今日から衣替え。俺も夏服から冬服にしたが、10月になってもまだ暑い日があったりする。ぶっちゃけ、もうしばらく夏服でいたい。
ハ「おーい、タカトシー」
俺は津田家の玄関からタカトシを呼ぶ。
タ「いやぁ、ごめんごめん」
タカトシが玄関にやってくる。ちゃんと冬服だった。
コ「タカ兄、おはよー。あ、ハル兄もおはよー」
コトミが挨拶してきた。ところで…。
タ「お前それ夏服じゃん。寝ぼけているのか?」
コ「え!?」
自分の格好を見るコトミ。
コ「や、やだなぁ、ワザとだよ!!キャラもドジっ娘に衣替えしたんだよ!!」
今日もコトミは愉快だな。
登校後、横島先生に捕まり、荷物運びを手伝わされる。
ナ「あー、眠たい。これから朝礼会議だっていうのにいかんな」
どうやら寝不足のようだ。
ナ「気合入れるか!」
そして頬をパンパンと少し強めに叩く。
ハ「目覚めました?」
ナ「うん。新しい快感に」
ハ「逃げよう」
俺は横島先生を置いていくと、事前に言われていた場所に荷物を置き、逃げるようにその場を去った。
生徒会室に入ると、会長たちがいた。七条先輩は掃除をしているようだ。
シ「アリアはきれい好きだな。埃一つなく、きれいなものだ」
ア「ありがとう。でも、あまりやりすぎると潔癖症って言われそうね」
シ「まぁ、人間だらしがない部分があってもいいだろう。私が得た情報だと、下着が汚れている方が喜ばれるらしいぞ」
全然ろくな情報じゃねーな。というよりどこからの情報だ?
ス「ふぐ…んー…」
萩村の力む声に首をそちらに向けると、棚にあるものを取ろうとして精一杯体を伸ばしているのがわかった。
ハ「手伝うか?」
ス「全然平気!」
…あまり平気そうに見えない。
とりあえず、なんとかとれたようだ。
ス「ふぅ。まったく、この体じゃいいことないわね」
まぁ小さいといろいろ困ることもあるだろう。
放課後
ス「この体でも、結構いいところはあるわね!」
ハ「はぁ?」
なんでも、タカトシと外を歩いていたら、ボールが萩村の頭上を通過して、タカトシに当たったらしい。
ハ「…それは、まぁよかったな」
ちなみに俺の方は全くいいことがない。
電車に乗ったら痴漢をされるし、男に告白されるし、女装を強要されるし、男子トイレや更衣室に入ったら大騒ぎになるし…。
ス「…あんたってかなり苦労しているのね」
ハ「いや、お前もだろう」
ス「ええ。身長制限で引っかかるし、物は取れないし、補導されそうになるし…」
…………。
ハ・ス「「仲間だ!!」」
俺たちは手を取り合っていた。
シ「何やっているんだ、あの二人は」
ア「さぁ…」
タ「よくわかりません」
どうせ部外者にはわからないことさ!!
翌日
七条先輩が泣いていた。どうやら小説を読んでいて、それに感動したようだ。
シ「アリアは何を読んで感動したんだ?」
ア「恋愛小説だよ。運命の赤い糸とか、あこがれるよね」
シ「赤い糸か。そのようなものがあったら、あそこから糸引いているって、日常的に言われるんだろうなぁ」
タ「あぁ、そうですね」
ス・ハ((突っ込み放棄!?))
ア「そういえば、津田君って恋人いないの?」
タ「俺ですか?あいにくそういう人はいませんね」
ア「じゃあ、右手が恋人?」
ナ「左手かもしれないぞ」
タ「ねーよ」
つか、いつの間に横島先生いたんだ?
シ「な、ならば、口が恋人か!?」
タ「一番ありえねーよ」
ハ「あのー、そろそろ本題入りません?」
このままじゃ終わりそうにないので、ここでストップをかける。
ナ「じゃあがんばってね」
何しに来た!?
シ「実は、生徒会新聞を作ろうという話になってな」
生徒会の活動内容やイベントの告知などといったことを伝えやすくするためらしい。
シ「もちろん、我々だけでは難しいので、新聞部にも協力を頼んでいる」
ラ「こんにちは」
本格的だな。
ラ「写真でしたら、こんなこともあろうかとあなた方のはたくさん撮ってありますので大丈夫です。ちなみにいくらで買います?」
ハ「何撮った!?」
というより、金をとるのか!?
ラ「今のは冗談よ」
…本当か?
ラ「おすすめなのは、ドアをくぐろうとしたとき上に頭をぶつけた津田君をうらやましそうに見つめる萩村さん」
ス「ちょっと!これじゃ私が身長にコンプレックスを抱いているみたいじゃないですか!?」
…一応事実だと思うぞ。まぁ記事にするのはだめだろうけど。
ラ「大丈夫。そういうと思って、コラッといたから」
この画像は、18禁です。
タ・ス「「コラ―――!!」
ハ「ま、まぁとりあえず、レイアウトとかどうします?」
シ「なるべくみんなの興味をひかれるようなものがいいな」
タ「じゃあ、袋とじはどうです?」
ア「袋とじって?」
ハ「ページとページがくっついて、見られないようになっている雑誌です」
ア「それって、○○臭い○な本のこと?」
ハ「それは違う理由でくっついています」
ス「まぁとりあえず作ってみましょう」
そういって、パソコンを立ち上げる萩村。しばらく待っていると、骨格はできてきたようだ。さすが天才。
ス「レイアウトは、これでどうです?」
シ「んー。これがずれているな」
ス「これですね」
シ「あとこれも」
ス「こうですか?」
シ「あ、これもだな」
ス「あんまり細かいと、ハゲますよ」
シ「下の毛なら大歓迎だ」
ス「あ、そうですか」
俺は新聞部から提供された写真を、七条先輩と選別する。
ハ「これはいいんじゃないですかね」
ア「そうね。あ、これなんかどう?」
ハ「え?」
それは、随分前に柔道部をお邪魔した時の画像だった。会長が柔道部員と組んでいる。見ると、会長は制服だから、下着がちらっと見えていた。
ア「これを乗せたら、シノちゃんのことがもっとよくわかってもらえるかも」
ハ「いや、何をわからせる気ですか?」
下着を見せる気か!?
シ「アリア、それはやめてくれ!!」
そうだ、会長もガツンと言わないと―
シ「下の毛の処理が疎かになっているだろうからな!!」
え、そっち?
ちなみにタカトシは短編小説を任されている。
ハ「浮かばない?」
タ「うん。まぁそう簡単に浮かばないよ」
それもそうだな。
タ「まぁ、ゆっくり考えていくよ」
ハ「でも明日までには一応書いておいた方がいいぞ」
発行予定日を考えると、下書きは明日か明後日ぐらいがいいだろう。
タ「わかった」
翌日
シ「津田、どうだ?」
タ「あんまり自信がないんですけど…」
シ「まぁこういうのはあんまり気を張らずに書いた方がいいぞ。初めてだし、気軽な気持ちで書いてくれればいいと思うぞ」
そういって読み始めた会長。
だが、5分もすると。
シ「う~~~~~~~(泣)」
タ・ハ「「えぇ!?」」
突然泣き出したぞ!!
シ「胸を打つ、いい話じゃないか」
ア「どれどれ」
5分後
ア「う~~~~~~~(泣)」
またか!?
ス「二人とも大げさですよ…」
3分後
ス「う~~~~~~~(泣)」
ハ「って、萩村もか!?」
そんなに感動できるのか!?
ハ「どういうやつなんだ?」
タ「あぁ、これだよ」
その話は、簡単に言うと、街で捨てられた子猫と、それを拾ったOLの話だった。
ハ「うん、なかなか感動できるな」
タ「そうかなぁ」
ハ「結構文才があるんじゃないか?」
タ「いや、まさか…」
タカトシはそういうが、実際にあると思うぞ。
最終的な調整や校正などの作業を行い、やっと発行されることになった。最初は数枚しか持って行ってくれなかったが、その後一気になくなった。それほど好評だったのだ。
タ「しかし、俺に文才があったなんて、思ってもみなかったな」
ハ「そうだな。というより、長年一緒にいたけど全然気が付かなかったぜ」
周りを見ると、生徒たち(主に女子)が、生徒会新聞をもって号泣していた。
タ「でも、周りがあんな人たちだったから、少しは自信につながったかも」
ハ「それはいいことだな」
周りの人たちの個性が強すぎるせいで圧倒されっぱなしだったからなぁ。
カ「津田副会長…」
前を見ると、微妙に間合いを開けて、五十嵐先輩がこちらを、というよりタカトシを見ていた。
カ「あなたが女を泣かせまくっているという噂が立っています」
タ「えぇ!?」
俺は周りを見る。うん、確かに。
ハ「泣かせまくっているな」
タ「ちょっと待て!ハルカもそういうか!?」
カ「津田副会長は、私の半径3m以内には近づかないでください」
タ「ええ!?」