アバタースタイル
プリキュアがエネルギーをセーブしておくための姿。
2頭身のアイコンのような姿になっていて、ネットコミューンの中にいる時はこの姿になっている。
会話の際は3Dホログラムのようにネットコミューンのディスプレイの上に立つ。
りんく曰く『キュアドール体型』。
ファイトスタイル
ユーザーの『プリキュア・オペレーション』の音声入力でプリキュアが変身した、キュアネット内でバグッチャーと戦う時の姿。
5頭身の姿で、これが『プリキュア』本来の姿である。サーバー王国では何らかの力が働いているため、常にこの姿で過ごすことができていた。
しかし、サーバー王国の外でこの姿となるには、ユーザーの存在が不可欠となる。
りんく曰く『S.H.Figuarts体型』。
―――――――――
遠足、後半戦です。
戦闘となると、どうしても文字数がかさんでしまうのはどーして……?
さぁ、今回のプリキュアはだ~れだ?送信!
……NOW LORDING
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CURE-MEMORIA
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ほどなく、私たちは目的地の『風の公園』に到着した。
30分ほど、授業の一環として、隣接する風力発電所の所長さんから風力発電施設についての説明をしてもらい、クリーンエネルギーについての見聞を深めた。私たちが便利な暮らしには、何はともあれ電気が不可欠。陰ながら頑張っているこの人たちのおかげで、スマホも充電できるし、ネットもできてるんだよね。
お昼時になって、待ちに待ったお弁当の時間!むぎぽんのお弁当、さすがはおウチが食べ物屋さんだけあって、気合入ってておいしそう……
そらりんのお弁当はというと……なんか、私とむぎぽんの1.5倍くらいはあるような気がする……そのことをツッコむと、そらりんは苦笑いを浮かべた。
「ホントはこんなにもいらないんやけどねぇ……フンパツしすぎやわぁ」
そらりん、ダイエットに挑戦中なんだけど、家族のヒトから普段から『よく食べる』って思われてるみたいで……大変だねぇとしか言えないなぁ、今のトコ。
……私のお弁当?……期待をあおって申しわけないけれど、ごくごくフツーのお弁当でした、残念。
それで、3人でプリキュア談義しながら楽しくランチタイム―――だったんだけど……
《でーーーーーーたーーーーーーーー!?!?!?》
スマホからの大絶叫でブチ壊されちゃいました。
「??何今の声?」
「まるで声優さんの叫びみたいやねぇ。もしかしてりんくちゃんのスマホなん?」
むぎぽんとそらりんの視線がイタイタしいほどに突き刺さってくる。な、なんとかゴマカさなければっ。
「あ、あ!で、出ぇーたーーー!!ほらそこ、バッタさんが出ぇーーたーーー!!!」
あ!ちょーどいいところに野生のバッタがとびだしてきた!
私は白々しくも迫真の演技でバッタを追いかけ、そらりんとむぎぽんから離れていった。
「2年になってから……りんく、奇行が増えた気がする……」
「いろいろとこじらす年なんよ、中学2年生って」
そんなふたりの会話が背中からグサグサと。あぁ……私、ますますイタさが増してるよ……え?元々イタい子だった?……自覚してます、ハイ。
ある程度みんなから離れたところで、ジャージのポケットからネットコミューンを取り出し、ロックを解除した。
「メモリア!……もう、みんながいるところでいきなり大きな声出しちゃダメって言ったじゃない!」
この10日間、メモリアにはいきなり大声で叫んだりしないように再三言い聞かせた。どういうワケかわからないけど、たとえマナーモードにしていようとも、メモリアの声はスピーカーから響いてしまうようになっている。なので、ふだんは少しでも静かにしてもらわないと。メモリア自身の、ためにも。
《ご、ごめんなさい……でもねりんく!さっき『ますこみさん』からもらった画像、あれ、間違いないよ!》
ランチタイムの途中、増子さんからメッセの着信があった。例の『プリキュア』らしき女の子が映った画像が添付されていた。私は後で見ようと、そのメッセにはお礼の返信だけして、画像はそのままだったんだけど……
どうやらメモリアは、ネットコミューンの中にあるファイルなら、自由に見ることができるみたい。さすがは『プリキュア・ネットワーク(略)』という正式名称のネットコミューンだけはある。使い勝手は私よりも、プリキュアにイニシアチブがあるのか、ふむふむ。
……って、これって私のプライバシー、メモリアはのぞき放題ってこと……!?それもマズいような……
ダメダメ、ヘコんでる場合じゃない。私は気を取り直し、メモリアにたずねた。
「それで?何が間違いがないの?」
《データだよ!!》
「……なんのデータ?」
《そっちのデータじゃなくって!……画像に映ってたプリキュアのこと!あれ、あたしの友達のキュアデータ!》
そ、それって、この間メモリアやロゼッタが話してた、メモリアといっしょにプリキュアになったっていう、4人のプリキュア見習いのひとりじゃん!
「ほ、ほんと!?」
《うん……!データはね、あたしといっしょにサーバー王国から脱出してきたんだけど、途中ではぐれちゃって……でも、あの水色の光……あれはデータのイーネルギーの色……》
メモリアの目に、光るものが見えた。よほど、無事な仲間がいたことがうれしいみたい。
私は増子さんが送ってきた画像をあらためてチェックした。キュアデータと思しき女の子の姿は、今ここに見えるメモリアみたいな『キュアドール体型』じゃなくて、戦う時のメモリアと同じ、『S.H.Figuarts体型』。つまり……
「メモリア、たぶんなんだけど……データも、ユーザーと契約してるよ!こうやってバグッチャーと戦えてるってことは、少なくともユーザーと契約してないといけないんでしょ?」
《そっか……!よかったぁ……データもあたしみたいに、にんげんさんのスマホにいさせてもらってるんだね……》
そこで浮かび上がる疑問が、キュアデータのユーザーになってくれたヒトのことだ。一体、どんなヒトなんだろう。私みたいに、プリキュアに興味があるのなら、男って線はないかも……でも、プリキュアって『20~30代前半の男の人』も対象年齢層に入ってるらしいから、ワリと可能性もゼロじゃない……のかな。
それともうひとつ、データ『本人』のことだ。考えてみれば、メモリア以外の3人のプリキュア見習いのこと、くわしくは聞いたことなかったし。
「データって、どんな子なの?」
《ん~……おねえちゃんみたいな子、かな。面倒見もいいし、友達思いだし》
おねえちゃん、か。とすれば、キュアマーメイドみたいな清楚系か、キュアアクアみたいなしっかり者系か……いずれにしても頼りになりそう!
《あ、でもね、ちょ~っとだけケンカっ早いかな~……『アタシのこと甘く見んじゃねーぞ!!正々堂々勝負しろォッ!!』とか言ってたよーな……》
「…………え?」
あれ?
さっきメモリア、おねえちゃんみたいな子、って言ってなかった?そのセリフ回し、それってどう聞いても『おねえちゃん』じゃなくって―――『姐御』ですよねぇ……
そんな『オラオラ系』のプリキュア、前代未聞なんだけど……
「だいじょーぶかなぁ……」
《?ユーザーさんのところにいるんだから、大丈夫だと思うよ?》
「いや、そーじゃなくって……データのユーザーになったヒト、振り回されてるんじゃないかなぁって……」
友達のこと、悪く言っちゃったかもしれない。言ってから、ちょっと反省しながらメモリアを見た。でもメモリアも、遠い目をして、こうつぶやいた。
《……そーかも……》
どうやら、サーバー王国でもメモリアはデータに振り回されてたみたいで、苦笑いを浮かべていた。
でも、これは希望だと思う。どうにかデータと、彼女が宿るスマホを持つユーザーを探し出して、協力することができれば、これからの『プリキュア五十番勝負』の、心強い味方になってくれるはず。それに―――
やっぱプリキュアは最低限、『ふたり』でないと!プリキュアは、たった一人で戦い抜くことはできないんだから―――
《―――随分と平和に過ごしているのだな、サーバー王国の残党と、人間の子供よ》
冷酷な男の人の声が、ネットコミューンから響いた。
「その声!!」
《アラシーザー!!》
とっさにキュアネットの可視化モードを起動する。用途不明のプログラムが、すぐそばにそびえ立つ風力発電機の根元にあった。ズームインして確認した。10日前にキュアネットを大混乱に陥れた、幹部っぽいアイツだ!
《俺の名を覚えていたか。貴様をデリートする者の名だ。冥府まで大事に抱えていくのだな》
「メモリアをデリートなんて、させない!」
《あたしもそう簡単にはやられてあげないよーだ!!》
《……ふん。その強気……どこまで通用するか……!》
アラシーザーは、その左手に何かを持っていた。ミニチュア化された、風力発電機に見えるけど……?
《この風力発電所の制御プログラム……暴走させれば、どうなるかな?》
「え……!?」
キュアネットの可視化モードなら、難解なプログラムも『わかりやすく』表示される。その風力発電機のミニチュアは、まさか!?
アラシーザーのもう片方の手には、小さな緑色のメモリーカード。あれってキュアチップ!ということは……!!
《勇気ある風よ……勇敢を蛮勇に変え、破壊の嵐を齎せ!!バグッチャー、ユナイテーション!!!》
アラシーザーの手からはなれた“ミニチュア発電機”とキュアチップが空中で交差し、そこにアラシーザーが黒いエネルギーの塊のようなものを放った。それら3つが見る間に融合して、黒光りする怪物へと変貌した。
《バグッチャァァァァア!!!!》
まるで巨大な扇風機のようなバグッチャーが、キュアネット上に降臨した。胴体のプロペラが回り出し、ネット上に強烈な風が巻き起こる。すると―――
「……!?」
ぶわ、と、私の前髪が風でなびくのを感じて、とっさに私は風力発電機を見上げた。すると、さっきよりも恐ろしく速い勢いで、風力発電機の巨大なプロペラが回転していた。それだけじゃない、『風の公園』をぐるりと囲むように設置されている小型の風力発電機もまた、異常な速度で回っている。
「発電機が……暴走してるの!?」
あっという間に、公園の中に嵐が吹き荒れる。周りを見ると、引率の先生が避難を促している。と、そこへ―――
「りんく~!!」
「発電機の調子がヘンなんやて~!早ぅ逃げよ~!!」
むぎぽんとそらりんの声が、風切り音にまじって聞こえる。
ここで逃げなきゃ、みんなに不審に思われる。でも、バグッチャーを放っておくわけにはいかないし、どうすれば―――
思案しながらあたりを見回す私の目に、白い小屋みたいな建物が入った。あそこは―――確か―――
よぉし……!
「ま、待ってふたりとも~(棒)あっ」
私は走り始めて数メートルで、わざと転んだ。
「りんくちゃぁんっ!」
気遣うそらりんを見上げて、私は叫ぶ。
「先に避難してて!!私はだいじょーぶだからっ!」
「で、でもぉ……」
「いーから行って!!……プリキュアになるまで、私は死んだりしないからッ!!」
カッコよくサムズアップ。お願い、早く逃げて……!
「わ、わかったよ!そら!」
「うん……待っとおから!」
後ろ髪を引かれるようなふたりの表情を見るのが辛かった。ふたりが私の視界から消えてから、私は嵐の中に立ち上がった。
「むぎぽん……そらりん……ごめん」
心の底から謝ってから、私は白い小屋へと飛び込んだ。そこは―――トイレだった。
ニオイがちょっとキツいけど、プライバシー保護の観点から背に腹は代えられませんっ……でもニオイが……(半泣)
「ここなら、気兼ねなくオペレートできる……!準備はいい、メモリア!?」
《もちろん!!》
勝気な笑顔で見上げてくるメモリアに応えるように、私はネットコミューンの隅の、ハートの集積回路のアイコンをタップしながら、叫んだ。
瞬間、画面の中のメモリアが光に包まれ、ピンク色の光の球体へと姿を変えた。12の光のリングが直線状に現れ、キュアネットへの道筋を示す。
女の子の合成音声とともに、光の球体が射出される。12の光のリングをくぐりぬけ、風力発電所のキュアネットに到達して、光の球体が姿を変える。
右腕、左腕、右脚、左脚、全身、頭!すべてが『戦闘モード』になった『S.H.Figuarts体型』になったメモリアが着地して、敵を見据えて、ポーズをキメる。
ん~!!10日ぶりのこの姿、キュアっキュアでカッコカワイイ!!今日こそスクショで永久保存だ!
さぁ、『プリキュア五十番勝負』の初戦……相手は、『プリキュアの力を持った』モンスター……
慎重に、油断せずに行こう、メモリア……!
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たくさんのおっきな風車が回る、風力発電所のキュアネット空間。
ゆっくりと見ていきたいところだけど、今のあたしにそんな余裕はない。
《バグッチャーーーッッ!!》
目の前に立つプロペラ型バグッチャーが、あたしを威嚇する。
でも、怯んでなんからんない!
「先手必勝!行っくよぉ~~!!」
蹴り出し、間合いを詰めて、最初の一撃を―――
《リンリンリ~~ン!!!!》
バグッチャーのプロペラが高速回転して、猛烈な暴風を巻き起こす。パンチがもう3センチくらいで届く、そんな距離で、あたしは吹き飛ばされてしまった。
「ぅわぁっ!?」
《メモリア!》
「だいじょーぶ!すごい風だけど、ダメージはないよ!」
受け身を取りながらりんくに返す。そう、単純に『吹き飛ばされただけ』。受け身さえ取っちゃえば、何の問題も―――
「それはどうかな……?」
ニヤリと笑うアラシーザーを見て、いやな予感がよぎる。
と、バグッチャーがプロペラを回転させながら、その両手で風の渦を無理やりにこねくって、緑色の光るボールを作ると―――
《チョッキューーーーーーシューーーーート!!!!!》
あたしに向かってボールを蹴ってきた!渦を巻き、まわりの地形を削り砕きながら、まるで地を這うかのように驀進して、あっという間にあたしの眼前に……!!
「ぬ゛ゅん!!?」
そのボールを思わず両手で受け止めてしまった。ガリガリガリガリ!!!という、何かが削れる音がうるさく響き、火花まで散る。これって、ヤバい!!?
「だあああああああ!!!!!!」
このまま勢いが収まるまで待ってたらマズいと思ったあたしは、とっさにボールを受け流した。勢いであたしは仰け反って倒れ、ボールは空へと吹っ飛び、そして大爆発した。
「はぁ……はぁ……はぁ…………!」
モノスゴい一発だった。それに、あの『風の力』―――
「風……シュート……あのバグッチャーにとらわれてるプリキュアは……」
間違いない―――
「《キュアマーチ!!》」
あたしとりんくの声がユニゾンする。りんくも気づいたようだった。
「気付いた、りんく……!?」
《うん……“チョッキュー”だとか、“リンリン”だとか……キュアマーチ以外あり得ないよ!》
やっぱり、りんくは『プリキュア博士』だ。あたしといっしょに、マーチのことをわかってくれた!
「『スマイルプリキュア』のひとり……“
いきなり、とんでもないプリキュアとぶつかっちゃった……力押しの真っ向勝負じゃ、まず勝ち目のない相手……
《弱気はダメだよ、メモリア……!大丈夫、相手は直球勝負で来る……!それなら……―――》
りんくの声と同時に、あたしの視界に矢印が表示されていく。あたしの足元から、バグッチャーの右側に伸びている。
《このライン……ちょっと失礼だけど、横からなら!》
さすがりんく。マーチのことをよくわかってる。マーチがどんな戦い方をするのかも。このナビゲーションに従えば、勝てるかも!
「オッケー!行ってみる!!」
あたしは再度、地面を蹴り出した。それを見て取ったように、バグッチャーは『風のボール』を作り始める。
……予想通りだ。相手はあくまでも『まっすぐ』で、横や後ろからなら―――!
「……貴様たち、大きな誤解をしているな。貴様たちが相手にしているのは、『プリキュア』ではないというのに」
「……え?」
ヨユーシャクシャクのアラシーザーの態度。それが視界の隅に入った、その瞬間―――
《ヘンカキューーーーー!!!》
バグッチャーの両腕までもが、プロペラに変形して、合計3つの嵐の渦が巻き起こり、それらが『曲がって』、鎌首をもたげたヘビのように、あたしに襲いかかってきて―――
「うわああああああああーーーーーーー!!!!」
激烈な気流が、あたしの全身を切り裂いた。腕に、足に、体に、顔に、背中に―――無数の傷を刻む暴風―――
風に舞われながらも、あたしはバグッチャーを睨んでいた。
―――風が―――……曲がった……!?
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「メモリアっ!!」
四方八方から、風の渦がUターンしては、メモリアに襲い掛かる。
成す術なく翻弄されるメモリアを見ながら、私は歯噛みしていた。
「キュアマーチの……『直球勝負の風』を……『曲げる』なんて……!!」
今この瞬間、私は大きな誤解をしていたことに気づいた。
私は、この『プリキュアの力を持ったバグッチャー』との戦いを、『プリキュアそのもの』との戦いと、勘違いしていたのかもしれない。
アラシーザーの言う通りだ。メモリアが戦っているのは、『バグッチャー』なんだ。『プリキュア』じゃない。
『プリキュアの力を利用してる』だけのモンスターなんだ。その『力』をどう使おうが、このバグッチャーの勝手なんだ。
……でも―――……それでも!
「マーチの……なおちゃんの想いを、そんな風に歪めるなんて、許せない……!!」
プリキュアたちが、どんな想いで戦って、世界を守ってきたのか知りもしないくせに、その『力』だけを利用して……!!
誇りあるプリキュアオタクとして、ジャークウェブの所業、赦すまじ……!!
ジャークウェブ滅ぼすべし、慈悲は無い!!
私の堪忍袋の緒は切れたけど、今の私に出来ることは、せいぜいさっきみたいに、メモリアのオペレートをすることくらい。他に何かできることって……?
そうだ、前回みたいにライブ配信!それから―――
「……そういえば」
私は、ポケットに入っていた『もう一つのモノ』をとっさに取り出した。黄色い、『P-31 CURE-ROSETTA』と書かれたメモリーカードだった。
そう、これはあの日の夜に受け取った、大切なモノなんだ―――
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BACK LOG LINK TOUDOH
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10日前の夜、『地獄の戦車特訓』を終えたあとのこと。
メモリアはくたくたになって、すぐさま寝入ってしまった。戦って帰ってきて、寝る前に特訓だもん、疲れて当然だよね……私も、目の使い過ぎだ。みんなもスマホ画面の見過ぎには注意しようね~……
私も寝ようかなと思った、その時だった。
《りんくさん》
ロゼッタの声が、ネットコミューンの中から響いた。
《今日は、ありがとうございました……メモリアのこと、これからもよろしくお願いしますね》
「ううん、とんでもないよ!プリキュアファンとして、当然のことをしたまでだから!」
最初、ウイルスだと思って削除しようと思ったことはナイショにしとこう……
と、見ると、ロゼッタの姿がうっすらと明滅している。
「ロゼッタ……?なんか、姿が……」
《そうですわね……キュアチップの状態だと、ホログラム化にも限度があるようですので……そろそろ、一度ワタシも眠りにつきます》
「えぇっ!?」
眠りって……そんな!?もうロゼッタとは会えないの!?
《ご安心くださいな♪これから、リアルワールドにワタシのキュアチップをお送りしますわ。それを使えば、メモリアでも少しだけなら、ワタシの……ひだまりの力を使うことができるでしょう……それから―――》
ここでロゼッタは、少し言いよどんだ。『言っていいものなのでしょうか……?』と、目が口ほどにモノを言っているけど……
《今はまだ……大丈夫ですわね……》
「??ロゼッタ……?」
《いえ、なんでもありませんわ♪それでは、お受け取りくださいな♪ワタシの力が、少しでもあなた達の一助になれることを、祈っておりますわ―――》
そう言い残して、ロゼッタはディスプレイの上から姿を消した。瞬間、コミューンのメモリーカードスロットが光ったと思うと、カシャ!という音とともに、黄色いメモリーカードが排出されてきた。
『P-31 CURE-ROSETTA』のナンバリングと、ロゼッタの笑顔がラベリングされた、手のひらに収まるサイズの、少し大きめのメモリーカード。これが―――
「キュアロゼッタの……キュアチップ……!」
こうして、現実の世界に出てきたこれを手にした瞬間、私はロゼッタの心を受け取った。
―――使いこなして見せるよ、ロゼッタ。あなたの想いは、絶対に無駄にしないから―――
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CURE-MEMORIA
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四方八方からの攻撃を受けるメモリアを見ながら、私は祈る思いでポケットから『それ』を取り出した。
3つの竜巻が一つに重なり、メモリアに襲い掛かる様が見え、私はとっさに、メモリーカードスロットに、『受け取った心』を挿し込んだ。
《ひだまりポカポカ!キュアロゼッタ!♪》
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―――風があたしを食べに来た!?
そう思って覚悟を決めたけど、あたしは食べられなかった。
何が起きたの……?うっすらと、目を開けると……
「……ロゼッタ、ウォール……?」
あたしの目の前に、4枚のロゼッタウォールが重なり合って展開されて、巨大な風の渦を押しとめていた。
これって……!?
《間に合ってよかったぁ……!》
「りんく!?なにかしたの!?」
《ロゼッタからもらったキュアチップ!ちょっとの間だけだけど、これならメモリアでもロゼッタウォールが使えるよ!》
「え……?」
視界の隅に文字が浮かんでいる。
〈DRIVE:P-31 CURE-ROSETTA〉
〈TIME LIMIT:04:33〉
《キュアチップを使えば、そのプリキュアの力を借りられるんだよ!》
そんなコトができるんだ……!あたし自身も知らなかった。
てっきりキュアチップは、ジャークウェブの都合だけでつくられたモノだとばかり思ってたのに。
じゃぁ、そんなコトを『できるようにしてる』、ネットコミューンって、いったい何なの?
それに、ロゼッタと同じ黄色に輝いている、このイーネドライブも……―――
その時、風の渦がはじけるように消え失せた。
「バカな……キュアロゼッタの技だと……!?おのれ人間の子供め、味な真似をする!!」
さすがのアラシーザーも泡を食ってる。これって、反撃のチャンス!?
《メモリア、今だよ!》
りんくの声を合図に、あたしはすばやく間合いを詰めた。四方八方から風の刃が襲って来るけど、ロゼッタウォールがそれを防ぐ。
《ロゼッタウォールは私が動かすから、メモリアは一直線で突っ込んで!!》
「そーだね!キュアマーチに……小細工なんて通用しないもん!」
さっき、アラシーザーは『相手はプリキュアじゃない』って言ってた。その通りだって、最初は思った。その『力』を使ってるのは、バグッチャーなんだから。
でも違う。『その通りだけど、違う』。あたしはあえて、『相手をプリキュアだと思って』、戦うことに決めた!
そうでないと、意味がないから。相対する、51人のプリキュアたちに、申し訳がないから。
バグッチャー51体に勝った程度で、一人前のプリキュアになれるだなんて、そんなのあたし自身が認めない。
あたしは―――あたしとりんくは、正々堂々、残り50人のプリキュアに―――
―――勝つ―――!!
風が襲う。でもそれは、りんくが防いでくれる。
ひとりきりじゃない。あたしには、りんくが、そして、応援してくれてる、みんながいるから!
「あたしは……!みんなといると強くなれる!夢見る明日を!信じる道を!あきらめないで戦っていける!!」
3つの嵐の渦が集束して、真っ向からあたしを襲うけど、4重のロゼッタウォールが受け止める。その後ろから、あたしはロゼッタウォールごと嵐の渦と真っ向勝負をはじめる!
「立ち止まっても……!!」
物凄い圧力が体全体にのしかかる。でも……!!
「立ち尽くしても……!!!」
あたしには、ううん、あたし達には…………!!
「その先があるッ!!!!!」
りんくの、みんなの声が、イーネドライブに集まって、あたしの中の力がみなぎる。
<プリキュア、がんばって!!
<ウィルスなんてやっつけろ!!
<おねがいプリキュア……りんくを助けて!
<わたしの友達がまだ逃げれてないの!お願いやから、頑張って!
「うぉぁあああぁぁぁッッ!!!」
あたしは、ロゼッタウォールごと、嵐の渦を押し戻し、バグッチャーにぶつけた。怯んであお向けに倒れるバグッチャー。
「飛ぶよ、りんく!」
《飛ぶって!?》
「ジャンプ!!」
《お、おk!》
あたしはりんくが操作するロゼッタウォールを足場にして、上空へとジャンプした。マーチの真っ向から、あたしの直球勝負を、叩き込むために!
「受けなさい!!電子の!!天誅ッッ!!!」
イーネルギーが、前回以上にスパークして、キュアネットの空間をピンク色に染める。
そしてあたしは、“上”にりんくが設置したロゼッタウォールを蹴って、あお向けに倒れているバグッチャーへと、一直線に―――!!
―――みんなの全開を、墜とす!!
反撃とばかりに、バグッチャーが竜巻のような風の渦を放つ。でもあたしは止まらない。止まるどころか―――!!
「あたしは負けない!!いつか、みんなで必ず笑える日が来るから!!」
そう、この体に、この手にみなぎる力が、あたしと、みんなの力!
嵐に怯えるみんなが、今この瞬間望むのは、みんなの笑顔―――!!
「手のひらに握りしめてる、このヒカリは―――!!永遠ッッッ!!!」
目の前に4枚重ねになったロゼッタウォールごと、あたしは雷撃の拳をバグッチャーの直上から、自由落下の重力とともに叩き込んだ。
手ごたえが―――あった―――
「…………―――そうだよね、キュアマーチ」
マーチが教えてくれたこと―――『ひとりじゃない』コト。
あたしの戦いは―――みんなといっしょの戦い。
あの日、炎の向こうに消えていったみんなの『スマイル』を―――
ダイスキな、みんなの笑顔を―――。
「あたしは―――取り戻す」
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《デェェリィィィィトォォォォォォ………………!!》
大爆発とともに、バグッチャーが爆発四散した。メモリアの気迫の一撃だ。
メモリアの想いは、私の心にも伝わった。―――そうだよね。
ただ、バグッチャーを倒すだけでは、本当に『プリキュアに勝った』なんて言えないって、私も思う。
相手はプリキュア。きちんと敬意を払って『倒させて』もらわないと、『伝説の戦士』であるプリキュアたちに失礼になるから。
真っ向勝負には、真っ向勝負で。直球には直球で応える。それが、『後輩』としての礼儀なんだ!
《く……こうもワルイネルギーが蓄積しない……!》
捨て台詞を残して、アラシーザーは何処かへと消えた。
「……そうだ、マーチのキュアチップは!?」
《それなら、ハイ!》
緑色のキュアチップが、メモリアの右手の中にあった。ナンバリングは『P-27 CURE-MARCH』。渦巻きのような模様が刻印されている。
そのキュアチップから、緑色のイーネルギーの粒子が舞った。光の中に浮かび上がってくるのは―――
《助かったよ、メモリア!それに、メモリアのユーザーさんも、ね!》
あの姿……あのもふもふヘアーは、間違いない!
「キュアマーチ!緑川なおちゃん!」
《あたしのこと知ってるみたいね、アリガト!―――さっきの戦い、見てたよ。よく惑わされなかったね。いい直球勝負だったよ、メモリア》
《えへへ……》
照れ笑いを浮かべるメモリア。やっぱり、先輩プリキュアから褒められると、素直にうれしいみたい。
《でも、油断しちゃダメだよ。これから先、何が起きるかわからないからね……あたしの風の力、うまく使いこなして頑張って!》
幻影のマーチがふっと消えて、メモリアの手の中のキュアチップが光になって飛び立つのが見えた。そして、ネットコミューンのカードスロットから、緑色の光が閃く。
飛び出してきたのは、キュアマーチのキュアチップ。受け取った私はうれしくなって、思わずキュアチップを高々と掲げて宣言した。
「キュアマーチ、キュアっとレスキュー!」
《やったぁ~!》
2人目のプリキュア、救出!これで残りは……49人もいるんだよね……
でも、これでいいんだ。焦っても仕方ない。ひとりずつ、確実に助け出す。ゆっくりとしてはいられない、けどネ。
《………………!?》
その時、ハッとしたような表情に変わったメモリアが、そっぽを振り向いた。まるで何かに気づいたように。
「どうしたの?」
《……今、誰かがあたしのことを見てた……?》
「まさか、アラシーザーが戻ってきたの!?」
《ううん、違う……今のは…………データ……?》
それって、隣町で戦っていた、もうひとりのプリキュア、だよね……?
その子がここにいたってことは、まさか―――
キュアデータのユーザーは―――……大泉中学校の2年生……その中の誰か―――なの……?
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「……やれやれ、出遅れちまった。おかげでメモリアにいいトコ取られちまったなぁ」
アタシが到着した時には、すでに戦いは終わり、キュアチップはメモリアが取り返していた。
元気そうでよかったぜ。あの様子だと、無事にユーザーとも契約したみたいだし……
…………………………
「『どんな子なのかな』、って?……お前も興味があるんだな。同じ学校の同い年みたいだし、会ってみたらどうだ?」
…………………………
「『はずかしい』って……お前なぁ……あの時見せてくれた覚悟、こういう時に出せねェのかよ?」
ホント、アタシのユーザーは両極端だ。イザって時にはカッコいいのに、ふだんは消極的というか、なんというか。
でも、アタシは知ってる。コイツが誰よりも、アタシに相応しい『相棒』だってことを。
コイツは、アタシが認めた、世界一の―――
《…………行くよ、キュアデータ》
「あぁ、そうだな……アタシ達の戦いは、これからなんだ……」
直に会うのは、少し先になりそうだけど……
遠くはないさ―――その日が楽しみで、仕方ない。
プリキュア全員を超えて―――“最強のプリキュア”になる日がな……!
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あの後、先生にはこっぴどく叱られて、むぎぽんとそらりんには泣かれちゃうしで、もう大変……
帰り道の途中で、私はふと、ポケットの中からネットコミューンと、2枚のキュアチップを取り出した。
ネットコミューンの中で、メモリアが寝息を立てている。この寝顔がカワイイんだ、コレが❤
「これからもふたりで……一緒にがんばろう」
メモリアとふたりで、最後まで戦い抜くって、改めて決意した私だけど―――
この時はまだ、知る由もなかった―――
『私の世界』が―――『変わり始めて』いたことを。
私の知らない場所で―――知らないモノが、『動き始めて』いたことを―――
そしてそれは、『
―――STAGE CLEAR!!
RESULT:CURE CHIP No.27『CURE-MARCH』
プリキュア全員救出まで:あと49人
TO BE NEXT STAGE……!
『きらめく星のプリンセス!』
―――――りんくの『今回のプリキュア!』
りんく「今回のプリキュアはだ~れだ?』
『勇気リンリン!直球勝負!!キュアマーチ!!』
メモリア「『スマイルプリキュア』のひとり、“
りんく「サッカーが得意な大家族のお姉ちゃん、緑川なおちゃんが変身した、風を自由に操るプリキュアだよ!」
メモリア「そんなマーチのキメ技は、コレ!」
『プリキュア!マーチシューーート!!!』
メモリア「風の力をボールにして蹴り出すマーチシュート!どんな相手も一発ゴ~~~ル!!」
りんく「でもマーチの一番すごい所は……壁を地面みたいに走れちゃうところ!!オープニングでもおなじみだよね!」
メモリア「あれ、あたしもやったことあるんだけど、30メートル走るので精いっぱいなんだよねぇ……」
りんく「や……やったコトあるんだ……よい子のみんなはマネしちゃだめだよ!?それじゃ!」
りんく・メモリア「「ばいば~い!」」
次回予告
りんく「で…………で~~~~たぁ~~!!!」
メモリア「それってあたしのモノマネ?」
りんく「違うよ!!バグッチャーがこっちの世界に出てきちゃったぁ~~!!」
メモリア「え~!?で、でもだいじょーぶ!!こんなこともあろうかと、クイーンに教えてもらった『とっておきの方法』があるから!!」
りんく「それってナニ!?早くして~!!??」
メモリア「…………やり方、わかんないや、てへっ❤」
りんく「/(^o^)\」
インストール@プリキュア!『マトリクスインストール! 奇跡の新生@キュアメモリアル!!』
りんく「ピカっとキュアっとあつめてプリキュアオールスター!」
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そう、キュアチップは集めるだけでなく、『使える』んです。
戦って勝つたびに、過去のプリキュアを『あつめて』、力と成す―――それこそがこの『インプリ』の根幹です。
しかし、その真の力はまだまだ発揮しきれていません。そして、もうひとりのプリキュア、キュアデータも一筋縄ではいかないプリキュアで、そのユーザーの正体もまた謎……
次回は、『真の第1話』とも言うべきエピソード。ここから、世界が動き出します……