インストール@プリキュア!   作:稚拙

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 データ「オイほくと。仮面ライダーサウザーの必殺技な、ありゃ絶対マネするな」

 ほくと「え?どうして?」

 データ「技の名前のカットインのトコに、『©ZAIAエンターブライズ』って書いてあったろ。ありゃ、必殺技が著作権を持ってるってコトだ……ウカツにマネしちまうとヤバいコトになる……ある意味、ジャークウェブよりもよっぽど()()()()()()()を相手に裁判所でバトルファイトをだな―――――」

 ほくと「な、なんだかよくわからないけど、大変な事になるかもしれない、ってコトは覚えておこう……。」

 ――――――――――

 いきなりお茶を濁してスミマセン、稚拙です。
 前回の時に書こうと思っていたネタなんですが、忘れちゃっていまして……(^^;)
 それにしても、まさかリアルの世界にビョーゲンズが出現してしまうとは……
 このせいで稚拙の趣味である鉄道旅行もできやしません……
 ヒーリングっど❤プリキュアの皆さん、こっちに来て何とかしてくれませんかねぇ……?

 さて今回は『ブレイブ&スナイプVSネガキュアバグスター』の最終章となります!
 まさかの展開の連続、書いてる稚拙もビックリの驚きのレベルアップ、ここに送信!


僕とアタシが、『MIRAI's HOPE(ミライノキボウ)

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――――――――――

 

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――――――――――

 

 《リコーーーーーーーーー!!!!!》

 

 最後のキックが命中する、その瞬間だった。

 

 《LIQUID! PLEASE!!》

 ―――リキッド!プリーズ!

 

 全身を液体化した()()()()()は、キックが命中すると同時に、大きな水の球体に変わって、"マジカル"を包み込んだ……!

 ……って、コイツぁ……!?

 

 『ようやく……止められた……!』

 《ほくと……お前……!?》

 『こうでもしなきゃ、抑え込めないって思ってさ……』

 

 なるほど、自分も相手も『水』なら、先に化けたもん勝ちってか。

 確かこの手の液体化魔法、本来『魔法つかいプリキュア』は使えなかったハズだ。それならたとえ水の中で息ができようと、水になってる()()()()()に手の出しようもない。仮にフォームチェンジしたところで溺れて終了、為す術が無くなるワケか。

 だが……

 

 《なぁ、ほくと……》

 『何?』

 《コイツを閉じこめたはいいけどよ……これからどうするよ?》

 

 30秒ほど沈黙した。

 

 『………………………………あ』

 《考えてなかったのかよ!?》

 

 つまり相手からは攻められないがこっちからも手出し出来ねぇ千日手*1じゃねーか……南光太郎でもこんな凡ミスしねーぞ……

 

 《わたしは……少しだけならこのままでもいいかな~って思うけど……》

 《いいのかよ……これまたどーしてよ?》

 《……お話、し足りないから……これなら、ちょっとだけの間だけでもお話しできるじゃない?》

 《なぁんか、熟年夫婦みてぇだなぁ。親父とお袋を思い出すぜ……16年も同棲してりゃ、そうなっか♪》

 《ど、同棲って……せめて『ルームシェア』って言ってよっ////》

 

 いやぁ、サーバー王国でのミラクルとマジカルのラブラブっぷりは評判だったなぁ。見てるこっちが恥ずかしくなっちまうくらいに見せつけてきやがるんだからなぁ……

 

 《フェリーチェもまぁイイ感じに子供っぽかったから、3人でいると完全に子連れの新婚家庭―――――》

 

 ――――――――――……?

 

 違和感を覚えた。

 なんだ、この感じ……?

 "体力"を削られたり、吸われたりしているわけじゃぁない。なんかこう、"やる気"というか、アタマん中からゆっくりと、何かを"抽出"されているような―――――

 そういえばさっきから、捕らえている"マジカル"がいやに大人しいな。全身を脱力させて、ピクリとも動いていない。

 ……いや、違う……

 よく見ると"マジカル"の右手から、黒い光が仄かに放たれていた。

 

 『…………ドレインタッチ…………』

 

 "マジカル"が底冷えするような声で呟くのが、聞こえた。

 

 『キエチャウ…………キエタクナイ……ソウデスヨネ…………"メグミン"サン……?』

 《な……何言ってんだ、コイツ……!?元々ワケワカランことばかり言ってるが

 《"ドレインタッチ"……"めぐみん"……"爆裂"…………うっ、頭が……》

 《アンタまで何言い出すんだ!?つーか魔力吸われてるってコトだろ!?早く何とか―――――》

 

 そのとき―――――

 不意に、トンでもねぇ熱量が真下から迫ってくるのを感じた。コイツは―――――!!

 アタシは思うより先に叫んでいた―――――

 

 《―――――ほくとッッ!!》

 

 

今すぐ魔法を解けぇぇぇぇぇぇ!!!!!

 

 

 瞬間―――――

 火の鳥が視界を燃やした。

 途端に戻る確かな"実体"―――――

 

 『コイツ、は……!』

 《"スカーレット"のヤツ……!狙ってやがったのか……!》

 

 あのまま液化したままだったら、跡形もなく蒸発させられてた―――――それほどの熱量を確かに感じる。

 だが―――――

 

 《………………マジ、カル…………?》

 

 それだけじゃなかった。

 その名を呟くミラクルの声で気付いた。

 

 "マジカル"が、縦真一文字に両断されていたことに。

 

 《なんだ…………と……!?》

 《…………………………あ、……あ、ああ、……》

 《ミラ……ク、ル…………?》

 

 

 《                                》

 

 

 ―――――!!!!!!!!!―――――

 

 《ぐぅあああああああああっっっ!!!》

 

 ミラクルの絶叫がこだました瞬間、全身に今まで感じたことのない、暑さでも寒さでもない―――――"(いや)な感覚"が全身を侵して、這いずり回った。

 

 『う、あああ!ぐぁああああああああ!!!』

 

 アタシと感覚を共有しているほくとにも"厭な感覚"が襲い来る。言葉にするのもおこがましいが、『全身の血管に小さい針をしこたま入れられて、内側から刺されまくる』ような―――――

 

 ―――――ズドン!!!

 

 その音と衝撃で、いつの間にか地面に墜ちていたことに気づくも、まだ"厭な感覚"は治まらない。全身からイーネルギーをスパークさせながら、なおもほくとはアスファルトの道路上でのたうち回る。

 

 『おい何があった!?どこをやられた!?』

 『チ……どうなってる……!』

 

 ブレイブとスナイプが駆けつけてくるも、まともに受け答えできねぇ……

 何か攻撃を喰らったわけでもなく、単純に『自分自身の不具合』でこうなった、なんて、カッコ悪すぎて言えやしねぇが……ッ!!

 

 《ぅ、ぁ、ぐぅぅ……ッ!!》

 

 ―――――なんとか、しねぇと……!

 いきなりこうなっちまったが、原因は一つしか考えられねえ……!

 

 《ミ、ミラクル!……おい、ミラクル!!》

 

 アタシは隣の"部屋"に半ば強引に体―――――厳密には違うが、こうイメージしてくれりゃ問題ねぇ―――――を押し込んで、とてもアニメじゃ見せられねぇような凄惨(むご)い顔のミラクルを見た。

 

 《リコ……リコ……リコが……リコ、リ、リコ、リコ……》

 

 涙を止め処無く流し出してくる両の目の焦点が合ってない。ここまで錯乱したプリキュアを間近で見たのは、たぶん初めてだ。その様子に少し気圧されながら、アタシは怒鳴る。

 

 《……よく見ろ!違ぇだろ!?ありゃマジカル"本人"じゃねぇ……ッ!》

 《リコ……じゃ……な、い……?》

 《あぁそうだ……!マジカルの力を無断借用してる、見た目がソックリなだけのタダの偽物(パチモン)だっ……!!》

 《に、せ、もの……………………》

 《だいたいな、ちょっとヌケてっけど基本マジメなマジカルがよ、ワケわかんねぇことブツクサ呟きまくるキャラか!?》

 《…………!!》

 《つーか、アンタの方がマジカルのことよくわかってんだろ!?……冷静に考えてみろよ!アタシが知ってる"真宝のマジカル"より、アンタが知ってる『キュアマジカル』……いや、『十六夜リコ』のほうが、よっぽど『ホンモノ』なんだよ!!わかんだろ!アンタが知ってるアンタの相棒……"ソイツ"は……どんなヤツだったよ…………?》

 

 そう言い切った時にはもう、ミラクルはきょとんとした顔になっていた。そして、こう言ったんだ。

 

 

 

 《………………………………ぽんこつ》

 

 

 

 『キュアマジカル』を表現する言葉として、これほど的を射た言葉はねぇよなぁ……

 真面目なんだが、空回りとか奇行とかも割と多くて、完璧主義だけど完璧にゃ程遠い……クールビューティーならぬ"フ"ールビューティー、いわゆる残念美人なんだよな。ま、アタシはそこがマジカルのチャームポイントだって思ってるけど。

 

 《でも……失敗するところも……それをちゃんと勉強して克服するところも……真面目なところも……負けず嫌いなところも……ちょっとおっちょこちょいなところも……わたしは……そんな……そんなリコの…………》

 

 

 

 

 

 "全部"が、『だいすき』で……

 

 

 "全部"が、『かわいい』って思う……

 

 

 

 

 《ぷ、っははははははははは!!!!!!!》

 

 いや、おかしくて笑ってるわけじゃねぇんだ。

 やっぱこの人にマジカル語らせて、敵うヤツなんざいねーわ。年季が違いすぎらぁ。

 

 《データ……?》

 《やっぱアンタら、ナイスカップルだぜ!ラブラブ全開おしどり夫婦じゃねーか!》

 《ふ、"ふ~ふ"って……////////》

 『ああ……そうだね』

 《ほくと!お前……》

 

 ほくとも大分楽になったようで、よろめきながらも立ち上がる。

 

 『キミとマジカルは、一心同体だって聞いてる……同じ空に浮かぶ、月と太陽……昼と夜、世界を照らし続ける、ふたつの天の光……』

 

 ほくとにしちゃ、粋な表現使うじゃねぇか。しかしミラクルはこうツッコむ。

 

 《太陽と月は同じ空に昇らないハズじゃ……》

 『だからだよ』

 

 ほくとは、天に浮かぶ太陽にその右手をかざす。まるで、『仮面ライダーウィザード』のオープニング映像のワンシーンみたいに。

 

 『まるで月と太陽……重なる時の衝撃……!"奇跡"か"魔法"と感じさせる、"ふたつの天の光"が並び立つ光景……それがキミたちふたりの本当の姿なら……僕も、"それ"が、見てみたい……!』

 

 ほくとは、胸のイーネドライブを掴んで言った。

 

 『言ったよね……僕はキミだけの『希望』じゃない……キミと彼女……『ミラクルとマジカル』の、『最後の希望』だって……!だから―――――』

 

 ほくとが視線を向けたその先に、土煙がそそり立った。やがて、全身を炎に包んだ"スカーレット"と、漆黒の闇をまとった"マジカル"が、五体満足でその姿を現す。

 ……ってか、やっぱり"マジカル"は再生してやがったか。とはいえ、プリキュアの姿(ガワ)で"デスベホマ*2"かますとか、やっぱコイツら、胸クソモンだ……!

 

 『―――――僕とデータを、信じて』

 

 ほくとも同じ思いだったらしく、ぎり、と拳を握り締め、ふたりの"邪悪な類似品"を睨んだ。

 

 《……ほくと……データ…………ごめん》

 

 ぽつりと、ミラクルが呟く。

 

 《わたしのせいで……わたしが心を乱したせいで、ふたりに迷惑かけて……わたし……》

 《皆まで言うなよ。そりゃ、大切な人が目の前で八つ裂かれちゃ、誰だってああなるさ……》

 

 不意に、アタシの心をトゲが刺す。

 

 《アタシもそうなりかけた……から、さ》

 

 ミラクルは……まだいい方さ。

 真っ二つになったのがニセモノで。

 アタシの目の前でいなくなったのは―――――

 

 "ホンモノ"―――――だったんだから―――――

 

 《!データ、ごめん……ごめんね……》

 《……そう何度も謝んなって。『伝説の魔法つかい』サマにヘコられちゃ、ムズガユいぜ。でも―――――》

 

 ミラクルをこんな目に遭わせたアイツらには、きっちりと仕返ししなきゃ気が済まねぇ―――――

 

 《とりま、オトシマエはつけさせてもらうとしようぜ》

 『あぁ……勿論だ。ミラクルの心を……絆を抉りつけたこと……許すわけには行かない……!』

 《データ……ほくと……》

 『僕が助けたいのは、東堂さんだけじゃない……プリキュアたちを助けることも、僕のやるべき、果たすべき使命なんだ……!』

 

 自分に言い聞かせるように、ほくとは叫ぶ。

 

 『……キミたちの昨日……今日……明日……これからずっと先の"未来(みらい)"……すべてに流すその涙を"希望(ほうせき)"に変える……!だからミラクル―――――もうキミに、絶望なんかさせはしない!』

 

 あぁそうさ。

 『伝説の魔法つかいの、"最後の希望"』になろうぜ。

 アタシたちの本気(マジ)を、ヤツらにぶつけるんだ……!

 

 《ほくと……データ……―――――》

 

 ミラクルの目からは、さっきとは違う、希望に満ちた輝きを放つ"(ほうせき)が、あふれていた。

 

 ――――――――――

 

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 ――――――――――

 

 『おい何が起こってた!?おれ達にも解るように説明しろ!?』

 

 マグナムを二体のバグッチャーに向けたまま、スナイプががなる。

 

 『別の女の声も聞こえていたが……本当に大丈夫か?』

 

 ブレイブの複眼に、明らかな困惑の色が見える。でも多分、説明すると長くなるし、きちんとわかってもらえるように説明する自信も、暇もない。

 僕は笑って―――――アームウォーマーの裾を引っ張って直す*3と、ふたりのライダーに応えた。

 

 『ご心配なく!もう大丈夫です!』

 

 さぁ、ここから仕切り直しだ。

 ここからは慎重に、地に足を着けた立ち回りを心掛けないと。それなら―――――

 

 『キュアップ・ラパパ!』

 

LAND! PLEASE!! DODDODDO!DODODON!DODDODDODON!

ランド!プリーズ!!ドッドッド!ドドドン!ドン!ドッドッドン!

 

" ト パ ー ズ モ ー ド " ! !

 

 この姿で、どっしりと構えようじゃないか。

 

 『さっきから見ていたがその力……『Dr.パックマン事件*4』で研修医が遭遇した仮面ライダー……『ウィザード』に似ているな』

 『!晴人さんを知ってるんですか!?』

 『直接は見てないがな。エグゼイドの報告書(カルテ)で読んだだけだ……魔法なんて全く以てマユツバものだがな』

 

 仮面ライダーウィザードのみならず、『あの映画』で彼らと共闘したライダーたちも実在しているのかと思うと、さらに胸が高鳴るのを感じてやまない。……ただ、質問事項が増えた気がする。彼らは敵以上に、僕の一挙手一投足に注目している、のだろうか。

 

 『ボワアアァァァァァァァ!!!!』

 

 "スカーレット"が獣のような咆哮を上げると、自身を火の鳥の姿に変えた。呼応するように、"マジカル"も漆黒のコウモリへと変じた。炎と闇のバケモノが、まっすぐ僕へと殺到する。

 

 『……突っ込んで来るぞ!』

 『それなら、これで!!キュアップ・ラパパッッ!!』

 

 《DEFEND! PLEASE!!》

 ―――ディフェーーンド!プリーズ!

 

 "スカーレット"と"マジカル"の進路上に、四角い岩の壁がそそり立った。そこに激突したのか、衝突音が耳を衝く。

 一瞬で岩の壁にヒビが入るのを見て、僕は連続で岩の壁を立たせる。前だけじゃなく、前後左右、斜めと、全方向の進路を岩の壁で塞いで、動きと視界を封じる―――――

 これぞ―――――

 

―――――空現流封殺兵法―――――

 

(ハッ) () () (フウ) (ジン)

 

 《動きを止めたか……やるじゃねぇか!》

 『さぁ、フィナーレだ……行くよ、データ!ミラクル!』

 《よっしゃぁ!》

 《うん!!》

 

 すぐさま"ルビースタイル"に戻って、リンクルステッキに念を込め、唱える。

 

キュアップ…………ラパパッ!!

 

L'POUCH MAGIC TOUCH GO!!

ルパッチマジックタッチゴー!

 

CHOUIINE! KICK STRIKE!!

チョーイイネ!キックストライク!!

 

SAIKOHHHHHHH!!!!!

サイコーーーーーー!!!

 

 僕の眼前の岩の壁が次々に砕けて、赤い魔法陣が幾重にも展開されて、僕を導く。焔のラインが延びて、一直線に"道"をつくる。

 これが僕の……僕たちの、勝利への道だ!

 僕は駆け出し、まとまって立っている"スカーレット"と"マジカル"を見据える。

 そして、飛び込み側転から、連続での後方転回へと―――――

 

 《ひゃぁ~~~!?》

 

 心の中のミラクルが悲鳴をあげる。こうしたアクロバット、プリキュアなら慣れてるハズだけど……

 この技こそ、ライダーキックの中で最も『よい子のみんながまねできない』最高難度の技……その名は―――――!

 

S T R I K E W I Z A R D

―――――ス ト ラ イ ク ウ ィ ザ ー ド―――――

 

 

 跳躍から、勢いを乗せて繰り出したキックが、"スカーレット"を正面から捉え、その背後にいた"マジカル"を巻き込んで吹っ飛び、その場を取り囲んでいた岩の壁、その一枚にぶつかり止まった。

 

 『ふぃ~……』

 《そこまでマネするたぁ徹底してるな》

 『これをしなければウィザードじゃないからね。でも―――――』

 

 これは残心でもある。ゆっくりと立ち上がろうとするふたりのバグッチャーに、油断はしない。

 

 『まだ、終わってない』

 

 今までのバグッチャーとは、スタミナが段違いだ。でも、ここまでのタフネス、いったいどこからくる……?

 

 《リコとトワ……苦しがってる……》

 『……ミラクル……』

 

 ミラクルの心が、僕の中に広がっていく。

 

 《データ……ほくと……わたしも……わたしも"希望"になりたい……!》

 

 心の中のミラクルがそっと右手を伸ばす。その先にいるのは、苦悶に体を震わせる"マジカル"と"スカーレット"―――――

 

 《"ここ"にいるわたしの手が、あのふたりに届かないコト……触れられないコトはわかってる……でも……でも、わたしだって、リコとトワを助けたい!助ける力になりたい!》

 

 熱く―――――

 それでいて優しい、ミラクルの『想い』が、僕の中へと浸透していく―――――

 

 『わかるよ……言葉にしなくても、"こうして"いると伝わってくる……大切な人を失いそうになること……手が離れそうになることが辛いことなのは、誰にとっても同じことなんだ……』

 《手が届かねえまま、目の前で消えて無くなるところを直接見ちまったら、なおさらな……だから、『もう誰にも味わわせたくねぇ』って、そんな気持ちになる……!》

 《ほくと……データ……》

 『そんな心の傷……心が流す涙も全部、僕は……僕たちは掬い上げる……!たとえこれが、"最高難度のピンチ"とて……』

 

僕たちは…………立ち向かう!!

 

 

〈SOUL-SYMPARATE〉

 

〈HOKUTO   120%〉〈DATA    120%〉

 

〈MIRAI    120%〉

 

《CURE-DATEAR! CURE-MIRACLE!!》

 

MAHO GIRLS! LEGENDRIVE!!!

 

 

 ―――――()()()()()

 

 瞬間、僕の姿が、まだ変身していない姿(フォーム)へと変わる。ピンク色を基調とした、ミラクルスタイルの基本形態―――――"ダイヤモンドスタイル"か。

 そして、首の後ろの機械が唸りを上げ、グローブとブーツ、ワンピースがスライドして変形し、ピンク色のラインが眩い光を放ち始める。少し戸惑って近くのビルのウインドーに目をやると、自分の髪の毛が黄金色(きんいろ)に輝き、両目が薄紫色に光るのが見えた。

 心の中にいるキュアミラクルのヴィジョンと、今の僕の姿が重なっていく―――――

 

 《この力……この魔力……わたし達なら、できるかもしれない……!》

 『ミラクル……これは……!?』

 《本当は、わたしとマジカル、フェリーチェとモフルン……4人で協力して使うために考えた魔法……わたしひとりで使えるかどうか、今まで自信がなかった……でも……でもね!ほくとが希望をくれた……データから勇気をもらった……!だから……!》

 『ミラクル……』

 《ヘッ、アタシゃマジレンジャー*5かよ……いつ勇気出したっけ?》

 《"他人のココロ"に遠慮なしに"直接入ってくる"なんて、フツーやらないと思うけどなぁ~♪》

 《……ったく、"からかい上手"なこって》

 

 やれやれと笑うデータに、笑い返すミラクル。

 

 『これって……"日曜日の朝の魔法"の集大成だね……!』

 《?日曜日??》

 《理由は後でほくととりんくに聞きなよ》

 

 仮面ライダーウィザードの『希望』―――――

 魔法戦隊マジレンジャーの『勇気』―――――

 そして、魔法つかいプリキュアの『絆』―――――!

 

 『すべて』を、この魔法に―――――!

 

 《行くよ……ほくと!データ!》

 『ああ……ショータイムだ!』

 『マジで行くぜ!!』

 

キュアップ・ラパパ!!

 

 3人で呪文を唱えると、3つの魔法陣が僕の周囲に展開して、ぐるぐると回転をはじめる。そしてその魔法陣の上に、光り輝く宝石が顕現した。

 確かアレは―――――

 

 『"リンクルストーン"……だよね?』

 《ストーンから直接魔力を引き出して、わたし達の魔力と合わせて増幅させるの……!ふたりとも、わたしと一緒に!》

 『……!うん!』

 《アタシ達のアタマん中は接続済みだぜ!ミラクル!思いっきりブチかましてくれ!》

 《……オッケー!》

 

 両手でリンクルステッキを握り締め、ふたりのバグッチャーを見据えて―――――

 

 『《《絆の金剛、力の紅、自由の蒼、創造の黄……隔世(かくぜ)(くぎりめ)超越せし輝石、つながる奇跡……》》』

 

 魔力の高まりとともに、呪文の詠唱がはじまる。すると、ふたりのバグッチャーの足下に、僕の周囲に展開されているモノと同じ魔法陣が現れ、回転し始めた。周囲の空気が震えて、地鳴りにも似た轟音すら響き渡る。

 

 『《《収斂(しゅうれん)せし祈念(きねん)、高揚せし心願(しんがん)、此処に顕現せん……境界を解き放たれし大いなる魔の理よ、今こそ、希望と勇気と絆とともに結晶せしめ、伝説の魔法つかい・"プリキュア"の名の下に爆裂せよ!!はぁっ!!!》》』

 

 気合の裂帛とともにステッキをバグッチャーに向けると、身体の中の魔力が一気に弾けた。解き放たれた『見えない魔力』が、バグッチャーめがけて一気に集束する、そして―――――

 

 

 ――――――――――!!!!!!!!!!

 

 

 『……!』

 

 思わず僕は、息を呑んだ。

 岩の壁がすべて粉々に吹き飛ぶと同時に、巨大な、そして透明な『結晶体の花』が咲いて、ふたりのバグッチャーを完全に閉じ込め、その動きを()めていたからだ。

 

 《集中して!》

 『わかった!』

 《おっしゃぁ!》

 

 その上で、さらに魔力を集中させる。全身からピンク色の光が漏れ出し、弾けるようにスパークして、『結晶体の花』へと流れ込む。

 透明だった花が、桜のような淡いピンク色に染め上げられた次の瞬間―――――

 

 

輝 石 氷 結 極 大 爆 裂 魔 法(ジュエリアルエクスプロージョン)

 

 

 一瞬の閃光の後、極彩色の大爆発を巻き起こした。

 衝撃波でビル街の窓やドアのガラスの一切合切が弾け散り、街路樹が根こそぎ掘り返され、周囲に乗り捨てられていた車が木っ端のように吹っ飛ぶのが、視界の隅に見えた。大型トラックすら横転し、爆風に押されるようにアスファルトを滑っていく、背筋がぞっとする光景がそこにあった。

 

 『中学生ッ!何をしたァッ!!??』

 『ちッ……ゲームエリアでもないのに*6傍迷惑な野郎だ……!だが……!』

 

 飛彩先生の怒声と、大我先生の舌打ちがかすかに聞こえた。

 ……でも、戦慄しているのは僕も同じ。"レジェンドライブ"で使う技はぶっつけ本番、実際に放つ僕ですら全容を知らないから、結果を見てぞっとする。

 爆風の中、とかく僕の心臓が早鐘を打っていた。

 

 《………………お願い……!》

 

 切ない声が、胸の中から響く。

 僕もまた、心の中では祈りに近い思いを抱いていた。マジカルとスカーレット、そして東堂さんの苦しみが、これで終わりを迎えるなら―――――

 

 ―――――ゆらり。

 

 『…………!!!』

 

 陽炎の中、揺らめく影に戦慄した。

 

 《マジ、かよ……!?》

 

 瞠目するデータ。

 

 《そんな…………!》

 

 ミラクルの表情から、希望が消える。

 

 

ウウウウウウアァァァァァァァア!!!!!

 

 

 叫声がこだまし、周囲の爆煙が四散する。

 

 『効かな、かった……!?』

 

 心の中で広がっていく恐怖心に体が反応したのか、身体の各所から蒸気が噴き出す。

 全身の光が消え、コスチュームが元の状態へと戻っていく―――――

 

 《ごめんね……トワ…………ごめんね………………リコ…………》

 

 ミラクルの無念の言葉が胸に響いて、コミューンからミラクルのチップが強制排出されてしまった。

 そして、視界に〈NOW FORCED COOLING(強制冷却) PLEASE WAIT AT 3:00〉と、英語と数字が浮かび上がり、カウントダウンが始まると同時に―――――

 

 ――――――――――!!!

 

 レジェンドインストールが解除され、鉛のような重量が全身に圧し掛かる。僕は思わず片膝をついた。

 

 《ほくと……ッ!!》

 『く……ぅぅ……ッ……!!』

 

 ミラクルの、渾身の大魔法さえ無傷で乗り切るなんて……!!

 おかしい……!どうしてこうも、肝心要の手が"(いな)される"んだ……!?

 単純に頑丈なだけじゃ説明がつかない……!いったいどんなカラクリがあるってんだよ……!!

 

 『ち……くしょぉぉぉ…………!!』

 

 もはや手がない―――――!

 勇んで戦いだして、またこれかよ……!また、これ、かよッッ……!!!

 

 

 

 ――――――――――ダァン!

 

 

 

 『!?』

 

 銃声が、僕の心の絶望を割いた。

 顔を上げると、先程まで全身に焔を纏っていた"スカーレット"が、変化する前の"ブラック"に似た姿に戻っていて、右肩を押さえていた……!?

 

 『なんとなく、だが…………カラクリがわかってきたぜ』

 

 その声に振り向くと、仮面ライダースナイプの構えるマグナムの銃口から、硝煙が洩れている。

 その隣に、仮面ライダーブレイブが立つ。

 

 『焔や暗闇が無くなった途端、バグスター反応が復帰した……"そっちの姿"なら、おれ達ライダーの攻撃が通る道理か』

 『……そして"もう一つの姿"となるとバグスター反応が消え、中学生の攻撃が通用するということだな……』

 

 そういうことか!

 奴らは、『バグスター』と『バグッチャー』、それぞれの姿を切り替えられるのか!

 さっきのミラクルの魔法を凌いだのも、とっさに『バグスター』の姿に切り替えたから、とすれば合点がいく。

 立ち上がれない僕のすぐ横を、ブレイブとスナイプ、ふたりのライダーが通り抜ける。

 

 『中学生―――――よくやった』

 『ここからはまた、おれ達の"手術"だ。お前はしばらくそこで見物してな』

 

 ふたりとも、僕を見てはいなかった。でも―――――

 その言葉から、優しさを感じたのは、絶対に気のせいじゃなかった。

 

 『ブレイブ』

 『ああ』

 

 ふたりは揃って、また別のガシャットを手に取った。ブレイブは黄色、スナイプはオレンジ色のガシャット。それらもまた、見覚えがあった。

 ブレイブが持っているのは、音楽ゲーム『ドレミファビートガシャット』。スナイプのモノは戦闘機操縦ゲーム『ジェットコンバットガシャット』だ。

 ふたりはそれぞれ、バグッチャー……否、『バグスター』に見せつけるようにガシャットを掲げた。その時―――――

 

 『『ゼッタイニ…………マケナイィィィィ!!!!』』

 

 ふたりのバグスターが同時に叫び、掌から白と黒の光弾を放った。それらの光弾はまっすぐに、ガシャットを掲げていたふたりのライダーの手首に命中し、ガシャットが高々と宙に舞った。

 

 『『!!』』

 《変身中に攻撃するたぁ掟破りなヤローだッ……!》

 『ジャマは……させない!!』

 

 僕は全身の倦怠感を振りはらって、サイドスロー気味に光弾を投げ放った。命中はしなかったけど、バグスターの出端はくじけた。ライダーたちがレベルアップする時間は稼げるはず……!

 そう思ってふたりのライダーに振り返ると、無事にガシャットはその手に戻っていた。

 ―――――しかし。

 ブレイブが手にしていたのは、()()()()()()()()()()()()()()

 スナイプが手にしていたのは、()()()()()()()()()()()()()

 つまり、ふたりが本来使用するハズだったモノとは、『逆』のガシャットを手にしてしまっていた。

 でも―――――

 ブレイブとスナイプは、互いを一瞬見やっただけで、迷わず同時に言った。

 

 

 『『借りるぞ!』』

 

 

 ………………(;゚Д゚)

 

 『ええええええ~~~~!!?!?!?』

 《い、いいのかよ!?その……ソレって……!》

 

 驚愕のあまり絶叫する僕。我慢ならないデータがツッコむ。もっとも、しどろもどろになったけど。

 意に介さず、ブレイブとスナイプは宣言する。

 

 

 『『コイツに使えて、俺(おれ)に使えない(はず)は無い!!』』

 

 

 意地っぱりというか、なんというか……

 元々、飛彩先生の恋人である百瀬小姫さんが感染したバグスターを大我先生が取り逃がしたことで小姫さんが亡くなり、そこから複雑な因縁が生まれたふたり。

 紆余曲折を経て和解した今でも、やっぱり内心ではライバル……なんだろうか。

 

JET COMBAT(ジェットコンバット)!!

 

DOREMIFA! BEAT(ドレミファ!ビィィト)!!

 

 ブレイブとスナイプがガシャットを起動すると、ふたりのライダーの背後に四角いゲーム画面が浮かび上がり、その中からオレンジ色の『コンバットゲーマ』と『ビートゲーマ』、2体の『ゲーマ*7』が飛び出してきた。警戒して突撃しようとするふたりのバグスターに、ビートゲーマとコンバットゲーマが、たくさんの音符とミサイルをばらまき、牽制する。

 

 《GA!CHOOOONNN(ガッチョーーーン)!!》

 

術式レベル3……!!

 

第参戦術……!!

 

 《GASHAT(ガシャット)!!》

 《GA!CHAAAANNNN(ガッチャーーーン)!!》

 《LEVEL UP(レベルアーーップ)!!》

 

TADDLE MEGGLE! TADDLE MEGGLE!(タドルメグルタドルメグル)

TADDLE QUEST―――(タドルクエスト~~)!!♪

A GACCHA(アガッチャ)!! ♪JET! JET! IN THE SKY!(ジェット!ジェット!インザスカァイ!)

JET! JET!(ジェットジェット) JET COMBAAAAAT(ジェットコンバァァァット)!!

 

BABANG!BANG! BANG!BABANG!!(ババンバン!バンババン!)YEAH!!

BANG!BANG! SHOOTING(バン!バン!シューティングゥゥゥゥ)!!

A GACCHA(アガッチャ)!! ♪DO!DO!DOREMIFASO!RA!SI!DO!(ド・ド・ドレミファ・ソ・ラ・シ・ド)

♪OK! DOREMIFA BEAT(ドレミファビート)~~!!♪

 

 

 こうして、僕の目の前に、既視感と違和感がごちゃ混ぜになった、未知のフォームのライダーが現れた。

 片や、鋼の翼を背負った騎士―――――『仮面ライダーブレイブ・コンバットクエストゲーマーレベル3』。

 此方、肩にスピーカーを備えた狙撃手―――――『仮面ライダースナイプ・ビートシューティングゲーマーレベル3』。

 "設定的に有り得た"けれど、ドラマには一切登場しなかった、幻の姿―――――!

 

 『これより―――――バグスター切除手術を―――――』

 『ミッション―――――、』

 

 

再 開 す る !

 

 

 ブレイブの背中のユニットが火を噴いたと思うと、一瞬で滑空、"ホワイト"を引っさらって天高く飛んだ。宙に舞った"ホワイト"に、ブレイブは前から、後ろから、上から、下からと、何度も往復しながら連続で斬撃を叩き込む。最後に高空からのキックで"ホワイト"をビルの壁面に叩きつけ、追撃とばかりに『ガトリングコンバット*8』を"ホワイト"目掛けて集中連射した。

 

 《使いこなしてやがる……》

 

 データは唖然としていた。たぶん、この時の僕はデータと同じ表情だったと思う。さっきの宣言は伊達じゃなかったということか。

 怯んでいた"ホワイト"は首をぶんぶんと振って気合いを入れ直すと、ビルの壁を蹴って地面に着地、上空から撃ちかけられる炸裂光弾の雨をすり抜けてダッシュ、二棟並んで建っている高層ビルの間、その壁を、稲妻のような速度のジグザグ軌道で()()()()、滞空していたブレイブへと跳び蹴りを放った。

 ―――――この間、僅か三秒弱。目で追うのがやっとの、超高機動戦闘―――――!

 

 『く!』

 

 ブレイブは空中でかわすも、別のビルを蹴って"ホワイト"がターンしてくる。そこへ今度は無数のミサイルを発射した。"ホワイト"目掛けて、まるで意思を持つかのようにミサイルが殺到する。しかし―――――

 "ホワイト"は飛来するミサイルを足場に、八艘跳びでブレイブに肉薄してきた……!

 

 《……ありえねぇ……》

 

 さっきまでとはまた、別ベクトルの超常的戦闘……!!極限まで肉体の潜在能力を引き出した人体の躍動たるや、僕に『ヒトの可能性』を感じさせてくる―――――その『ヒトのカタチをしたモノ』が、『怪物』であることを忘れさせるほどに。

 花火のようにミサイルが連なって爆ぜ、爆風に乗った回転で勢いを増した"ホワイト"の手刀を、ブレイブは咄嗟に構えたガシャコンソードで受け止め、跳ね上げた。さらに上へと跳び上がった"ホワイト"は、自由落下の勢いを乗せた両脚蹴りを落としてくる。さっきから"ホワイト"は、元々空が飛べないとは思えぬほどの空中戦術で、空飛ぶブレイブと五分の戦いを繰り広げている―――――

 

 『データ……データの師匠って……』

 《いんや、あそこまでバケモノじみちゃねぇ……たぶん……そのハズ……だと思う…………》

 

 『心の部屋』のデータの表情が、だんだんと自信のないモノに変わっていく。つまり、プリキュアはそこまでできるポテンシャルを秘めていると、データも思い知ってしまったのだろう。

 

 『ただ浮いているだけのイージーな存在と……思われるのはノーサンキューだ!!』

 

 ブレイブはガシャコンソードのモードを切り替え、降下してくる"ホワイト"にミサイルをさらに撒き撃った。またも"ミサイル八艘跳び"にかかろうと空中姿勢を変えた"ホワイト"の眼前で炸裂した。しかしミサイルからは炎ではなく、真っ白な煙が散った。

 

 『グ…………!?』

 

 がくりと態勢を崩して落下する"ホワイト"。体表面の所々が白く染まり、霜のようなモノが付着しているようにも見えた。

 

 《冷凍弾か……!どうやらブレイブのジェットコンバットは、ミサイルの撃ち分けができるらしい……!》

 

 データの言葉を示すように、僕の視界に注釈じみた温度解析が重なる。なるほど、ミサイルの爆風をモロに受けた身体の前面の温度が、急激に低下している。

 背中から地面に落下した"ホワイト"のその向こうでは、"ブラック"が周囲を伺いながら身構えていた。

 しかしそこに、スナイプの姿はなく―――――

 

 『スナイプがいない……!?』

 《つーかなんだ……?"ブラック"の周りに浮かんでんのは……》

 

 珍奇な光景だった。

 "ブラック"を取り囲むように、たくさんの、色とりどりの『音符』が浮遊していた。

 

 『ウザイ……ウザァァイ!』

 

 我慢できないとばかりに、ブラックが手近な音符を殴りつけた。瞬間。

 

 ギュイィィィ―――――!

 

 殴られた音符が破裂して、エレキギターに似た音を立てた。そして殴った"ブラック"が、頭を抱えてよろめくのが同時に見えた。

 

 《こっちはこっちでどーなってんだ……?》

 

 すると今度はどこからか銃声が鳴り、その数と同じ数の音符が消え、さらに"ブラック"が頭を抱え、ついにはすぐ側の電灯に頭をガンガンと打ちつけ始めた。

 

 『"高周音波浮遊機雷"……なかなか使えるな』

 

 少し離れた所に、ライフルモードのマグナムを持ったスナイプが降り立った。

 

 『ゆっくりと敵を追いつめ、接触感知で爆破……狙撃の追い込みにお(あつら)え向きだな―――――』

 『グ……ゥゥゥゥァァアアァ!!』

 

 スナイプの姿を認め、振り返る"ブラック"。しかしそこで残った音符が連続で炸裂する。

 

 『―――――……しかもおれの脳波で起爆も出来る』

 

 "ブラック"は5メートルほど吹っ飛んだ。しかしすぐに立ち上がると、もはや遮蔽物のない道路を、スナイプ目掛けて猛然と突き進む。

 それを見たスナイプは躊躇なくライフルモードのガシャコンマグナムを構え、銃爪を引いた。瞬間、"ブラック"は射線から右側へと回り込むように回避する―――――が。

 

 『ウァ!?グウウゥ!?』

 

 何か、見えないモノに弾き飛ばされるような、"違和感のある"吹っ飛ばされ方だ。何が起きた……!?

 それにさっき、スナイプが放った銃撃の射線、その周囲が"歪んで"見えたのは僕の気のせいか……!?

 

 『この弾は"避けても当たる"。どう足掻こうが……無駄だ!』

 

 そう言い放ち、スナイプはさらに立て続けて銃爪を引く。右肩、左膝、そして腹―――――"ブラック"はその度によろめく。

 

 『…………いい加減、"ヒーローごっこ"には飽きた……とっとと子供番組に還れ……!』

 

 恨めしく呟いたスナイプは、ドレミファビートガシャットをガシャコンマグナムのスロットに差し込んだ。

 

 『この一刀で……完全切除する!』

 

 上空から声が―――――全く聞こえなくてもおかしくないけれど、僕にはさっきから飛彩先生の声だけは鋭敏に―――――聞こえた。

 ブレイブもまた、ガシャコンソードにジェットコンバットガシャットをスロットに差し込む。

 

 《GASHAT(ガシャット)!!KIMEWAZA(キメワザ)!!!》

 

JET DOREMIFA

――――――――――――――――――――――――

CRITICAL FINISH!

 

 ブレイブは背部から無数のミサイルを放ち、ガトリングコンバットを連射しながら急降下してくる。オレンジ色の爆風と真っ白な冷気がモザイク模様のように"ホワイト"を包み込み、光の五月雨がそこへ降り注ぐ。

 その視界を、無数の音符が彩る、渦を巻いたエネルギー光波が横切る。見ると、スナイプの構えるマグナムからは光り輝くビームが、左肩の『ワッツアップサウンダー*9』からは音符を纏った竜巻状のエネルギーが放たれ、それらが一つに重なって"ブラック"を巻き込んだ。

 同時に、身動きできなくなった"ホワイト"目掛けて、自由落下とブースター、2つの勢いが重ねられたブレイブ渾身の大上段唐竹割りが"ホワイト"へと振り下ろされ―――――

 

 

 ―――――ヅドォォォォォォォォァァァァァァァンンンンンン!!!!

 

 

 ほぼ同時に、2発の爆音が鼓膜を揺るがし、風圧と熱が僕の髪を激しくなびかせた。

 これで2度目だ。2度、僕とライダーたちの必殺攻撃を叩き込んだことになる。並みのバグスターやバグッチャーなら、とうに塵に帰していてもおかしくないが―――――

 

 

 

 ―――――!―――――

 

 

 

 この、気配……は…………―――――

 

 『ムダ……ムダムダムダ!!ムダナノヨネェェェェ!!』

 『ヨミガエル……フェニックス!!』

 

 闇と焔が巻き上がる。

 ネガキュアバグスター―――――否、ネガキュアバグッチャー、3度目の相転移―――――

 

 『チッ、またか……!このままじゃジリ貧だぜ!?』

 『……こちらの消耗も激しくなってきた……ゲムデウス以来のハードなオペだ…………!』

 

 しかも、さっきとは逆に、『バグッチャー』の反応がある。飛彩先生と大我先生の判断は、間違っていなかったことになる。

 ……でも―――――

 

 《…………りんくにゃ悪いがよ…………『ベストフレンドプリキュア』って…………クソゲーなんじゃないか…………?》

 

 諦めがデータの声色から滲んでいた。

 如何に強力な攻撃とて、効かなければ意味はない。

 やつらが、攻撃を喰らう前に『もう片方の姿』にシフトしてしまえば、どんなに強力な攻撃だろうと簡単に無効化してしまう。

 じゃあ、どうする…………?

 決まってる。

 『両方の姿に効く攻撃』を叩き込めばいい。それくらい、僕にもわかる。

 でもそんな攻撃、僕も、ライダーたちも使えない……!

 プリキュアの『イーネルギー』と、ライダーの『バグスター駆除プログラム』を、同時に叩き込むなんて、そんな都合のいいこと―――――

 

 《飛彩さん!大我さん!》

 

 その時、沈黙を貫く声が響く。

 永夢先生が、ブレイブとスナイプのゲーマドライバーを通して通信を送ってきていて、僕はそれを傍受しているらしい。

 

 『……どうした研修医』

 《あのバグスターの攻略法の目処がつきました!それと、りんくちゃんの病状が……!》

 『!?東堂さんに何かあったんですかっ!?』

 

 僕は思わず通信の向こうの永夢先生に叫んでいた。やはりというかなんというか、永夢先生の返答は戸惑いだった。

 

 《ほくと君!?どうしてほくと君がそこに……!?》

 『とんでもねぇスーパー中学生だぜ。取り敢えず今のコイツを見て驚いてみるかエグゼイド?』

 『ちょ、大我先生!?』

 『……その辺りも含めて、こちらで得られた"治験"の結果も突き合わせる必要があるな』

 《わかりました……一旦撤退を!》

 『了解した……現時点を以て、バグスター切除手術を一時中断する……!』

 

 ……やはり今はそれが妥当か……―――――

 現時点で、僕たち3人だけでこのバグスターを倒せる手段も情報も足りない。それに何より、東堂さんの様子が気になる。一刻も早く、CRに戻らないと。

 でも、僕の『冷却時間』が終わるまであと20秒かかる。撤退するにしても、僕が確実に足手まといに……―――――

 

 『とっととずらかるぞ』

 『―――――へ?(○ ▽ ○)』

 

 僕はスナイプにひょいと担がれた。右腕一本で、米俵さながらに。

 

 『"ファイヤーマンズ・キャリー*10"なんざ柄じゃねぇんだがな……やれ、ブレイブ!』

 『ッ!』

 

 僕を担いだスナイプの前にブレイブが立ち、ミサイルとガトリングコンバットを乱れ撃った。爆風とガンスモークで目の前が灰色に染まり、瞬間がくんと体が引っ張られる。

 僕を担いだまま、スナイプは走る。そしてその横に、ブレイブが並行して飛ぶ。彼の黄色い複眼が、ちらと僕を見てきた。

 

 『……お前のその力……そしてバグスターの突然変異……無関係とは思えん。お前の持っている情報、知っていること……すべて話してもらうぞ―――――中学生』

 

 ギラリと、ブレイブの複眼が鋭く僕を睨んできた。

 あぁもう……よくもまぁ、僕は後先を考えない人間なんだな……プリキュアのこと、バグッチャーのこと、ジャークウェブのこと……果たしてどう説明したものか……東堂さんも寝込んでしまっているし、どうすればいいんだ………………

 そう思うと―――――自然と涙が出てきていた。思い出したように発動する、僕の『泣き虫スキル』……

 

 『……どうした!?負傷したのか!?開業医、もう少し丁寧に搬送しろ!』

 『チッ、男ならピーピー泣くんじゃねぇ…………ん……?いや、女か……?』

 

 SAVE POINT……

*1
本来『千日手』とは、将棋やチェスにおいて同じ配置が何度も繰り返してしまい、どちらか一方が手を変えない限り対局が終わらない状態……いわゆる『無限ループ』を指す。つまりデータは本来とは違う意味でこの言葉を使ったわけだが、敵・味方ともに攻め手を欠いた膠着状態であるからして、この表現もあながち間違っているとは言い難い。

*2
体力制のアクションゲームなどで、わざとミスして残機を消費、体力を全回復して直近のチェックポイント・セーブポイントからやり直すプレイを指す。主にボス戦等に備えて回復アイテムを温存したい時、体力満タンで強敵に挑みたい時などに行う。初心者ゲーマーによく見られるプレイスタイルであるが、上級者・ガチゲーマーには"邪道"に見えるプレイでもある。

*3
ほくとくん、超絶本気の合図。『ミスター仮面ライダー』こと中屋敷哲也氏が劇中で行っていた、ライダースーツのグローブの片方の裾を、もう片方の手で引っ張る動作が元になっている。『こんニチ』では披露済みだが、本編では初披露となる。

*4
映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』で語られた事件で、『エグゼイド』本編第10話と11話の間の出来事。4つのプロトガシャットを幻夢コーポレーションから強奪した、『Dr.パックマン』こと元・ネクストゲノム研究所所長・財前美智彦とその一党が起こした事件。彼が開発した『パックマンウイルス』の出現によって日本中が大混乱に陥ったが、永夢たちドクターライダーのほか、天空寺タケル=仮面ライダーゴーストとその仲間たち、泊進ノ介=仮面ライダードライブ、葛葉紘汰=仮面ライダー鎧武、操真晴人=仮面ライダーウィザードの参戦と活躍により、鎮圧された。この事件で、永夢が適合手術を受けていないにもかかわらずゲーマドライバーを使用できた理由が、『永夢自身がバグスターウイルスの保菌者だった』ことが明らかになり、さらに事件の終盤において、イレギュラーな形ではあるがダブルアクションゲーマーが初めて発現している。また、この事件で出現した、パズルゲーム『ハテサテパズル』をモチーフとした『ハテナバグスター』のデータは黎斗に回収され、『パーフェクトパズル』としてガシャットギアデュアルに組み込まれ、仮面ライダーパラドクス誕生の遠因となった。さらに黎斗はゴースト、ドライブ、鎧武、ウィザードの戦闘データの収集と解析に成功し、『レジェンドライダーガシャット』を完成させ、また別の事件を起こすことになる……など、この後の永夢たちの運命に少なからぬ影を落とす事件であった。

*5
スーパー戦隊シリーズ第29作『魔法戦隊マジレンジャー』のこと。『魔法、それは勇気の力』をキャッチコピーに、地上侵略を企む邪悪な妖魔たちの軍団『地底冥府インフェルシア』を相手に、人が持つ『勇気』が生み出す魔法を武器に迎え撃つ、魔法使いの兄弟たち『マジレンジャー』の活躍と成長、その家族の絆を描いた作品。『ファイブマン』『ゴーゴーファイブ』以来の(そして2020年現在最後の)『兄弟戦隊』であるが、従来の兄弟戦隊では長男だったレッドを、末っ子の三男に据えるなどの新機軸も見られた意欲作であった。また余談であるが、『ミスター平成ライダー』こと高岩成二氏が2020年現在、最後にレギュラー出演した戦隊シリーズでもある(マジレッド役を担当)。

*6
『ゲームエリア』とは、ドクターライダーたちが活動するために適した領域のことで、ライダーガシャットの機能のひとつに、このゲームエリアを自動生成する機能がある。さらに、エリア内にはエナジーアイテムが自動でばら撒かれる。また、ゲーマドライバーの『ステージセレクト』機能を使うことで、ゲームエリア自体を森や廃工場といった、全力で戦っても周囲への被害が少ない場所へと転送することができ、ここで大我が言っているのは『周囲に被害が及ばない場所でもないのに大爆発なんて起こすな』というニュアンスである。

*7
ドクターライダーたちがレベル3以上にレベルアップする際、ガシャットから出現するサポートドロイド。概ね成人男性の上半身と同じくらいの大きさで、出現と同時に敵対者に牽制行動を行った後分離、ライダー本体に合体装着することでライダーをレベルアップさせる。

*8
背部の飛行ユニットから保持アームで懸架されている、左右二門の炸裂光弾ガトリング砲。使用する際は前方に回し、腰だめに構えて発射する。1発当たりの威力はガシャコンマグナム・ハンドガンモードの40発分を誇り、最大発射速度は毎分5400発。上空から乱射することで短時間で広範囲の敵を掃討することが可能。

*9
左肩に装備されている、2連スピーカー型のサウンド攻撃装置。音楽に合わせ、音符型のエネルギーボムを生成・発射する機能を持つ。スナイプが使用する際は、バンバンシューティングのデータと相互干渉した結果、発射されるエネルギーボムは『破壊音波機雷』という形に性質が変化している。

*10
消防士や自衛隊員が、傷病者を迅速に搬送するための運び方の一種。運ぶ方にとって負担が少なく、かつ素早い搬送が可能だが、運ばれる方は腹部が圧迫されるため、負傷部位や患部によっては負担が大きく、非常時以外は推奨されない。近年、アニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の劇中にてこの搬送方法が披露され、さながら米俵のようにヒロインたちが運ばれていったことから『お米様抱っこ』という俗称がつけられ、アニメファンにも浸透している。




 キャラクター解説

 仮面ライダーブレイブ コンバットクエストゲーマーレベル3

 仮面ライダーブレイブが、『ジェットコンバットガシャット』を使用して召喚した『コンバットゲーマ』を装着、変身した形態。
 飛行ユニット『エアフォースウィンガー』によって空中を自由自在に飛行可能な上、『ガシャコンソード』による格闘戦と、両腰の炸裂光弾ガトリング砲『ガトリングコンバット』による射撃戦、その双方をこなすことが出来、距離・状況を問わずに高い戦闘能力を発揮できる万能戦士となった。
 また、『エアフォースウィンガー』に搭載された多目的武装コンテナからは、通常の小型誘導ミサイルのほか、絶対零度の冷気を炸裂させる凍結弾頭ミサイルを切り替えて発射することが可能で、『ガシャコンソード』のモード切替に連動している。
 しかし、防御力を重視して敵の攻撃に耐えつつ反撃する戦法を得意とするブレイブと、高速飛行能力を与えるジェットコンバットガシャットとの相性は実は良くなく、互いの長所を打ち消し合ってしまう、バランスの悪い組み合わせである。だが、飛彩が1年間の実戦の中で培った戦闘センスと、激務の合間に行ったシミュレーター訓練により、バランスの悪さを感じさせない戦いぶりを見せる。
 必殺技は、空中へ飛び上がり、背部から2種類のミサイルとガトリングコンバットの一斉射を地上の標的に発射して牽制、動きを止めた後、空中から降下の勢いを乗せたガシャコンソードで一刀両断する『ジェットクリティカルフィニッシュ』。


 仮面ライダースナイプ ビートシューティングゲーマーレベル3

 仮面ライダースナイプが、『ドレミファビートガシャット』を使用して召喚した『ビートゲーマ』を装着、変身した形態。
 両肩の『アッパーチューンショルダー』によって、『ガシャコンマグナム』から発射するエネルギー弾に特殊な振動波による回転運動をプラスしている。このエネルギー弾が通過する際、周囲に特殊な超高周振動波が発生、命中せずとも衝撃波でダメージを与えられる。大我曰く『避けても当たる弾』。
 また、エネルギー弾自体も威力と貫通性能を増幅され、攻撃力をアップさせている。
 さらに、音符型の浮遊機雷を左肩の『ワッツアップサウンダー』から発射することが可能。これは炸裂と同時にフォノンメーザーを発振しつつ周囲を破壊する、いわば『破壊音波機雷』であり、相手の行動範囲を狭めて動きを止め、最適な狙撃ポジションに相手を追い込むことができる。無論、これ自体の破壊力も侮れない。
 機雷には各種センサーに連動した切替式信管を搭載しており、接触によって起爆する『直接信管』、一定時間経過後に起爆する『時限信管』、さらにはスナイプの脳波によって起爆タイミングを制御可能な『遠隔信管』を、スナイプの脳波で自在に切り替えることができるようになっている。 
 加えて、左腕の『ドレミファターンテーブル』のスクラッチによる音楽をガシャコンマグナムにチャージすることで、ライフルモードのガシャコンマグナムから強力な破壊音波を発射することが可能となる。
 必殺技は、『ワッツアップサウンダー』とガシャコンマグナムから強力な破壊音波を同時発射して攻撃する『ドレミファクリティカルフィニッシュ』。

 ――――――――――

 ……というわけで、いったん撤退となったキュアデーティア&ブレイブ&スナイプ……
 そして、りんくさんの身に起きた異変とは……!?
 また、さらに厄介になったネガキュアバグッチャーを攻略する術は……!?
 ……長くなりましたので、また次回で。
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