Fate /Divinely Warriors   作:なんばノア

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「以上が、私の宝具の全てになります。何か、質問等があればどうぞ」

 

作戦会議。セイバーのマスターたるカラスヤ陣営における、今後の方針を決める重要な物だ。そこでセイバーの宝具やスキル、そしてステータスから得意戦術まで、様々な事を紹介してもらった。

 

「なるほど、これらの宝具。確かに強力だ。復活、いや転生と言うべきか。逸話を宝具に昇華する例は特殊ではあるが、特に珍しい訳では無い。これなら、勝利は当然と言えるだろう」

 

セイバーの宝具は四つ。そのどれもがAランク以上と言う、破格の英霊だ。この時点で我々は、勝利を確信してならなかった。仮に、セイバーと並ぶかそれ以上の英霊が存在したとして、こちらの陣営の戦力は申し分ない。

時計塔が君主(ロード)の一角。現代魔術科の学部長にして、エルメロイ教室の講師。「グレートビッグベン☆ロンドンスター」、「プロフェッサー・カリスマ」、「マスター・V」など、様々な異名を持つ賢者が彼、ロードエルメロイⅡ世である。

次に、今回の戦力増強のために招いた封印指定執行者。

異能殺害者(ファンクション・キラー)」、と謳われたご老体。ハルファス=フロワ・ミスティファンク。

同属屠殺者(イコール・スレイヤー)」の異名を持つ令嬢。シャルロット・アンナ・ロスターク。この2名、どちらも現時計塔封印指定執行者における最強の一角を担う人物だ。

最大の敵となろうノーンブランク。彼が相手であれど、コチラには対抗策が用意してある故、敗北はまず有り得ない。

 

「それで、その話に出てきたコネットくん?私、彼のことよく知らないのよね。ウェイバーくん、確か貴方の教室の生徒だったわね。彼の事はよくご存知でしょ?よかったら、彼の実力や戦力、またどんな人物かどうか教えては下さらない?」

 

「そうだっか。君とハルファ翁は、彼の事を存じていないのだったな」

 

「左様でございます。なにせ我ら、封印指定執行者。時計塔の生徒一人一人にまで目を当てられる余裕がございません故」

 

それもそうだが。彼らの次元から言わせれば、ノーンブランクの取得している階位など足元にも及ばない。

ノーンブランクが所持する祭位(フェス)。これは魔術師としての能力とは別の、個人が保有する特異性に対して送られる称号である。魔術師として大きな功績を残すより、彼の場合は保有する魔眼と概念礼装が齎した結果に過ぎない。故に、彼ら2人と比べるのは些か以上に見当違いだ。

異能殺害者たるハルファス。彼に与えられた称号は第二階位(ブランド)。この称号を得た魔術師は他に、先代のエルメロイを始めとする名高い魔術師達だ。はっきり言って、この第二階位色位(ブランド)は最高位の称号と言える。事実上最高位の王冠(グランド)は幻とされ、最後に取得した魔術師も伝説級の魔女だったとされる。なにせ、魔法使いの姉だ。どちらもまともじゃない。

話を戻そう。今回の作戦において、このハルファスさんは対ノーンブランクのエキスパートと言っても過言ではない。

 

「コネット・J・ノーンブランク。現代魔術科 エルメロイ教室所属。専門魔術は錬金術、強化、置換、元素変換など。欧州圏、特に英国では有名な貴族である、ノーンブランク家の8代目当主候補。近年、私と同じく第四階位祭位(フェス)を取得した」

 

「ふーん、フェスねぇ。まぁ、実力はピンキリか」

 

「まだ続きがある。今回彼が脅威とされる要因が2つ。所持する魔眼と概念礼装だ。

一つ、現存する宝具の一つ。クラウ・ソラス。

一つ、視線で対象を殺す伝説級の魔眼バロール。そのレプリカだ」

 

「は!?」

 

先程まで余裕な口ぶりをしていたロスタークが声を荒らげる。しかし、それは当然の事と言える。

 

「バロール!?そんな伝説級の魔眼がまだ現存してたの!?だってそれ、“虹”の位に匹敵する超越級魔術の具現よ!?」

 

「急かすな、話はまだ途中だ。バロールとは言ってもレプリカ、視線で人間を殺す事は叶わん。しかし、驚異であることは確か。レプリカのバロールは生命力を奪うのではなく、運命力を奪う。―――有り体に言えば、まさに魔法級(、、、)の代物と言える」

 

「ちょっと。魔法なんて言葉、安易に魔術師が口にするものでは無いわよ」

 

そう。魔術師、それも先生ともあろう人間であれば、魔法と魔術の違いなど重々に承知しているはずだ。事実、魔術と魔法は異なるものであり、誰にでも真似ができるものでは無いのだから。

魔術師。それは魔術と呼ばれる、神秘の模倣を再現する者。

魔法使い。それは紛うことなき神秘を体現する、根源に触れた者。

魔術とは一見奇跡や神秘のように見えるが、その実それは単なる文明の灯の一部に過ぎない。文明の力で成せる事象を、文明の力以外で成就する手段こそ、魔術と呼ばれる現象だ。

対して、魔法とは正しく神秘。定義として、その時代の文明ではどれだけ時間と資金を掛けても辿り着けない事象と結果。それこそが、現在において魔法に数えられる五つの奇跡を示す定義だ。

 

「そう言わざるを得ないだろう。結果として与えられる物は同じだが、その経緯が異色のそれを極める。運命力の操作など、魔術で再現可能なものでは無い。それに、これを可能とする魔法が存在するのもたしか。まあ、コチラはアチラほど応用は効かないようだがな。―――話を戻そう。運命力の強奪は生命にとって驚異に他ならない。等しく、+に働く運命力(、、、、、、、)を根こそぎ奪われるのだ。これは、直死の魔眼と呼ばれる虹の魔眼。それの下位互換となんら変わらない能力と言える」

 

直死の魔眼。そう呼ばれる魔眼が存在すると言う。

直視、死を視ると言う能力から名付けられたものであり、これは比喩でも何でもなく、この能力は紛れもなく、対象の死そのものを視認できるのだとか。

“死”とは、一般的な概念のそれでなく、万物に適応される「いずれ来る終わり」を意味する。盛者必衰の理を体現するこの世界において、永遠を成立せしめる物は存在しない。それ即ち、この世界全ての存在に適応される概念、想いのようなもの、「1度壊れて綺麗に生まれ変わりたい」と言う思想を、この魔眼は叶えるのだという。

直死の魔眼の詳細を詳しく知る訳では無いが、それは未来視の究極概念のようなものであるらしい。物事の最終結果、終わりを視て、それを具現するのだから、当然だろう。

そして、このバロール。コチラはそれに近しいと言える。同じく万物に作用する概念、「物事を+-(プラスマイナス)に運営する力」、“運命力”の強奪。

この運命力とは即ち、物事の運営を取り留めなく回す力の総称。有り体に言えば、物事における“ラッキー”や“アンラッキー”のような物。プラスに働く運命力とは、物事が善い方向に運び安くなる確率力。

これはあくまで仮説だが。マイナスは、プラスと反比例する形で増大し、プラスの消える分だけ働きやすくなる物だと考えればいいのだとか。100ある運命力の内、プラスが50あってマイナスもそれだけだと考えると、プラスの増減で、マイナスもプラスと足してぴったり100になるまで増減する。プラスとマイナスの比は個人で異なるであろうが、プラスとマイナスの値の総合値は、各々同額と言える。

話を戻そう。運命力のプラスを根こそぎ奪われた人間、それは不幸続きの虚しい人生となる。極端に言うと、著しく運命力を奪われま人間は、ちょっとした魔術的攻撃を受けたとして、あっさりとこの世を去ってしまうのだ。物事のプラスに働く力を失えば、マイナスの力が働く。マイナスに働けば、「生き長らえる」と言う、プラスの結末から遠くなり、結果として最終到達地である死を迎えるのだから。

故に、彼のバロールは驚異以外の何者でもない。―――しかし、

 

「しかし、その為の彼。ハルファ翁でもある。魔眼の対策は万全と言えるため、脅威はもう一つの概念礼装―――」

 

瞬間。部屋の襖が勢いよく開けられ、執事のフギンが入室した。

 

「何事ですか。今は重要な会議中ですよ」

 

フギンの口が開き、驚愕の事実を語ることとなる。

 

「侵入者にございます。お嬢様」

 

「な―――。まさか・・・」

 

本当に、驚きを隠せなかった。有り得ない。クローズエリアを覆う結界は人避けの結界ではあるが、魔術師でも感知することは不可能に近い程に人員を用いている。自陣を悟られないため、最早この区域には接近を拒否するほどの空気を纏わせているのだから。それが見破られたと言うことは、相手は相当の実力であるはず。

しかし、こんな時でも冷静沈着であるのが彼、ロードエルメロイⅡ世である。

 

「侵入者の数は?」

 

「1名と1匹。そして、恐らくサーヴァント(、、、、、、)が1騎になります」

 

 

「マスター。本当にワタクシは戦闘に関して無力なもので、サポートに専念させて貰ってもいいかな?」

 

「構わない。現に、彼ら全員がこの程度の実力なら、私とこの子(、、、)だけで充分すぎる」

 

男が1人、女が1人。そして、異形の怪物の付近に散乱する、魔術師達の身体。彼らは迎撃をはかり、無残にも返り討ちにされた、カラスヤの魔術師。その姿は無残のそれを極める。人間、どうすればここまで汚く死ぬ事が出来ようか。四肢は規則性なく残留しており、体内の臓物は汚らしく食い散らされ、顔面は等しく喪失している。頭部ごと、噛みちぎられているのだ。昏く、緑生い茂る樹海。そこは生き地獄。大の大人5人の惨殺死体が、隔てなく散乱した惨劇の只中、女はそれを踏み散らし前に進む。

 

「行くわよ、コロ。貴方の栄養補給には持ってこいの、魔術師達の巣窟だもの」

 

月光すら通さぬ樹海の闇夜を、獣が駆ける。

 

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