お正月企画三題噺シリーズ   作:ルシエド

8 / 10
お題:『ハゲオヤジ』『ウェットマン』『カードゲームではよくあること』
原作:遊戯王(基本ARC-V)

 超最強のオリ主がカードゲームでは禁じられた世界法則無視の特殊能力を使って無双する!


第八回:融合次元に最強の特殊能力を持ったオリ主が現れ原作開始前に全てを台無し(水分)にする話

 カードゲームにおいて、時折ゴキブリのように嫌われる存在が居る。

 

 そう、『手汗が酷いやつ』だ。

 

「エクスチェンジです。どうぞ、プロフェッサー」

 

「ぐ……!」

 

「どうしたんですか? 好きに僕のカードに触ってくださいよ、そっちのカード取りますから」

 

「おのれ、お前私のカードに……」

 

 その少年は、ウェットマンと呼ばれている子供だった。

 次元がめちゃくちゃに弄くられたこの世界に、別世界から漂流した魂。

 『因子を持って転生した』という特性を持つ、ズァークのことを警戒する赤馬零王からすれば一時も目を離せない存在であり、重要な研究対象であった。

 破壊衝動を生まれつき持っていたわけでもなく、特殊なドラゴン系カードを持っていたわけでもなく、生来持っていた能力は『湿った手の男(ウェットマン)』という、手が湿り気を持つ能力のみ。

 だが素で強かったので、幼少期からべらぼうに強かった。

 

 そして()()()()()()()()()()使()()という分野において、最上級の才能を持っていた。

 

「……」

 

 彼の手に触られたカードはふやける。

 何度もふやけさせられると、その内デュエルディスクにも認証されなくなる。

 何故か分からないが、伝説のカードでさえふやける。

 しかもウェットマン本人は、自分のカードを上下からスリーブを被せている。

 スリーブを使わない遊戯王アニメ次元のデュエリストにとって、この男は世界最悪の破壊神と言っていい存在だった。

 

「おお……」

 

 プロフェッサーを堂々と――精神的に――圧倒しているショタウェットマンに、ロリセレナが憧れの視線を向けている。

 デュエル内容を特に気にしていない彼女は将来大物になるだろう。

 

「この、この悪魔め……!」

 

「あ、そういうこと言っちゃいます? ます?

 本気出しますよ本気。我が一軍デッキ、握手暗黒界を……」

 

「分かった! 分かった! 私が悪かった!」

 

 出来がよく物分りがいい子供しか育てた覚えがないハゲオヤジ・零王に、こんなファンキーでウェットな子供を制御できるわけがない。

 ウィットに富んだ子供は育てていて楽しいだろうが、ウェットに富んだ子供の育て方なんてどんな本にも載っていない。

 融合次元知恵袋に『カードの破壊者をどう育てればいいでしょうか』と聞いたところでまともな返答など返ってくるものか。

 

「そ、そうだ! ユーリとデュエルしておけユーリと!」

 

「ユーリはもう一軍の握手暗黒界でやっちゃったんで」

 

「……おお、もう……」

 

 ウェットマンの物理ハンデス(手に触れられたら死ぬ、の意)に既にユーリはやられている。

 この少年の手はちょっとねちょっとしてるのだ。嫌がらせのために能力をフルに発動すれば、ナメクジよりねちょっとするようになる。

 

「スターヴベトベトムフュージョンドラゴンにしちゃったのは少し可哀想だったかな」

 

「ベトベトにしたのか……」

 

「すみません、自分の罪状を隠すためにちょっと誤魔化しました。グチョグチョにしました」

 

「グチョグチョにしたのか……」

 

 おそらく、コントロール奪取か何かでスターヴを奪って『テキスト確認しまーす』とか言ってやらかしたのだろう。しかも使用デッキは握手暗黒界。

 ユーリという名前だが、ウェットマン相手にデュエルで有利は取れない。常時不利だ。

 

「そのデュエルでね、気付いたんですよ」

 

「……何をだ」

 

「自分の手札を二枚にします。で、片方のエクスチェンジを使います。

 残った一枚を相手に渡します。

 で、相手がこれを使うんです。するとこのカード、墓地で詰まるんですよ」

 

「……」

 

「で、エラー表示が出るんです。デュエル形式次第では一発ジャッジキル!

 これは最強だなあと思いましたよ。

 デュエル中断かジャッジキルかの二択ができるので、これを目指したデッキをですね」

 

「お前は悪魔だ! 汚い手を使って常勝を目指すな! 目眩がする!」

 

「ふざけないで下さい! 僕の手のどこが汚いっていうんですか!」

 

「全部だ!」

 

「ヌルヌルしてるだけですよ!」

 

「手汗は汚いわぁ! 私のカードに触るんじゃない!」

 

 赤羽零王は迷いなくサレンダーを選択。

 自らのカードを守る、誇り高き敗北を選んだ。

 

「つまんね。せっかくの俺のウェッティングドローが披露できなかった」

 

「普通のデュエリストはお前とデュエルなどしたがらんぞ……」

 

「じゃあ僕のヌメヌメロンコードはどこで発散してくればいいんですか!」

 

「知らん! 他次元にでも行け!」

 

 ハゲに突き放され、ちょっとしょんぼりしたウェットマンの服の裾を、ロリセレナが引っ張る。

 

「つぎはわたしとでゅえるだ」

 

「……ああ、いいぞ。ちょっと待ってな」

 

 ショタなウェットマンは手袋を付けて、二人の間にデュエルマットを敷いた。

 

「おい」

 

「はい?」

 

「待て」

 

 手袋。手袋を付けた。それを見た瞬間、零王の胃に穴が空く。

 

「え、だって僕のこの手のことを知って仲良くしてくれる女の子ですよ?

 控えめに言って天使か何かですよ? それで手袋付けないとかありえないでしょう」

 

「ならセレナ以外とのデュエルでも付けろ! この常識外れが!」

 

「失礼なことを言わないで下さい!

 プロフェッサーとユーリ以外の相手とのデュエルでは基本付けてます!」

 

「そ、そうなのか? すまない、失礼を……ん?」

 

「全く、言葉には気を付けて下さいね」

 

 このハゲは(もう)しょうがないんだから、といった顔で、ウェットマンはデュエルを開始する。

 

「デュエル!」

「でゅえる!」

 

 ヌメヌメロニアス・ヌメヌメロニアを召喚したりと、彼は今日も絶好調だった。

 

 

 




 万人から殺意を集めるデュエリスト

『ハゲオヤジ』→赤羽零王
『ウェットマン』→主人公(トーリ要素ほぼなし)
『カードゲームではよくあること』→手汗

 チート(水分量+浸透力)
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