レジェンドライブ
リアライズスタイルのプリキュアが、融合しているプリキュア見習いのみならず、レジェンドインストールしているレジェンドプリキュアとも精神の共鳴を果たした時に発動可能となる三位一体の奥義で、『レジェンドインストール版フルドライブ』とも云える状態。
この際、うなじ部分の"コアドライバ"から、通常時の数十倍ものイーネルギーが供給され、体内を循環し始める。
余剰熱の蓄積も通常形態のフルドライブとは比べ物にならないため、強制冷却を行うためにコスチューム全体が変形し、レジェンドインストール中はコスチュームで覆われているイーネルギー伝達ラインが露出して、外気にラインを晒すことで温度を下げ、更にコスチューム各所のラジエーターパネルが開放、余剰イーネルギーを熱と光に変換し強制排出するため、全身から高熱とともに強烈な閃光を発する。
また、髪の毛は放熱のため、瞳は高熱下においても視力を確保するためにイーネルギーの強制供給を行うため、それぞれ発光する。
結果、髪の色全体や両の瞳の色もレジェンドプリキュア同様になり、より『オリジナル』の印象へと近づく。
サーバー王国に召喚されてからの16年間で、新たにレジェンドプリキュアが編み出した、究極のキメ技を放つことが可能となる他、隠された能力があるらしいが……?
しかし、レジェンドライブ発動後は強制的にレジェンドインストールが解除されてしまう上、その後の3分間は強制冷却を行うため、まともに動くことすらままならなくなる程パワーダウンしてしまう。
――――――――――
平成ジェネレーションズFOREVERの予告編で号泣してしまった稚拙です。
レジェンドライダーの中の人がひとりも映像に出ていないのにあそこまで泣けるなんて反則じゃないですか……!
しかも平成最後の今回、テーマが『メタフィクション』ですと!?『メタフィクション+ライダー』なんてトンカツ+カレーのベストマッチのよーなモノじゃないですか!!
数週間後、レジェンドキャスト発表で再び泣き、そして劇場で三度ボロ泣きする稚拙の姿がおそらくは……
さて今回は2話連続投稿となります!その理由ですが……
前回『次回投稿で完結させる』とのたまった手前、この投稿で最後まで行きたかったのですが、稚拙の『話数完結編』のお約束となりつつある『字数大幅増加現象』が発生、ボリューム過多のカロリーオーバーになってしまいまして……
苦肉の策として、最終局面を2話に分け、同時に投稿することにしました。
しかし何故『同時』なのかというと、『前半』だけ読んで放置……となると、劇中におけるりんくさんの言動に不完全燃焼される読者の方がいらっしゃるかもしれないと考慮いたしまして、何故りんくさんがその言動に至ったか、その理由を語る『後半』もすぐに読めるようにしておいた方が、読者の方々の精神衛生上よろしいかと思った次第であります……
さて、前置きが長くなってしまいましたが『前半』スタートです!
オドロキの決着に……アクセス!フラァァッシュ!!
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―――――『プリキュア・ロゼッタランツェ』が放たれる、5分ほど前―――――
『マリンに変わったぴゅる!』
『このまま押せ押せですねっ♪』
『デーティア……すまない……私達が不甲斐無いばかりに……!』
私の分身たちが、デーティアの戦いを見守る中、私は―――――
『……………………………………』
―――――ショゲ込んでました、ハイ。
せっかくデーティアに期待させて使ったサイバーイリュージョンが、通用しないなんて……
プリキュアでこんなパターン、ありました?……なかったですよね、ハイ……
新キメ技って初登場補正かかってるから絶対成功するハズですよね~……?
なのにどーしてこんなコトになっちゃったの~……?
期待してて読んでいたディスプレイの前の皆さん、ホントーにゴメンなさい……(>人<)
私は沈んだ気分で体育座り。デーティアが作ってくれた岩盤の盾に背を向けて、デーティアが実際に戦っているところは、『私自身』からは見えていない。
でも、分身のみんなが見ている光景は、私の視界にシンクロして、否応なしに見えてしまう。
……一発一発がスゴいなぁ、デーティアのパンチ……やっぱり、拳法やってると動きのキレなんかがダンチだなぁ……
『……りんく』
ふと顔を上げると、私が私を見つめてました。……なんで?なんで?ふたりいる!
『うそ!……じゃないよっ』
『メモリア……だよね』
今は見た目が私と一緒だから、一瞬混乱したけど、目もとが『子どもっぽい』から、すぐに『メモリア』だってわかった。
『どうしちゃったの、りんく……そんなに、分身したあたし達が頼りなかったのがショックだったの……??』
『……………………』
正直には言えなかった。
メモリアだって、こうやって現実の世界に来られて、はじめて画面越しじゃない『ホンモノの私』とお話しできるのに、『せっかく現実に来たのに期待はずれじゃん』なんて―――――
……言えるワケ、ない…………
『カッコ悪いな、私―――――』
『え……?』
思わず、弱音がこぼれていた。
『こども園の時から、ちょっと考えててね……ほくとくんって……デーティアって、ホントカッコいいな……って。園長先生は、私のことも『立派なプリキュア』って言ってくれたけど……でも私、こども園の時出遅れちゃったし、今もデーティアに守られっぱなし……ガンバろうって思っても……上手く行かなくって……園長先生が言ってくれた『立派なプリキュア』って……『一人前のプリキュア』って……なんなんだろう……―――――』
『それは……51人のプリキュアたちを取り戻して、でもって全員に勝って、それで―――――』
『…………私……"それだけ"じゃ、ないって思う―――――』
メモリアが言う"一人前の条件"は、あくまでレジェンドプリキュアたちがメモリアに示した、『カタチ』だけのものに過ぎないと思う。
"見習い"じゃない、"本当のプリキュア"の条件、それは―――――
《今この時に―――――"それ"に気付くことができたコト……それだけでも、一歩前進、ですわね♪》
突然の声にネットコミューンを取り出すと、そこにはキュアドールサイズのキュアロゼッタがいた。
『……ロゼッタ……?』
《確かに、困難を乗り越えるには……想いを成し遂げるためには"力"が必要……それが通じない時、ヒトは"無力"を思い知る―――――ワタシも、サーバー王国でそれを痛感しましたわ……しかし―――――》
一瞬暗い表情に変わったロゼッタだけど、すぐに私に笑顔で笑いかけて―――――
《プリキュアは、純粋な"力"のみでは戦いません。人を超えた腕力も、脚力も、闇を浄化する大いなる輝きも、そのすべては―――――"心"から生まれ出づるモノ……そして、その"心"は―――――》
『……相手を想う―――――』
《その通りですわ♪…………ワタシたちのみならず、すべての……それこそ、ワタシも知らないプリキュアの皆さんのこともご存知のりんくさんなら、おわかりのハズ……最後の最後まで、『邪なココロ』……"憎しみ"に囚われたまま戦ったプリキュアは、いましたか?》
そんな子は、いなかった。相手を倒したいとか、やっつけたいとか、めちゃくちゃにしてやりたいとか、そんなコトのために戦ったプリキュアなんていない。
敵に操られたり、何かの事情で、周りが見えずにがむしゃらに戦ってしまっていた子もいたけど、最後には憎しみから解放されて、世界のために戦う本当の―――――
『――――――――――……!』
……そっか―――――
わかった、気がする。
"本当のプリキュア"の条件―――――
《そして―――――りんくさんが『今』、『戦う理由』は、『何』ですか?》
私が―――――今、こうして『ここ』にいるのは―――――
どうして、ジェミニちゃんと、戦っているのか―――――
『そう……私達は、彼女を『倒す』ために、ここにいるわけではありません』
振り返ると―――――また、私が私を見つめてました。
今度は―――――8人いる。
『私達がここにいるのは、あの子と『おはなし』するため、だよねっ♪』
『私達のことをどう思っているのか……それを知るために』
『私達が『てき』じゃないって、伝えるためぴゅる~!』
『私の中の私』が、心の中を代弁してくれる。
私がここに来ようって思ったのは、少しでも、ジェミニちゃんの心の中を知りたかったから。
―――――なぜ、ミルキィローズとキュアフェリーチェをあんな姿にしたの?
―――――どうして、私たちに戦いを挑んできたの?
すべてはそんな小さなギモン。
そう考えると―――――私も、あの子も『同じ』なんだなって、今さらながらに思った。
『知りたい』―――――ただ、それだけだったんだ。
『でも……あたし……あたしは……どくたーさんを『殴りたい』って思っちゃった……あたし、プリキュアなのに……カッとなっちゃって……』
メモリアが拳をぎゅっと握って、体を震わせていた。その顔を見上げると―――――
―――――泣いていた。
『りんく……ロゼッタ……あたし……プリキュア失格だよぉ…………!』
『一人前のプリキュアになりたい』―――――メモリアの想いは、いつも一緒にいる私が、誰よりも知ってる。
でも、さっき一瞬でも、メモリアは憎しみに身を任せて拳を揮ってしまっていた。そのことを、メモリアはひどく後悔しているようだった。
―――――でもね。
『―――――メモリア』
私はメモリアを、そっと抱きしめた。
瞬間、背中の方でモノ凄い爆音が響いた。視界が一瞬青白く染まって、爆風が押し寄せる―――――
でも、私は動かなかった。大切なことを―――――メモリアにまっすぐ、伝えたかったから。
『りん、く……?』
『メモリアが、それを"イケナイコト"だってちゃんとわかってる……だから、泣いてるんだよね』
『……うん』
『それなら、大丈夫だよ。絶対、大丈夫。私たち、生きてる限り……何度でも、何回でも"やり直し"できるんだから』
『やりなおし……?』
『そう。後悔して、反省して、もう同じ失敗をしないようにするってこと。……人間って、そーゆーもんでしょ♪』
『でもあたしにんげんさんじゃないよ?』
『そ、そこはホラ、さぁ……コトバのアヤっていうか……』
あはは、やっぱシマんないや。
でも、それが私らしくて……
『……いいの?あたし……りんくといっしょに、プリキュアしても、いいの?』
『もっちろん……!私…………メモリアじゃなきゃ、イヤだよ』
『―――――!』
前に―――――
私が―――――プリキュアで、いいのかな―――――
そう言った時―――――メモリアがこう返してくれたっけ。
あたし、りんくじゃなきゃ、イヤ
いつの間にか―――――私もメモリアじゃなきゃ、
『どっちか』が『どっちか』じゃなくっても、『キュアメモリアル』じゃないし、『キュアメモリアル』にはなれない。
私たちふたりで、『一人前のプリキュア』を目指すんだ―――――
『伝わってきます……りんくのキモチ』
『ああ……あったけぇ……』
『あたし……あたし、もう大感動……!!』
『ぽっかぽか~!』
『メモリアの分身たち』も、思い思いに『私のココロ』を受け止めてくれていた―――――ちょうど、その時。
〈TIME LIMIT 0:00〉
視界の片隅のカウントダウンがゼロになった。とたん、目の前のメモリアが、ピンク色の光に包まれていく。
『……時間切れ、だね』
『うん……』
『私が……メモリアの分も、きちんとジェミニちゃんに伝えるよ。……こんな戦い、もう終わりにしなきゃ。こんな、『スキとスキ』のぶつかり合いなんて……悲しすぎるから』
『りんくが、プリキュアが大好きなのとおんなじくらい……どくたーさんも―――――』
『そう。だから、メモリアも力を……ううん、『想い』を私に貸して?目いっぱい―――――ありったけを』
『もっちろん!……ね、みんな!』
メモリアが視線をうながすその先には、光に包まれている『8人の私』が、笑ってうなづいていた。
少しの間だけだったけど、私を手伝ってくれてありがとう―――――
そうお礼を言おうと思ったけど、口にする前に泡のように消え去ってしまった。
―――――大丈夫。伝わってるよ。
―――――だって、私たちは―――――『私』なんだから―――――
……そうだったね。
『メモリア』
『うん!』
『一緒に行くよ』
『おっけー!!』
最後に、メモリアも光の中に消えて、『私の中』の『心の部屋』に戻っていくのがわかる。
《プリキュアの神髄とは、『信じて、伝える』コト……戦いはそれに至る『過程』に過ぎないということを理解できたのなら……ワタシの『想い』もお貸しできますわね♪》
『……ロゼッタ……?』
不意に、左手の甲の『キュアットサモナー』が、何もしていないのに勝手に起動した。浮かび上がってきたのは、『P31』のナンバリングがなされた、オレンジイエローのキュアチップ。
そしてそれは、まるで意思を持つかのように―――――ううん、明らかな意思の下、私のネットコミューンのスロットへと吸い込まれていった。
《ひだまりポカポカ!キュアロゼッタ!》
《CURE-ROSETTA! INSTALL TO MEMORIAL!!》
―――――太陽が、私を包み込む。
両手のアームカバー、両脚のブーツが光から形作られ、黄色いリボンが結ばれて、スカートがふわりと広がる。四つ葉のクローバーがあしらわれたリボンでツインテールが結われて、前髪の一部がオレンジ色に染まるのが見えた。
右目に強い熱を感じる。黄金色の光が、視界を覆う。
そういえば―――――私がはじめてレジェンドインストールをしたのも、キュアロゼッタだったっけ。
ロゼッタウォールやロゼッタリフレクションを―――――アニメの中でしか見たことがなかった技の数々を、私が現実に使えたことは、私が『プリキュアになった』実感を、もっと強くしてくれた。
キュアロゼッタ―――――ありすちゃんも、私を『プリキュアの世界』に引き込んでくれたひとりなんだ。
《"愛することは、守り合うこと"―――――『プリキュア5つの誓い』のひとつですわ。その"愛"―――――"プリキュアの愛"は、知っている方、お友達、大切な場所だけに向けられるものではありません―――――》
『うん……知ってるよ。―――――敵意を向けてきている『戦う相手』もまた、"愛"を伝える相手だって。『愛こそ、プリキュアの力』……そして……『力は、己の愛するモノを守るためのモノ』……そうだよね』
《!……おじい様の、お言葉―――――》
『守るコトは力……
《りんくさん―――――》
―――――きこえた。
はっきりと、身体に響いた。
『ナニカ』が切り替わる音だ。
瞬間、首の後ろ―――――うなじにくっついているHDDがガシャッと音を立てたと思うと、けたたましい猛回転を始めて、オレンジ色のイーネルギーを噴き出した。
《ワタシと……メモリアと……りんくさんの愛で……世界に……愛のひだまりを―――――》
《ロゼッタ……??どうしたの?なに、言ってるの……??》
《今こそ託しましょう……ワタシが16年かけて鍛え上げた、"愛の一閃"を!》
『それって、なんの………………んぅ…………❤』
な、なんか……ヘンな声が出ちゃった…………
だって、うなじから全身に行きわたるイーネルギーが、どくん!と脈打ったように律動するのを、確かに感じたんだから……。
それが合図だった。
ブーツとアームカバーが、真ん中から両開きになった。スカートのフリルの部分やコスチュームが次々にスライドして、その内側に隠れていた、LEDファイバーのようなイーネルギー伝達ラインがむき出しになる。そして、両肩の背中側のパフスリーブと、ふくらはぎがパカッと開いて、クローバー型のテカテカしたパネルがあらわになる。
……っていうか、こんなのが仕込んであったなんて、私全然気づかなかったんですけど!?
ツッコむヒマもなく、今度はイーネドライブが眩い黄金色に輝いて、それに連動するかのように、"LEDファイバー"が脈打つように一定のリズムで光を放ち始めて、やがて目も眩むほどの閃光になった。
でもって、今度はツインテールの『ロゼッタヘアー』になっている髪の毛全体も、オレンジがかった黄金色に光って、両目も同じ色に被われて目が眩みそうになる。
―――――『私』が、カタチを変えていく。
『ふたり』じゃない、完全な『さんにん』になっていく。爪先、指先、頭のてっぺんからカラダの奥底まで、細胞の、DNAのひとつひとつまで組み合わされて、編み込まれた、『キュアメモリアル』を超えた『融合一体感』が、私の全身を駆け巡る。
今までの『レジェンドインストール』は、単なる『なりきり』に過ぎなかったけど、『これ』は、違う。
身も心も『キュアロゼッタ』になった―――――そんな気分すら感じてる。
《りんくさん、ご存知ですか?ワタシ……キュアロゼッタのシンボルマーク……トランプの『クラブ』の由来を……》
『ほえ?……ええと、ちょっと勉強不足で存じ上げませんです……』
《それは『棍棒』……抵抗の象徴……抑圧された感情が、逆転噴出する刹那―――――》
そう、さながら詩のようにロゼッタが呟くと、私はゆっくりと、デーティアとプロトセーブが戦っている方向に、『勝手に』向き直った。
―――――え?
ちょ、待って待って!!私のカラダ、今『勝手に』動いちゃったんですけど~~!?!?
《防御こそ最大の攻撃―――――そして、その逆もまた
私はこれまた『勝手に』、"ラブハートアロー"を取り出すと、ロゼッタリフレクションを作り出した。それも、今までに見たことのないほど大きな、それも全体が太陽のような輝きを放っている。
『はぁッ!!』
"ラブハートアロー"を叩いて、私は巨大リフレクションを放った。一直線に飛んだそれは、がくりと両ひざをついていたキュアデーティアに迫っていた、2体のプロトセーブを直撃して、動きを止めた。
『当たった…………ふぇっ!?』
立て続いて、今度は内股気味に腰を低く落として、右手を地面に突いて、左腕を横後方に流す……ってコレ、スパイ〇ーマッのポーズじゃん!?
……い、いきなりどーして!?こーゆーのってほくとくんのやりそうなネタなんじゃ―――――
《全身に―――――"陽だまりのチカラ"を溜め込み……身体を"槍"へと研ぎ澄ます―――――》
身体全体の輝きが、どんどん強くなる。循環しているイーネルギーが、ついには体の表面にスパークして現出し始める。
もちろんポーズはさっきの『ス〇イダーマッ』のままで、私には何が起きてるんだかさっぱりわからない。さらには―――――
―――――ギギギ……カキキキキ……!!
最初はコスチュームから音がしてると思ったけど、ちがう……身体『自体』が、"きしみ"はじめた……!!
骨や筋肉に、内から外から、恐ろしいまでの『圧』が加わって―――――
身体全体に、イーネルギーが充満している―――――
〈TARGET LOCK-ON〉
『矢じりがハート形になった弓矢』―――――『ドキドキ!プリキュア』のシンボルマークが、私の視界の中で2体のプロトセーブに重なる。
このままだと、多分これから放つ攻撃が、あの2体を直撃する―――――
……って、それってマズくない!?あの2体―――――最後に残ったプロトセーブの中には、ミルキィローズとキュアフェリーチェが……!!
『ちょ、ちょっとタンマ!ロゼッタ……ちょっとお願いがあるんだけど……!』
―――――私のお願いに、ロゼッタは微笑みながら、静かにうなづいた。
《かしこまりましたわ♪……往きましょう―――――りんくさん、メモリア!》
『うん!!』
《おっけ~!!》
ロゼッタに促されて、私は一歩蹴り出した。
二歩目で、私は地面から跳んだ。
その瞬間―――――
《これが―――――
私は―――――
ううん、私たちは―――――
邪悪を貫く、一振りの『槍』になった―――――
――――――――――
NPC GEMINI NORTHUPP
――――――――――
―――――勝った!勝ちました!!電調編完ッ!!
……というモノローグって敗北フラグなんですねぇ……
"キュアデーティア"にプロトセーブが最後の攻撃をしようとしたまさにその時、巨大な板のようなモノが視界の外からぶつかってきて、そして今度は飛び道具……!!
もうひとり……"キュアメモリアル"の仕業かと振り向くと、もうそこに彼女はおらず……
そこで初めて、その『飛び道具』が、『彼女自身』であると気が付きました……!!
「…………………………!?」
しばし唖然としていたワタシは……言葉が出ませんでした……
ゴーグルには、次々と有り得ない数字が表示されていきます…………
……どちらにせよ、人間が生身で出せる速度と温度ではなく、ましてや
これはもう―――――いや、既に考えていた通りなのですが―――――
―――――人間じゃない―――――……。
「ヒトのカタチをした神器…………
そうワタシが呟くのを尻目に、弾き飛ばされたプロトセーブが、上空で大爆発するのが見えて、思わず目を覆いました。
次に目を開いた時、咄嗟に"彼女"を探すと―――――盛大な土煙を上げ、地面に轍を作りながら、200mほど先で着地する"キュアメモリアル"の姿がありました。
オレンジがかった黄金色の光を全身に纏ったその姿は、否応なく『太陽神』という単語を、ワタシの脳裏に想起させます。
しかし―――――立ち上がり、振り返った彼女の顔に浮かぶ表情は―――――
怒
「ひ…………!!!!!!」
背筋が、凍りつきました。
その恐怖を受け取ったのか、ワタシの頭から、ドローン制御デバイスがするりとズリ落ちました……
でもってついでに……腰も抜けました………………。
―――――プシュウウゥゥゥゥゥゥ!!!!!!
"キュアメモリアル"の全身から、真っ白な蒸気が噴き出る様が、まるで今の彼女の感情が噴出したようで、より心臓を"刺して"きます……
そして、ゆっくりと、ワタシに向かって歩きはじめました。
一歩ずつ歩みを進めるその度に、身に纏っているコスチュームから光が消え、お台場に建っているユニコーンガンダムのように、各部がスライドしていき、今度はコスチュームが最初に会った時のような感じに戻って、またしても蒸気噴出。そんなに体中から何度も湯気を噴き出して、以前にニッポンで放送していたというどこぞのボイラーのCMキャラクターですか……!?
やがてついに、ワタシの目の前に"キュアメモリアル"が立ちました。腰に手を当てて、眉をつり上げてワタシを見下ろす、暗闇の中でも十分光源になるほど光るピンク色の瞳は―――――正直、怖いです……
そして、しゃがみこんで、彼女がワタシに視線を合わせます。逸らそうとしても逸らせません……なんたる威圧感……!!
きっと……きっと怒鳴られますよね……ワタシ、散々暴れまくりましたし…………
…………い、いいでしょう!ワタシもハラをくくります!!
常人を超えるほどのパンチでも、音速を出せるキックでも、受け止めましょう!!一撃で済むならそれで結構!!人間には215本も骨があるのです!1本くらい何ですか!?真実を明らかにするための未来への投資と考えれば―――――
……それに、『高度情報化生命体』のパワーをこの身で体験できるまたとない……―――――❤
はッ!?……ワ、ワタシ何を考えてたんです!?
い、いえ!やっぱりイヤです!!さっきのは一時の気の迷い!ワタシはまだ生きるのを諦めてませんッ!!痛いのはイヤです!!カンベンしてくださ――――――――――
……うぇひ?
『……だよ!ジェミニちゃん……私、確かに『会いに来てよ』って言ったけど、こんなカタチで会いに来ちゃダメだよっ』
「…………え……あの……」
『それにこんな夜遅くに出歩いて……もう日が変わっちゃってるよ!子供なんだから夜更かし厳禁!……あ、私もか…………ごほん!しかもローズとフェリーチェを『あんなの』にしちゃって……』
「そ、その……」
『……反省してる?』
「え……?」
『"悪いコト"したって自覚ある?』
「それは………………」
『自覚があるんなら、やるコトはひとつ!……わかるよね?』
それは……もちろん。
「…………ごめんなさい」
確かに……ご迷惑をおかけした……のかもしれません……先に突っかかったのはワタシですし……
で、でも、社交辞令ですよ!?フツー、こんなので許されるわけないですよ!?
行おうとしたワタシが言うのもアレですが、コレって傷害・誘拐未遂事件ですよ!?もしもしポリスメン案件ですよ!?
ワタシが仕事をしている『社会』では、謝っただけで済まされるなんて―――――
『おk!許しますっ♪』
「う…………うぇひっ……!?」
そのあか抜けた笑顔に、ワタシは一瞬で毒気を抜かれてしまいました。
『とりあえず、私たちに襲い掛かったのはこれでおしまいっ!恨みっこナシ!終了っ!!』
「い、いいんですか!?ソレで!?そ、その……ワタシ、悪いコトしたんですよ!?オシオキとかそーゆーのは……―――――」
『……してほしいの?』
「そ、そんなシュミはありませんっ!!ただ……謝っただけで済ませてしまっていいものかと……」
『う~~~~ん………………』
"キュアメモリアル"はアゴに手を当てて少し考えた後、笑ってこう言い切りました。
『いーんじゃない?』
「いーんじゃない?……って……そんなノリで……」
『いーの。だってさ、私たちプリキュアだよ?日曜朝8時半の、子どもたちのヒーローだよ?済んだことや過ぎたことをネチネチ引きずってもしょーがないじゃん。子ども向けアニメでドロ沼展開は誰も喜ばないって。……あ、でも何回かやらかしたっけ、プリキュア……』
「それっ……それはアニメの中の話であって、現実でそれは……」
『現実でもさ、私たちには"そんなコト"する権利ないし……それに……私はそこまであなたのコト、キライになれないもん』
それなのに、どうして……
彼女は私の心中を読んだかのように、理由を付け足しました。
『あなたは何度も、私たちのこと、『すごい』って言ってくれてたじゃん!』
「―――――!」
―――――魅力的じゃないですかぁ♪
す・ば・ら・し・いいぃぃぃぃぃいいいい~~~~↑↑↑↑!!!!!
これが!これこそが!!ワタシと博士の追い求めていたモノ!!
こうして直にお会いできて、実に実にうれし~ですぅ……❤
アナタたちのご活躍にぃ、東堂博士へのワタシの想いが"きゅんきゅん❤"してるからなんですぅ……❤❤
―――――……確かに……
ワタシが彼女達と戦っていたのは、彼女達を『倒すため』ではなく、『知るため』。そのために、どうにかして連れ帰って、東堂博士の論文を証明するために協力してもらおうと思っただけ……
決して彼女達のことを心底『憎んで』いたワケでは……ま、まぁ、"キュアメモリアル"に対しては、少し私怨が雑じったかもしれませんが……
『一度だってあなたは、私たちを貶したりなんてしなくって……いっぱい褒めてくれてたよね?それってつまり、私たちのこと……『プリキュアのことが好き』ってコトだよね!』
「ど……どーしてそんな結論になるんですかっ!?それにアナタたちをプリキュアだとは―――――」
『プリキュアが好きな子に、ワルい子なんていない!ジョーシキだよねぇ♪』
「プ、プリキュアが好きというワケでは……!ワタシ、アニメなんて見ませんし……」
『え゛、マジ!?プリキュア見てないの!?それって絶対ソンしてる!人生9割ソンしてるよ~ッッ!!』
9割とわ……このヒトの人生の中で、プリキュアはそこまでのウェイトを占めているのですか……
『でもどっちにしてもさ、私はあなたのこと、キライになれないことは同じだよ。…………さて』
さっきまで、単なるオタクの目をしていた"キュアメモリアル"が表情をきりっと正しました。そしてその後ろに、へたり込んでいたもうひとり―――――"キュアデーティア"が立ちました。
『ここからが本題!私たちも、あなたにお願いがあるの』
まっすぐな眼差しだった。こちらから目を逸らすのが、実に失礼だと思えるほどに。
『私たちは、この世界をキュアネットから侵略しようとしてるやつら……ジャークウェブと戦ってるの』
『『僕らの世界が何者かに侵略されてるぞ』……なんて、空想じみたことを言ってるかもしれないけど……これは訓練でも、リハーサルでもないんだ』
"あ~ハイハイハイ、『いかにも』って感じの言い回しだな~"……と思ってしまいました、何故か。
もっとも、現実に"XV"が出現して破壊活動を行っている現状、そして目の前にいる彼女達を見れば、もはやそれが現実であることは明々白々、『事実は小説よりも奇なり』……とはよく言ったモノです。
ただひとつ……"ジャークウェブ"なる存在は興味深いですね。それが"XV"……キュアネットと現実、双方で破壊活動を行える実体化可能コンピュータウィルス―――――"バグッチャー"を開発し、使役しているテロ組織ですか……
現代ネットワーク工学を遥かに超越した、非常識的な技術を持った集団……ネットワーク工学者として、実にそそられる存在ではありますが……
「それはワタシも知っていますよ。でなければ、プロトセーブを開発したりはしませんからね」
『それ!その"プロトセーブ"!あなたの使ってるプロトセーブの中に、私たちが探してるプリキュア……ミルキィローズとキュアフェリーチェがいるの!』
『ジャークウェブの侵略からこの世界を守ると同時に、僕たちはジャークウェブに戦う力を奪われてしまった、51人のプリキュアたちを取り戻して、キュアネットの奥にあるサーバー王国にいる、プログラムクイーンを助け出さないといけないんだ』
『ふたりがいないと、クイーンを救うことが出来ないの……だから、お願い……ふたりを返してほしいの!』
ますますもって、実に非現実的です……キュアネットの奥に国家があって、クイーンを助ける……まさしく子供向けアニメかテレビゲームじみたお話ですけれど……
"ローズ"と"フェリーチェ"……確かに、名前は一致しています。
"Cプログラム"が……プリキュア……??
ええと……持ってきたタブレット端末で検索……と。アッサリとヒットしました。
"ミルキィローズ"は、『Yes!プリキュア5GoGo!』に、"キュアフェリーチェ"は、『魔法つかいプリキュア!』にそれぞれ登場したキャラクターですね。両方、同じプリキュアシリーズに登場したキャラクターでありますけれども。
「お願いと言われましても、おふたりともテレビアニメのキャラクターではないですか。ワタシのプロトセーブにインストールしているプログラムとは、名前だけ同じ別物では?」
『違うの……!その……この世界ではアニメになってるんだけど、みんな、本当にいるの!』
『こんな風に……姿形を変えられてしまったけれどね……』
"キュアデーティア"の右手の甲が光ったと思うと、その中から見覚えのあるメモリーカードが顕現しました。またしても非科学的な現象が……ワタシ、頭が痛くなりそうです……
……コレは……先日テテが持ち帰り、ワタシが構造解析を遠隔操作で行っていたメモリーカードですね……
『キミには見覚えがあるよね?キュアピースのキュアチップだよ。これは正真正銘……"生きている人間の女の子"が封印されて、カタチを変えられてしまった姿なんだ』
『……あなたがプロトセーブに組み込んだのも、ふたりの女の子……美々野くるみちゃんと、花海ことはちゃんなの』
「……!!!!」
なんて……なんてコトでしょう……
これで合点がいったと同時に、ジャークウェブの技術力に、実に戦慄を禁じえませんでした……
"Cプログラム"のプロトコルが、『人間の意志』に酷似していたのは当然ですよ……それが、人間『そのもの』であれば、すべて説明がつきます……まるで『人間そのもの』とは思っていましたが、まさか本当に―――――
プログラムの解析を意固地なまでに拒んでいたことも、あのメモリーカードが未知の材質で出来ていたことも。
そして―――――『
すべて―――――"Cプログラム"、『本人』の意思だったということ。
『人間の生命』をそのままプログラム化して、ウイルスに組み込んで、その人間の意志と関係なく使役する……実に……実に人間業ではありませんよ……!
でも――――――――――
「―――――…………違います」
『え……?』
「…………ワタシが、プロトセーブに組み込んでいるプログラムは……違います…………プロトセーブに組み込んでいるのは、"ローズ"と"フェリーチェ"『そのもの』ではありません……これらのプログラムを解析して、ようやく得られたほんのわずかな、たった20MBほどの動作記述……それを既存の人工知能に組み込んだ、それだけの……"デッドコピー"なんです……」
『『ええええええ~~~!?!?!?!!?!??!?』』
「ネットから拾った出処のわからないプログラムをバカ正直にそのまま使うなんて、そんなコワいマネ出来ませんよ!?」
……もしやおふたりは、プロトセーブに"ローズ"と"フェリーチェ"をそっくりそのまま組み込んでいたと思っていたのでしょうか……?
『だ……だってジェミニちゃん、『ローズとフェリーチェのチップをプロトセーブに組み込んだ』って言ってなかった!?』
「あれは……その……アナタの『お友達』をその気にさせるための……ブラフだった……と言いますか……というか、『組み込んだ』とは一言も……」
『そんなぁ……』
《マリンの言った通りだった……》
言葉は選ぶべきでした……あらぬ誤解を招くことになっていたとは……
ただ……サイズさえ完全に把握できない、膨大かつ詳細不明なプログラムのうちの、ほんの20MB解析できた記述……それを組み込んだだけで、プロトセーブは飛躍的に『進化』しました……
簡易的でありながら、自律的に物事を判断し、行動し、攻撃プログラムさえも自身で構築してしまうほどに―――――
それが『人間』であることを懐疑的な観点から鑑みても、このプログラムの『全容』を解明することが、楽しみでもあり、恐ろしくもある―――――
まったく……彼女たちは、ワタシを退屈させませんね……
『じゃ……じゃぁ、ホンモノのローズとフェリーチェはどこに……!?』
「アメリカの、ワタシの自宅のPCに保存しています……ニッポンには持ってきていません……ワタシにとっては、貴重な手掛かりですから……!」
『手掛かりって……』
「ワタシが、アナタたちの存在を証明しようと、手掛かりを求めてキュアネット中を探し回って、ようやく見つけた手掛かりなんです!解析を進めれば、必ず……必ず、東堂博士の論文が本当だと証明できるんです!ワタシと、東堂博士をつないでる、たったひとつの……手掛かりなんです……!ですから……ですからっ……!」
さっきまでとはまた別の恐怖心が、心の中に湧いてきました。
東堂博士とのつながりを絶たれてしまうのではないか、これ以上、C-ORGや彼女達を『知ること』ができなくなるのではないか……そんな恐怖が―――――
Cプログラムが、『人の命』だと知ってもなお、手放したくないと思うワタシって……救いようのないワガママですよね…………
それに、そんなワガママが通ってしまうほど、彼女達も甘くは―――――
『そっか……それなら、しょうがないね♪』
「……うぇひ?」
『メモリアルっ!?』
"キュアデーティア"も、彼女の言葉に表情を変えました。『……あとで説明するから……ごめん』と、"キュアメモリアル"は小さく謝ると、
『あなたにとって……ローズとフェリーチェがどれだけ重要で、大切にしてくれてるってコトは……その顔を見ればわかるよ』
「……あ」
ワ、ワタシ……いつの間に泣いて……?
……ワタシ、ここまで彼女達に入れ込んでいたのですね……こうも感情を表に出してしまうなんて……
幼い頃―――――コンプレックスのカタマリだったワタシの心に希望を灯してくれた東堂博士……そのお力添えをしたくて、いち早く博士に近づきたくて、勉強をたくさんして、何度も挫折して、その度に這い上がって、ここまで来て、ようやくつかんだ一筋の光―――――
この涙は、東堂博士に向けたのか、それとも―――――
……ワタシ自身……わけがわからないですよ……
『だから、私も無理は言わない。"誰かのために"がんばってるコから、大切なモノを取り上げるなんて、そんなの良くないしね』
"キュアメモリアル"が、ワタシの頭にぽん、と手のひらを乗せて、ワタシは思わず彼女を見上げました。
『そこで私から提案なんだけど―――――競争しようよ!』
「競争……?」
『そ。私たちが、ローズとフェリーチェ以外のプリキュアたちを全員助け出すその時まで……ふたりのことは、あなたに守ってもらうことにする。で、みんなを助け出した最後に、もう一度あなたに会いに行く。ローズとフェリーチェを、今度こそ取り戻すためにね』
「は、はぁ……」
『あなたは今まで通り私たちの正体を調べて、居場所を突き止めて、家から連れ出して東堂博士に会わせる!どっちが先に目標達成して、会いに行けるかの競争!どう?』
「え……ええと……その……」
この方の勢いに一瞬戸惑いましたけど、冷静に考えてみればこの提案、少なくともワタシにはデメリットはありません。
ワタシは今まで通りにこのおふたりを分析し、解析して、東堂博士の論文を実証できればそれでよし、しかもおうちがわかれば東堂博士に会ってくださると……!?
さらに、このおふたりが目標を達成するまでは、ワタシは"ローズ"と"フェリーチェ"を解析し放題……!
ご提案自体はあちら様、まさしくWin-Win!
「…………ウェヒっ♪」
『?』
「わかりました……その"競争"、お受けしましょう!」
『ホント!?いいの?!』
「ええ。アナタたちがワタシにもう一度会いに来るその時までに、必ずアナタたちを完全解析して、おうちにお迎えに上がりますからねぇ~❤」
『その意気だよ!でもその代わり、これだけは約束して。ローズとフェリーチェに、乱暴なコトは絶対しちゃダメだよ!女の子なんだからねっ』
「そ、それはもちろん!丁重におもてなしさせていただきます!!」
ただ……現時点で意思疎通がまったくできない"ローズ"と"フェリーチェ"に、乱暴なコトもおもてなしもロクに出来ないのでは……と、言ってから思ってしまいました。
『今度会う時は友達として!それか……いっしょにジャークウェブと戦ってくれる仲間として!プロトセーブ、すっごく強かったし……』
「そ、そうですか……!?……そう仰って下さるのは実に嬉しいのですが……―――――」
ワタシは、2体のプロトセーブが転がっている、橋のたもとに視線を移します。2体のプロトセーブは、それぞれ片側の翼を破壊されて、それは無残に―――――
『……言ったでしょ?大切なモノを取り上げたり、しないよ。……動かしてみて』
「え……!?」
まさか……さっきあんなハデに爆発してたのに!?普通"あんなの"に巻き込まれれば無事では―――――
制御デバイスをかぶり直して、再起動を掛けます……すると。
《《PPPPPPPPPPPPPPPP………………》》
カメラ部のLEDが点灯して、反重力装置独特の『澄んだ音』が響いて、ふわりと浮かんで……―――――
「う……動きました!動いてますよ!!損傷率8割超のこの状態で……!!実に奇跡ですぅ……!!」
『ホンモノのローズやフェリーチェが閉じ込められてるかもしれないって思ったから……ちょっとだけ、急所を外したの。結果オーライだったみたいね♪ドクター・トラウムだってあそこまでフルボッコにされても生きてたし……』
『全然わからなかった……』
《録画してるから、あとでチェックしようぜ♪》
"キュアデーティア"の胸のハート型のブローチが水色の光で点滅して、彼女と一体化しているであろう"C2"の声が響きます。
『ミルキィローズやキュアフェリーチェのキメ技をあんな風に再現できるって、スゴいよ!最初は本物のローズとフェリーチェが入ってるからかなって思ったけど、自分で作ったのならスゴいって!』
「そうなんですか……?」
『あとで『CURE-TUBE』見てみてよ!実際のアニメのふたりの技と見比べてみたら、どれだけそっくりかわかるって!』
「は、はぁ……参考にしてみます」
実に……この方はプリキュアが大好きなのですね。
先程からの戦い方、言動、その全てが、"ヒーロー"のそれですもの。さながら、本当に『テレビの中から飛び出してきた』ような。
目の前にいるのに、まるで手の届かない遠くにいるかのような―――――
そんな、"強烈な非顕在性"を禁じ得ないこの方たちは、一体何処の誰なのか―――――
最初は彼女達の『本質』を追い求めるあまり、彼女達の『パーソナリティ』に、当初興味はありませんでしたが……
ワタシとそう年齢が変わらないように見える、ふたりの少女―――――
彼女達の"内面"をも、ワタシは『知りたい』と感じていました―――――
『さて、と……もう遅いし、明日も学校だし……私たち、そろそろ帰るね』
「あ……あの!」
こちらに背を向けた"キュアメモリアル"を、思わずワタシは呼び止めていました。
「その……今日は本当にごめんなさい…………そして―――――ありがとうございました!」
今日のこの戦い……ワタシにとって無駄ではありませんでした。
いくつもの謎が解明され、同時に、アナタたちのことをもっと『知ること』ができると、ワタシに教えてくださったこと。
こんな、知識欲だけでご迷惑をかけてしまったワタシのことを想って、尊重してくださったこと。
そして―――――
"キュアメモリアル"―――――彼女の言葉の一つ一つが、ワタシの琴線に触れたこと。
ワタシの言葉を否定することなく、あるがまま受け入れて、ワタシと彼女達の目標を『競争』というカタチで互いの発奮材料にする、ある種の『したたかさ』……。
―――――今日、ワタシが得たモノで一番大きかったのは、『この方の存在』だったのかも知れません……。
この方が、東堂博士が追い求めていた『
"キュアメモリアル"は、そんなワタシを肩越しに見て、ふっと口元を緩めます。
『お礼なんていいって。……これからは競争になるけど、私たち、手は抜かないからね。『待ってる』、なんて言わないよ』
その瞬間―――――逆光に映える桃色の輝きが、ワタシの脳裏に鮮烈に刻み込まれました。
『先に往ってる』
その言葉と桃色の軌跡を残して、彼女は住宅街の向こうへと消えました。もうひとりの"キュアデーティア"も、ワタシに軽く会釈すると、その姿を追って飛び立っていきました。
「……う……うぇひ……♪」
また―――――涙が出てきましたよ……。
「よりにもよって……まさか博士と同じコトを仰られるとは―――――」
以前、ワタシが1度だけ、東堂博士と直にお会いした時に、思いの丈を博士にぶつけた時、返されたお言葉もそう―――――
―――――私は待ちはしませんよ?先に往ってます。貴女のその意志で、私に追いついてきてください
何故だか……東堂博士と"キュアメモリアル"が、ワタシの中でダブりはじめたじゃないですか……
けれどこれは、彼女なりの檄なのでしょうね。ワタシが、ワタシの持てる力のすべてを以って、この『謎』を解明してみろ、という挑戦状―――――
「わかりました……博士……そして、"キュアメモリアル"……アナタたちに、必ず何時か、恩を返します……博士の論文を証明し、そして……『
近年……ここまで滾ったことはありません……
そう考えてみれば―――――あながち間違いではないのかもしれませんね。
彼女達こそ、電脳世界から、ワタシを『退屈』という
……SAVE POINT
……ね?りんくさんの言動に不完全燃焼されたでしょう?
何故無理やりにでもローズとフェリーチェのありかを聞き出さなかったのか、と。
その答えは……次回で。
今回はすぐに読めますよ♪