!私以外、噛んだの気付いてない……ハズ!
「―――――
ミステリアスなこころちゃん、一番演技が様になってるかも。
「ほのおのプリキュア!『キュアフランマ』ッ!!」
実は一番難産だったのがぷらむちゃんのキャラ。車椅子をどう劇に落とし込もうか頭をヒネった分、こうして舞台に上がっている姿を見ただけでその苦労が報われたと思えるなぁ……
「わたしたち!……せーのっ」
ん~!キマッたぁ~!!みんなとってもキュアッキュアだよ!!
このネーミングは、6人中5人が、お兄さんやお姉さんのいる『妹』だったことに由来する。らんかちゃんは一人っ子なんだけど、そこはもうノリで通しました!
《みんなで、このせかいをまもるクル~!》
この語尾で「!?」って思ったそこのアナタ、これこそが私のこだわりポイント!
『スマイルプリキュア!』の妖精、キャンディをゲストとして登場させました!……"天の声"だけだけど。
台詞の一言一句、そのすべてが、キュアットタブの中の『スマイルプリキュア』のみんなの完全監修!で、声はどうしたかと言うと―――――
「……こんな感じかしら?」
「サイッコーです、園長先生!!」(グッ)
園長先生にお願いしました!
……というのも、キャンディの登場も、園長先生に声を入れてもらうコト前提で考えてたこと。
園長先生が『ポケモン』のピカチュウや『ワンピース』のチョッパーのモノマネが上手だったことを思い出して、声がよく似てるキャンディももしかしたら……と思って、園長先生にお願いすると、二つ返事でオッケー頂きました!
園長先生のモノマネボイスをハッピーたち『スマプリ』のメンバーに聞いてもらった時、そっくりだって驚いてたっけ……
―――――そして……
私がはじめてプロデュースした『プリキュアシスターズ』は、ところどころでセリフを間違えたりしたけど、なんとか最後まで公演して―――――
会場の親御さんや地域の皆さんから、大喝采を浴びてカーテンコールを迎えたのでした。
ここまで来るまで、山あり谷ありジャークウェブありで、まさしく私は"産みの苦しみ"を味わった。
その末のこの拍手喝采は、私にとっては何よりの癒し―――――苦労が報われる瞬間だ。
こども達の……みんなの笑顔は、私にも元気をくれる。
この笑顔を守るために、私、これからもいっぱいがんばるね。
ほくとくんといっしょに、誰からも『ヒーロー』って認めてもらえるように。
『みんなのプリキュア』に、必ず私は……ううん、私達はなって見せるから―――――
――――――――――
――――――――――
NPC KAIKA UMAKOSHI
――――――――――
お遊戯会が無事に終わって、本当によかった……
この日を無事に迎えられたのは……りんくちゃんとほくとくんのおかげね。
さて、明日は日曜日。そして明後日からは、また新しい日々が始まる。
久しぶりに……なつかしい『美空の街』に出かけてみようかしら―――――
そう思いながら、職員室の私の机の上の書類をまとめて、家路につこうかと思った時―――――
―――――♪♪♪
スマートフォンの着信音が鳴った。その電話に出ると、これまた……ご無沙汰だった声。
《園長先生、お久しぶりです!》
「あらぁ♪お元気だったかしら?ここ最近連絡が無かったものだから、ちょっと心配してたのよ?」
《ごめんなさい……研修が忙しくて……でも、もうすぐ研修期間も終わりなので、その時にまた、改めてお礼に伺おうかと……》
「楽しみにしてるわね。……貴方ももうすぐ、夢を叶えるのね。なんだか、自分のことみたいに嬉しくなっちゃうわ」
《なんだかご機嫌ですね。何かあったんですか?》
「ええ♪貴方と同じで、夢を叶えた子に会えたからかしら♪……でもまさか、本当にお医者さんになっちゃうなんてね。こども園にいたころは、ゲームのお話ばかりしてた貴方が、いきなり『ドクターになりたいから勉強させてほしい』って言って、私を訪ねてきた時は本当に驚いたわ」
《命を助けてもらったご恩返し……みたいなものですから……元ドクターだった園長先生のアドバイスがあったからこそ、ここまでやって来れたんです……!すみません、急患が入ったようなので、これで!また後日!》
慌ただしく、彼は電話を切った。
りんくちゃんと同じで、夢に向かって一生懸命……久しく顔を合わせていないけど、声の感じからして、成長を感じさせてくれる。
立派な
「…………
―――――STAGE CLEAR!!
RESULT:CURE CHIP No.39『CURE-MERMAID』
プリキュア全員救出まで:あと46人
TO BE NEXT STAGE……!
『海風に揺れる一輪の花!』
!!!DANGER!!!DANGER!!!DANGER!!!
UNKNOWN ENEMY INTRUSION!!!
『蒼い……(ザァッ)……密の……(ザザッ)……しるし……!』
『あま(ガガガッ)…………界に……(ザザザッッ)……福を……』
「ようやくこの日が来ましたぁ……実に楽しみです、ウェヒヒッ……♪
さぁ、行きましょう……"ローズ"、"フェリーチェ"♪」
《Yes,ma'am》
《OK,her》
―――――りんくの『今回のプリキュア!』
りんく「今回のプリキュアはだ〜れだ?」
『澄みわたる、海のプリンセス!キュアマーメイド!』
メモリア「『プリンセスプリキュア』のサブリーダー、"
りんく「ノーブル学園の生徒会長、海藤みなみさんが変身した、『海のプリンセス』!」
メモリア「そんなマーメイドのキメ技は、コレ!」
『高鳴れ、海よ!プリキュア!マーメイド・リップル!!』
メモリア「水の柱に相手を閉じ込めちゃう、マーメイドリップル!なんか……トラウマがよみがえりそうな……」
りんく「何かあったの?」
メモリア「昔ね、マーメイドの水泳教室に行った時、おぼれかけたことがあって……マーメイドに助けてもらわなきゃどーなってたか……」
りんく「……泳げないんだ」
メモリア「……(こくり。)」
りんく「な~んだそんなこと?それなら、おフロで顔をつけるところから始めようよ!……あれ?でもスマホを水につけると……う~ん……」
メモリア(ネットコミューンが完全防水なのはりんくには言わないでおこ~っと……それじゃみんな、ばいば~い……)
りんく「キュアットタブの中におフロのアプリが……あったっけ……???」
―――――ほくとの『レッツゴーライダーキック!!』
ほくと「…………/////////////////」
データ「どしたよ?顔真っ赤だぜ?」
ほくと「…………僕、僕もう……ハズかし過ぎて東堂さんに顔向けできない……」
データ「あのなぁ、このコーナーは本編の反省会コーナーじゃないんだぜ……??」
ほくと「うん……だから今日はデータがやって…………」
データ「ちぇっ、ッかたねーなぁ……今回のライダー技は二つ、まずはコイツだ!」
《MELON ENERGY!!》
データ「『仮面ライダー斬月・真』をはじめとした、ゲネシスドライバーを使って変身する新世代アーマードライダーたちの必殺技、それが『ソニックボレー』だ!果物型のフィールドを突き抜けるエネルギーの矢で、相手をブチ抜く技だぜ!」
ほくと「……男がプリキュアに変身して戦ってる……??そんなバカな話があるか……みんな、疲れているのか……」
データ「疲れてんのはオメーだッ!!……あぁ、重症だなこりゃ。次はコレッ!」
『音撃斬、雷電激震ッ!!』
データ「『仮面ライダー轟鬼』が、『音撃弦・烈雷』に『音撃震・雷轟』を組み合わせて放つ『音撃斬・雷電激震』!!今回ほくとはラブギターロッドで代用したんだが……あの後ビートから大目玉食らったんだよなぁ……」
ビート「当然でしょ!?そもそもどこをどう間違えて、ラブギターロッドをこんな風に使っちゃったのよ!?」
データ「おぉ!ちょーどよかったビート!今回の技の元ネタ、アンタにも見てもらいたいって思ってたトコでさ。ホイこれ。キュアネットに転がってた轟鬼と武器の資料」
ビート「な……何よコレ……ギターのこんなところに剣がついてる……こんなギターがあったなんて……って、"ピクシブ"?"戸田山エレン"?…………コレって……」
データ「そーゆーコト。ギターつながりでネタにしやすいんだと」
ビート「……使えるわね」
データ「……は?(・ ・;)」
ビート「今度のプリキュアーツで使ってみようかしら……雷電激震……」
データ「ヤベえ。ビートに変なスイッチ入っちまった……ラブギターロッドを改造とかしねぇだろぉなぁ……ほくともヌケちまってるし……ま、次までにはフツーに戻るだろ。じゃ、またな!!」
次回予告
ほくと「あれ?東堂さんちの前に誰かいる……」
りんく「金髪の女の子?でも会ったことのない子だし、誰だろ?」
Dr.G「インストール@プリキュア……会いたかったですぅ♪
さぁ、ワタシの可愛い"子供達"と、存分に遊んでくださいね♪」
メモリア「な、なにこれ!?しかもこの"ヘンなの"から……」
データ「どうしてローズとフェリーチェの気配がするんだッ!?」
インストール@プリキュア!『Dr.Gふたたび!プリキュアの正体は@ワタシが暴く!』
りんく「ピカっとキュアっとあつめてプリキュアオールスター!」
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この数日間かなりの無理をした気がします……
実は今回入れようとして、あまりの文量に次回冒頭に回すことにした部分もあるんです……
最後の『プリキュア救出リスト』、よく見ると……??
半年間もこの『12話』に費やしてしまったことは痛恨の極みッ……!!
次回からは『電調編』最終章!Dr.Gとの直接対決です!!
あぁ……これで気兼ねなくマシェリとアムールに会える……。