カンピオーネ!---譲られた神殺しの力---   作:auslese

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原作に一部ぶつかります。

ついにあの人登場です。

6/7 修正


07話 誘拐と力・・・修正

 

 

 

 

 

 

 エルおじさんに連れられてフィンランドに来てから2年半が過ぎ僕は11歳になった。

 

 この2年でさまざまなことが起こった。

 

 エルおじさんの家族と出会い。

 

 先生たちとの出会いと修行。

 

 エルおじさんに頼まれて、先生たちとの話し合いの場を作ったり、エルおじさんの組織『薔薇十字(ローゼンクロイツ)』の充実のための協力したりした。

 

 先生は僕の事情をいつの間にかエルおじさんから聞いていたみたいで、僕の後ろ盾として期待して手を貸していたみたいだ。

 

 そして、10歳の誕生日。

 

 エルおじさんは僕に隠していたことを全部話してくれた。

 

 お父さんのこと、お母さんのこと、お父さんたちが何で死んだか、日本の僕の家以外全て相手に奪われていたこと、僕の知らないことを全部話してくれた。

 

 先生たちが何故あんなに精神修行をしてくれたかがやっと分かった。

 

 僕がこのことを知って復讐心に囚われないようにするためだったんだと。

 

 そして、僕が考えているうちに爆弾を落とした。

 

 

 

 

 

エルおじさんが僕の今の現状を話した後、真面目だけどどこか楽しそうな雰囲気で話してきた。

 

 「晃徳くん、もう一つ隠していたことがあるんだがいいかね?」

 

 「まだあるんですか?」

 

 まだなにかあるのかと少し気だるくなった。

 

 「いや、これはこれからのとこになるんだが」

 

 「これから?」

 

 「そう、将来のことに関わる重要なことだ」

 

 エルおじさんが念入りに念を押して聞いてくる。 僕は何か重大なことがあるのかと襟を正してエルおじさんの声に耳を傾けた。

 

 「晃徳くんに隠してある最後のことは・・・・・・」

 

 「最後のことは?」

 

 何故か何回も確認をしてきた。

 

 「ティナの結婚相手だ」

 

 「ええ!?」

 

 「パパ! わたし!」

 

 ティナが僕から離れていくのかと思い、目の前が真っ暗になった。 僕の大切なものはみんな僕の手から離れていくのか・・・と。

 

 「ああ、ティナは問題ないよ」

 

 「なんで!?」

 

 「相手が晃徳くんだからだ」

 

 「「ええーーーーーー!?」」

 

 僕とティナの叫び声が屋敷に響き渡った。

 

 「誠一郎(あいつ)とは、お互い性別の違う子供が出来たら許婚にしよう約束していたんだよ。 晃徳くんはイヤかい?」

 

 僕は意を決して答えた。

 

 「・・・・・・エルおじさん、ううん、エル義父さんと呼んでいいですか?」

 

 「晃徳!?」

 

 ティナの顔が真っ赤だ。 僕の顔も負けなくらい真っ赤なのは自覚している。 

 

 「ティナを僕にください」

 

 「いい答えだ、ティナのこと頼むぞ」

 

 エルおじさん、ううん、エル義父さんに僕ははっきり答えた。 さっき感じた喪失感の正体を僕ははっきり自覚したからだ。 僕はどうしょうもなくティナが好きだということを。

 

 「はい! ティナ、僕と将来結婚してくれる?」

 

 「・・・・・・ぐす」

 

 「ティナ、何で泣くの!?」

 

 突然、ティナが泣き出した。

 

 「え、イヤだった?」 

 

 「違うわよ、嬉しいのよ」

 

 ティナがいきなり飛びついてきて、支えきれずに倒れた。

 

 「ティ、ティ・・・むぐ!?」

 

 「んん・・・」

 

 ティナが僕を押し倒してキスをしてきた。 僕は拒む気はなかったから受け入れた。

 

 「はぁはぁ、ティナいきなり」

 

 「もぉ、絶対離れないから」

 

 「うん、僕も離さないから」

 

 今度は僕からティナに唇を重ねた。 僕はたいせつなもの(ティナ)を手に入れたんだと。 どうしょうもない幸福感からティナを抱きしめた。

 

 「あー、一応義父(ちち)が目の前でいるのにラブシーンはどうかと思うぞ」

 

 「「!?」」

 

 そうだった、目の前にエルおじさ・・・じゃなくてエル義父さんが居ることを忘れていた。 そのことに気付き、ティナは真っ赤な顔のまま僕の胸で顔を隠していた。

 

 「まあ、晃徳くんこれからは娘を頼むぞ。 ティナ、晃徳くんはトラブルに巻き込まれていく。 しっかり支えるんだぞ」

 

 「「はい」」

 

 「さぁ、今日は晃徳くんの誕生日とティナの婚約記念を祝うぞ!」

 

 エル義父さんがそう言うとシルヴィア義母さんとメイドさんが料理を運んできた。

 

 僕は、こんな楽しい日々が続けばいいのにと思った。

 

 

 

 

 

 僕の誕生日から二月後のある日、エル義父さんとティナが薔薇十字(ローゼンクロイツ)の用で出かけ、一人で先生のところで勉強していた。 今日は先生が担当だ。

 

 「!? 晃徳よ。すぐに現世に戻るのじゃ」

 

 「先生、どうしたの?」

 

 先生がいきなり慌てだした。 僕は先生が慌てるところ始めてみて驚いていた。

 

 「ワシのカラスが重症のエルネスティを発見したのじゃ!」

 

 「エル義父さんが!? ティナは!? 今日エル義父さんと一緒にいたはず!?」

 

 「ティナは見えん。 早く現世に戻り事情を聞いてくるのじゃ」

 

 「うん!!」

 

 僕は現世への門がある広場へと駆け出した。 僕はティナが無事なことを祈るばかりで、頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。 

 

 

 

 

 

 現世へと戻り、玄関に着くとそこにはエル義父さんが倒れていた。 周りにはシルヴィア義母さんとメイドさんが忙しなくエル義父さんの手当てをしていた。

 

 「エル義父さん!? どうしたの!? ティナは!?」

 

 「くぅ、会議中にいきなりヴォパン侯爵の手の者が現われ、ティナを連れ去って行ったのだ」

 

 「なんで!?」

 

 「説明もなく、いきなりの襲撃で後手に回ってしまい。ティナを守れなかった」

 

 「晃徳、ヴォパン侯爵はカンピオーネだ。 こちらがカンピオーネからの依頼を断れるくらい力を着けて来たといっても相手の力は絶大だ。 こちも準備しなくては返り討ちに合いかねない」

 

 エル義父さんは悔しそうに俯いて答えた。 僕はどうすればティナを取り返せるのか、エル義父さんから聞いたカンピオーネに対してどう対抗するかを必死に考えていた。 

 

 「・・・・・・そうだ!」

 

 僕は脳裏に思いついた一つのことする為に裏庭に駆け出した。

 

 

 

 

 

 再び門を潜り、先生の居る部屋に駆け込んだ。 先生なら何か分かるかもしれないと思いついたからだ。

 

 「先生!?」

 

 「どうじゃった」

 

 「どうすればカンピオーネに勝てるの!」

 

 「カンピオーネにじゃと!?」

 

 「うん、ティナがカンピオーネに誘拐された!」

 

 「そうか・・・・・・予見は外れなんだか」

 

 先生が眼を閉じ天を仰ぎ見た。 最近先生が時々するポーズだ。

 

 「先生・・・・・・どうしたの」

 

 「晃徳、よく聞くんじゃ。 わしはある程度未来を見ることが出来る。」

 

 「未来を?」

 

 「うむ、今回のためにエルネスティの組織の強化をしてきたのじゃが、足りなかったようじゃ」

 

 「そんな!?」

 

 先生はティナが攫われることが分かっていたの!?

 

 「ヴォパン侯爵は、まつろわぬ神を呼び出す贄として世界中から巫女の素質を持つ女子を集めたのじゃ」

 

 「じゃぁ、呼び出した後は帰ってくるの?」

 

 「・・・・・・運が良ければ帰ってくる。 ただし、心にかなりの傷を負ってな」

 

 「・・・・・・なんで、なんで、なんで!! なんで、僕の周りは僕から家族を奪うの!! 僕が何をしたというの!! ただ幸せに暮らしたいだけなのに!! 」

 

 僕の慟哭がヴァルハラに響き渡った。 父さんと母さんを失い、日本の持ち物を全て失い、今また僕からたいせつなもの(ティナ)を奪うと言うのか!

 

 「晃徳よ、ティナを救いたいか?」

 

 「当たり前だ!!」

 

 当然だ、ティナは僕の一番大切なものだ。 誰にも渡してたまるか!

 

 「いかなる事があろうとも救うか?」

 

 「救う!!」

 

 「晃徳よ、この手を見てみろ」

 

 そう言って先生は手を出した。 そこには色白の先生とは裏はに黒ずんだ手だった。

 

 「先生、手の色が違うよ!?」

 

 「長くアストラル界(ヴァルハラ)にて現世に干渉し過ぎたために、再びまつろわぬ神に堕ちようとしているんじゃよ」

 

 「!?」

 

 僕の視線は先生の顔と手を行き来していた。 ティナだけじゃなくて先生の居なくなるの・・・。

 

 「わしは北欧神話の主神オーディンじゃ、神としての矜持がある、再びまつろわぬ神になんぞ堕ちてたまるか!」

 

 「先生・・・」

 

 「しかしな、こうなると堕ちるは避けられんのじゃ」

 

 「なんで、先生まで・・・」

 

 「これは分かっていたことじゃ」

 

 先生は寂しそうな顔をしながら、自分の手を見ながら答えた。

 

 「ワシのように直接現世に関わることは、いずれこうなることを意味していたのじゃから」

 

 「そんな、なんで分かっていたのに・・・」

 

 「なんでじゃろうな、分かっていたことなのに。 晃徳、お前を見ていると息子(バルトル)を思い出して無茶をしてしまったようだ」

 

 「・・・ぐす・・・せん、せい」

 

 僕は先生も救えない。

 

 「最後に頼みがある、わしはこれからこの地を去る。 わしの力を受け継いではくれぬか?」

 

 「それって」 

 

 「うむ、晃徳。 カンピオーネになれ」

 

 「・・・・・・それも予見ってやつなの」

 

 僕は先生を見ながらこうなることが分かっていたか聞いてみた。

 

 「いや、違う」

 

 先生は頭を振った。

 

 「予見ではティナは帰ってこない。 そして晃徳もまた帰ってこない」

 

 「!? それって・・・」

 

 僕もティナと死ぬことになるのかと顔から血の気が引くのを感じた。 

 

 「ティナもワシの教え子だ。 晃徳、救ってやってくれ」

 

 「う、うん・・・」

 

 「泣くな、ワシは満足しておる。 ここに座してからの色あせた日々が、お前が来てから彩色豊かになった。 最後にお前の力になりたいのじゃ」

 

 「先生・・・・・・」

 

 「あーあ、先に言われちゃってるし」

 

 いつの間にか僕の後ろにロキ兄ちゃんが立っていた。

 

 「ロキ、今日はここに来るなと言ってあっただろう」

 

 「いやね、じーさんの真似してた、オレも堕ちそうなんだわ。」 

 

 いつもの気軽な言動とはまったく違う内容に、僕は思わず息が詰まった。

 

 「ロキ!」

 

 「ロキ兄ちゃん!」

 

 ロキ兄ちゃんも色が変わった手をひらひらさせていた。 そこには先生と同じく色の違う手のひらがあった。

 

 「ティナが誘拐されたそうだし、晃徳が戻る前まで持ちそうにないから、この地を去る前に晃徳を神殺しにしよーかと思って」

 

 「なんじゃ、お前もか」

 

 「珍しく気が合うなじーさん」

 

 何故か二人は少し嬉しそうな顔をしていた。

 

 「なんで二人は嬉しそうなの・・・」

 

 「それはね、神としての存在意義をこの世界に例え欠片でも残せ、その力が晃徳のためになると思うと嬉しいんだよ」

 

 「そのとおりじゃ、晃徳よワシらの力受け取ってくれるか」

 

 「・・・・・・はい!」 

 

 僕は先生とロキ兄ちゃんの言葉を聴いて覚悟を決めた。

 

 「よい返事だ」

 

 「出てくるんだ、カンピオーネの元締め。 居るんだろ」

 

 「なになになに、その身も蓋も無い言い方!」

 

 何もないところから僕とそう年の変わらない女の子が出てきた。 今の時点でもかなり軽い性格なのが覗えたのは何故だろう。

 

 「間違ってないじゃろ」

 

 「ぶー、せっかく可愛い子がカンピオーネになるって言うから楽しみにしてたのに」

 

 なんか、軽い・・・。

 

 「先生、この人、誰」

 

 「こやつはパンドラ。 カンピオーネの元締めにして支援者。 古くは神話に出てくるエピメテウスの妻にして全てを与える女とも言われておる」

 

 「パンドラさん?」

 

 僕は紹介されたパンドラさんを見ていた。 身長は僕より少し大きいくらいでピンク色の髪に白い服を着た、活発そうな女の子だった。

 

 「君だね、新しいカンピオーネは。 でも、初めてじゃない神を殺さなずに神殺しになるなんて」

 

 「当たり前じゃ、誰が教え子に死に水を取らすか!」

 

 「んー、まいっかこの子可愛いし」

 

 「おいおい、パンドラ。 晃徳がぼーぜんとしてるぞ」

 

 いや、マジで軽いんですけど。

 

 「では、始めるかの」

 

 「いいよ、じーさん」

 

 「「ふん!!」」

 

 「がぁーーーーーーーー!?」

 

 力が一気に僕を押しつぶそうとしてくる。

 

 「ふふ、苦しい? その苦しさと引き換えにあなたは最強となるわ。 エピメテウスとわたしが残した呪法。 愚者と魔女を産む暗黒の聖誕祭。 神を贄として始めて成功する簒奪の日々。 あなたはカンピオーネとして生まれ変わるわ。神殺し王の中の王にカンピオーネに」

 

 「くぅぅぅ・・・」

 

 凄まじい力が僕の体を駆け巡り、体がバラバラになりそうに感じる。

 

 「さぁ、オーディン、ロキこの子に祝福を頂戴」

 

 「晃徳よ! ワシはお前を息子(バルドル)のように思っておる! じゃから神話のようになるな! 今を精一杯ティナと共に生きよ! ワシらの力で道を切り開くのじゃ!」

 

 「晃徳、お前は神話でのオレを知っても何も変わらず接してくれた。 それにどれほど救われたか分からないよ。 だからお前はオレの力を持って行け!」

 

 「せん、せ、い・・・」

 

 僕は必死に意識を繋ぎとめた。 体の中に渦巻く力は徐々に僕の体に溶け込んでいった。

 

 「あら、凄いわね。 意識を失わないなんて」

 

 「先生たちは?」

 

 「逝ったわよ」

 

 「・・・・・・ぐす」

 

 また涙がこみ上げてきた。 先生に会ってからの生活の思い出が溢れかえってきて、再び涙がこみ上げてきた。

 

 「あー、もうわたしにはシリアスなんて似合わないのに」

 

 そう言ってパンドラさんは僕の頭を泣き止む撫でてくれた。 そうして静かな時間が過ぎていった。

 

 「はいはい、シリアスお仕舞い。君名前は」

 

 「丸田 晃徳です」 

 

 「こんな小さい子が神殺しになるなんて初めてね。 わたしの子供ってどうしても青年以上になっちゃうからさ、こんな小さな子供が出来たのは初めてなのよ」

 

 「そうなんだ」

 

 「やーん、やっぱりかわいい」

 

 そう言って僕を抱きしめた。 身長的にパンドラさんが少し大きいくらいだった。

 

 「今日からはわたしの子供。 それにわたしは自分で作れと言われても不可能に近いからね。 わたしのことはママとかマミー、お義母(かあ)さんって呼んでね。あ、パンドラさんはダメよ」

 

 「じゃぁ、パンドラママで」

 

 「パンドラママ…いいわ…うんうん、久しぶりに呼ばれた気がするわ」

 

 と、なんだか陶酔し始めたパンドラママ。

 

 「わたしがあなたに何かしろって言う事はないわ。 あなたは希望なの」

 

 希望?

 

 「まつろわぬ神に対する人類の希望。 パンドラの箱に入っていたのは多くの厄災と一握りの希望だったって言う話聞いた事無い? あなた神殺しは希望なのよ」

 

 つまり、まつろわぬ神の暴虐に対する人類の一つの手段と言う事かな。

 

 「別のことにこの力のことに使うよ」

 

 「いいわよ。まつろわぬ神さえ倒してくれれば」

 

 「そのまつろわぬ神を倒すカンピオーネ相手でも?」

 

 「言ったはずよ、カンピオーネは何をしてもいいのよ、王の中の王なんだから」

 

 僕は手を握り締め決めた。

 

 「別に力に溺れたい訳じゃない、神でもカンピオーネでも、僕の幸せを邪魔する者は倒す!」

 

 そう、力をくれた先生とロキ兄ちゃんに誓うのだった。

 

 必ずティナをヴォパンから救い出すと。

 

 

 

 

 




主人公、ついにカンピオーネ化。

パンドラさんも登場。

切るに切れなくて、大幅に文字数が増えました^^;
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