少子化の影響で、今年度から共学になった桜才学園。
そこに入学し、なりゆきで生徒会役員となった、総務の俺こと御堂ハルカと、副会長の津田タカトシ。タカトシはとくに大変だろう。なにしろ入学早々副会長を命じられるのだから。
とはいえこの生徒会、なんだかやっていけそうである。なぜなら―
タ・ハ「「遅れました!!」」
ス「遅ーい」
ア「あらあら」
シ「何やっているんだ。今日は大事な会議があるといっただろう」
ハ「すいません」
タ「実は道に迷ってしまって」
シ「ふむ。君たちは新年生だからな。よし、今日は学園を案内しよう」
ア「わぁー」パチパチ
こんな感じで進んでいくからだ。というより、大事な会議はいいのだろうか?
シ「ここは保健室だ」
場所移動
シ「ここが女子更衣室だ」
場所移動
シ「ここは使われていない無人の教室だ」
場所移動
シ「なんだ。男子が聞いてドキッとしそうな場所を優先的に紹介しているのだが、不満なのか?」
ハ「はい」
タ「うん」
というより、体育倉庫で何をするつもりだ。
場所移動
シ「ここは音楽室。グランドピアノの上が使いどころだ」
タ「続けるんだ…」
ハ「というよりなんの使いどころだ?」
まぁこの先輩が紹介するところだからろくでもないことかもしれないが、ピアノ壊れないのだろうか?
2-Bと書かれた教室の前にきた。
ア「ここが、私とシノちゃんの教室だから、困ったことがあれば、なんでも相談してね」
タ「はい」
うん、覚えておこう。でも1年のフロアより居づらい。男子が一人もいないから(1年には男子が各教室に最低でも5人はいる)。
ア「でも、こうしてみると少子化が悪いってこともないわね」
ハ「はい?」
ア「だって、3年生になって、P組まであったら大変じゃない」
シ「クラスのイメージカラーはピンクだな」
ア「うんうん」
…突っ込むべきなのだろうか?ちなみにほかの二人は少し下がっている。
女子トイレの前に来た。
シ「ここは女子専用トイレだ。男子は教員用を使うように」
ハ「はい」
シ「そして御堂は、女子トイレを使うように」
ハ「なんでですか!?」
小学校からずっと言われていることだが、とても屈辱的だ。
ア「でも、御堂君なら女子トイレに入っても、違和感ないかも」
そんなことはないだろう。何しろ男子の制服を着ているのだから―
タ・ス・シ「「「確かに」」」
ハ「ちょっ!?」
タカトシまで言うか!
シ「そうだ、言い忘れていた」
…何をだろうか?
シ「ここでは用を足す以外に、ナ○○ンを装着したりする」
タ「そんな説明だれも求めていないです」
真面目に聞いた自分がバカだった。
ア「ちょっとシノちゃん!!私はタ○○ン派よ!!」
ズルッ
思わずこけてしまった。
シ「すまない。自分を基準に語ってしまった」
タ「これいつも続くの?」
ス「私はもう慣れた」
今俺らは廊下を進んでいる。
「「会長、お疲れ様でーす」」
歩いていると、いろいろな人が会長に挨拶する。
タ「挨拶されるなんて、さすが会長、人望ありますね」
シ「うむ。まぁ慕われなければ人の上に立つことなどできないからな。君も副会長として尊敬されるようにがんばれ」
タ「いや、俺そーゆーの苦手で」
シ「もしかして、蔑まれた方がいいのか?Mだったのか」
ハ「発想が極端すぎます」
タ「ナイスツッコミ」
ス「ここが屋上よ」
そういって萩村はフェンスのほうへと向かっていった。
ちょうどいい風が吹き抜ける。まだ春の香りがした。
ス「私、高いところが好き」
ハ「へぇ、そうなんだ」
タ「なんで?」
ス「…人を見下ろせるから。笑えばいいじゃない」
タ「いや……」
笑う笑わない以前の問題だと思う。
タ「あれ、会長は来ないんですか?」
ハ「もしかして、会長って高いところ苦手ですか?」
屋上へ通じる扉にしがみついたまま動こうとしない会長にたずねてみる。
シ「い、いや、そういうわけではない!!」
ハ「でも足が震えてますよ」
シ「こ、これは―」
シ「楽しくて膝が笑っているのさ!」
…それほどうまいことは言えてない。というより無理がありすぎる。
シ「さて、今日の本題だが」
学校案内が終わり、生徒会室でさきほどの続きを行う。もともと自分たちがもっと早く学校内を把握していなかったから貴重な時間をつぶしてしまったんだな。そう思うと申し訳ない気持ちになった。
シ「今年から共学になり、男子生徒が入ってきたわけだが、男子と女子の垣根をなくしていくのが、我々生徒会の役目だろう」
ア「さすがシノちゃん、いいこと言うわね」
自分の気持ちを知ってか知らずか、会長が議長になり(当たり前だが)会議を進めていく。
シ「共学にもなると、我々は様々なものを共有していくことになる」
ア「たとえば?」
シ「プールの水とか」
ア「今年の夏はドキドキね」
前 言 撤 回。
タ(辞任したい)
タカトシは辞任したいと考えたことだろう。
タカトシside
桜才学園生徒会長の天草シノは、右も左もわからない俺たちに対して、手取り足取り教えてくれる面倒見のいい人だ。
タ「あの会長、これは」
シ「君は私の右腕なのだから、右側に立て!!」
でも変な人である。
シ「そういえば君と御堂は親友なんだな」
タ「えぇ。あいつは家が隣なんで、小さいころから遊んだりしたんですよ」
シ「そうか。ギャルゲーみたいにツンデレの女の子だったらいいのにな」
タ「は?」
シ「最近いじめが社会問題になっている!!」
日も変わって、別の議題の話をしている時だ。
シ「そこで、我が校でも緊急アンケートを行おうと思う」
ア「いじめはいけないこと?」
シ「当然だ」
ア「私の父は、母に毎晩イジメられて喜んでいるけど」
シ「仲睦まじいじゃないか」
タ(天然)
この人はどこか天然なところがある。
ザザッ
ちなみに七条先輩の隣に座っていたハルカは、微妙に距離を置き始めた。
ハ「しかし思ったんですが」
離れた状態のままハルカが意見をする。
シ「なんだ?」
ハ「アンケートをしたところで、本当に答えてくれますかね?」
シ「ふむ。そうだな、Sな奴なら喜んで書くだろうし」
ハ「い、いや、そういうことじゃないですけど…」
とりあえず、アンケートを行うだけ行ってみるという結論でまとまった。
タ「ふぁ~~~~…」
ハ「ん、眠いのか?」
タ「午後って眠くなりません?」
ア「そうだねー。お昼の後だし」
ハ「そうだな。お前の隣にも寝てるやつがいるし」
いつの間にか萩村が寝ていた。
ア「ちなみにスズちゃんは、本当に昼寝しないと体が持たないの」
タ「子供だ―」
バキッ
萩村に殴られた。
ア「ちなみにスズちゃんは、寝ていても周囲の反応にこたえることができるのよ」
タ「…そういうことは、もっと早く言ってください」
ハ「大丈夫か~?」
タカトシside out
少し(いや、かなり)小柄な同級生にして、桜才学園生徒会会計の萩村スズ。いつも腰に手をあてて、なんだか偉そうだ。
ハ「どうして萩村って、そんなポーズとってるの?」
ス「私、こんなだからなめられないようにこのポーズにしているわけ」
ハ「あ、なるほど」
理由はあったのか。
ス「しかし、このポーズには大きな問題が」
ハ「何?」
ス「こうしていると、前ならえの先頭を彷彿させる。このジレンマどうしたらいいの?」
ハ「知るか」
でも確かに、後ろにランドセル背負った子供が前ならえをしている姿が想像できた。そして萩村もランドセルを背負った子供に―
ス「なんか失礼なこと考えたよなぁ?」
ハ「き、気のせいだよ。アハハ…」
シ「より良い学園生活のために、目安箱を設置しようと思う」
ス「ですが、以前も設置して、あまり効果がなかったんですよね」
シ「うん。だから入れたくなるように工夫してみた」
そして、目安箱の入れ口にマジックで何かを書き足す会長。
シ「できたぞ」
ちなみに表現は自主規制いたします。
タ「これは不信任モノだろ」
放課後、七条先輩が目安箱を持ってきた。
ア「今日はいっぱい投書があったよ~」
ス「やはり、男子が入ったことにより、意見が出るようになったのでしょうか?」
ハ「逆に、男子がなにか意見しているのかもな」
目安箱を開けると、たくさん出てきた。
タ「へぇ、ほんといっぱい来てるな…」
適当に一つ取り出して開いたタカトシが絶句する。何が書いてあるか気になったので見てみると。
『会長に手を出したら穴ぶち抜きます。』
と書かれていた。
ア「シノちゃんのファンクラブの子からじゃないかしら?」
タ「怖いなぁ」
シ「これは御堂あてだな」
ハ「どれですか?」
『御堂君が男子のわけがない。女子の制服を着なさい』
…少々いい加減にしてほしかった。
ア「これもだね」
『バレンタインは君のチョコレートを期待しています』
紙を破らなかった自分をほめてもらいたかった。
ス「これもあんたね」
『君は男子なのではない!君は、第三の性別ハルカなのだ!!』
バリバリバリバリ
思わず紙を引き裂いた。
シ「なんだいきなり。紙を破るなんて…」
会長が何か言ってるようだったが、黙ってしまった。まぁいい。
シ(な、なぁ。なんだか怖いんだが)
タ(あいつ、怒ると怖いんですよ。下手したら流血騒動になります。というより中学でなりました)
何かひそひそ言っているがまぁいい。とりあえず、コンナコト書イタ奴ヲ見ツケ出サナケレバ…
1時間後、ハルカはこれを書いた人間を探し出すことに成功した。そして、その教室からとても人のものとは思えない悲鳴が出たが、それを見たものは全員口を噤んだ。もちろん、生徒会関係者も…。
というわけで第三の性別疑惑が浮上したハルカでした。ちなみにこのネタは某ライトノベルを参考にしました。