ついに最後の平成ライダー、ジオウが始まりました!!
のっけから天ッッ才物理学者と筋肉バカ登場と、大盤振る舞いな公式様に期待大です!!
……ビルド最終回でスカイウォールの無い世界に融合させたのは、てっきりジオウへの摺り合わせのためと思ってたのですが……あっさりスカイウォール出てきててツッコんだのは稚拙だけではないハズ……
さて今回はジェミニちゃんが次なる一手を打ってきます!
『東堂博士』をめぐる思惑がぶつかる『第3ラウンド』を送信!
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衝撃の真実を前に、私は思考停止していた……。
あの、どー考えても全然フツーじゃないDr.Gの正体が、まさかむぎぽんの従姉妹のジェミニちゃんなんて……
ってかむぎぽん、このコト知ってる……!?わけないか……。知ってちゃ、あんな風に普通に話したりなんてできてるハズないし……
でも、実際にコミューンのディスプレイに映っているのは、まぎれもなくプラチナブロンドの前髪ぱっつん、ぐるぐるメガネのジェミニちゃんだ。
昼間とは違って、科学者とかお医者さんがよく着ている白衣を羽織っている姿は、まさに『ドクター』といった出で立ちだ。この姿のこの子を見て、改めて実感できた。
―――――この子が、Dr.Gなんだって。
……白衣の袖から手が出てないのはご愛敬……なのかな……?
《……プロトセーブ、ログアウト》
ジェミニちゃんがささやくようにそう言うと、ディスプレイの中のプロトセーブが光に包まれて、一瞬で消え去ってしまった。
《なッ!?》
《"プロトセーブ"が!?》
驚くメモリアとデータを尻目に、ジェミニちゃんはそれはもうステキすぎるドヤ顔をカメラに向けてきた。
《アナタたちをもっと解析したいのはや・ま・や・ま……なのですがぁ、これ以上キュアネット上で戦ってしまうと、余波によってネットワーク障害を起こしかねませんからねぇ……第2の『アイ・クライシス』はゴメンです……そ・こ・でぇ……》
ニヤリと白い歯を見せて、メガネを怪しく光らせて、ジェミニちゃんがカメラにドアップに迫ってくる。
《『お友達』の方、お聞きなんでしょう~~??ワタシぃ……アナタたちにぜひとも直接お会いしたいんですよぉ……❤アナタたちが如何様にして"彼女達"と接触し、融合し、進化を行い"
《ゼッタイ行っちゃダメ!》
《ああ……!あからさまなドデカい釣り針だぜ》
《おやおやぁ、おふたりともツレませんねぇ…………"ローズ"と"フェリーチェ"を持って帰るのではなかったのですかぁ?そ・れ・と・も……もう必要無くなっちゃいましたかぁ~?先程までの執念は一体どこへやら……薄情なんですねぇ、ウェヒヒヒッ♪》
《ぬゅ~~~……》
ジェミニちゃん、煽る煽る、煽りよる。メモリアは悔しそうな顔を浮かべている。
でもこれは……見方によってはチャンスだ。
ジェミニちゃんに事情を直接話して―――――私たちの正体に触れない範囲で―――――、ミルキィローズとキュアフェリーチェのキュアチップを穏便に譲ってもらえるなら―――――
でもでも、これまで私達に何度もちょっかいをかけてきたジェミニちゃんが、素直に話を聞いてくれるとも思えないし……
《僕は行く》
「……!」
ディスプレイの端に映ったほくとくんが、まっすぐに私を見据えていた。
《"虎穴に入らずんば虎子を得ず"……たとえ罠でも、そこに目的があるなら行かなきゃいけない時もある……今が、その時だと思う》
……まるで今から最終決戦にでも行くんじゃないかってくらいの真剣な表情だ。
でも、不思議とその表情を見たら、私も覚悟が決まってくる。
―――――行かなきゃ。
―――――プリキュアたる者、逃げちゃいけない……!
「……わかったよ、ほくとくん……私も行く。……メモリア」
私の視線にうなづいたメモリアは、どこから見ているとも知れないジェミニちゃんに叫んだ。
《いいよ!行くって!》
それを聞いたジェミニちゃんの表情が、喜びのそれに変わる。それも―――――すんごくマッドな感じの。
《そぉ~ですかぁ!!それはそれは!!いやぁ~、うれしいです!実に実にうれしいですヨ~!!……今から30分後、大泉大橋の西側のたもとの河川敷でお待ちしています!!それではまたの・ち・ほ・ど!デートデートぉ~❤ウェヒヒヒヒヒヒっ❤❤❤》
最後までハイテンションのまま、ジェミニちゃんはスキップしながら画面から姿を消して、ジェミニちゃんが映っていた枠が『NO SIGNAL』という文字に変わった。
《……夜の河川敷で優雅にお茶するヤツがどこにいんだよ……(汗)》
《決闘……だよね……昔ながらの》
苦笑いするデータとほくとくん。私は座っていたベッドから立ち上がって、部屋の窓を開けた。さっきまでの『水道パニック』の影響か、消防車のサイレンがそこかしこから聞こえている。
「行くよ、メモリア」
《……うん!》
ジェミニちゃんには、聞きたいコトが山ほどある。
でも、何を話していいか、何を話しちゃダメなのか―――――
"聞きたい"ことはあるけれど、どこまで"訊いて"いいんだろうか―――――
まだ全然、心の整理がついてないけど―――――
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
ジェミニちゃんの言葉から感じる『想い』がそうであるなら―――――
―――――まだ、希望を捨てるのは、早いって思うんだ。
――――――――――
30分後―――――
途中でデーティアと合流した私は、電灯に照らされてその輪郭をうっすら見せている、大泉大橋のたもとにたどり着いた。
『ジェミニちゃんが指定した場所って……ココだったよね……』
あたりを見回すけど、まったく
実はこの大泉大橋、現在改修工事のために終日全面通行止めになっていて、クルマが近づくこともない。
『コレ……割と目立つね……(汗)』
『仮面ライダーだと……ファイズやゴーストみたいなカンジだね』
真っ暗な中で電飾満載の着ぐるみを着て立ってるのと同じだし、誰か来ちゃったらどうしよう……
「これはこれは……夜でも明るくて実に便利ですねぇ、そのお洋服。電源、ドコについてるんです?」
暗闇から突然発せられた声と同時に、私たちの周囲がいきなりたくさんのライトで照らされて、一瞬目がくらんだ。
おそるおそる目を開けると―――――
『…………ぴゃぁッ!?Σ(〇 ▽ 〇;)』
私は思わず声を上げていた。フツーならこういうシチュの場合、スポットライトに照らされたジェミニちゃんが堂々登場―――――っていうのが王道なんだろうけど……
ジェミニちゃんは、私の目の前に立っていた。
いや、目の前というのも語弊がありそうだ。
ほくとくん風に言うなら―――――『懐に入られていた』ってゆーヤツ。
つまり―――――私にぴったりと密着していた……!!
「こうして直にお会いできて、実に実にうれし~ですぅ……❤うぅ~ん、甘ぁ~いイイニオイがしますぅ……それでいてHDD特有の清潔感のある香りもほどよく混じってますねぇ~……❤」
ジェミニちゃんは私の周りをぐるぐる回りながら、くんかくんかと私のニオイを嗅いで回る。
「あぁそうですぅ、味もみておきましょう―――――」
味ってなんだーーーーーーーーーっっ!?!?!?!
私は声に出さずに心で絶叫した。……どうして声に出さなかったかって?
…………コワすぎて声が出なかったんだよ~~……(涙)
で、ジェミニちゃんが何をしだしたかというと、私のコスチュームのスカートのすそをつまんで、んぁ~っとその口に入れようとしたものだから、私はあわてて振りほどいた。
『ひぃっ!?』
「あぁん、もぉ……じっとしていただかないとダメじゃないですかぁ!これではアナタたちを詳しく調べられませんよ~……」
『ふ、フツー食べようとする!?物理的に!?』
「物理的?いいえ、『科学的・論理的』に食べようとしたんです♪ですから味見させてください♪そうしないとナットクできません」
『……(〇 〇|||)』
だ、ダメだ……とっつきどころがどうとかのレベル以前に、話が通じない……
私たちのことを『調べる』ことに夢中になって、周りが見えてないどころか……
ジョーシキすらわからなくなっちゃってるってコト……!?
『ジェミニさん……だったよね。どうしてそこまで、ぼ……わたしたちのことを知りたいの?訳を教えてくれたら、力になれるかもしれないのに……』
『そ、そうだよ!どーしてメモリアやデータを襲ったりしたの?』
「…………どうしてって……再三お話してるじゃありませんかぁ……ワタシはただ、『知りたい』だけですよ。知らないモノゴトを『知って』、『理解したい』のに、アナタたちはなにも教えてくれないからです……」
『それはっ……その理由も教えてくれないからで―――――』
「『知ること』に理由がいるんですかぁっ!?『知識を得ること』に誰かの許可が必要なんです!?そんなの必要ないでしょう!?…………だから『博士』はご自分で答えを得ようとされた……そしてその『一端』をつかんで、『あの論文』を―――――」
ハカセ?……ロンブン??
……時々ジェミニちゃんが言う、ハカセ―――――『博士』って……
……!、まさか―――――
「ワタシは……証明するんです……!アナタたちの『スベテ』を知って、アナタたちの『存在』を証明して…………―――――東堂博士が、間違っていなかったことを!!そのために、アナタたちが纏う『未知』というモヤを
やっぱり、おばあちゃん……!?
おばあちゃんが、サーバー王国やプリキュアのことを知ってたってコト……!?
どうして……おばあちゃん、そんなこと一言も教えてくれなかった……
私がプリキュアが大好きってことも、おばあちゃんは知ってるハズなのに……―――――
「でも……モヤだらけのアナタたちでも、ひとつだけハッキリとしていることがあるんですよ。アナタたちは―――――」
ジェミニちゃんは、私達に背中を向けて歩き出し、おもむろに空を見上げたと思うと、そのまま肩越しに見返って言い放った。
……いきなり―――――それもどっかで見たことのあるような角度と構図で放たれた、私達の存在(と、この小説のタイトル)『そのもの』に楔を打ち込む爆弾発言に、私もメモリアも一瞬頭が真っ白になった。
「『電脳生命体と融合し再生を果たした先駆者、それが現実に存在する確かなる証拠』……東堂博士が存在を予見された、電脳生命体を肉体にインストールすることで、本来高度な計算・演算を必要とされる電脳情報を、意識・呼吸・接触といった、単純な生物活動レベルで自在に取り扱えるように『進化』した、『高度情報化生命体』―――――そう……アナタたちはプリキュアではなく、『
『よ、よくわかんないけど……でも!私達はれっきとしたプリキュアだよ!まぁ、まだ見習いだけど……』
『キミがどうしてそんな結論に至ったかは訊かないことにする……でもわたし達はプリキュアとしてここにいる……それだけは、譲るわけにはいかないよ』
「いーーーえっ!博士が予見され、今まさにここに存在しているアナタたちを、あろうことか架空の!それも子供向けテレビアニメのキャラクターなどと同一視するなど、実に言語道断、ナンッセンッス、です!!」
『……!!!』
さすがに今の言葉にはカチンと来た。特に、『プリキュアが本当にいる』という事実を知った今なら、私は心底から反論できる。
『アニメのキャラクターじゃないもん!!プリキュアは本当にいるんだから!!』
『そうだよ!キュアネットの世界と……今、ここにね』
「…………なるほど。つながりました。やはり東堂博士は正しかったことがよぉくわかりましたよ……」
こちらに向き直ったジェミニちゃんは、少しうつむき加減だった。
「論文に書かれていましてね……『高度情報化生命体』の外見は、『電脳生命体』側のイメージよりも、『人間』側のイメージが優先されて反映される、と……―――――つまり」
ジェミニちゃんは私をまっすぐにらみつけ、びし!!と指差した。
「キュアメモリアルとおっしゃいましたか……アナタのイメージが原因なんです!アナタが『プリキュアの姿』をイメージしなければ
『…………そ、そんな……!』
ショックというよりも、あまりにも一方的で、理不尽な決めつけに悲しみと怒りがこみ上げてくる。
おばあちゃんが、どうやってサーバー王国やアプリアンたちのことを知って、さらには『プリキュア』の存在を知ったのかはわからない。
でも、ジェミニちゃんは私達のことを『プリキュアじゃない』って言って―――――
『高度情報化生命体』―――――『
そして極めつけに―――――
私が―――――『おばあちゃんの夢』の…………汚点…………
「本来……アナタたちには穏便にワタシに協力していただきたかったのですが……アナタたちに、『博士の夢』を
ジェミニちゃんは、アンテナのついたVRゴーグルのようなモノを頭にかぶった。
「たっぷりじっくりこってりねっとりと!痛い目に遭ってもらいますぅぅぅぅ~~~↑↑↑!!!ウェヒヒヒヒヒ!!!!!」
『例の笑い』と同時に、ジェミニちゃんの背後から飛び出してきたのは―――――
《Yes,ma'am》
《OK,her》
銀色のクリオネのような、ずんぐりむっくりのカタチ。
見間違えるはずがない―――――けど……!
『"プロトセーブ"……!!』
《どーしてリアルワールドにいるの!?》
本来は『ウィルス駆除ソフト』でしかないハズのプロトセーブが、キュアネットそのままのカタチで、私達の眼前にその姿を現した……!?
『まさか……バグッチャーと同じ、『現実世界への実体化』……!?』
デーティアが口にした懸念に、ジェミニちゃんは首を横に振った。
「キュアネットのみならず、現実空間に実体化し、破壊活動を行う"XV"……アナタたちの仰るところの"バグッチャー"との戦闘を念頭に置いたプログラムである『セーブシステム』が、現実空間での戦闘に対応していないわけがありませんよ♪こうして戦闘用ドローンにダウンロードすれば、現実空間でも稼働させることが可能なのです♪……もっとも、こうしてワタシが『補助操縦』する必要があるのですが」
つまりはドローンの自律制御と同じってことか。どっちにしても、あの2体のドローンの中に、ローズとフェリーチェが囚われてることには変わりない。
今度は、私とデーティアががんばる番―――――なんだけど……
なぜか、ドローンからローズとフェリーチェの気配を感じられない……
……というか、感じるのは感じるんだけど、なんかビミョーにローズとフェリーチェとは同じような、そうでないような、言葉にしがたい違和感が……
『……プロペラやエンジンを積んでいないのに浮いてる……』
デーティアは、少し驚いているような顔をしていた。確かにフツーのドローンなら、ヘリコプターみたいにプロペラがあるはずなのに、このプロトセーブにはそれが無いし、音も全くしない。
無機質な外見と、ゆらゆらと不気味に浮遊するその様は、まるで幽霊だ。銀色のっぺらボディが夜闇に浮かび上がって余計にコワい。
「お気づきになられましたかぁ♪このドローンには、『超小型反重力飛翔推進装置』を組み込んであるんですよぉ♪」
『反重力……!!?』
『飛翔推進装置……!?』
急にSFそのものなコトバが飛び出し、思わず私とデーティアは驚きの声を上げていた。
確かに、そんなSFじみたモノでないと、このドローンが飛んでいる理由の説明がつかない。どう見てもこのドローン、飛びそうなカタチをしていないから。
「ワタシも実物をこの目で見るまではSFじみた話だと思っていたのですが……こうして本当に開発され、それもプラモデルサイズのオモチャに搭載可能なほどに小型化、コストダウンがされていたのですよ。技術提供を引き受けて下さった『ファクトリーアドバンス社』には感謝しなければいけませんねぇ♪」
『ファクトリーアドバンス……聞いたコトある……』
『メモリアル、知ってるの?』
『うん……川村さんがね。最近になって、財団Bのフィギュア・プラモデル部門のシェアを奪ってきてるおもちゃメーカーだって。確か、『フレームアームズ・ガール』っていうフィギュアがウリらしいけど……』
『おもちゃ会社がオーバーテクノロジーか……まるで幻夢コーポレーションだ』
ライバル企業がこんなアニメのようなオーバーテクノロジーを発明しちゃったコト、たぶん川村さんは知らないだろーなぁ……
がんばれ財団B!私もプリキュアグッズ、いっぱい買うから!!
「さて……雑談はここまでに致しましょう……ここからは―――――ワタシとこの子たちのステージですぅ~~~↑↑↑!!!!」
ジェミニちゃんの絶叫とともに、ジェミニちゃんの背後にあった黒い横断幕がばさりと取り払われた。そこから、2体のプロトセーブと全く相似形のクリオネ型のドローンが、まさに視界を覆うほど飛び出してきた。
『こんなにたくさんっ……!?』
《えぇぇ~~!?も、もしかしてローズとフェリーチェ以外のプリキュアたちがみんな!?》
『いや……ありえない!全部で70体いる!』
《ああ……まだ助け出せてねぇプリキュアたちは『HUGっと』とかいうチームを入れりゃ45人……帳尻が合わねぇもんな》
……ってか今、デーティアが一瞬で『70体』って数を出したよね……!?ほくとくん、数学苦手って言ってたけど、どうして……??
―――――理由はすぐに分かった。私の視界の片隅に、【TARGET:Prototype S.A.V.E. System Drone 70/70】というインフォメーションが、アクションゲームの撃破ノルマのように表示されているのが見えた。
デーティア―――――ほくとくんの視界にも同じ表示がされてるとしたら、『70体』と一瞬でわかったことにも納得が行く。
『……この表示って、もしかしてメモリア?』
《?……あたし、なんにもしてないよ?てっきりりんくが数えてくれたって思ってたけど……》
これって……私とメモリアが意識しない間に、私でもメモリアでもない『ナニカ』が、ドローンの数を一瞬で数えて、私とメモリアに教えてくれたってことになる……よね?
戦うとき、相手の位置が一目でわかる全方位レーダーが表示されたり、空を飛ぶときには高度計まで―――――
……私やメモリアが計算したわけじゃないのに、状況に応じて、私とメモリアは必要な情報を知ることができるようになってる……
私は無意識に、胸のイーネドライブにそっと手を当てていた。
クイーンが至れり尽くせりにしてくれたのはうれしいんだけど……なんだかだんだん、私の知ってるプリキュア達よりも『人間離れ』していくような気がして―――――
……だからおばあちゃんは、『プリキュア』のことを『高度情報化生命体』って呼んだの……?
人間でも、ましてや『プリキュア』でもない、別の―――――『ナニカ』。
『……!』
そう、『ナニカ』だったんだ―――――
レーダーも、高度計も、ドローンの数を数えたのも―――――
―――――『
私とメモリアが、考えてないだけだったんだ。
つまり、ふだん無意識にやってる、まばたきや呼吸と同じ。
意識しなくても、『
『…………私―――――』
《そこから先……考えない方がいいよ》
『!』
頭の中に声が響いて、私は思わずデーティアに振り返っていた。デーティアの左耳のイヤリングの濃い水色の宝玉が点滅しているのが見えた。
―――――真剣な眼差しが、私をまっすぐ見すえていた。
《キミはプリキュアだ。もちろん、僕も。誰が何と言おうとね……たとえ、キミのおばあさんが、僕たちを『プリキュアじゃない』と言ったとしても》
《……デーティア……》
《何より、僕たちはサーバー王国のことを知ってるからね。事情を知らない勝手な決めつけに、心を揺さぶられることはないよ―――――つまり》
デーティアは笑顔で親指を立てた。
《信じるキミが
………………
…………
……
『…………ぷっ、んふふっ……ww』
……思わず吹き出してしまった……ww
ご……wwゴメンナサイww……地の文に草生やしちゃうくらいおかしくって……ww
でも、言ってることはよくわからないけど、とにかくすごい自信なのはわかる。
そして―――――これ以上ないくらいに前向きな言葉だってことも。
《……スベッたな、ほくと♪》
《デ、データぁ……ちょ、メモリアルも笑わないでよぉ……僕は真剣だよ!?》
《うん……わかってる。デーティアはいつも真剣で、本気だってコト―――――ありがと》
なんだか、心がラクになった。
……そうだ。
私がメモリアやプリキュアのみんなから聞いたことは、絶対にウソじゃない。文字通りの『真実』だ。
何より私の
それに、レジェンドプリキュアのみんなも、子どもたちも、私たちの戦いを見てくれた人たちも、ジャークウェブのヤツらでさえも、私たちを『その名』で呼んでくれている。
私は―――――私たちは―――――
《……そうだよね》
私たちの存在を、今ここでジェミニちゃんに示す!
私たちが、おばあちゃんやジェミニちゃんが言うところの『高度情報化生命体』じゃない、『インストール@プリキュア』だってことを!!
「……いきなり思い出し笑いしだしたので何かと思いましたよ。それと耳飾りがチカチカしてましたねぇ……ミョーな周波数の通信電波を拾ってましたが……双方向通信でもしてたのですかぁ?」
『……まぁね。プリキュア同士、心と心でお話しできるの。便利でしょ♪』
言葉にはもう揺らがない。私は自然と、勝気な笑顔を作ってた。
『見てて、ジェミニちゃん―――――これが、"私たち"だよ!』
デーティアと視線を合わせると、笑ってうなづいた。私と心は―――――ひとつ!
私が―――――
私たちが、プリキュアだ!!
みんなにとってはたぶんどこかで聞いたような言葉だと思うけど、ジェミニちゃんにぶつける想いはこれしか浮かばなかった。
ジェミニちゃんが、おばあちゃんが、どこの誰が何を言おうとも―――――
私たちは、『インストール@プリキュア』なんだ!!
「あくまでプリキュアと言い張りますか……!いいでしょう!!その意固地、真正面から粉砕してあげましょう!東堂博士の、名にかけて!!」
ジェミニちゃんの絶叫と同時に、70体のプロトセーブが私とデーティア目掛けて襲いかかる。
『僕たちだって、負けない!!』
『たとえ……たとえおばあちゃんが、プリキュアのことを否定したとしても……―――――!!』
無数に浮かぶドローンのその向こう―――――ジェミニちゃんのその背後に、おばあちゃんが見えた気がした。
おばあちゃんの影が、私の視界にちらつく―――――
ごめん、おばあちゃん―――――
私は―――――プリキュアだから。
―――――ダダダダダダダダダダダダ!!!!!
たくさんのプロトセーブが、私とデーティアに機銃を撃ちかけてきた。オレンジ色の砲火が一斉に輝いて、鼓膜が裂けそうなほどの発砲音が耳をさえぎる。
キュアネットのプロトセーブと違って、現実世界では当然のように"現実的"な武器。だけど―――――
―――――見える。
私には、発射された銃弾の一発一発が見えている。たぶん、デーティアもそう。
銃弾に書いてある英数字や、金色の本体に灰色の弾頭、その弾頭にミゾが3本ある、っていうのもはっきりと見える。
前に、増子さんのオジさんが撃った銃弾をキャッチしたことがあったけど、あれも『狙って出来た』。
集中して見ることができさえすれば、この弾幕も簡単にかいくぐれるほどのとんでもない動体視力。
いや―――――たぶん、単純な動体視力だけじゃない。
プロトセーブがどの位置から発砲して、どこに着弾するのか―――――つまりは、"射線"。
それも、視界に入っているプロトセーブの射線が、私には全部『見えている』。
私には、たくさんの光のラインが張り巡らされているように見えていて、それを避けているに過ぎない。こう見えてるのも、たぶん『私の無意識』が計算してくれているから、かな。
もっとも、避け切れなくても、銃弾を弾いたり、叩き落したりすることも出来る。十分に対処可能だ。
それにこの弾―――――ゴム弾だ。やっぱりジェミニちゃんは、なるべく私たちを傷つけないように無力化したいらしい。
いいよ―――――
『―――――……受けて、立つ!!』
70体のプロトセーブを全部叩き落として、私たちの存在を示す!!
「でも全部避けられるわけではないんでしょぉぉ~~↑↑↑!?!?!?」
『ッ!』
突然、背後から強い衝撃。振り返ると、マズルから硝煙をくゆらすプロトセーブ。
―――――くやしいけど、その通りだよ。
70体すべての銃撃を見切れるわけじゃないし、死角に入られたらそれまで。
ある程度攻撃を喰らうことは織り込んで戦わなきゃ……!
『数が多すぎる……!!』
《ってか、どれにローズとフェリーチェが入ってンのか、もう見分けがつかねぇぜ!?》
ここまでの大軍を相手にするのは2度目だけど、あの時と違って今回は私たちふたりだけ。
でも―――――
もし、『アレ』ができれば、少しは対抗できるかも……
『メモリア!』
《りんくの考えてること、わかるよ!……でも、ホントにできるかちょっとビミョーだけど……》
『やってみようよ!やらないで後悔するよりも―――――』
《やってから後悔する!……でしょ?》
『(σ・∀・)σさっすがぁ~♪』
よくわかってる!《……あれ?なんかセリフを取られたよーな……》っていうメモリアの声が聞こえた気がするけど、まぁいいか。
『行くよ、メモリア!』
《おっけー!!》
メモリアがどうやって『アレ』をやったか、正直全然わかんないけど―――――
やれば絶対できる!だって私は―――――私たちは―――――
プリキュアなんだから!!!
全身からチカラが湧いてくる感覚。そして、全身から放出されるイーネルギー―――――
私の視界が、イーネルギーの輝き、ピンク色に染まる。
体いっぱいにため込んだチカラを、一気に放出する―――――
すると、私の周囲にピンク色の光が、柱のようなカタチを取った。その数―――――9つ。
「むむむ!一体何をしでかしますか!?もっとも何をしでかしても対処は―――――」
光の柱と同じ数、9体のドローンが光の柱に突進した、瞬間―――――
―――――バキィィィィィイ!!!!!!
9体同時に、ドローンが飛んできたその方向に、そのまま返されるように吹っ飛んだ。
「………………( ゚Д゚)」
呆気に取られるジェミニちゃん。
『……!!』
《オイオイマジかよ……!?》
光の柱が消えたそこに立った『9人』を見て、デーティアは瞠目して、データが驚きの声を上げる。
―――――無理ないか、ふたりには言ってなかったし、私もできるかわからなかったから。
でも―――――できたよ。
さぁ、出番だよ―――――
『もぉっ、いきなり突っ込んで来るなんて……お姉ちゃん怒っちゃうよ!』
『でも、キラキラしててとってもキレイぴゅる~♪』
『多勢に無勢、か……フッ、面白い戦いになりそうだね』
『皆さん、あまり時間をかけては駄目ですよ。私達の存在自体をどれだけ維持できるか、まったくの未知数なのですから』
―――――そう、これは私の『分身』。
相手の数が多いなら、帳尻を合わせればいい。いわば『戦いは数だよ兄貴!』ってゆーやつだ。
前に、メモリアがバグッチャー相手に分身してたのを見て、私にもできないかな~って考えてたことだけど、ぶっつけ本番でウマくいってくれた!
しかもメモリアの使ってた分身と違って、明らかに『実体』がある!数では全然かなわないけど、ちょっとは差が縮まった……のかな。
それにしても……9人のうちの4人の分身は、見た目は『
『どんなにたくさんいたって、負けないんだから!』
この私は、すっごく目がキラキラしてる。日常系アニメに出てきそうな女の子のよーなカンジだ。
『ちょっとかわいそうだけど、みんなをいじめるなら手加減なしぴゅる!』
こっちの私は……アイドルアニメに出てきそうな感じ、かな。……『ぴゅる』ってなんだろう??
『こうした戦いでこそ、私の力の見せ所だ!プリキュアの誇りにかけて、この戦い……必ず勝つ!』
こちらの私は……宝塚の男役みたいだ。目元がキリッとしてて、頼りになりそうなオーラがスゴい。
『分散して事に当たれば、問題ないでしょう。ただ、迅速に、ということだけは念頭に置いてください』
4人目の私は口調がカタい。『はぐプリ』のルールーちゃんを、さらにカッチカチにしたようなイメージ……だろーか。
で、5人目以降は……なんか周りをきょろきょろと見まわして、スゴく驚いて、目を輝かせてる。
まるで、この世界を初めて見たかのようなリアクション―――――
『りんく!』
目が合った5人目の『私』は、なぜか私を『りんく』って呼んだ。それに、この声って……
『もしかして……メモリア!?』
まさかと思って、心の中の『部屋』をのぞいてみたけど、そこにメモリアはいなかった。
『えへへ……リアルワールドに来れちゃった♪』
照れ笑いを浮かべて、上目遣いに私を見てくるその姿は、いつも見ているメモリアと同じだった―――――
『ど、どーなってるの!?』
『あたしもよくわかんないケド……なんか来れちゃった!』
そ、それでいーの……?
なんかこう、ちゃんとしたリクツがあるんじゃ……
ま、まぁ、プリキュアのみんなはどーやっても説明できない奇跡を今まで起こしてきたわけだし、今回もそれが起こった……って解釈するしかないのかも……
あれ?こーしてメモリアが私の分身に『入ってる』ってことは、後の4人の分身は、まさか……
『ここがリアルワールド……ど、どうしよう……ほんとうに来ちゃった……』
『そ、そーですよねー……あたしなんかが来ちゃいけないトコですよねー……や、やっぱ帰っちゃダメー……ですか……?』
『なぁに言ってんだ!?あたし達が何のために呼び出されたって思ってんだ!?このあたしがいるんだから大船に乗ったつもりでドーンと構えろよ!』
『きゃはははははっ♪ばとるばとるー!!』
……こっちもこっちで個性豊かな面々だこと……
大人しそうな子、そわそわしててちょっと弱気な子、強気な子、無邪気な子……みんな私の姿をしてるけど、声はメモリアだ。
つまりこっちの4人は、メモリアが『担当』か。
『よぉし……メモリア、みんな、準備はいい?ちょっとの間だけど……いっしょに戦って!』
私の呼びかけに振り返る、『9人の私』。みんなが私を見つめて、力強くうなづいた。
『ああ、もちろんだとも!』
『おーあばれするぴゅる~~!!』
『言われるまでもありません』
『いっぱいばとるー!!♪』
『い、一生懸命がんばります!』
『任せなりんく!なんなら、あたしひとりで全部片付けてやってもいいぜ?』
『く、口だけなら何でも言えるけど流石にひとりってのは……あ!ご、ごめんなさいっ!……あたしもお手伝いするんで、その、どーかよろしく……』
『そんなわけだから、み~んなまとめて!お姉ちゃんにまっかせなさ~い!♪』
個性豊かなみんなの決意表明。そのラストに、まっすぐ見つめるのは―――――メモリア。
『夢みたいなこの時間……大切にするね!りんくといっしょに、あたし、戦うよ!』
70体を相手にするにはちょっぴり少ないけど、そこは愛と勇気でカバー!
さっき、ジェミニちゃんは『ワタシとこの子たちのステージ』って宣言したけど、ここからはキャスト交代―――――
『私たち!』
脚本・構成・監督はこの私!
私プロデュースの
私と、メモリアと、『ちょっと違う』私とメモリアの力と技とプライドを―――――
ジェミニちゃんに見せてあげる!
……SAVE POINT
メモリアルの分身体、8人全員の元ネタを答えられたらスゴいです!!
お暇な方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
次回もちょっと間が空くかもですが、気長にお待ちを……