Fate /Divinely Warriors   作:なんばノア

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「遅かったな」

 

月夜に一人の男の呟きが木霊(こだま)した。月光や漂う夜気(やき)に身を震わせ、男はこの日を待ちわびたかの如く生き生きとした表情で客人を迎える。

 

「遅くはないだろう。キッカリ、待ち合わせ五分前だ」

 

時刻は零時を迎える手前。ただでさえ人が近寄らぬ、半分異界の如く質の異常な空気を漂わせたクローズエリアその樹海は、深夜の空気のソレを完全に是として受け入れていた。並の人間なら、そこに居るだけで精神に苦痛を伴うであろう空気の濃度。そんな中に平然として存在できる彼らは、それだけで彼らが異質な存在である証明と言えるだろう。

 

「ははっ、そうだな。て言うか、ぶっちゃけそんな事はどうでもいい。早く始めようや、セイジ」

 

「せっかちなのは昔からだね、セト君」

 

よく言われるなどと微笑し、幼馴染みである彼らは物思いに老けるわけでもなく、ただただ互いの存在に感謝をしていた。いや、セイジの真意はわからないが、少なくともこの場において、セトタカオミはそう感じている。

あぁ、コイツこそ自分を真に高めあえるライバルなのだ。信ずる神は違えど、その信念こそ誠に俺と同一なのだ、と。

セイジとタカオミは高校からの幼馴染みだ。友人でもありライバルでもあり、互いに意識しつつも新興宗教上互いに反発し合っていた関係である。彼らの高校生活は、並々ならぬ狂気で満ちていた。決闘や殺し合い、それらの類は日常茶飯事で、最早彼らを結びつける要因などそれだけで十分だとも言える程だ。

だが、今回の闘争に彼らの過去の話など関係ないように、彼らもまた争いに理由を説いていない。彼らの闘争本能は一つだけ。そこに、お前が居るから、である。これだけで、彼らの思考がいかに狂っているのか、という事実は明白であるが、それは彼らの実力にも同じ事が言えるだろう。

 

「俺はマスターと闘る。バーサーカー(、、、、、、)、お前はサーヴァントの相手をしろ」

 

「心得た。余が満足する程度の闘争になる事態を期待しようではないか」

 

―――対峙する彼らもまた、

 

ランサー(、、、、)、私達への手出しは無用だよ。君には彼のサーヴァントの相手を頼みたい」

 

「お任せあれ、我がマスターよ」

 

場の、空気が張り詰める。シンと撓る(しなる)ような鋭い夜気が、互いの神経を擦り切らす。サーヴァント戦。紛れもない神秘のぶつかり合い。この闘争において、どちらかの死は必定であった。故に―――

彼らもまたそれに心躍る、変態なのだから。

 

「ハハッ―――!」

 

堪え切れず走り出したのはタカオミだ。数十mの距離を詰めるのに3秒と時間を労さない。勿論の如く、セイジはそれに反応する。距離を詰めるタカオミを余所に、自身のサーヴァントに指示を仰ぐ。

 

「バーサーカーと言っていたから納得。基本ステータスは異常なまでに高いから、気をつけてくれたまえ」

 

「御意―――」

 

ランサーのサーヴァントが、バーサーカーの下へと距離を詰める。それを確認するや否や、正面へと振り向きタカオミの接近を確認した。

 

「さぁ、来るがいいセトくん!君の右腕(、、)と、私の殺人拳法(、、、、)。どちらが格上か、白黒決着をつけようじゃあないか!」

 

 

 

 

その光景は、異常と言えば異常であった。使い魔から得た映像は、地獄の体現に限りなく近いと言えるだろう。

我がカラスヤが誇る精鋭魔術師達が、秒を数える間もなく無残に屠殺される姿を、とても現実の物とは受け入れられなかった。決定的だったのは、あの合成獣(キメラ)。あんな異形、この世に居ていい筈がないのだから。

使い魔からの情報を頼りに、侵入者撃退のもと、現場に急行する。

 

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