無限の欲望と呼ばれる夏   作:ドロイデン

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17 地に堕ちる雫

「ふぁ~あ」

 

 数日が経ってクラス代表を決める戦いの日、どうにも授業を行えそうにないと思った俺は、千冬姉に頼んで部屋で自主勉強という名のサボりを慣行していた。

 

 IS乗りではあるが、好き好んであんなものに乗ろうとは思わないし、何よりそんなことをしてる暇があるなら部屋で自分の研究をする方が利口だと思う。

 

「もう、欠伸しながら良くパソコン打てるね」

 

 と、こちらは普通に仮病を使ったらしいトゥーレ……もといシャルロット。こっちはこっちで先日散布した魔力の波形から個人の割り出しの最中らしい。

 

「ほとんど徹夜だからな。ドクターの代わりにガジェットの強化型の開発してるしな……」

 

「なんかドクターの変なところ似てきたよね」

 

「言ってくれるな。別に俺としてはこういう研究は面白いしな。魔力を知らないで刃物恐怖症が無かったら多分ISの設計士になろうと思ってたくらいだし」

 

 一人の男としては当時まではロボットアニメ等は良く見てたし、何より一度は乗りたいと思ってたくらいだ。

 

 まぁもっとも、刃物恐怖症になってからは剣や斧が見れなくなってしまいそれどころではなくなったので、最近は全くそういうのは見ていないが。

 

「そういうところは男の子だよね~。で、何か思い付いた?」

 

「一応な、Ⅰ型の側面取り付けるオプション装備のレーザー機関銃だ。単発レーザーだけじゃ火力的に物足りないし、何より弾幕密度が濃ければよっぽどじゃない限り、近づこうと思うわけがない」

 

「けど、あのエース・オブ・エースみたいな砲撃使いには意味ないでしょ?」

 

「ああいうのは寧ろⅡ型を混ぜて高機動タイプで撹乱して撃たせないようにすれば良いだけ。わざと当たるか当たらないかのギリギリを射つようにプログラムして防御に徹させてしまえば……まぁ弾なら引き分けには持ち込めるだろうな」

 

 勿論彼女の代名詞、星の輝きという名の星壊砲(スターライト・ブレイカー)を防ぐ手段も考えてはいるがな。

 

「なら逆にドクターご執心の執務官は?」

 

「あれには逆にⅢ型をメインにⅠ型との混成で潰すかな。Ⅲ型の表面とAMFにちょっとした細工を考えているし、なにより避けて潰されるなら避けられないようにすればよしだ」

 

 それに多分相対する事になったら、ガジェットで疲労させつつ、後々で戦うのは間違いなく三人のなかでは俺だ。高機動魔法接近戦で戦う相手なら、俺とトーレさんの高機動型二人で押さえ込むのが一番手っ取り早い。

 

「ちなみにあの夜天の王にはガジェットは使わないし、相手をさせるつもりもない」

 

「あぁ、数馬に潰させるつもりだね」

 

「その通り、ああいう大型爆撃は詠唱する暇さえ無くしてしまえば充分だし、何より槍での接近戦はアイツの独壇場、かの烈火の将とやらでも多分組伏せられるだろうな」

 

 まぁもっとも、あの三人が纏めて掛かってこられたらまず殺られる。一人相手でも厳しいのに、連携なんぞされたらたまったものかというやつだ。

 

「さて、そろそろ試合も終わる頃かね……」

 

 

 

 

 セシリアside

 

 あり得ない。そうとしか言いようのない程の衝撃が私の事を襲っていた。

 

 それは数分前、クラス代表を決める模擬戦、時間がないということでバトルロワイヤル形式での戦いとなり、複数の武器を使いこなせる私が有利だと高をくくり、慢心していた。

 

 ところがどうだろうか、野蛮な男二人はスタートの合図も待たずに攻撃を仕掛けてきたのだ。槍使いが前衛、銃使いが後ろで援護という、当たり前というようにコンビネーションしてきた。

 

 私は抗議しました。まだスタートとは言ってない、連携なんて卑怯だ、と。だが男二人は。

 

「何を悠長に構えてやがる。お互いに得物を手に取ったのなら、そこは既に戦場なんだよ。戦場によーいどんもあるか!!」

 

「それにこれはバトルロワイヤルだよ?勝つために特定の相手と一時的に共闘するなんて普通のことだ」

 

 さも当然というように言い退ける男二人に苛立ちながら、私はもう一人の対戦相手であるヒルデガルトさんに共闘しようと持ちかけました。ですが、

 

「何言ってやがるイタ姫様よ!!私がここにいるのは、テメェに落とし前つける為だってことを忘れんな!!バトルロワイヤルだからアイツらと戦うのは吝かじゃないにしろ、テメェを助けるつもりも、ましてや共闘するなんてありえねぇんだよ!!」

 

 というように一蹴され、まるで彼らをサポートするように中距離から射撃してきました。

 

 四面楚歌、歯を食い縛りながらティアーズを使おうと羽を広げた瞬間、まるで狙い済ましたように銃使いの男の射撃が狙うように撃ち抜いていきました。

 

 なぜ、どうしてと思うまもなく、槍使いが私に近づくと、おもいっきり槍で横っ腹を殴り飛ばされ、私は地面へと叩きつけられました。

 

 そして今、私はまるで立つこともままならず地面に倒れ混み、視線を空に浮かぶ三人にへと向けていました。そのうち銃使い……確か五反田弾といった男が私の目の前に降りてきました。

 

「まさしく無様だな、セシリア・オルコット。自分が強いと驕った結果がこの末路だぜ」

 

「……い」

 

「他人を貶し、自分が強いと驕りまくる。ノブレス・オブリージュをも忘れたイギリスの没落貴族の娘らしい幕切れだろ」

 

「……さい」

 

「そもそもの話、お前みたいな女が一番俺は嫌いなんだよな。お前みたいな奴が……女尊男卑なんてくだらねぇ事に拘る奴がいるせいで誰かを殺されそうになるからな」

 

「黙りなさいと言ってますの!!」

 

 ギリっと睨み付けながら、私は男の顔を睨み付けます。が、逆にその時の彼の表情……まるで笑みも悲しみも怒りも感じない無のような顔を見て、私は薄ら寒いものを背筋に感じました。

 

「貴方なんか……貴方なんかに私の何がわかるんですの!!」

 

「どうでもいいな、女尊男卑の女の言葉も、それを言い訳にするやつの言葉なんてな。そういうわけだ、責任とって頑張れよ()()()()()殿()

 

「な!?」

 

 何を言ってるのかさっぱり分からない。私の機体はぼろぼろ、SEだって……1だけ残っていた。

 

「わざとSEが残るように叩き潰したからなwそれに降りてくる前に俺ら三人は揃って代表候補から辞退するわけに降参したんだよ」

 

「そんなことが……罷り通るわけが……」

 

「なに言ってんだ?俺達は正面からテメェを叩き潰したかっただけで、クラス代表なんて面倒なことするつもりがねぇんだよ」

 

 つまりこの男は……三人は私より強いというのに、遊んでいたということなのか?

 

「そういうわけだ、勝手に頑張れよクラス代表、自分で撒いた災厄に足を取られねぇように、精々地道に頑張るんだな」

 

 彼はそう言うとまるでどうでもいいというように、自らが出てきたであろうピットへと戻っていった。

 

 翌日、彼の宣言通り私がクラス代表となることになったものの、周りから煙たがられ、奇異の目で見られるようになり、三年間一人でいることがほぼ確定となってしまったのだった。




次回「18 復讐者」



これ以降セッシーはよっぽどの事がない限り出てきません。セッシーファンの方々、申し訳ありません……
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