はりぽたはっぴーえんど 作:はっぴー
1991年9月1日、11時00分。
キングス・クロス駅の9と4分の3番線のプラットホームから、紅の列車が発車した。
中は、魔法界一と言われる名門の学校、ホグワーツ魔法魔術学校の生徒で溢れかえっている。
「コンパートメントが空いていない可能性を考えておくべきでした……」
そう呟くのは、まだ組分けされていない新入生である証拠の黒いネクタイをした、年の割には小柄な少女である。
「仕方ないので、相席出来そうなコンパートメントを探しますか」
通路を進みながら窓の外を見ると、既にロンドンの都会の面影は見えず、ただただ緑が広がる自然豊かな風景が写っていた。そのまま視線をスライドさせて見ると、少年二人が座っているコンパートメントが見つかる。少女と同じ黒いネクタイを締めている事から、同じく新入生であると見られる。
トランクを通路に置き、ドアをノックする。
「……なんだい?」
「あの、席が他に空いていないので、相席させて頂いても構わないでしょうか」
「僕は良いけど……。ロンは?」
「僕も良いよ」
「ありがとうございます」
コンパートメントに入り、二人の向かい側に座る。
「私、エリン・アンダーソン。新入生です」
「僕はロナルド・ウィーズリー。一年生だ。ロンって呼んでくれ」
赤毛の方の少年が、お菓子を口に放り込みながら自己紹介をする。そして、次は君の番だと言わんばかりに、黒髪の少年にチョコレートの箱を押し付けながら自己紹介を促した。
「僕、ハリー・ポッター」
「ほう。どこかで聞いた名前ですね」
間抜けなエリンのコメント。ロンがズッコケながらツッコミを入れる。
「ハリー・ポッターだよ! 君知らないの? 『例のあの人』を一歳の頃に倒した英雄だよ!!」
「『例のあの人』と言うと、どの人でしょう?」
「えぇ!? じゃあ……『名前を言ってはいけないあの人』!!」
「何故名前を言ってはいけないのです?」
「知らないの? 君、マグル生まれ?」
「魔法使いの家系ですが」
「じゃあ、なんで知らないのさ!」
「色々とありまして」
まぁまぁ、とハリーになだめられるロン。
「で、どのような方なのでしょう?」
「十数年前に、魔法界で力を持っていた闇の魔法使いだ。僕もよく知らないんだけどね」
苦笑しながら説明する当事者。それに対し、エリンは納得した、というように頷く。
「つまり、ハリーはドラゴンのようだという事ですね」
「ん?」
「だから、ハリーはドラゴンのようだという事ですね」
「いや、繰り返さなくていいから」
「いえ、よく聞こえなかったようなので、もう一度繰り返そうかと」
「聞こえなかった訳じゃなくて、エリンの発言の意味がよくわからなかったんだけど」
「ドラゴンじゃないんですか?」
「僕、普通の人間だけど」
「君はハリーを大きな爬虫類にしたいのかい?」
「いえ。そういう訳では……」
「つまり、エリンはハリーがとても強いと言いたいのよ」
「そう、それです。解説ありがとうございます。して、あなたはどちら様でしょう?」
いつの間にかコンパートメントの入り口に立っていた栗毛の少女。エリンは丁寧に頭を下げつつ、問い掛けた。
少女はエリンの横にドカリと座ると、自己紹介を始めた。
「私、ハーマイオニー・グレンジャーよ。一年生」
「私はエリン・アンダーソンといいます」
「さっきの会話で聞こえたわ。よろしくね」
ハーマイオニーが栗毛をなびかせながら、ハリーの方へ振り向く。
「あなた、ハリー・ポッターね? あなたの本、何冊か読んだわ。『例のあの人』を小さい頃に倒したって!」
「僕が、本に載ってるの?」
「そうよ。今度本を紹介するわ。で、あなたは……」
ロンを見るハーマイオニー。ロンは、チョコレートを飲み込むと答えた。
「ロン・ウィーズリー」
「そう。よろしく」
そうだわ、とハーマイオニーは切り出す。
「ネビルのヒキガエルを見なかったかしら。トレバーというんだけど」
「見てないね」
自己紹介に対する反応が一番薄かったのを気にしているのか、つっけんどんに答えるロン。ハーマイオニーは露骨に嫌そうな顔をする。
「ハーマイオニー、あなたってこの学校の生徒ですよね?」
空気を読まずに問い掛けたのはエリン。それに対し、ハーマイオニーは怪訝そうな顔をする。
「そうだけど……。どういう意味?」
「そのままの意味です」
「要は、君は魔女かって聞きたいんだろ?」
ロンの言葉に、ハーマイオニーは納得の表情を浮かべる。
「魔法を使えという意味ね! そうだわ、何か呪文があるはず!」
「三年生の呪文学の教科書にあると思われます」
「三年生? ねぇエリン、僕達一年生だよ」
「そう言うってことは、エリンはその呪文を知ってるんだろ?」
「エリン、教えてちょうだい」
「『アクシオ』という呪文だったと思います」
「わかった、やってみるわ」
ハーマイオニーはローブのポケットから杖を取り出し、呪文を唱える。
「アクシオ、トレバーよ来い!」
「……」
「……」
「……もしかしたら失敗したんじゃ———」
ひゅん!
風を切る音と共に、トレバーがコンパートメントに現れた。
すかさずそれを捕まえたハーマイオニーが、すました顔でロンに尋ねる。
「私が、どうしたんですって?」
「……」
「それじゃ、私はこの辺で失礼するわ」
コンパートメントを出ていくハーマイオニーと、不機嫌そうな顔のロンを見ながら、エリンは呟いた。
「ロンは犬という感じがしますから、猿はハーマイオニーですね」
「……犬猿の仲って言いたいんだね?」
エリンの言葉の意味を理解したハリーは、百味ビーンズを一粒摘んだ。
作者「という訳で、後書きを使って解説させて頂きたいと思います。記念すべきゲスト第1号は、主人公、ハリー・ポッターくんです」
ハリー「どうも、ハリーです」
作者「一歳数ヶ月の時にかのヴォルデモート卿を倒し、魔法界を救った英雄さんです」
ハリー「最近知ったから、他人事ですけどね」
作者「まぁそういう訳で、解説いくっしゅ!」
ハリー「それは作品が違うでしょう」
作者「それはともかく。ハリポタSSとしては珍しく、列車の描写から始まりましたよね」
ハリー「始まりましたよねって、あなたが書いたんじゃないですか。……エリンがSSとしては珍しく、ほぼ前置きなしで僕とロンに会いますね。エリンの家や人柄などには全く触れない状態で。何か意味があるんでしょうか?」
作者「エリンの家のことはとりあえず秘密なんです。だから、始め方に迷ったんですが……。スパッと余計なとこを無くしてザ・魔法界から始めてみました」
ハリー「なるほど。っていうか、なんでこういう形式の解説なんですか?」
作者「台本書きの方が読みやすいでしょ。後から読み返すのに最適じゃないですか」
ハリー「まず、解説必要あります?」
作者「ないっす。ただ単に、キャラクターを動かす練習ですね」
ハリー「自己満足の小説ですもんね。で、何故第一回目が僕なんです?」
作者「主人公じゃないですか。あなたの動かし方が不自然だと、文才が無いのに加えて更に読みにくいじゃないでしょ」
ハリー「僕の口調にも気を付けてますもんね」
作者「ロンと混ざりますからね。エリンとその他の人物は、丁寧語かそうで無いかが違いますので、わかりやすいと思います。ハリーの方が若干丁寧で、ロンは砕けた言葉使いのイメージで使い分けてますね」
ハリー「僕達、誰に解説してるんでしょうね。見る人も居ないでしょうに」
作者「未来の作者が、これを書いた時にどんな思考回路をしていたか思い出すために書いてるので。正直、この小説は見向きもされないでしょう」
ハリー「目標のお気に入り数は?」
作者「10!!!」
ハリー「目標小さいですね」
作者「現実的な数値でしょう。……話を戻しましょうか」
ハリー「そうですね。エリン、魔法族出身なのにヴォルデモートの事を知らないんですよね」
作者「そうなんです。そこら辺はまだ秘密にさせてもらいます」
ハリー「あと、エリンの例えがわかりにくかったんですが、駄目なんじゃないですか?」
作者「いえ、それで良いんです。闇の魔法使いを倒した→強い→つまりドラゴンのようだという単純な思考ですが、間の『強い』が入らずに思いっきり飛躍しているから伝わらないんです」
ハリー「最初から強いと言えば良いのに」
作者「それじゃ成長物語にはならないでしょう」
ハリー「成長物語にする気なんですか」
作者「君は成長するから良いですけどね。エリンはもともと成熟したキャラクターなんです。主義主張をちゃんと持っていて、将来についても実は決まっているんです。自分の在り方が確立しているから、無理に背伸びしなくていいという成熟したキャラクター。だから、別の事で成長させようと考えています」
ハリー「後書きが思い付きのメモになっている件について」
作者「今更でしょう。はい次」
ハリー「ロンとハーマイオニーが険悪ですよね」
作者「やるならとことんぶつかり合って、最後に盛大に仲直りの方が良いじゃないですか」
ハリー「ここでそれを言っちゃって良いんですか?」
作者「君がさっき言ったじゃないですか。見る人も居ないでしょうに」
ハリー「言いましたけど。まあ良いです。僕の口調にも慣れましたか?」
作者「敬語で喋らせたので意味無かったかもしれませんけどね。ご協力ありがとうございます」
ハリー「いえ。ちゃんと更新して下さいね」
作者「了解っす」
作者「後書きで1555字ってどうなんでしょうね」