あべこべマスターシンデレラガールズ   作:田所総司

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この辺にぃ、デレステの二次創作のくせにほとんどアイドルが出てこない小説、あるらしいですよ。
すみません、次回からちゃんと新しいアイドル出します。


第5話

「おはよう」

 教室に入ると僕より先に大鳥くんが来ていたので声をかける。

「おはよう。今日から仮入部期間始まるけど本当にバスケ部にするの?」

「そうだね。その気持ちは変わらないよ。周りを気にせず自分のやりたいことをやろうってね」

「あんたの場合は無用心過ぎるからむしろ周りを気にした方がいいと思うよ」

 ここ数日の短い付き合いで僕の異常性がバレてしまったらしく、的外れな行動を取るたびに注意されるようになった。この世界の一般常識を知らない僕にとってはありがたい存在である。

「そういえば、今日は体育だね。なにやるんだろ」

「まずは体力テストじゃない?俺走るの得意じゃないから体力テスト苦手なんだよね」

 体力測定あるあるなセリフをこぼす大鳥くん。なんだか元の世界の女子みたいだ。元の世界でも運動部ではない女子たちはこの手のセリフをこぼしてたが、この世界だと男に変換されるのか。

「僕もスポーツやってたわけじゃないし、そこまではやくは走れないかなぁ」

 一応握野さんに警察の男性用トレーニング施設に連れてってもらったりもしたが、体力はまだそこまで向上してない。まあ、それでも元の世界の同年代の平均は超えているからこっちの世界ではかなりのものだとは思う。なぜなら、この世界は男性が弱体化したのであって女性が強化されたわけではないので、女性平均は元の世界とあまり変わらないからだ。せいぜいこっちの世界の方が少し力が強い程度である。そのため、今の僕の身体能力は未来のトップアスリート候補のようなものだ。

「あ、でも、昔から柔道やってるから筋力には自信あるよ」

「へぇー、親御さんの意向?」

「そうそう、昔から身体が小さくてさ、変な女に襲われても身を守れるようにって近所の道場に入れられたんだ」

 背が低い男性は抑え込みやすくて、犯罪者には狙い目なのだろう、僕とはまた違った理由で身長で苦労してそうだな。

「今って柔道は危ないからってやらせない人多いんでしょ?体育の必修科目からも外されたし」

「そうだな、だから習っている人も警察官志望とかの人が多くて、男性はほとんどいないし、自分並みの力量もないから最近じゃ強い女の人の中に混じってやってるよ」

「なんかそれも危なそうじゃん。寝技とか積極的にかけてきそう」

「よくあるよ。まあ、そういったのに対処するために習ってるわけだし、多少は我慢するさ」

 元の世界の基準で考えたらちょっと羨ましいなとか思っていると江口先生が入って来て朝のSHRが始まる。ちなみにまだ学級委員などを決めていないので挨拶は出席番号一番の僕がやっている。

「起立ーっ!」

 僕が号令をかけるとみんなが立ち上がる、が、1人だけふらついた人がいた。

「先生、逢坂くんの美声にクラっとキテしまったので保健室に行っていいですか?」

「気持ちはわからないでもないですが、あなたは1,2時間目の体力テストをサボりたいだけでしょうからダメです」

 先生がそう言うとクラスで笑いが起きる。

「じゃあ、トイレは?」

「早めに済ませてください」

 そう言われるとその女の子は僕の前を通って教室から出て行った。

「礼!」

「「「おはようございます」」」

「着席!」

「みなさん、おはようございます。今日から本格的に授業が始まります。1時間目の体育ですが、男子の皆さんは一階にある下駄箱横の廊下の奥にある更衣室を使用してください。そして女子の皆さんはくれぐれも覗きなどをしないようにしてください。先生はこのクラスから犯罪者を出したくないので、そこのところをよろしくお願いします」

 そういうと出席確認して先生は教室から出て行った。

 

「女子が着替え始める前にさっさと行こう」

 大鳥くんにそう言われて後に続く。

 更衣室は廊下の突き当たりにあり、その手前の廊下には女子立ち入り禁止の立て看板があった。中に入ってみると、教室一つ分くらいの広さで壁一面にロッカーが備え付けてあり、中央にはベンチがいくつか並べて置いてある。覗き防止のためか窓はない。

「ここが更衣室か、なんかしっかりしてるね。お金かかってそう」

「普段は女子の視線とか鬱陶しいけど、こういう優遇されるところは男子でよかったって思うわ」

 男子たちが口々に言う。

「それにしてもさ、今朝のSHRの女子、酷くなかった?」

「たしかに、あれ絶対にトイレに行って1人でエッチなことしてるよね」

「そうだよね。わざわざ逢坂くんの前を通って出て行ってし、セクハラじゃない?」

「そうだよ、先生に相談したほうがいいよ」

「そうかなぁ、ただ単純に僕の側の扉の方が近かっただけじゃない?それにさすがにトイレでそんなことをするほどの変態はいないでしょ」

「そうだな、流石にちょっと自意識過剰だと思うぞ。それに、その程度でいちいち先生に言ってたらキリもない」

 僕と大鳥くんはそう言う。

「でも、こういうのって初めが肝心っていうじゃん」

「そうそう、つけあがらせないためにもね」

「じゃあ、また別で強烈なのがあったら先生に相談するよ」

「僕たちにも相談しなね。1人だと言いにくいことも大勢なら言えるし。ほら、赤信号、みんなで渡れば怖くないっていうじゃん」

「それはちょっと違うでしょ」

 最初はきつい言い方でちょっとあれだと思ったが、僕のことを心配しての発言だったのか。まあでも、きついものはきついが。

 

 着替え終えてみんなで体育館に入ると、もう先に先生が来ていた。

「みなさん、初めまして。今年一年間みなさんの体育を担当することになった青木です。得意なスポーツはバスケです。バスケ部の顧問もしています。一年間よろしくね」

 青木先生はやや小柄で肩までの黒髪をポニーテールにしたはつらつとした美人だった。落ち着いた口調からは宝塚の男役のような凛々しさも感じる。というか、こっちに来てから知り合った大人の人は美人しか見かけないな。まあ、年上好きとしては嬉しいけど。

 

「では、2人1組になってください。まずは上体起こしから計測します。片方の人がもう1人の人の足を抑えてあげて下さい」

 僕は大鳥くんと組んだ。大鳥くんは昔から柔道をやっていただけのことはあり、上体起こしや長座体前屈などの筋力や柔軟性を測る種目は元の世界の男性平均をも大きく上回っていた。僕も女性平均は上回ったが、数値で言えば元の世界の男子の平均よりも少し上程度だった。それでも十分先生を驚かせていたが。

 

「やっぱり格闘技やってた分すごいね。女子よりも高いじゃん」

「そのためにやってたようなものだしな。それよりも、特にスポーツやってたわけでもないのに女子よりも高いあんたの方が不思議だよ」

「いやぁ、春休みが暇でしょうがなかったからさ、筋トレしてたんだ。そう簡単に街を出歩けないし、運動不足で太らないようにって」

「それだけであのスコアって……大抵のスポーツで世界を目指せるんじゃないか?」

「どうだろう、体力と技術は別物だしなぁ。才能はあるかもしれないけど」

 

 そんな会話をしながら最後の種目のシャトルランのスタートラインに並ぶ。体育館のちょうど真ん中らへんだったが、他の男子たちは壁際の方を走るみたいだ。女子たちはさりげなく男子の隣を取ろうと陣取りゲームをしている。スタートのアラームが鳴り響き、みんなが走り出す。

 

「俺としては強いだけじゃなくて護身術を学ぶためにも柔道部に入って欲しいんだけど、やっぱりダメ?」

「うーん、やっぱりやりたいのはバスケだからなぁ。基本的に走り回る感じの種目がやりたいね。走るの好きだし」

「そう、じゃあ今度俺の通っている柔道場に遊びに来ない?簡単な技くらいな教えられるし、覚えておいて損はないと思うぞ。というか、あんたは絶対に覚えておいた方がいい。絶対にいつかどこかで襲われるから」

「じゃあ、今度お邪魔させてもらうよ」

 それにしても、初めてあった時と比べて話し方がだいぶぶっきらぼうになったな、大鳥くん。やっぱり中学デビューってことでキャラを作っていたのだろうか。

「そう言えば今何回目だっけ?」

「35回目だな、アラーム鳴るの。てか、前に置いてあるタイマーに表示されてるぞ」

「あ、ほんとだ」

 端の方を見ると男子たちがすでにバテ始めている。あ、1人脱落した。

「これって折り返しがめんどくさいよね。持久走みたいにずっと一定のペースで走り続けられたら楽なのに」

「それを含めてのしゃとるらんなんじゃないか?たぶん」

 男子が1人脱落したことでそれにつられるようにズルズルと他の男子たちも脱落してしていった。男子で残っているのは僕と大鳥くんだけだ。

「あとでケータイのアドレス教えて。柔道場の件、都合ついたら連絡するから」

「わかった」

 その後は回を重ねるごとに僕たちの口数は減っていき、最終的に0になった。結果は75回で大鳥くんも同じだった。同じだけの記録を出せた女子は数名だけで、ソックスの柄で判断すると恐らくは運動部で、日焼けしているからたぶんサッカー経験者だと思う。

 

「あぁ疲れた。これだけ走れれば女子の中で埋もれないでバスケできるかな」

「いや、普通にエースになれるだろ」

「2人ともすごいな。中学一年生とはいえ女子を超える記録を見るの久々だ。バスケ部に入ってくれないか?」

 そういって青木先生が話しかけてくる。

「俺は無理っすけど、逢坂は入るつもりらしいですよ」

「それは本当か!今日の練習は体育館だから集合場所は体育館前だ。着替えてくること。しかし、逢坂が入るとなると入部希望者が増えそうだな……。人数が多かったら入部試験でもやるか。逢坂はそれを受けなくていいぞ。今日の体力テストでわかってるからな。私の方から諸星あ、キャプテンのことだ。に都合をつけておこう」

「今日の授業はここまで。春先とはいえ体を冷やさないように汗はしっかり拭くこと。じゃあ、解散!」

 そういうと先生は体力テストで使った機材を持って体育館から出ていった。

「戻るか」

「そうだね」

 疲れた僕たちは口数も少なく更衣室に戻った。

「あ〜あ、汗かき過ぎてパンツまでグッチョリだ。替えの下着を持ってくればよかったなぁ」

 そう言いながら僕は体操着と上の下着を脱ぐとその上からYシャツを羽織る。

「おい、ちょっと待て」

「何?どうかした?」

「お前、まさか下着もつけずにシャツ着るつもりか?」

「下着をつけるってブラが必要な女子じゃあるまいし、せいぜい中にシャツを一枚着る程度だよ」

「人にもよるが男でもブラはつけるぞ。基本的にはぴっちりした厚手のチューブトップを乳首が浮かび上がらないようにするために着るんだ。流石にもう中学生だからそういうのを着た方がいいぞ」

「そうなのか、じゃあ部活の時に着ようと思ってた予備のジャージ着るよ」

「ストップ!それで部活やるつもりだろ?下に何も着てなかったら汗で乳首が浮くだろうが!お前まじで襲われるぞ?今日は俺の予備貸してやるからそれを着ろ。今度からはちゃんと用意しておけ」

 そういって大鳥くんは白のチューブトップを手渡してくる。そして着てみると、体格にあっておらず、腹巻を胸まで上げたような感じになった。

「丈が短いな…」

「まあ、あれだ、とりあえず乳首が隠れればいい。身長はしゃーない。絆創膏を二枚貼って隠すよりはマシだろ?」

「そうだね、ありがとう」

「おう」

 この世界の価値観にはまだまだ僕の知らないところがありそうだ。

 




スラムダンクの諸星ってほとんど出番なかったのに妙に頭に残ってるんですよね。
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