いつも通りの朝で、いつも通りじゃない朝。
俺は同じ学校に通う友人を待っていた。今日から俺たちも高校生である。遅れたくはないが、まだまだ時間はある。
「タカ兄、早く早く!」
「はいはい」
しばらくすると、中から友人である津田タカトシが出てきた。その妹のコトミも一緒である。
「おはよう、ハルカ」
「おはようございます、ハルカ先輩」
「あぁ、おはよう」
ちなみにタカトシの妹のコトミは、まだ中学3年生である。
「それじゃあ行ってくるよ」
「じゃあがんばれよー」
タカトシと俺とでコトミに挨拶する。
「あ、二人とも電車の中は気を付けてね!」
コトミが気づいたように大声でいう。でも何を気を付けるのだろうか?
俺たちは雑談しながら駅に向かい、電車を待つ。
(なんだ、何もないじゃないか)
電車がやってきて、ドアが開く。そこで俺たちは、コトミの言っていた気を付けての意味を理解した。
何しろ、電車の中は女子高校生しか見当たらないからだ。それも俺たちと同じ学校の。電車の中を見ると、数少ない男性は全員両手を上げている状態で乗っていた。どこか居づらそうであるが、その気持ちはわかる。
周りに異性しかいないというのは、居心地の悪さを思うのだ。
女子だらけの空間を脱出し、俺たちが学校に向かう。まぁ中に乗っていた女子高生も全員降りる。
俺たちが入学したのは、もとは女子高であった桜才学園である。少子化の影響で、今年から共学になったのだが、やはり女子が多い。聞いた話だと、男子と女子の比率は、28:524だという。
「女の子ばっかりだな」
タカトシが話題を振ってきた。
「確かに。これは3年間大変そうだな」
校門に吸い込まれるように入る生徒は女子しか見えず、男子は見当たらない。
「家に近いから選んだけど、こうも多いと、な」
「そうだな。いろいろ気を付けないと」
「こら、そこの男子生徒と女子生徒!」
突然前から、『生徒会』と書かれた腕章をつけた、髪の長い綺麗な女子生徒が大声で俺たちに言う。
「男子生徒のほうは、制服の着方がだらしないぞ。少なくとも、ネクタイはちゃんと締めろ」
現在のタカトシは、ネクタイを緩め、ブレザーのボタンをはずしている。
「君たちは新入生だろう」
「は、はい」
「そうですけど…(生徒会?)」
タカトシの目が腕章に向けられている。おそらくこの女子生徒は生徒会の一員なんだろう。先輩だろうか?
「まったく、近頃の学生はラフなスタイルが格好いいと思っているから困ったものだ。その点、私はちゃんとしめてるぞ」
「締りの悪い女とは思われたくないからな!」
「「……は?」」
何言っているんだ、この人?
「とりあえず、君は校則違反だ。どれ、私が直してやろう」
生徒会の人がタカトシのネクタイを握り、それに顔を染めるタカトシ。まぁ綺麗な人にここまで近くに来られたら、顔を赤くするだろうな。
「と同時に、校則違反の罰を執行する」
と言いながらタカトシの首をネクタイで絞める。これは苦しそうだ。
「そして君」
「はい?」
俺は別に着方を着崩しているつもりはないのだが…。
「なぜ男子の制服を着ているんだ。女子の制服を着ないか!」
「…一応覚悟はしていたけど言われるとグサッと来るよ!」
申し遅れたが、俺の名は御堂ハルカ。
人生一番の悩みは、男に見られたことがないことである。
どうでしたでしょうか?
これからもよろしくお願いします。