『きゃー!!』
テレビ画面の中で悲鳴を上げるアイドル。
俺は津田家で夏になると蚊と同じように湧き出す心霊物の番組を見ていた。
タ「お前も好きだなぁ」
ハ「別にいいだろ」
こういうの見ていたって。
タ「いや、俺が言っているのはテレビに出ているアイドルの話」
そう言って、タカトシはテレビ番組の中のアイドルを指差す。実を言うと、俺こと御堂ハルカはトリプルブッキングのファンだったりする。
ハ「俺がアイドル好きになっちゃいけないっていうのはないだろー」
口をとがらせながらタカトシに反論する。
タ「いや、いいんだけどさ。結構周りからは意外という反応が多いからさ」
ハ「へー、そうなんだ」
そんなに以外かなぁ。
コ「意外だと思われてもしょうがないですよ」
コトミが口を挿む。
ハ「どうして?」
コ「だってハル兄って、アイドルが好きそうな顔してませんもん」
ハ「顔かよ!あとアイドル好きって言ってもトリプルブッキングぐらいだぞ!!」
ほかはとくに好きとかそういうのはない。
ちなみにコトミはまた昔の呼び方であるハル兄に戻している。コトミに先輩呼ばわりされていたが、さすがに小さいころから親しい中であるコトミに先輩呼ばわりされるのはなんとなく抵抗があったのだ。
え、なんで今まで直さなかったんだって?…そんなことはどうでもいいじゃん!!
コ「でも最近トリっキングも歌番とかあまりでませんよね。こういうバラエティだけでてきたりとか」
ハ「それ、言っちゃダメ」
翌日
シ「最近、1階のトイレに自殺した女子生徒の幽霊が出るという噂がたってきた」
ア「夏の定番ねぇ。でも、女子トイレに入るときは気を付けないとね」
ハ「それでなぜ俺を見るんですか」
想像がつくが、それは自分が悲しくなるので言わないでおく。ちなみに1階は1年生、2階は2年生、3階は3年生が使っている。
ス「非常にバカバカしい話ですね。高校生になって、そんな作り話で盛り上がるなんてくだらないです」
萩村が意見を述べた。確かにそれは一般論かもしれない。だが。
シ「最近なぜか萩村を2階のトイレでよく見かけるんだよな。なぜか」
…言っていた本人がこれではどうしようもないのでは?
俺とタカトシと萩村で、校舎の外を歩いていた時だった。
タ「あれ、畑さん」
ラ「あ、どうも」
畑さんが校舎を写真に収めていた。
ハ「何やっているんですか?」
ラ「実は今度の桜才新聞で学校の怪談を企画することになりまして、その取材」
タ「へぇ…。どんな話ですか?」
ラ「それはね…ん?」
畑さんが萩村のほうを見る。見ると、萩村が耳を指でふさいでいるように見えた。
ス「耳がかゆいだけです。どうぞ」
…そういうことにしておこう。
ラ「これはね。実際にあった話。ある女子生徒が、気分が悪くなって保健室で寝ていたそうなの。でも、ふと目を覚ました時、そのシーツは血で染まっていたそうよ」
ハ「うわ…」
それは実際にあったら怖い。
ラ「なんでも、その日が○○だったことを忘れてあててなかったみたい」
…あれ?
タ「怖い話は?」
ラ「大丈夫よ。怖くなるようねつ造…脚色するから」
ハ「言い換えても結局はねつ造でしょうが」
ラ「まぁまぁ。まだほかにもあるのよ。保健室で夜な夜な女の泣き声が―」
タ「喘ぎ声っていうオチじゃないですよね」
少しむくれる畑さん。っていうか真実かよ。
タ「萩村って、怖いの苦手?」
ス「…そうよ。どうせ子供っぽいとか思うんでしょ」
…実は思った。
タ「まぁ少しは」
絶対嘘だ。
タ「でも、萩村のことを知れてよかったとおもうよ」
…こいつはたまにこんなことを口にするからすごいと思う。ちなみに萩村の頬が少し染まっていた。
シ「最近、生徒の間で、3階の廊下で不気味な笑い声がするという話が広まっている」
ス「つ、作り話じゃないんですか?」
シ「いや、本当の話だ。現にその声を聞いたという話は3年生の間で広まっている」
ス「きっと、イタズラですよ!だからこの件はほっといても―」
シ「何を言っている!!」
突然会長が怒鳴った。
シ「生徒会として、生徒の安全を考え調べる必要がある。何より、イタズラだとしたら、これは生徒会としては放っておけない話だ!」
このとき、会長がまぶしく見えてしまった。
シ「では、さっそく調査だ!」
そう言って、お守りやらなんやらを取り出す会長。ひょっとして…。
ハ「会長、怪談とか好きですか?」
シ「うん」
タ「どうりで調査に乗り気なんだ…」
ア「まぁまぁ。楽しそうじゃない」
楽しいのか?
ちなみに萩村は全く乗り気ではなさそうだ。
放課後
外ではヒグラシが鳴き始めている。
俺たち生徒会は、噂の3階の廊下にやってきていた。
タ「放課後の学校って、不気味ですね」
ア「この時間は、校舎に生徒はほとんど残っていないからね」
残っている教師とかも、職員室とかにこもっているので、この時間にここにいる人はほとんどいないだろう。
シ「よし、行くぞ」
会長を先頭に、俺、萩村、七条先輩、タカトシの順番である。
ちなみにこの配置なのは、男子が先頭付近と後ろにいた方がいいからという意見があったからである。
しばらく進むがとくに何もおこらない。萩村は怖がっているが。
だが突然、それは起こった。
どこからともなく廊下に響き渡る、不気味な笑い声。
ス「ギャ――――――――――ッ」
萩村がさっそく錯乱を起こしかけている。
ハ「落ち着け、萩村!」
シ「いったいどこから聞こえているんだ!?」
あたりを見回すと、会長があるところで視線をとめた。そこには、『英語準備室』と書かれたプレートがある。
ハ「もしかして」
『英語準備室』に入る俺たち。中では横島先生が雑誌をよんで不気味な笑い(?)を出していた。
ナ「ってなんだ、生徒会役員共か。びっくりした」
タ「そう言いますが、不気味な声をだして生徒たちを不安がらせないでください」
そう言いながらタカトシが雑誌を没収する。それは女性向けのエロ本だった。
ナ「か、返して、私の放課後の楽しみ。それは、生徒から没収したものだから私のじゃないし、別に読んでいたって誰も文句言わないだろうからさ」
泣きながら哀願する横島先生。だが、ばったり倒れてしまった。
ス「ふぅ…」
ちなみに萩村は、これが人間の仕業であると知ってホッとしているようだ。
ア「あら。この人、汗かいているわね」
シ「あれの後なのだろう。ほら、ブリーフの先に○○が」
ちなみに会長たちは通常運転だった。
ナ「学校にこんなもの持ち込んでいる男子生徒がいやがった」
次の日、横島先生が生徒会室にきて愚痴りに来ている。仕事はいいのだろうか?
ナ「だから没収ししてやった」
またこっそり読む気か?
シ「確かに、いかがわしい雑誌ですね」
ハ「なぜ中身を見るんですか?」
別に中身を確認しなくてもいいと思うのだが。
ナ「だから放課後呼び出してやった」
ハ「説教ですか?」
ナ「生身の良さを教えてやる」
…俺は横島先生から少し離れる。
ナ「なに離れているんだ。冗談に決まっているだろう。アハハハハ。…ハァハァ」
…それならば息を荒げないでほしい。俺はさらに離れる。
シ「津田、御堂!読むんじゃないぞ!!」
タ「読みませんよ」
ハ「そうですよ」
ア「そうよね。だって2人は使うんだもんね」
ハ「ちょっと待て!」
どう使うつもりだ。
翌日
ハ「毎度思いますが、七条先輩のお弁当って豪華ですよね」
ア「そうかしら?」
生徒会室で昼食をとっていると、七条先輩も昼食をとりにやってきた。ちなみに俺がここで昼食をとる理由は、書類仕事が少したまっているので、それを片づけようと思ったからである。これは七条先輩も一緒だ。
ア「よかったら一口いかが?」
ハ「いいんですか?」
ア「いいわよ。あーん」
ハ「あーん」
手皿をしながら箸でつかんだおかずをこっちに持ってくる七条先輩。
その時、タイミング悪く会長が入ってきた。
シ「こ、校内恋愛は禁止だと!」
ハ「違います」
俺はそれまでの経緯を説明した。ちなみにおかずは弁当箱に入れてもらった。うまい。
シ「そういうことだったのか。しかしアリア。手皿は感心しないぞ」
ア「どうして?」
シ「実は手皿はマナー違反なのだ」
ア「でも○○の場合だと妖艶さが増すと思うけど」
シ「…論破されてしまった」
ハ「いや、まだ反撃できるから」
その時、今度は萩村が入ってきた。
ハ「どうしたの?」
ス「いや、この棚からある備品をね」
そういって、棚の上から2番目にある箱を取り出そうとする。
ア「スズちゃん、手伝おうか?」
ス「いえ、大丈夫で―うわっ!」
爪先立ちしていたら、バランスを崩して、手に持っていた箱の上にあった箱が、萩村の頭の上を通過して七条先輩の胸にあたる。と思ったらバウンドして萩村の頭にあたった。
ハ「だ、大丈夫か?」
ス「…平気」
ちなみに今の光景をみて、会長が七条先輩(の胸)をうらやましそうに見ていた。
タ「遅れましたー」
今日は食堂で昼食をとっていたタカトシがやってきた。
ハ「おう津田。…どうしたんだ、疲れた顔して」
タ「いやね。さっき、三葉と会ったときに、握り飯を食べながら俺を見るから、何かと思ったら、男の子をおかずにすると体が満たされるって聞いて、実際にやってみたっていうから」
ア「あ、それ私」
ハ「やっぱりあんたか」
今日もいつも通りな生徒会だった。