Fate /Divinely Warriors   作:なんばノア

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prologue.3

 

魔術師。とは、神秘の探求者。魔術と呼ばれる神秘の模倣を用いて、“根源”へと至る事を目指す集団の事を言う。

根源とは、この世全ての事象の始まり。全ての事柄の因果はここから生まれる。全ての始まりにして全ての終着点。世界の出発と終着を記録した大いなる大元。

有り体に言えばそれは、究極の知識の塊のそれに他ならない。

この世の全てを導き出せる究極の記憶媒体。この存在の機能の一端を、別名アカシックレコードとも呼ぶ。

故に、魔術師とはコレを探求する学者に他ならない。

 

魔術師が魔術師と呼ばれる所以。それは、根源に至るための他に有り得ない。

根源に至るためには、根源から流れ出す道を辿らねばならない。その道が太ければ太いほど、根源に近く短い。そして、それが細ければ細いほど、根源には遠く長い。

神秘が体を成す道は勿論のこと太い道となる。しかし、人々の認識によりその道は着実なものとして削られていく。最も細い道等は俗に、一般常識とも呼ばれる。

故に、魔術師は未知を探求する。未知なる道を辿ることは、根源への近道に他ならない。

その為に神秘の模倣、魔術が存在するのだ。

 

しかし、このサンタモリヤにはその概念を無視し、魔術師にとって絶対の掟たる“神秘の秘匿”。これを全く意に介さない魔術一派が存在するのだ。

 

「第一から第四までの者を招集しなさい。

先生が到着しました。第一第二は空港へ御迎と護衛を。第三第四は結界の領域を広げなさい」

 

「御意」

 

ヒナノ・カラスヤ。彼女とその魔術一門は他と比べると異色と言う一言では片付けきれぬ程に一枚飛び出ている。

 

魔術師の家系は後継者を一人選び、その者にしか魔術を継承しない。それは神秘性を保つためであり、無闇矢鱈の魔術継承は根源への道を遠くするためであるからだ。

故に、魔術師は弟子にすら自身の魔術を露見しない。それが常識であり決まりだった。

 

しかし、カラスヤの家は違う。

彼らは魔術で根源に至ろう等と考えていない。用いる手段は魔術のそれに他ならない。しかし、その手段から導き出された結果は魔術の領域を逸脱する。もはや魔術とは次元が違いすぎる現象から根源に至るのだ。故に、彼らは自身の魔術の秘匿を重要視しない。分家や弟子、それら纏めて一族の全てが魔術師であり、それぞれが独立した魔術系統を持っているのもその為だ。

彼らの継承法は基本的な一子相伝では無い。本家から派生した魔術や全くの別系統。独自の継承方法やらで増加していく孫弟子や曾孫弟子の一族。

鴉夜一門の魔術師の数は最早、百の桁を優に超える。

今回集った一族の魔術師は30人。5人一班に分けて全6班存在する事になる。戦力の数は間違いなく最多の陣営である事に違いない。

 

「お嬢様」

 

(ふすま)が開き、奥から2人組の男が顔を見せた。

 

「何用でしょうか」

 

「ミスターエルメロイからのお電話にございます」

 

「噂をすれば、ですね。代わりなさい」

 

同じ顔をした2人組。オセロの白黒(モノクロ)を連想させる執事の1人。ヒナノに、受話器を渡す。

 

「私です。代わりました」

 

『緊急事態だ』

 

電話越しにでも伝わり来る重ただしい空気。

先生が頭を抱えている様子が手に取るようにわかる。

 

「何か問題でも生じましたか」

 

『派遣された執行者の全てが連絡の付かない状態となってしまった。―――恐らく、ノーンブランクの手による物だろう』

 

執行者の撃破、か。まぁ予測出来ていた自体ではある。だが流石に早過ぎた、そこだけは予想外。

 

「派遣された執行者は一体誰ですか?」

 

『グランフロワ姉妹、ネームレスの3名だ』

 

なるほど、これなら敗北も納得できる。グランフロワは封印指定執行者ながら荒事に向いた人間ではない。名無しのは盲目故に彼の魔眼対策として向かったのだろうが、生憎アレには対象との視界同調など不必要。

今回の人事は選択ミスと言わざるを得なかった。

 

「誰ですか彼らを派遣した人物は。時計塔の人間なら、彼らとの相性など目に見えているでしょうに」

 

『あぁ、その事なんだが。今回の人事について時計塔は関与していない。いや、出来なかったが正確だな。全ての決定権をアチラが主張してな。“黙示録”、“啓示”と称されるアトラスが決定した次期院長。その手によって、本作戦は指揮されているのだからな』

 

アトラスの次期院長。短期間での次期院長の決定は流石と言わざるを得ない。今回は失敗以外の何者でもないが、アトラスの人間なら納得だ。相性なしの能力や情報だけで見れば、確かにこの作戦では彼らが最も適切だろう。

 

「なるほど、それなら納得です。しかし早々から戦力の喪失はどうにかしていただきたい物です。代わりの執行者は派遣されるのでしょうか」

 

『―――そうだな。こちらとしては何とも言えない状況だ。先程も言ったが本作戦の指揮権はこちらにない。話を通してみなければなんとも、と言ったところだ』

 

「つまり、上に話を通してはいただけるんですね?」

 

『そう言う事になるな。一応希望を通すようにはしてやりたい。指定したい人物がいるなら言いなさい』

 

頭に思い浮かんだ人物は2人。存外に、少ないと思われるかもしれないがこれだけで充分だ。

 

「“伝承保菌者(ゴッズホルダー)”。

異能殺害者(ファンクションキラー)”。この2名の派遣を希望します」

 

『なるほど。どちらも現執行者最強の一角でありノーンブランクにとって相性の良い組み合わせだな。

―――いや、すまない。思い出した。伝承保菌者の彼女なんだが、近日開催される冬木の儀式に出向いている。彼女を呼ぶのは不可能だろうな』

 

―――冬木。オリジナルの聖杯戦争と、その発端となった土地。

アインツベルン、マキリ、遠坂。その三家による聖杯降臨の儀式。そこには彼のゼルレッチ卿も立ち会ったと言われるほどの大儀式だったようだ。

これまでに4度も儀式と称した殺し合いを繰り広げており、その何れも失敗に終わっている。

4度目のそれには現在の我が師であるロードエルメロイⅡも参戦しておりサーヴァントを使役、途中で敗北したものの生還を果たしたと記録されている。

その闘争に、今回はゴッズホルダー。魔術協会が誇る封印指定執行者最強の一角。伝承保菌者にして祭位の保持者。そして、現存する宝具“フラガラック”の担い手。彼女、バゼット・フラガ・マクレミッツが参戦すると言うのだ。

多少予想外ではあったが、まぁ、彼の宝具対策としてのフラガラック。その彼女ひとりが欠けるだけで、絶体絶命という訳では無いのだから。

 

「わかりました。では、異能殺害者の派遣の方をよろしくお願いします」

 

『あぁ。なるべく粘ってはみるが、最悪は考慮しておけ』

 

無論だ。そうなった場合はこちらもやむを得ない物として、とっておき(、、、、、)を使わせてもらう。

 

これより2日後。ここサンタモリヤに最初のサーヴァントが召喚される事となる。

現れた英雄は真英雄。比喩でも何でもなく、それは真に英雄を語るに足る存在であり、同時に、イレギュラーな存在であったことに他ならないのだから。

 

 

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