原作:仮面ライダー鎧武
弱者が虐げられない世界を目指す戒斗、弱者を守るべく立ち上がった紘汰、二人の最終決戦が、今始まる……
世界の命運を決める戦い。
どこにある? 多くの者が探した果実。
どうつかう? 多くの者が探した果実。
金はどこにある、金はどう使う、
「やはり最後まで俺の邪魔をするのはお前だったか……葛葉紘汰。
運営の従順な犬が。いつの世も、お前のような善良な者が世界を守る。
善良な者は世界のいい部分を見て、それを必死に守ろうとする。体のいい人柱だ」
世界の命運は、二人の男の手に託された。
葛葉紘汰と、駆紋戒斗。
運営を基本的に肯定する運営の犬と、何やっても叩き噛み付く恐るべき狂犬。
二人の男は世界の未来、一人の女の存在をかけ、街中でインベスの軍団を連れ対峙する。
「戒斗……お前は一体何がしたいんだ?」
「今の運営では決して実現できないソシャゲを、俺が……この手で創り上げる」
戒斗は力強く虚空を握り、握り潰し、力強く未来を語った。
「何だよそれは…!」
「弱者が踏み躙られない世界だ!
誰かを虐げる為だけの力を求めない。
そんな新しい命で……この星を満たす。舞と一緒に、知恵の実を使って!」
そう言う戒斗の背後には、課金の果てにインベスとなった哀れな課金弱者達が居た。
そう誓う戒斗のポケットの中には、使用済みのGooglePlayカードが何十枚も入っていた。
戒斗の背後に、彼の真の姿……オーバーロード・ロードバクシの姿がゆらめく。
「今の世界でそれは無理だって言うのか!」
「それが俺の生きてきた時代だ。誰もが強くなるほど……優しさを忘れていった!」
自分より課金した者。
自分よりちょっとだけ運が良かった者。
狙ったものをさっさと当てた者。
そんな者達が、弱者であった頃の駆紋戒斗や課金弱者達を蹂躙していった。
ボーダー? ランキング? 対人対戦? そんなもの、踏み躙られる弱者からすれば、勝者と強者だけが笑う上位者の傲慢と殺戮でしかない。
欲しかったものに手を伸ばしても、何も手に入らない。
その苦痛を、戒斗はよく知っている。
「強くて優しい奴だって大勢いた。皆そのソシャゲを守ろうとして必死だった!」
そんな戒斗に、紘汰は心強き弱者だった者として反論した。
その反論に、戒斗は更に反論する。
「そんな奴から先に死んでいった!
優しさが仇になって、本当の強さに至れなかった!
無課金の分まで課金し、運営を支えようとし……
課金虚しく、サービス終了という形で裏切られていった! 貴様もそうだ、葛葉紘汰」
フリーターのくせに"終わって欲しくないから"と、ソシャゲに課金し続けた。
その挙句、そのソシャゲは終わってしまった。その悲しみは、筆舌に尽くし難い。
だが、紘汰は諦めなかった。心折れなかった。
手元に何も残らなくたって、ソシャゲに課金し続けた。
何も返って来ないと知りながら、人を助け続けた。
その瞬間の自分の心が求めるままに、報いなど無い地獄を駆け抜けた。
彼の名は
課金ライダー害無だ。
「いいや」
ゆえに、戒斗の主張に対する紘汰の返答は、『ノー』である。
「俺はお前だけには負けない」
紘汰が構える。
自分が課金だけの力でランカーになったのではないということを証明するために。
"使った時間もプレイヤースキルも高くねえと取れねえんだよ"という絶対の正義がこの世にあることを、その正義の味方が居ることを、戒斗に知らしめるために。
「お前を倒し、証明してみせる。ただの課金だけじゃない……本当の強さを!」
「それでいい。貴様こそ俺の運命を決めるに相応しい」
二人は、自身の全身全霊でぶつかった。
「葛葉ァッ―――――!!」
「戒斗ォッ―――――!!」
刃が振るわれる。
戒斗は爆死者、敗北者、負け犬、妬む無課金の強烈な負の感情を背負い。
紘汰は成功者、重課金、幸運者、普通に楽しんでいる者達の思いを背負い。
無限に刃をぶつけ合う。
全てを下に置き、引き連れるのが
全てを上に置き、全てを積み重ねるのがフルーツバスケット。
二人は対象的だった。
「戒斗!
悲しみや絶望の他に手に入れたものはなかったのか!?
その怒りが……お前の全てだったのか!?」
「そうだ! 弱さに痛みしか与えない世界……強くなるしか他になかった世界を俺は憎んだ!」
だが、無課金の負の感情が、のうのうとソシャゲを楽しむ者達の喜びを許さない。
経済的弱者に痛みしか与えないソシャゲ。
強くなる以外に道を与えられないソシャゲ。
その全てを戒斗は憎んだ。
その全てを滅ぼすことを、戒斗は望んだ。
「今、その全てを滅ぼす力に手が届く! 貴様を越えた先に!」
課金量の差を埋める戒斗の執念。妄念。意志。紘汰はずっと、彼が持つこの強さに憧れていた。
「超えさせない、超えちゃならない! 戒斗! それがお前にとっての俺だ!」
無課金が課金勢を超えてはならない。それは絶対の法則だ。
それが破られてしまえば、壊されてしまえば……ソシャゲという世界は、滅びてしまう。
「だから……それでも、俺はっ!」
限界を越えた先にある限界、それさえ越えた先の限界。
極みを目指して限界を越え続けても、その先にまた限界がある。
成長という形で、無限にエスカレートしていく二人の極み。
それすらも越えた時……紘汰の手にした刃が、戒斗の腹を貫いた。
「―――か、はっ」
決着。刃をもって世界を変えようとした男の末路は、刃にて終わる。
「何故だ……葛葉。何がお前を……そこまで……強くした?」
「ソシャゲとフレンドを守りたいという祈り……
無課金もログイン低いギルメンも見捨てないという誓い……それが俺の全てだ」
戒斗が求めた本当の廃課金、廃ランカーの姿を体現する紘汰の目から、涙が溢れる。
「何故……泣く?」
「泣いていいんだ。
爆死した時も。
知り合いが引退した時も。
乱数でポロッとボスに負けた時も、報酬取り損ねた時も。
それが俺の弱さだとしても……拒まない。俺は泣きながら進む!」
"お前も泣いていいんだ"とでも言うかのように、紘汰は泣きながら、戒斗に言葉をかける。
「お前は……本当に強い」
そう言い残し、戒斗は死んだ。死因、年始ガチャの回し過ぎという遠因による爆死。
彼に心残りはあるまい。
後は紘汰と
敗者の絶望。皆の希望。その戦いは……希望が絶望を打ち破ることで、決着した。
『犬』→運営の犬が……
『課金』→運営の犬が……
『希望』→だけど! 希望を持っている方が勝つんだ!
ミチザネ「それが課金……僕の求めていた力!」