『踵落とし』にカテゴライズされる『戦槌術』のひとつで、空現流本来の技『甲技』。
跳躍から、相手の頭頂部を目掛けて氣を帯びた強烈な踵落としを見舞う。
"
元は戦国時代の合戦において、人体最大の弱点である『頭部』を兜ごと粉砕する目的で編み出された技とされる。
『氣弾』にカテゴライズされる『砲撃術』のひとつで、ほくとオリジナルの技『乙技』。
イーネルギーを右の掌に集中・圧縮し、球体状の青白い光弾として発射する。命中と同時に圧縮されたイーネルギーが炸裂・大爆発を巻き起こす。
プリキュアのキメ技クラスの威力を持つ一方でエネルギー消費も激しく、連射は出来ず、一発撃つだけで放熱が始まってしまうほど。
変身後のキュアデーティアの中で循環するイーネルギーを効率的に攻撃手段として転化できないかとほくとが研究し、編み出した技である。『試製』と銘じているようにまだ試行錯誤段階の技であり、更なる洗練の余地を残している。
なお空現流拳法には、イーネルギーを使わず、体内の『氣』を練って、氣弾として発射する技も実際に存在し、ほくとの祖父や父は実際に『波〇拳』じみた氣弾を撃てるらしい……!?
――――――――――
最近21XX年でイレギュラーハンターをやってる稚拙です。
さて今回は『総力戦』!!
メモリアとデータが、りんくとほくとのみならず、レジェンドプリキュアたち全員の想いと力を結集し、Dr.Gとプロトセーブに立ち向かう『第2ラウンド』を送信!
NOW LOADING……
――――――――――
NPC Dr.G
――――――――――
拝啓、東堂博士―――――
今、ワタシは―――――
絶っ!頂ぉぉ!!の中にいますぅぅぅぅ~~~↑↑↑!!!
ワタシと博士が追い求めてきた"未知"が、力の限りに
いい!イイ!!実に実にEですよぉぉぉ~~~↑↑↑!!!!
博士!博士!!どこかで見ていらっしゃいますかぁ、はぁかぁせぇぇぇぇ~~!!
アナタの"仮説"が今ここに!!理論の中でしか存在しなかった"C-ORG"が、実際にワタシの"子供たち"と"遊んで"くれてるんですよぉ~~~!!!
あの姿はまさに天使……とてもプログラム"のみ"で構成されているとは思えません……
う・つ・く・し・いぃぃぃぃ………………↑↑↑↑↑!!!!!!!!!
《勝負に勝ったら!!》
《ローズとフェリーチェは渡してもらうぜぇっ!!》
そうおっしゃいますけれど、ワタシだって"欲しい"んですよ……
プロトセーブといっぱい戦って、アナタたちの"構成"を、最後の1バイトまでお見せいただかなくてはねぇ……
だ・か・ら―――――
「お渡しするわけには行きませんねぇぇ~~!!!」
プロトセーブ"Type-
巻き込みなさい―――――"蒼き薔薇の猛吹雪"に!!
高速回転運動からのエネルギー弾の連射によって、自身を中心とした『渦状弾幕』を巻き起こす攻撃機能……巻き込まれれば、一般的なコンピューターウィルスならば数秒も経たず粉微塵に
さぁ、これも捌いてみてください……アナタたちならきっとできますよぉ……♪
《これって、"ミルキィローズ・ブリザード"!?》
《だったら巻き込まれないように距離を取ればいいだけだッ!止むまでやり過ごせ!》
「1体だけならそれで正解なんですが……残念ながらタッグマッチなんですよねぇ……コ・レ・は❤」
プロトセーブ"Type-
もう一つの攻撃機能……"エメラルド・アクセラレーション"のエネルギーを広域放射……全てを終わらせる光の雨です。
これでちょうど"ローズ・エナジーブリザード"の攻撃範囲をカバーできるハズ……逃げ場は―――――
《まとめて吹っ飛ばすよ~~!!うおおおおおぉおぉぉぉぉーーーー!!!!》
こ、これは……超高エネルギー反応!?
"C1"がここまで……いえ、まさかインストールした"Cプログラム"を使用して……!?
恐ろしく広い予想攻撃範囲が表示され、ワタシがあわててプロトセーブに退避指示を出した瞬間―――――
ヤケクソ気味に両腕を天に掲げた"C1"の絶叫とともに、ディスプレイがホワイトアウトしました―――――
しかし!しかししかし!!そんなヤケッパチのアプローチでは、ワタシのプロトセーブは簡単に陥落できませんよ……
ただひとつ―――――『アレ』さえ喰らわなければの話ですが……
――――――――――
PLAYER SELECT
⇒ LINK TOUDOH
CURE-MEMORIA
HOKUTO HATTE
CURE-DATA
――――――――――
モノスゴい変顔のメモリアが一瞬映ったと思うと、青白い閃光でディスプレイがふさがれてしまった。
なんと……ダイナマイトですか!?
プリキュアの中では『個人技』がダントツに多いマリンの技の中で、まさかそれを選ぶとは……
……いいね!(グッ)
いきなり使いこなしてるじゃん、マリンの力!
〈DRIVE:P17 CURE-MARINE〉
〈TIME LIMIT:00:23〉
ディスプレイ上方の表示に目が行った。今使ってるキュアチップと、その残り時間が表示されているけど……
……って、さっきまで残り時間は2分以上あったのに、23秒!?
「こ……これってどーゆーこと!?」
《ぜぇ……ぜぇ……なっ、なにこれ……体力しぼり取られる感じ…………》
ディスプレイの片隅に映るマリンが、必死の形相で息を切らしてる……
まさか……メモリアやデータがキュアチップの力を使うときの時間制限って、体力式だったの~!?
「マリン、大丈夫!?」
《あ、命に別状ないから心配ご無用なんだけど……と、とりあえずもうカンベンして……》
〈TIME LIMIT:00:00〉
《CHIP EJECT!》
カウントが0になったとたん、ディスプレイのマリンがプツン!と消えた。
つまり……チップの力の時間制限は、大技を使うとさらに減っちゃうわけか……気をつけなきゃ。
そして―――――私は覚悟を決めた。
この戦いは、文字通りの『総力戦』になる。
メモリアとデータだけじゃ、この"プロトセーブ"を捕まえるなんてできない。
キュアットタブの中にいる、レジェンドプリキュアたちの力も借りなきゃ、きっと、勝てない―――――
「……みんな―――――」
―――――そう思って、キュアットタブが置いてある机に振り返った私が見たのは、直立したタブと、その中で並んで立っている、12人のプリキュア達だった。
……その後ろで、マリンがうつぶせになって、ぐで~っと横になっているのが見えた。完全にダウンしてる……
時間切れになったチップがどうなるのか気になってたけど、キュアットタブに自動的に戻るのね……
《言葉は……必要なくってよ》
「……エース……」
《私達の大切な仲間を取り戻すために、メモリアとデータにに力を貸すわ》
《そして……私達の……ヒトの持つべき『尊厳』を
《見過ごす訳にはいかないよ。たとえ、それがジャークウェブじゃなくって、同じ人間だったとしてもね》
「……リズム……ビューティ……トゥインクル……」
全員が、険しい表情だった。そして、その中の誰よりもくちびるをかみしめていたのは―――――
《だから、りんくさん……!》
《わたし達全員で、ふたりを……はーちゃんとくるみちゃんを、助けよう!》
レモネードとミラクル―――――うららちゃんとみらいちゃんだった。
他のチームの子たちよりも、たくさんの時間を過ごした、かけがえのない―――――
―――――友達以上の存在―――――
それを奪われて、都合のいいように『改造』されて、意思を奪われ人形のように使われているその姿を見せつけられたふたりの気持ちは、身を引き裂かれる思いに違いない。
「ありがとう……!行くよ、みんな……」
そんなふたりの……ううん、みんなの、『ひとつになった覚悟』を私は受け取って、まっすぐな視線に静かにうなづいた。
「全力で、メモリアとデータに力を貸して!!」
――――――――――
PLAYER SELECT
LINK TOUDOH
⇒ CURE-MEMORIA
HOKUTO HATTE
CURE-DATA
――――――――――
《さぁ~っきはちょっとビックリしましたがぁ、あの程度のアプローチで機能不全を起こすほど、プロトセーブはヤワに造っていませんよぉぉ~!!先程の『誘拐宣言』には面食らいましたが、ワタシが逆にアナタたちを"ハイエース"しちゃいましょーかぁぁ~~!!?!?》
《ちょ、ハイエースなんて言い出しちゃったよこのヒト!?》
《東堂さん、ハイエースってどういうこと?クルマ??》
《あ、あとで調べてっ!!(焦)》
相変わらずキミョーなテンションの声が、"プロトセーブ"越しに降りてくる。……『はいえーす』ってなに??
「自分の欲にまみれて
「……データ……!」
「ヘッ、わかってんよ!だからって、ニンゲン全員がロクデナシじゃないってこともさ!そうでなきゃ―――――」
データは一気にジャンプして、緑の目の"プロトセーブ"に拳を振りかぶる。
「ほくとやりんくと組んじゃいねぇさッ!!」
強烈な右フックが横ッ面をとらえて、吹っ飛ばす。
―――――そうだよね。
あたしだって、そう思う。にんげんさんがみんな、悪いコト考えてるなんて思えないから。
けど―――――
「あたしもっ―――――」
あたしはまっすぐに、紫の目の"プロトセーブ"に駆け出す―――――
プリキュアたちのことをこれっぽっちも大切に思っていない、悪いコト考えてるにんげんさんには―――――
「……オシオキっっ!!」
―――――ローリングソバットをプレゼント!!
ばぎっ!!という音が響いたのが聞こえた。続けて両手に力を込めて―――――
「だだだだだだだだだだだだだだ!!!!」
力押しだぁっ!!反撃なんてさせない!隙を見つけたら一気にキメろ!!"せんせい"なら、きっとこうする!!
"プロトセーブ"がひるんだのを見たあたしは、相手のアタマを両手でがしっ!とつかんで、思いっきり頭を振りかぶって―――――
「ぬぅぁっっ!!」
―――――ごんっ☆!!
―――――頭突きぃっ!
前に、『体で一番カタい場所は頭』って"せんせい"から教えてもらってたし、それに―――――!!
「いい加減にしてよねローズッ……!!」
額を"プロトセーブ"の顔面にめり込ませたまま、あたしは紫色の単眼、その"中"にいるだろうミルキィローズに語り掛けていた。
「こんなヘンな
《ppppppppppppppppppppppp》
"プロトセーブ"―――――ううん、"ローズ"は何も言わずに、ただヘンな音を出して、『目』をチカチカさせて、あたしを『見て』るだけだった。
あたしの言葉が届いているのかどうか、まったくわからない鉄色のカオ―――――
《言ってる意味がよくわかりませんねぇ……説得のおつもりですかぁ?……お生憎ですが、プロトセーブにそういった情緒的なモノは『搭載』しておりません。というか、『できません』。鉄腕アトムやドラえもんのような『心を持った人工知能』は、現代の技術レベルでは未だ開発不可能なので》
「どくたーさんっ!!……そっちの言ってることも、全然わかんない!!」
《……では、実に端的にお伝えしましょう―――――》
瞬間、『目』以外何もなかった"プロトセーブ"のカオが、グバァッ!!と、バケモノのように開いた。ギザギザの鋭い牙が、冷たく光るのが見えた。
《アナタの言葉は―――――》
―――――ガブッ!!!
"プロトセーブ"が前のめりにかみついてくるのを、あたしはとっさに身体をのけぞらせてかわした。
……あ、アブなかった……!!こんな攻撃まで仕掛けてくるなんて……!?
「…………聞こえてんだろ、フェリーチェ!!」
もう1体の"プロトセーブ"が発射する緑色の光弾の嵐をかいくぐりながら、データが叫んでいるのが見えた。
「キャラじゃねんだよ!!いつもの甘々ド天然はどーした!?それとも戦ってる間はガチモードってのは変わってないってか!?……だったら"そんなの"から出てきて、直接
《攻撃を防ぎなさい!》
《OK,her》
ジャンプして、そのままキックをぶつけようとするデータ。どくたーさんの言葉に、緑の目の"プロトセーブ"が答えると―――――
ピンク色の光が"プロトセーブ"を包み込んで、データのキックをガードした。ピンクトルマリンのリンクルストーンの力も使うの!?
弾かれたデータ目掛けて、"プロトセーブ"はそのままキリモミ回転しながら突撃してくる。
「ナメんなよ……!テメェらが得意気に使ってくる技はよぉ…………―――――」
空中で受け身を取ったデータは、突撃してきた"プロトセーブ"を真っ向から―――――
「全部見たコトあンだよッ!!」
―――――ハイキックで蹴り上げた。蹴っ飛ばされた"プロトセーブ"はバリアを解除しながら、空中でふわりと受け身を取った。
「……手札判ってる奴にドヤ顔で見せびらかして楽しむなんざ哀れみすら感じるぜ―――――」
"プロトセーブ"を睨み上げるデータが、そう低く呟くのが聞こえた。
《――――――――――――――――――――ずるい》
すごく小さな声だった―――――けど、あたしには確かに聞こえた。そして―――――
《ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい―――――ずるいですぅぅぅぅ~~~!!!》
まるで小さな子供がダダをこねるみたいな、どくたーさんのわめき声がキンキンと響いた。
「なん……なの……?」
《だぁ~って!だぁ~ってぇ~!!アナタたちだけこちらの手の内が全部わかってるってずるいじゃないですかぁぁ~~!!??》
「ずるいって……それはそっちがローズとフェリーチェのチカラを勝手に使ってるからで―――――」
《ワタシは知りたいだけですのにぃ……この場でワタシだけアナタたちのコトを知らないなんてアンフェアですよぉ……ねぇ?教えてくださいよぉ……?イイじゃないですかぁ、ちょっとだけでもぉ……❤もっともっと仲良くしましょうよぉ~~……❤❤お互いを知って、知り合って、知り尽くして、互いに互いを確かめ合いましょぉよぉ~~~~❤❤❤》
ボイスチェンジャー越しだけど、すんごいネコナデ声だってことはわかる。このどくたーさん、テンションの上がり下がりが激しすぎて、とてもついていけない……
「なぁにが仲良くだぁ!?だったらハナッから襲ってくるんじゃねーよ!!いまさら何言いやがる!?」
「それなら、ローズとフェリーチェを返してよ!!そっちがローズとフェリーチェを返してくれるんだったら……―――――」
《………………あ、それは無理ですね》
ふだんの調子に戻ったどくたーさんがアッサリと言った。
《この2つの"Cプログラム"は、ワタシにとって実に大事な、大ぁい事な研究対象なんですよ……♪大切なコトだから2回言わせていただきました♪ですので、お渡しできません》
「ッざけんな!!やっぱりテメェ、アタシたちをモルモット以下にしか見てねぇんじゃねぇか!!」
「"プリキュアをプリキュアとして見ようとしない"限り、あんたとは仲良くなれない!」
《…………………………実にヒドいですよぉ。そして実にザンネンですねぇ……お話の余地があると思ったのですが、やはりアナタたちはこの場で"お持ち帰り"して、ラボでじっくりしっかりのっぺりねっとりこってりふっさりもっさりさっぱりはっきりべったりと解析させていただくしかあぁりませんねぇ~~……♪あんなところからこぉんなところまで……じゅるり……❤》
ヨダレをすする音が聞こえて、背筋がぞくりとふるえる。データも同じように感じたようで、ドン引きした表情を浮かべていた。
《さぁてそうと決まれば茶番はこ・こ・ま・で……情報収集用の『スカウトモード』ではこんなところですかねぇ》
「じょーほーしゅーしゅー……??」
「手加減してくれてたんだとよ。……おおかたここから、『ちょっと本気出す』ってカンジか?」
《お話が早ぁい!そちらの"C2"……水色の
「脳筋扱いは慣れてんだよ―――――本気出すなら出してきな!!」
「あたしたちだって負けないんだからねっ!!」
《そぉーですか!!それではお言葉に甘えて、モードチェェェンジと行ぃぃきましょ~~かぁ~↑↑!!》
"プロトセーブ"のコトバの感じが強くなるのが聞こえた。すると、紫の目の"プロトセーブ"が口をグバッと開けたと思うと、ググッと大きくなって、今までの『くりおね』みたいなカタチから、巨大な4本足の姿に変わった。頭の両側から大きな耳が垂れ下がったような姿が、ますますバケモノじみてる。
もう一体の緑の目の"プロトセーブ"は、"紫の目"ほど大きくならずに、両手両足が生えて、背中には4枚のハネを背負った、まるで『妖精さん』のような姿になった。"紫の目"とは対照的な、ちょっとファンタジーっぽいカタチ。
もっとも2体とも、
《!!……『ミルク』と……『はーちゃん』……!?》
りんくの『信じられないモノを見た』といった表情が、あたしの視界の片隅に見えた。
確か―――――"ぶるーれい"であたしも見た。ミルキィローズの『ほんとうの姿』と、『子どものころ』のキュアフェリーチェ―――――
その姿が、変身した"プロトセーブ"に似ている……気もするけど……
《これこそプロトセーブ本来の、ウイルス駆除プログラムとしての姿です!!本番はここからですよぉぉ!さぁ、すべてをさらけ出して、力の限りに戦って、抗ってみてくださぁぁぁ~~~~~い↑↑↑↑!!!!!》
「上等ぉッ!吠えヅラかきやがれェッ!!」
「ローズ……フェリーチェ…………行くよ!!」
"紫の目"が、鋭い爪を持った右手を力任せに叩きつけてくる。……けど!
《ひだまりポカポカ!キュアロゼッタ♪!》
『天の声』を聞いて反射的に両手をかざすと、クローバーのカタチのバリア―――――ロゼッタウォールが"紫の目"の一撃を防ぐ。
《させませんわ!》
「ロゼッタ!」
《ワタシたちも、あなたたちと心はひとつですわ!》
見ると、"緑の目"が4枚のハネを分離させて、データにけしかけていた。分離したハネそれぞれが意志を持つように飛んで、データに光の弾丸を撃ちかける。
《澄みわたる、海のプリンセス!キュアマーメイド!》
今度は、キュアマーメイドの声が降りてくる。
キメ台詞といっしょに、データの手にクリスタルプリンセスロッドが握られた。データはロッドを回転させて光弾をはじくと、"緑の目"にロッドを向ける。
「高鳴れ、泡よ―――――!」
たくさんの泡が、まるで数珠つなぎのように"緑の目"に殺到して、破裂する。
《……ローズとフェリーチェを取り戻したいのは、メモリアとデータだけじゃない……私達も、想いは同じ!》
《しんしんと降り積もる、清き心―――――キュアビューティ!》
今度はビューティの声。クリスタルプリンセスロッドが一瞬で消え失せて、データの右手に冷気が集中していく。
左手で『*』のカタチを描いて、銀色の輝きが放たれる。さっき炸裂したバブルリップルの水分が一瞬で凍って、さながら地面から伸びた氷の鎖が、空中の"緑の目"をがっちりと捕らえたみたいだ。
《キュアチップに封じられたとはいえ、伝説の戦士としての矜持を捨てたわけではありません……!》
《爪弾くは魂の調べ!キュアビート!》
「うぉぉぉおおおおりゃぁぁぁぁぁ!!!」
ラブギターロッドを抱えるように持ったデータが大ジャンプして、"緑の目"の上を取った。まさか!?
《わたしとみんなの心……魂の音色が重なる―――――》
―――――バキィィィィィィ!!!!!
ま た だ よ(メモリア、白目)
データはラブギターロッドを叩きつけるように―――――ううん、まんま叩きつけた。データがラブギターロッドの『ネック』を持ってた時点でなんとなく予想はついたケド。
《……ってぇ?!こぉらぁ!!まぁたそんな使い方をして~~!!!(怒泣)》
ビートが目をツリ上がらせて、涙を流しながら怒っているのが見える。なんか最近、ラブギターロッドがぞんざいに使われてる気がしてならないんだけど……
ともあれ、地面にたたきつけられた"緑の目"に、ラブギターロッドを突き立てて離れたデータは、後ろにジャンプしながら両腕を左右に伸ばした。
《ピカピカぴかりん!じゃんけんポン♪キュアピースっ♪!》
黄金色の電流が、目に見えてデータの両腕にスパークする。
《メモリアとデータは、たったふたりで戦ってるわけじゃ……ないんだからぁっ!》
「おうよ……!アンタたちの意地とプライド、チップ越しにビリビリ来るぜ……!!後輩として、先輩方は立てなきゃなぁッ!!喰らええェッッ!!!」
データはニィッと歯を見せて笑うと、両手の指を
「ラブギターロッドは避雷針代わり!!必殺必中電光石火、バラバラになりやがれぇェェッッ!!」
《!!イケませんっっ!!》
それまで"ヨユーシャクシャク"だったどくたーさんの声が、急に切羽詰まった感じに変わった。
瞬間、それまであたりをふわふわ浮いていた4つの"緑の目のハネ"が、"緑の目"に降り注ぐ電撃をさえぎるように折り重なって―――――
―――――ドッゴオォォォォォオオオン!!!!!
"紫の目"の爪をロゼッタウォールで受け止めていたあたしにも、爆音とケムリが襲い掛かった。それにひるんだのか、"紫の目"が手を引っ込めるのが見えた。
思わずあたしは、データに駆け寄った。でも―――――
「……………………手応えが薄い」
「え……!?」
「……仕留め損なった―――――来るぞ!!」
黒々とした煙幕を突き破って、光の弾丸が鎖のように連なって飛んでくる。あたしとデータは、それを見切ってジャンプする。殺気が先に飛んできてたから、不意打ちには感じなかった。
でもこのケムリ…………ちょっとジャマ!相手が見えない!!
それなら―――――
《吹き飛ばすついでに、"それ"ごと真っ向から撃ち抜けばいいよ!》
《勇気リンリン!直球勝負!!キュアマーチ!!》
マーチの声とキメ台詞が立て続けに響いて、あたしの中に風が渦巻く。
煙幕目掛けて、あたしは風のボールを蹴り込んだ。煙幕を巻き込んで、四方八方に散らせていく。
《芸達者ですねぇぇぇ~~!!もっと引き出し、あるんじゃないですかぁぁ~~↑↑↑!?!?!!?》
"紫の目"の巨大な腕が、マーチシュートを弾き飛ばすのが見えた。マーチシュートが効かない!?
―――――だったら!!
「りんく!イチバチだけど、前に言ってた"アレ"できる!?」
《"アレ"だね……!!……よぉし、行くよ!!》
リクツだったら、できるはず……!
あたしは―――――カクゴを決めた!
《爪弾くはたおやかな調べ!キュアリズム!》
《愛の切り札!キュアエース!!》
キュアチップ、2枚重ね!!
正直何が起きるかわかんないけど、ばっちこーい!!
「ぬ゛ゅッ!?」
ドン!!と来た!!??
なんか一瞬、カラダにズシンとのしかかったような気もするケド……!!
あたしの中を、ふたつのチカラが同時に駆けめぐる……!
《だ……大丈夫なの!?》
「なんとか、ね……!行くよ!」
まずは右手に―――――!
「ラブキッスルージュ!」
そして左手―――――
「ファンタスティックベルティエ!!」
まったく違うチームの、ふたりのプリキュアの武器を両手に構えたあたしに、"紫の目"が長い耳を振り乱しながら、荒々しく突撃してくる。両腕を振りかざして、あたしを捕まえようとするけど―――――
《そんな粗い攻撃で……!》
《メモリアを捉えることはできなくてよ!》
リズムとエースの声が聞こえる。その言葉に応えるように、たたきつけられ、振るわれる巨大な腕を避けていく。
《今よ、メモリア!私達の
《わたくし達の想いが、貴女の切り札になります!!》
あたしの視界の隅の『ワクの中』で、背中合わせに両手をつないだリズムとエースがあたしに檄を飛ばす。それを聞いたあたしは、反射的に両手の武器を交差させた。
「よぉぉぉし!!」
チカラを―――――ルージュとベルティエに込めて―――――!!
発射の反動で、あたしは大きく吹っ飛ばされた。顔を上げると、放たれたエースショットの弾丸に、3つのリングが重なって、一直線に"紫の目"に飛んでいくのが見えた。
そして―――――
―――――ガシガシガシィィィィィィン!!!!!
あたしは思わず、ニヤリと笑んでいた。"紫の目"の巨体をリングがしばって、足元に浮かんだ魔法陣が両足をとらえて放さない。
動きを止めれば、こっちのもの!……あとはどうにかして『お持ち帰り』できるようにしないとだけど、さすがにこんな大きさじゃ―――――
《動きを止めましたかぁ……いい判断ですけどぉ~…………↑》
―――――ガ、ガガガ…………ギギギギギ…………
「!?」
"紫の目"が、リングにしばられながらのけぞるように顔を空に向けた。
《"頭"さえ動かせれば戦えるんですよねぇぇ!"ミルキィバスター"を使いなさぁぁ~~い!!》
《……Yes,ma'am!!》
"紫の目"があたしをにらんできたと思うと、口を大きく開いて、その中に紫色の光が集まっていく。さっき"緑の目"が撃った『エメラルド・リンカネーション』に似てるけど、『びりびり』が大きい!
避けるのはカンタンだ。アイツ自体は動けないんだし、あいつの首が回らない真後ろにまで行けばいい。
でも―――――あたしは―――――!
「……逃げない!!」
《だよね!そう言うって思った!!》
りんくもわかってくれてたみたい。そう―――――プリキュアは、相手のぶつけてくる『想い』から、絶対に目を逸らしたり、逃げちゃいけない!
これからしてくる攻撃が、どくたーさんの『想い』だっていうのなら、あたしは―――――
あたし達は、真正面から受け止める!!
《キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!》
―――――あたしの中に、光のチカラが"降りてくる"。
「ハッピー……あたし……間違ってないよね」
《もちろん!》
視界の片隅に、ハッピーの笑顔が見えた。
《あのヒトの気持ちを受け止めるって決めたなら、ためらっちゃダメだよ!》
「わかってるよ……こういう勝負時を乗り切る秘訣は
《……!正解!最後に勝つのは笑顔と気合だよ!メモリア!》
そうだ―――――笑うんだ!
あたしは"紫の目"と向き合って、両手にありったけの『光のチカラ』を込める。
―――――ヴヴアアァァァァァァァァーーーーーーーーー!!!!!!!
先手はあっちだ。暗い紫色の光の渦が、"紫の目"の口から吐き出された。
《これこそ究極の
「……
その声を聞いた瞬間、全てを理解できた気がした。
そっか―――――
どくたーさんは、"これ"がやりたかったんだ。
"それ"が、どくたーさんの言う、"知る"ことだったんだ。
それなら―――――あたしは―――――!
あたしが返すのは―――――!!
あたしとりんくとハッピー―――――全力全開のシャウトとともに、あたしはピンク色の輝きを放った。
―――――ズドゥゥゥゥウウウウウウウウアアアア!!!!!!!!
あたしたちの『光』と、"紫の目"の『光』が、空中でぶつかり合った。同時に、あたしの両手にモノスゴい『圧』がかかった。
これが―――――どくたーさんの『想いの圧力』……!?
《す・ば・ら・し・いいぃぃぃぃぃいいいい~~~~↑↑↑↑!!!!!なんというパワー!なんという出力、なんとゆうううぅぅぅぅうぅぅうぅ↑↑↑↑!!!!!!!!そう!そうです!!そのチカラです!!!プログラムが持ちえるハズのない『感情』、それがワタシとぶ・つ・か・り・あ・っ・て・い・るぅぅぅぅぅぅぅううう~~~~↑↑↑↑!!!!!!!!》
「そんなに……そんなにあたしたちを『知りたい』って言うなら……!!」
あたしは―――――
あたしを信じて、力を貸してくれているみんなの気持ちを、ひとつにして―――――
「チカラとか、出来ることとかだけじゃない……!!あたしたちのココロも……"生きてる
両腕から、ピンク色の稲妻がスパークして、『光』がさらに強くなるのを感じた。両脚で踏ん張って、『圧』を押し返すんだ!!
《こっ……!!こここここここ!!こぉのぉチカラぁぅわぁぁぁぁぁぁぁ!?!??!》
あたしから見える『紫色の光』が、あたしの放つ『ピンク色の光』に押し返されて、もろともに"紫の目"を飲みこむのが見えた。
《これが!これこそが!!ワタシと博士の追い求めていたモノ!!博士!博士!!はぁかぁせぇぇぇぇ~~!!!今ここに!アナタが正しかったことが証明されたのですぅぅ!!!!ワタシは……!ワタシは……!!ワぁタぁシぃわあああぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑!!!!!!!!!!!!!―――――――――――――――……………………………………》
―――――ヅゴゴゴォォォガガガドドドドドドゴゴゴアオアオアアアアオオオオーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!
モノスゴい音を立てて、火柱のような爆発が巻き起こった。
「はぁ……はぁ……はぁ……っ」
全身に、ビリビリした感覚がまだ残ってる。立て続けにキュアチップの力を使ったから、ちょっとキツいかも……
でも―――――
「………………やっ」
《てないよメモリア!まだ反応がある!》
りんくの声にうつむきかけた顔を上げると、もうもうと上がるケムリの中から、銀色の『くりおね』みたいなカタチの"プロトセーブ"が飛び出すのが見えた。
《……アニメじみた断末魔というモノを一度上げてみたかったので叫んでは見たものの……理解ができないモノですねぇ》
どくたーさんの声も聞こえてきた。……まぁ、どくたーさん本人が攻撃をくらったワケじゃないから、無事だろうけど。
さっきとは打って変わって、テンションも下がってる。
《"イレイザーモード"を解除……プログラムに限った話、『大きいコトはいいコトだ』という格言は当てはまらないようですねぇ―――――あぁ、それと》
まだ止まないケムリの向こうから、銀色のトガったハネが4つ飛んできて、あたしを取り囲む。
《まだ"フェリーチェ"が残っておりますので♪》
《OK,her!!》
"緑の目のハネ"のビームの弾が、前後左右、さらには頭の上からも嵐のように襲ってくる。何とか避けようとしても、避け切れない!手足や体のいたるところにヤケドのような傷が刻まれていく―――――
なんとか……なんとかしなきゃ……!
《きらめく星のプリンセス!キュアトゥインクル!》
「メモリア~~~!!!」
不意にトゥインクルのキメ台詞とデータの叫び声が聞こえて、上を見上げた。そこには―――――
☆型の円盤に乗ったデータが、こっちに突っ込んできながら、あたしに右手を伸ばしてた。
「っ!」
迷うヒマもなく―――――ううん、迷うハズもなく、あたしはデータの右手を掴んだ。あっという間に、データに引っさらわれる。
《ナイスキャッチだよ、データ!》
「へへッ、こーゆーオイシイ役もたまにはアリってモンだぜ!」
「…………ふぁぁ…………」
なんか……こーゆーの見たことある。
ワルモノにさらわれたヒロインを、イケメンのヒーローが助け出す、アレだ。ピースが描いたマンガにもこんなシーンがあったっけ。
「ありがとデータ……助かったよぉ」
「イイってコトよ!……"フェリーチェ"をなんとかするぞ、しっかりつかまってろ!」
「うん!」
データは☆型円盤を加速させて、追いかけてくる"緑の目"を振り切ろうとするけど、2枚の"緑の目のハネ"があたし達の進路をさえぎる。
《来たよ、データ!》
「ヘッ、ジャマするヤツはブチ抜くまでだぜ!!」
トゥインクルの警告にそう答えたデータは、クリスタルプリンセスロッドを取り出して、両手で握った。
「キラキラ、月よ!!」
満月のカタチをした黄金色のバリアが、ロッドの先に張られた。でもコレって、相手の攻撃を防ぐワザじゃ―――――
「バリアが攻撃を防ぐだけのモノだって
―――――そうだった。ロゼッタのチカラを使ってたりんくもそうだけど、バリアはそう『単純な道具』じゃない。
そのカタさは、盾としてだけ使うなんてもったいない!
―――――ドガアアアァァァァ―――――!!
バリアを張ったまま、あたしたちは一直線に"緑の目のハネ"に突っ込んだ。弾き飛ばされた"緑の目のハネ"が、火を噴いて爆発するのが見えた。
《アタシたちの"ランウェイ"に立ってたのが悪いよ☆》
「そーゆーこった!道を塞いだテメーを呪いな!!」
「データ……今日はなんかカゲキだね……」
データに影響されちゃってるのか、トゥインクルもチョットだけカゲキになってる気がする……
「いい加減ッ……ロボット物に出てきそうなその攻撃は見飽きた!!」
データはひらりと☆型円盤をターンさせて、"緑の目"本体に円盤を走らせる。そして―――――
「メモリア、アタシの合図で飛び降りろ!1……2の……3ッ!!」
「ちょ、いきなりっ―――――」
それでも合図通りに飛び降りられたのは、データとは『以心伝心』してるから、かな。
残された☆型円盤は"緑の目"に一直線にぶつかって、キラキラした光の粒を辺りに撒き散らしながら爆発した。
《なんて
爆風から、元の姿に戻った"緑の目"が飛び出して、さっき元の姿に戻ってた"紫の目"と合流する。
「待ってたぜ、その時を!!」
「最後は―――――"このふたり"と、いっしょに!!」
この戦いで、11人のプリキュアたちに力を貸してもらった。
でも、今、いちばん、"プロトセーブ"にとらわれてる"ふたり"を助けたいのは―――――
《はじけるレモンの香り!キュアレモネード!》
ミルキィローズといっしょに思い出を作って、戦ってきた、キュアレモネードと―――――
《ふたりの奇跡!キュアミラクル!》
キュアフェリーチェのお母さんとして、ともだちとして、ずぅっといっしょだった、キュアミラクル―――――
「いっしょに行こう―――――レモネード!」
《……Yes!!》
「取り戻そうぜ……なぁ、ミラクル!」
《うん!!》
ふたりの想いを、あたしたちが力にする!
「輝く乙女の弾ける力!受けてみなさい!!」
まとまっていた2体の"プロトセーブ"めがけて、あたしはレモネードフラッシュを放った。
とっさに避けるためか、"プロトセーブ"は二手に別れた。でも―――――
「お~っと、あんまし離れんじゃねーぞー❤」
青いオーラをまとったデータが、片方の"プロトセーブ"の背後に回って、掌底で吹っ飛ばした。このスピードって、サファイアスタイルのチカラ……?
「スキありっ!!」
あたしは両腕から光のチェーンを放って、さっきデータに吹っ飛ばされた"紫の目"の"プロトセーブ"を―――――
「とらえたよっ!!データ!!」
「こっちも……うりゃっ!!」
今度は金色のオーラがデータの身体から噴き出したと思うと、金色に光る2つのボールがデータの両手に握られて、そこから光のチェーンが繰り出されて、"緑の目"の"プロトセーブ"をガッチリ絡めた。今度はトパーズスタイルだ……!
「つかまえたァ!」
《な……!?
「思ってないって!完全に動けなくするまではね!―――――レモネード!」
《わかりました!》
「行くぜミラクル!!」
《準備OKだよ!》
あたしとレモネード、データとミラクルの『ココロ』が、シンクロしていくのがわかる。あたしとデータは、"プロトセーブ"を絡め捕ったままの光のチェーンを、そのままゴーカイに振り回す!
あたしは時計回りに、データは反時計回りに"プロトセーブ"を、ハンマー投げみたいに振り回して―――――!
―――――ドォォォォン!!!(1カメ、真上から)
―――――ドォォォォン!!!(2カメ、激突した2体のプロトセーブのアップ)
―――――ドォォォォォォォォォオオオオンン!!!!!!!!(3カメ、全体俯瞰)
そのまま
ちょっと前にデータと見た、ハンマー投げの動画を参考に考えてた技だけど、ウマくキマッてくれた!
《ココまで……ココまでするんですねぇ!?なんとゆーエキセントリック少女ガアルですかぁ~~ッ!?》
《古いネタ……(-_-;)》
どくたーさんの言葉に、りんくが苦笑いしてる。
「お~っと、まだまだ終わらんぜ?この"トパーズスタイル"のチカラってのはびりびりの『雷』属性でね……アタシの
「え゛!?それってあたしもビビビって来ちゃう!?」
「安心しな。ピースの電撃と違って、こちとら雷『魔法』……電撃の流れをある程度はコントロールできっから、お前がビビんなくても問題ねーよ」
《カ……カミナリ!?デンキ!?やっ!?ややややややややや………………やめてくださぁぁ~~いッッ!!!!!》
いきなり、どくたーさんの語気が変わった。必死な半泣き声は、さっきまでウェヒウェヒ笑ってたそれと明らかに違う。
《プロトセーブもプログラムの範疇内である以上、サージ電流によって予測も出来ない致命的な
「……悪いがな……冷静に見えてるかも知んねーが、アタシもそうだけど、もうみんな頭にキまくってんだよ……特にアタシは、テメーみたいなゲス野郎を見て聞いて感じるだけでも無性に腹が立つ……正義の味方向きかもな。でもよ、アタシは仮面ライダーみたくカッコよくはなれねぇし、プリキュアたち……ことにキュアマリンみたく、『海より深い心』を持ってるわけでもねぇ……せいぜい、近所の
《
「いいやッ―――――「限界」だッ―――――」
データは、この上ないゲス顔で"プロトセーブ"を見下ろしながら言い捨てた。
瞬間、データの握っている光のチェーンを稲妻が奔って、縛られている2体の"プロトセーブ"を襲った―――――!
《あぁぁぁべばぁーーーーーーーーーーー!?!?!!?!?!?!!?!?!?!?!?!!》
この世のモノとは思えない、ガラスを引っかくようなどくたーさんの珍奇な悲鳴がこだました。そして―――――
―――――ポン!
……という効果音を、"プロトセーブ"が鳴らした。見ると―――――
〈ProtoS.A.V.E.は応答していません プログラムを閉じると、情報が失われる可能性があります〉
というメッセージボードが、"プロトセーブ"の上に浮かんでいた。コレって、パソコンやタブレットのプログラムに負荷がかかった時に、画面に表示されるメッセージだ。
「コレって……やったの……!?」
「……みたいだな。ピクリともしねぇ」
慎重に近づいて、指でつんつんとさわってみる。……なんの反応もなく、まったく動かない。目の光は消えて、どっちが"紫"なのか"緑"なのか、区別がつかなくなっている。
《ふたりとも……ソレ、ホントに持って帰っちゃうつもり……なの?》
「もっちろん!……うわ、重っも!!??」
持ち上げようとしたけど、ぜんぜんビクともしない。コレ、何でできてるのぉ……??
「う~ん……トッツキどころがねぇなぁ……」
《どういうこと、データ?》
「こン中にローズとフェリーチェのチップが入ってんなら、どっかに入れ口ねぇかなぁって思ったんだけど……確か口からビーム吐いてたよな、コイツ……ってか口が無くなってんぞ……??」
ブツブツ言いながら、データは"プロトセーブ"のあちこちをイジくってるけど、どこかがパカッと開くわけでもなく、顔をしかめて、最後にはにらめっこを始めた。
ホント、『お持ち帰りする』って言ったものの、どーやって持って帰って、どーやって調べればいいんだろー……そこまで考えてなかったよぉ……
《………………うう……ネットワーク上の電流が逆流するとは……なんとかPCは無事のようですね…………》
その時、聞いたコトのあるようなないような、女の子の声を"プロトセーブ"が出した。
《!?ボイスチェンジャーが故障……!?どどど、どーしましょぉ~……これでは威厳もヘッタクレも……うぇひ!?カメラが勝手にONになってる……!?》
それを聞いて、あたしは気づいた。
あたしの視界の右端に、りんくたちの様子がわかる『ワク』が浮かんでいるけど、その反対側―――――
視界の左端に、見慣れないにんげんさんの顔が見えていた。"ぶるーれい"で見た『ハートキャッチプリキュア!』の、『ダークプリキュア』にそっくりな髪型、メガネをかけた女の子。
「……だぁれ?」
《うぇひっ!?ま、まさか顔バレしちゃいましたぁ……!?》
《……えっ……!?》
《まさか……そんな!!》
りんくとほくとにもこのにんげんさんが見えたみたい。でも、スゴくおどろいてるのは―――――どうして?
《……まぁ、いいでしょう。アナタたちの『お友達』も見ているのでしょう?いい機会です。アナタたちの『本質』を、"博士"に代わり暴く人間として、ここらで改めてご挨拶させていただきましょうか―――――》
がたりと立ち上がったその女の子は、メガネのレンズを怪しく光らせて―――――
《ワタシは、日本政府高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・内閣電脳調査室チーフテクニカルオブザーバー――――――――――》
真っ白なマントみたいな白衣をひらりとひるがえして、堂々とした笑顔で、あたしたちにこう名乗った―――――
《ヒトはワタシを―――――"Dr.G"と呼びます―――――クラスの皆には内緒ですよっ☆ウェヒヒっ♪》
SAVE POINT……
ついに正体を現したDr.G―――――改めジェミニ・ノーサップ……!
中のヒトのイメージは……もうおわかりですよね?
プロトセーブを撃破された彼女が取る次の一手は……!?
まだだ……まだ終わらんよ!