MUV-LUVALTERNATIVE外伝ー Eurofrontーifstory 作:kaenn
MUV-LUVALTERNATIVE外伝
ーTheEuroFrontー
ファーレンホルスト?
_2000年3月21日
ドーヴァー・コンプレックス第3検問ゲート
イルフリーデフォイルナー少尉ら3人を乗せた高機動車が第3検問ゲートに着くと何やらゲート付近で怒鳴り合う声が聞こえてくる。最初の検問ゲートから30分以上たっていて少し飽きて来たイルフリーデはここぞとばかりに、その声が聞こえてくる場所を高機動車の窓から覗き込むと、
『……ら!その身分証を落としたから!実家に連絡取ってくださらないですか?って言ってるんですけど ?』
『しかしお嬢さん、此方も仕事でね!身分証も無いし名前も言わないじゃこっちだって困るんだよ!せめて名前だけでも教えてくれんかね?』
金髪ロングストレートで背後姿を見ただけなら大人しそうな貴族の御令嬢といった姿の女性が筋骨隆々で色黒なMPと顔は見え無いが凄い剣幕で怒鳴りあっていた。私はその背後姿に見覚えがあり、ルナとヘルガにも声を掛けて確認して貰う。
『あら?私達より2日ほど前に出発したはずなのに何故まだこんな所に居るのでしょう?』
『む?アレはイリスか?確かに何故此処に?』
私達は高機動車を止めてもらい、友人本人かとうか近づき、その人物の背後から肩をポン、と叩いてみた
『だからね?……ン?どちら様で……!?!イルフリーデ?何故此処に……』
振り向いた人物はやはり私達の友人であるイリステレサ少尉だった、振り向いたイリスは普段絶対に見せないであろう表情を此方に向けてア然として固まってしまった。普段温厚で優しいイリスが、何故そんなに怒っているのか分からずに時が止まったイリスの肩を揺すり問いかけてみる。
『何があったの?イリス、落ち着いて?私達が話を聞くから。』
出来るだけ優しく聞くとイリスから反応が返ってくる。
『いや?…あの…その……実は此処にくる途中に IDカードやその他が入ったカバンを置き忘れてしまった様でして、実家に連絡しようと思ったのですが此方の方が『所属と氏名を言わないと貸せない。』と仰るものでつい……。』
ルナとヘルガにアイコンタクトを取ると2人とも私と同じ考えだったらしく顔を苦笑に変えると、
『イリス?さすがに軍施設内なのだからそれぐらいは自己申告した方が良いと思うぞ?』
イリスの背後に回りイリスの肩を両手で抑えながらヘルガが呆れ顔で言うと、続けてルナが、
『そうですわよイリス?自分の名前くらい言わないと通信機などは貸せませんわ……………?そう言えば私、イリスのフルネーム知りませんわ?何でしたっけ?』
ルナがそう言うと私も記憶を遡るがイリスのフルネームを聞いたことがない、名はイリステレサとは知っているが家名は全く分からない、一縷の望みを託しヘルガを見るがヘルガも首を傾げて思案中のようである、そういえば家名の話になると何時も話を変えたり、教官達にもイリスやイリステレサと呼んでくださいと最初に言っていた気がする。あの時はこんなに長く付き合うことになるとは思わなかった為、気にも留めていなかったがせっかくだしこの機会に聞いてしまえと考えて、
『そう言えば、私イリスの名前フルネームで聞いたことがない気がするのよね?ほら、最初の自己紹介の時から『イリステレサかイリスで呼んでください』って言っていたから聞いて無かったけどせっかくだし教えてくれない?』
私の言葉を聞いたイリスは驚愕の表情を見せ、恨みがましい眼を私達に向けながらしぶしぶといったかんじで搾り出すように呟いた。
『フ………ン…ルスト。』
良く聞こえなかった私達やMPが聞こえなかったのでもう一度言う様に促すと吹っ切れたかのように俯いていた顔を上げ急に大声で叫んだ。
『ファーレンホルスト!私の名前!イリステレサ・ファーレンホルスト少尉です!お願いしますから実家に連絡させて下さい!この通りですからお願いします、お願いですから姉には内密にお願いします。』
先程までの態度から一転してMPに言いながら、たしか”ジャパニーズドゲザ”を披露し懇願を始めるイリスに4人とも完全に引いていると、背後の方から、凛とした声が聞こえてきた。
『どうかしましたか?何か騒がしいようですが………あら?イリス昨日到着予定だったから探しに来たわよ、他の方達は本日付で着任の衛士の方かしら?』
土下座中のイリスをチラッと見ると顔を真っ赤にしてプルプル震えているのが見てとれた。
気が向けばまた何か書くかもしれません。