お正月企画三題噺シリーズ   作:ルシエド

7 / 10
お題:『橘朔也』『武士道』『魔神柱』
原作:Fate/Grand Order、機動戦士ガンダム00

 遠い時の果て、世界の果て、獅子王を初めとしてありえぬ者達が共闘した決戦の話。




第七回:橘朔也とグラハム・エーカー、冠位時間神殿にて共闘す

 人類史を守るために、全ての英霊が立ち上がった。

 善の英霊も、悪の英霊も。英霊に倒される怪物達までもが立ち上がった。

 英霊になってさえいない人間も、人類史に含まれない前提事象の存在でさえ戦った。

 一体一体が複数のサーヴァントに匹敵する魔神柱、それが72柱。

 生半可な戦力でどうにかなるものではない。

 

 まして、ここは冠位時間神殿ソロモン。

 通常の英霊は、ここに存在しているだけで消滅していく。

 カルデアのマスター藤丸と縁を結んだ英霊達も、抑え込まれるのは当然で。

 

 けれど、彼らは諦めなかった。

 縁を頼りに、力を振り絞る。

 縁を頼りに、仲間を呼ぶ。

 獅子王の下には円卓とブリテンの騎士が集結し、イスカンダルの下には万の兵が集結した。

 仲間を呼び、その果てに、彼らは人類史の外側、世界の外側にまで縁を繋ぐ。

 

 藤丸立香と魔神王ゲーティアが対峙していた、戦いの終盤期。

 その頃には、どこかの世界で縁が繋がった『世界の外側の存在』までもが、この世界の人類史を守るために戦ってくれていた。

 

《 Barrett. Rapid. Fire. Burning Shot 》

 

 仮面ライダーギャレン・ジャックフォームが空を飛び回り、魔神柱の周りを螺旋状に駆け上がるように飛翔しながら炎弾を叩き込む。

 魔神柱はあっという間に炎上したが、すぐさま再生した。

 

「キリがないな」

 

 復活した魔神柱がギャレンに襲いかかるが、そこに強烈な粒子ビームが叩き込まれる。

 ギャレンが連射で仕留めていた魔神柱が一発で蒸発するが、すぐさま復活した。

 リソースが限られている人類サイドからすれば()()である魔神柱は脅威と言う他無いのだが、今共闘しているこの男二人は微塵も怯む様子を見せない。

 粒子ビーム発射後にギャレンを拾いに来てくれたブレイヴ指揮官用試験機に、橘朔也(ギャレン)は着地。

 普通の靴より遥かに強く踏ん張れる、ライダーシステム標準装備の足裏で変形したブレイヴの上にしがみついた。

 

「助かる」

 

『友軍の礼儀というものだ。気にしないでくれたまえ』

 

 世界の外、物語の外、人類史の外。

 そんな遠い場所から、求める声に答えてやって来た異世界のお人好しが二人、この戦場の隅っこでちまちまと魔神柱の足止めを引き受けてくれていた。

 戦車の弱点を随伴兵が補うように、仮面ライダーが『ガンダム』の死角を補う。

 目を疑うような、奇妙な光景だった。

 

「名乗ってなかったな。橘朔也だ」

 

『私は……そうだな、ミスター・ブシドーとでも呼んでくれ』

 

「偽名か」

 

『他称さ。自分でそう名乗ったことはない』

 

「なら……俺のことは、ギャレンとでも呼んでくれ。この仮面の名だ」

 

『よかろう。仮面を被ったまま、素顔見せぬまま、互いに背中を預けようではないか』

 

 GNドライヴを搭載していればガンダム。そう呼ばれていた時代もあった。その時代にあれば、このブレイヴという機体も間違いなくガンダムと呼ばれていただろう。

 橘朔也は、仮面ライダーであることを一度捨てた人間だ。彼自身は自分が仮面ライダーでなくなったことを自覚しており、けれども仮面ライダーとして戦おうとし、仮面ライダーに戻った人間だった。

 奇妙なガンダム。奇妙な仮面ライダー。

 世界によって言葉の定義が変わる、『ガンダム』と『仮面ライダー』。

 

 その定義に入れそうで入れない、入れなさそうで入っている二人は、互いの長所と欠点を補い合いながら、戦場を飛翔していく。

 戦うさなかに、二人はふと、自分が何故ここにいるのかを考え始めた。

 

「俺は、剣崎が世界と始を必ず救うと信じて……

 あの時、確かにギラファと相打ちになって海に落ちたんだがな」

 

『私もそうだ。少年に未来を託し、ELSへと特攻し自爆したはずだったのだが……』

 

 自分は死んだはずだと、二人は心を一つにする。

 ならばここは死後の世界なのだろうか? いや違う。

 これは"生きる者達がこの先生きる未来を勝ち取るための戦いなのだ"と、未来を諦めない者達の祈りに応えたこの二人自身が、誰よりもよく分かっていた。

 

『ならばこれは一夜の夢というやつなのだろうさ、ギャレン』

 

「夢?」

 

『そうだ、夢だ。目覚めれば消える夢。おぼろげに覚えているだけの夢。

 いつかは醒める夢であり……世界を救うという我々の願いを、叶える夢だ』

 

「世界を、救う……」

 

「そうだ、我らは!

 根本的なところで世界が、人が好きだったから!

 こんな世界の果て、時間の果てに来てまでも、捨てきれない戦いをしているのだよ!」

 

 速く大火力のブレイヴ、小回りが利き精密な射撃ができるギャレン。

 息を合わせて飛び回る限り、この二人に負けはない。

 

「魔神……悲しい存在だ」

 

 戦う内に、ギャレンは少しづつこの敵を理解している。

 憐憫。悲しみ。同情。あまりにも人らしい感情で、魔神は人を滅ぼそうとしている。

 ブシドーはそれをとっくに理解していたのか、ギャレンをMS形態のブレイヴの方に乗せ、魔神柱を見下ろしながらアイドリング状態で浮遊して止まる。

 

『全ての大きな感情は、やがて愛となる』

 

「愛……」

 

『だが大きすぎる愛は、やがて憎しみとなる』

 

「……」

 

『憎しみはやがて宿命となるだろう。

 愛は消える。憎しみは消える。だが、宿命となったそれは、もはや消えん』

 

 人への愛から始まり、人を憎み、人と向き合わなければならない宿命を得た魔神。

 ブシドーにはそれが、かつての自分が誤った事柄そのものであるように見えた。

 ギャレンにはそれが、剣崎と始の間にあるもの……愛深きあの二人が、ジョーカーの衝動に突き動かされて憎み合い、殺し合う宿命にあるという、運命そのものであるように見えた。

 

 ブシドーの脳裏に浮かぶのは、その全てを切り裂いたかのガンダムの鋭い剣。

 ギャレンの脳裏に浮かぶのは、運命そのものと戦おうとした剣崎一真の背中。

 この敵に負けることは、この二人にとっては絶対に、許容できないことだった。

 

 心に剣。ブシドーは刹那、ギャレンは剣崎。それぞれの剣を心の中に浮かべて挑む。

 輝く勇気(ブレイヴ)。ブレイヴの煌めく装甲の上でギャレンが、走行の内側でブシドーが、それぞれ張り裂けんばかりに叫んだ。

 

「行くぞ!」

『行こう!』

 

 戦いは終わる。

 

 特別な彼らの戦いを脇役にして、普通の男の子と女の子を主役に据えて。

 

 色んな人に助けられた、普通の二人が世界を救う物語は、こうして終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦いが終わり、ギャレンとブシドーは不思議な分かれ道の前に居た。

 右と左の分かれ道。

 ギャレンは右に進み、ブシドーは左に進む。

 

 ここが、橘朔也の夢の終わり。

 

「これでお別れだ、ブシドー。

 どうやら俺は、まだ心残りがあったらしい。

 この夢から目覚めて、現実でまだ助けたい仲間達が居る」

 

「そうか」

 

 そして、ここがブシドーの夢の始まり。

 

「なら、私はもう少し夢を見続けるとしよう。

 世界を渡り、こんな私にも救えるものがあれば救おう。

 私の夢が覚める時は、全てが終わる時だろうが……

 もしも、もしもだ。今日のような、子供達が世界をかけて戦う日が来たならば……

 その時はまた、彼らの視界に映らないような隅っこで、彼らを助けてやろうと思う」

 

「そうか」

 

「未来への水先案内人というのも、案外悪くないと知ったのでね」

 

 夢の終わりを望んだ者。夢の続きを望んだ者。

 二人が出会うことは、もう無いだろう。

 

一時(ひととき)の共闘、感謝する。ブシドー……いや、仮面の戦士」

 

一時(ひととき)の共闘、感謝する。ギャレン……いや、仮面の益荒男(ますらお)

 

 ギャレンが変身を解除して、素顔を見せる。

 ブシドーが相手の流儀に合わせて付けていた仮面を外し、素顔を見せる。

 

 最後に戦友の素顔を見て、二人は背中を向け、それぞれの道へ歩いていった。

 

 

 




 剣に憧れ、託した二人

『橘朔也』→ギラファにやられてオーラロードっぽいものが開いて参戦、その後現実世界に戻ってあんまりにも疲れて空腹だったことからカード全部海辺に落としたことにも気付かず、レストランでパスタ食ってたら大変なことになったので剣崎達のピンチに駆けつけた
『武士道』→ミスター・ブシドー
『魔神柱』→二人がドロップの悪い雑多魔神柱達を片付けてくれていたおかげで皆はバルバトス等倒したいやつだけを倒せていたのです
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